路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説②】:カンボジア政権 独裁の世襲に懸念多い

2023-08-22 05:03:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:カンボジア政権 独裁の世襲に懸念多い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:カンボジア政権 独裁の世襲に懸念多い

 カンボジアで40年近く実権を握ってきたフン・セン氏が、独裁色をいっそう強めている。

 先月の下院選では有力野党が手続きの不備を理由に排除され、フン・セン氏が率いる与党が125議席中120議席を獲得した。
 選挙結果を受けてフン・セン氏は首相辞任の意向を表明し、初当選したばかりの長男フン・マネット氏を後継首相に指名した。新内閣はきょう発足する。
 フン・セン氏は引退せず与党党首を続ける。院政を敷いて長期支配をもくろんでいるという。
 世襲による一族支配は、政権の私物化にほかなるまい。
 長年カンボジアが模索してきた民主化は、国際公約に等しい。
 にもかかわらず選挙は不公正で貧困や汚職の解消を求める民意は反映されなかった。政権は正当性を欠くと言わざるを得ない。
 カンボジアの民主化は瀕死(ひんし)の状態だ。独裁の長期化を懸念する。
 大虐殺を行ったポル・ポト政権後、内戦下の1985年にフン・セン氏は首相に就いた。93年には国連管理下で選挙を実施するなど、民主化を進めた。
 だが、近年は政権に批判的な野党やメディアを弾圧し、強権姿勢が目立つ。前回2018年の下院選では政府が野党を解党に追い込み、与党が全議席を独占した。
 今回も集会や討論が制限される中、有力野党が排除された上に、投票を棄権した場合は今後の選挙への立候補を禁じられ、無効・白票を促す行為も違法とされた。
 言論の自由をはじめ基本的人権を抑圧してはならない。
 フン・セン氏が強気なのは、中国が後ろ盾になっているからだ。
 中国からの巨額投資を受けて経済は急速に成長した。海軍基地内に中国軍が専用の基地建設を進めているとも指摘されている。
 これでは地域の緊張を高めるばかりだ。中国は自国の利益ばかりを優先してはならない。
 今回の選挙を巡り、米国や国連人権高等弁務官は野党の排除と報道規制を批判する声明を出した。
 国際社会は強権政治をやめるよう働きかけを強めるべきである。
 岸田文雄政権は懸念の表明にとどまる。これまで国連平和維持活動(PKO)などを通じ、復興や民主化を積極的に後押ししてきたはずだ。民主化を求めるカンボジアの人々の失望を招きかねない。
 首相はインド太平洋地域における自由や法の支配の重視を掲げている。そうであればカンボジアの独裁化を座視してはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年08月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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