【主張②・12.20】:衆参政倫審 還流の真相解明を尽くせ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.20】:衆参政倫審 還流の真相解明を尽くせ
衆参の政治倫理審査会が開かれ、自民党の派閥パーティー収入不記載事件に関係した旧安倍派と旧二階派の議員が弁明に立った。
多くの議員が資金管理を秘書らに任せていたと説明した。パーティー券の販売ノルマ超過分の還流をめぐる真相の解明は進まなかった。
衆院政治倫理審査会で質問に答える萩生田光一氏
旧安倍派の萩生田光一氏は衆院政倫審で、平成15年の衆院初当選時に派閥事務総長から、ノルマ超過分を返すとの説明を受けたと発言した。当時の派閥会長は森喜朗元首相だった。
16年には、ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載しないことになっていると、派閥事務局長から事務所担当者に説明があったとも証言した。
少なくとも約20年前から還流と不記載が行われていたことを裏付けるものだ。長期にわたり自浄作用が働かなかったことを、旧安倍派と自民は改めて深刻に受け止めねばならない。
関芳弘氏は令和4年春頃、派閥会長だった安倍晋三元首相に「法的に問題はないのか。あるなら運用を改めるべきではないか」と相談したと明かした。安倍氏は賛同したという。
還流をめぐっては4年4月の同派幹部会合で、安倍元首相の意向を踏まえ、一旦停止が決まった。だが、安倍氏の死去後に再開された。派内の反発があったためだが、具体的な経緯は不明なままだ。
有罪が確定した旧安倍派事務局長の松本淳一郎会計責任者は公判で、還流再開は4年8月の幹部会合で決まったと証言した。同派元幹部は今年3月の衆院政倫審で「結論は出なかった」と語るなど食い違いがある。松本氏は「ある幹部から還流再開の要望があった」ため会合が開催されたとも述べたが、幹部の名を明かさなかった。
萩生田氏は政倫審で「過去に遡(さかのぼ)って、分かる人がもう少し説明する必要がある」と語った。事情を知りながら、口をつぐんでいる関係者はいるだろう。
東京地検特捜部が強制捜査を開始した昨年12月19日から1年が経(た)った。いつ誰が、何の目的で還流と不記載を常態化させ、なぜやめられなかったのか。
通常国会と臨時国会で、政倫審を何度繰り返しても、一向に実態が分からないようでは国民の不信は拭えまい。事実を明らかにする責任が旧安倍派と自民にはあるはずだ。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月20日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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