路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①】:新しい資本主義 分配政策どこへ行った

2023-06-09 06:41:50 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

【社説①】:新しい資本主義 分配政策どこへ行った

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:新しい資本主義 分配政策どこへ行った

 岸田文雄首相が看板政策に掲げる「新しい資本主義」。政府が六日に提示した改定案には労働市場の改革や半導体投資の強化などが並ぶ。アベノミクスが掲げた成長戦略の踏襲にすぎず、期待された格差是正に向けた分配政策はどこへ行ったのか。

 労働市場改革は、年功序列の雇用慣行を転換し、成長産業への転職を支援することで、賃金を持続的に引き上げることが狙いだ。
 
 しかし、転職活動を円滑に行うためには、医療や住宅、教育など生活に欠かせない支出への公的補助が必要だ。こうした安全網を整えず、転職を促すだけでは、賃上げを伴う労働移動の活性化にはつながるまい。
 
 政府が転職支援に前のめりになれば、一部の人材の獲得合戦が過熱し、他の労働者を「弱者」としてふるい落とす構図さえ生みかねない。雇用支援が格差拡大の温床となるなら本末転倒だ。安易な転職促進策は容認できない。
 
 半導体への投資促進を改定案に盛り込んだことも理解に苦しむ。欧米や台湾を中心とした友好国・地域との半導体供給網の強化は、中国への対抗を念頭に置いた経済安全保障の一環で、「新しい資本主義」とは明らかに異なる。
 
 半導体生産には中国を含む多くの国が関わる。外交関係にとらわれない協力関係を構築することが供給網の強化につながり、景気への波及効果も見込める。排他的な政策は国際的な緊張を高めるだけで、日本の国益にも反する。
 
 改定案には「チャットGPT」の登場を機に普及が進む生成人工知能(AI)の推進策も盛り込まれたが、生成AIを巡っては開発が進む米国でも明確な活用法が示されていない。デジタル技術の性急な活用推進策は、マイナンバーカード同様、国民の間に無用な混乱を招きかねない。
 
 「新しい資本主義」に対しては当初、格差是正の足掛かりになるのでは、との期待があったのは確かだが、現実には、日銀による大規模な金融緩和と巨額の財政出動を前提に成長戦略を描くアベノミクスの域を出ず、分配政策は大幅に後退している。
 
 国民が望むのは、かけ声倒れの大味の経済政策ではなく、物価高騰の抑制や持続的な賃上げといった暮らしに直結した具体的な対策だ。首相には生活の実態に即した支援策を実行するよう求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月08日  07:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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