【連載・維新戦記】:⑥:大阪でも奈良でも圧勝した「維新」の本当の正体を明かす…「政党交付金」をマネーロンダリングしていた!
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【連載・維新戦記】:⑥大阪でも奈良でも圧勝した「維新」の本当の正体を明かす…「政党交付金」をマネーロンダリングしていた!
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衆議院議員・米山隆一氏は、新潟県知事を務める前の2012年から2015年にかけて、日本維新の会に所属し、衆参選挙を戦った過去がある。彼がみた「維新」の本質を、秘話とともに詳細に明かす。衝撃の手記、第7弾。
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連載第1回(前編/後編)、第2回、第3回、第4回、第5回もあわせてお読み下さい。
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◆「大阪組と和解することになった」
4月9日、統一地方選前半戦の投開票日を迎えました。維新は奈良知事選で勝利するだけでなく、関西を中心に地方での議席を大きく伸ばしました。一体全体なぜなんだろう? と思う人も多いと思うのですが、私は、そこには、維新分裂騒動で身をもって体験した維新の「したたかさ」、さらに言うなら「恐ろしさ」があると思います。
写真:現代ビジネス
この結果を受けて、現在国会では共闘関係が凍結中の、私の属する立憲民主党、そして今まで維新を「利用している」つもりでいた自民党が、維新との関係をどのようにしていくのか注目されます。
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橋下氏の理不尽な悪口雑言と、それに盲目的に従う「大阪組」の議員たちの偽りの「解党決議」「新代表選任」の嵐に晒されるなかで、2015年11月24日、維新の党(東京組)の代表選が告示され、小野次郎総務会長と松野頼久代表が届け出ました。2週間の選挙戦を経て12月6日、党員一人一票の代表選挙が行われ、投開票の結果松野代表が引き続き代表を務めることになりました。
これで、橋下氏の維新の党の規約についてどれほど屁理屈をまくし立てようが、いくら馬場伸幸氏(現代表)が大阪で「我こそが維新の党の代表だ(但し選んだ議員はほぼ全員離党済み)!」と叫ぼうが、「現時点で正当な手続きで選ばれた代表は松野氏だ。過去の手続き的瑕疵はそもそもないが、仮にあったとしてもすべて治癒されている」と言える──私も参集した議員、支部長、党員もそう考え、みな胸をなでおろしました。
当時、大阪組と東京組で分裂していた維新の党。その代理人弁護士として、私は、弁護士でもあり大阪組を相手に民事訴訟と政党交付金の交付についての総務省との折衝を行い、さらに刑事告訴を担当していました。
「さあこれからだ」という静かな高揚感に包まれました。
ところがそれが冷めやらぬ翌日12月7日、私の携帯電話に、突如東京本部の幹部の議員から電話がありました。
訴訟についてそれ程関与していなかった幹部の議員からの電話に驚きながら出ると、幹部の議員は開口一番「米山君、大阪組と和解することになった。訴訟はすべて取り下げてくれ」と言いました。
私は一瞬絶句しました。確かに、訴訟は敗訴のリスクはありますし、政党交付金についての総務省との折衝も解決までそれ相応の期間を要し、その間の資金繰りに苦労する事態は予想されていました。しかし、通常の常識的解釈、当りまえの行政対応なら、こちらに負ける要素はほぼないと私は思っていたからです。
一方で、弁護士としても、維新の党の一員としても、クライアントである執行部が決めた大きな方針に異を唱えることは憚れました。
◆「マネーロンダリング」された政党交付金
しばし沈思黙考の後、私は意を決して、この議員にこう伝えました。
「本当ですか? 勿論訴訟も総務省との折衝も負けるリスクはありますし、時間もかかります。しかし、理屈としてはこちらが勝てると思います。勝てば、彼らの息の根は止まり、こちらの正当性が証明されます。逆に妥協すれば、彼らは何事もなかったように息を吹き返し、今は円満解決と言っていても、しばらくしたら必ずこちらの悪口を言ってきます。今、徹底的にやったほうがいいと思います」
ところが携帯電話の向こうの幹部の議員は、こう返答するだけでした。
「米山君、まあそう言うな。あいつらもさ、まあいい奴なんだよ。もう決まったことだしな。頼むよ」
私は小さなため息を聞かれないよう、押し殺した声で「わかりました。そのように対処いたします」と答えました。
