【中山知子の取材備忘録・12.22】:政党の街頭演説「聖地」のうつろい 自民=アキバは薄れ、国民民主の新橋に注目してみた
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・12.22】:政党の街頭演説「聖地」のうつろい 自民=アキバは薄れ、国民民主の新橋に注目してみた
2024年は衆院選だけでなく、東京都知事選や自民党総裁選、立憲民主党代表選など、さまざまな選挙が行われた。4月の衆院東京15区補欠選挙では、各候補者の街頭演説に対する「妨害」行為が問題になるなど、これまでの選挙ではみられなかった深刻な現象もあった。
選挙での街頭演説は、候補者の主張を聴く貴重な機会であるだけでなく、国民が政治と身近に触れられる機会と感じている。妨害問題発生以降、街頭演説の警備が一層強化され、取材するにもなかなか厳しい環境になったことには、複雑な思いも持った。
かつては「この政党ならこの場所」というように、街頭演説には「聖地」とされる場所があった。近年で最も知られたのは、自民党がかつて頻繁に街頭演説を開いた秋葉原。駅前ロータリーに選挙カーが止まり、ロータリー周辺の歩道や、ロータリーを見渡せる場所に多くの聴衆が詰めかけ、演説に耳を傾けた。自民党は一時期、総裁選や国政選挙最終日の街頭演説をアキバで行い、第2次安倍政権の時などは大群衆の聴衆が集まり、独特の雰囲気を生んだ。しかし、安倍晋三元首相の退任後、2021年衆院選の岸田文雄首相(当時)の最終演説は東京都大田区。今年10月の衆院選でも、石破茂首相が最後に入ったのは東京都江東区。いずれも「大激戦区」ではあったが、自民党の「聖地」=アキバという感覚は、だんだんと薄れてきているように感じる。
一方、政党にとっての新たな「聖地」となりそうな場所を先日、取材した。10月の衆院選で躍進した国民民主党は結党以来、東京・新橋の待ち合わせの定番でもある、JR新橋駅前のSL広場で、国会召集日と最終日など定期的に街頭演説を開いている。3日間の会期延長がなければ今の臨時国会の事実上の閉会日だった12月20日も、党幹部や所属議員が集まり、約30分間、街頭演説を行った。
年末の金曜日の午後6時半開始という微妙な時間帯だったが、それでも数百人の聴衆が足を止めて聞いていた。この場で榛葉賀津也幹事長は「3年前は(聴衆が)10人いるか、いないかだった」と振り返った。当時の景色と比べれば、当事者にとってみれば大きな変化を実感するのだろう。演説会が終わった後も、聴衆との「握手会」や「撮影会」のような景色が続いた。
◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】 2024年12月22日 11:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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