その後1日、2日の相手方との調整を経て、私は大阪組の東徹氏、島松洋一氏らへの訴訟を取り下げました。同時に大阪組は、政党交付金を自らの口座に振り込ませようとした総務省への訴えを取り下げ、双方が「こちらに」と争っていた2015年の第4期目の政党交付金約6億7000万円は、維新の党の従前の東京本部の口座に振り込まれました。
私はその後のお金の流れには全く関与していないので詳しく知りませんが、当時の赤旗の記事によると、双方が必要経費を払ったのち、人数割りにして東京組、大阪組の各議員の政党総支部に一人500万円ずつ(当時の国会議員は41人なので、総額約2億円程度)送金されたと報じられています(こういうとき、赤旗は重宝します)。
橋下氏はあれほど大上段に政党交付金の国庫返納を断言していました。維新の足立議員も明示的にこれに賛同したことがツイッターに残っています。何のことはない、維新の大阪組の面々は余った政党交付金のすべてを、各議員に山分けしたのです(念のために付け加えますが、東京組は当初から人数で割って分配するように主張にしていました)。
大阪組の各議員は振り込まれた政党交付金を、新たに作った「なんば維新」とい政治団体に寄付した後、わずか3ヵ月後に、この政治団体から再度「おおさか維新の会」の各議員の総支部に振り込み、直後に「なんば維新」を解散するという、あからさまな「マネーロンダリング」を行ったのです。国民の皆様からの税金、政党交付金が不透明な形で議員の手にわたることは背信行為だと私は思います。
◆疲れ切った維新の党
分裂後の虚脱した空気の中で、維新の党の執行部は当時の民主党との合流に舵を切りました。橋下氏・大阪組との闘争で疲れ切った維新の党には、もう、自らの力で闘う意志も、それをする体力も残っていなかったのだと思います。
おおさか維新の会の側は、案の定という感じで、総てが予定通りで、自分達は何一つ間違っていなかったという発信を始めました。
党の弁護士から、一人の参議院選挙区支部長に戻った私は、その様子を見ながら、心が冷めた怒りを感じていました。
……俺は、野党は闘う人たちの集団だと思っていた。でも、そうじゃない。地域の権力闘争を勝ち上がった自民党の面々や、あの橋下氏についていく大阪組の面々よりもむしろ世襲や、組織や、タレントで、闘わずに議員になった人たちが少なくない。その人たちは、あの強烈なルサンチマンに突き動かされている鵺(ぬえ)の様な橋下氏から見たら、きっといいカモか鳩だったんだろう。そのカモか鳩が、自らに逆らった途端、橋下氏は絶対に勝てると踏んでとんでもない喧嘩を仕掛けた。その鳩の中に、臆さず反撃する爪を持った鳥がいたのは誤算だったのだろうが、結局のところあの鵺は多数派のカモと鳩を丸め込んで敗色濃厚な所からドローに持ち込んだ。
彼らは、いまもう息を吹き返しだし、きっとまた誰かに同じことをする。場合によっては、全日本国民を相手に同じことを仕掛ける。状況は絶望的だが、しかし、そのときは、最後まで彼らを倒し、政権を掴むことができる爪を持つ、鷹にならなければならない……
維新の党の分裂騒動が収束していく中で、2015年末から政界は、夏の参議院選に向けて走り出し、安保法制反対で共闘した野党の間には野党共闘路線が高まっており、新潟では12月26日に民主、維新、社民、生活、連合の5者協議が開催されました。私は当時維新の党の参議院新潟選挙区支部長でしたが、新潟では野党第一党の民主党が候補者擁立に難渋しており、当時すでに合流話が進む中で、当然自分が野党統一候補になる可能性が高いと思っていました。
ところが2016年1月29日、民主党新潟県連は菊田真紀子衆議院議員を参議院候補に擁立するという驚きの方針決定をします。
そして3月27日、維新の党が民主党に吸収合併される形で民主党が結成されると、私は参議院支部長ではなく、空席だった新潟5区支部長に選任されました。私は理不尽な気持ちを抱えながらも「今は黙って爪を磨く時だ」と思って党のこの決定を受け入れました。この時の決断が、私の政治キャリアに大きな転機をもたらすことになるとは、知る由もありませんでした。 (近日掲載の第8回につづく)
■米山 隆一(衆議院議員 前新潟県知事)
元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治・社会 【政局・日本維新の会・政治とカネ・担当:米山 隆一(衆議院議員 前新潟県知事)】 2023年04月11日 06:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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