【主張①・11.23】:勤労感謝の日 働きやすい環境づくりを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.23】:勤労感謝の日 働きやすい環境づくりを
多くの人がさまざまな働き方で就労していることによって社会は成り立っている。そのことに感謝し、働く意義や労働環境を見つめ直す日にしたい。
23日は勤労感謝の日である。昭和23年に施行された祝日法で「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日」と定められている。
混雑する中で通勤する人たち=東京都港区
新型コロナウイルス禍から経済が回復する過程で人手不足が深刻化するようになった。インバウンド(訪日外国人客)の急増などもこれに拍車をかけ、地方や中小企業を含め働く人の確保に苦労する時代となった。
賃上げの動きは広がりつつあるものの、折からの物価高に追い付かず苦労している人も多いだろう。雇用環境の変化を踏まえつつ、自分に適した働き方を考えることが大切である。
テレワークや、勤務時間などを従業員が決めるフレックスタイム制度などを導入する企業も増えている。それぞれの事情に即した多様な働き方を支える流れを着実に進展させていく必要がある。
生産年齢人口が減少する中で女性や高齢者の就労が増えてきたことは望ましい。人手不足に対応するためにも、企業には働きやすい職場づくりへの取り組みをさらに強めてほしい。
職場のハラスメントはもってのほかだ。セクハラやパワハラ、客による理不尽な要求や暴言などカスタマーハラスメント(カスハラ)の被害は働く意欲を喪失させる。周囲に困っている人はいないか、自分の言動が相手を傷つけていないか。絶えず目を配るよう心掛けたい。
働きたくても働けない人もいる。そういう人たちが取り残されることのないよう家族や社会で支えることも重要である。
日本人は古くから働くことを重んじてきた。「働」という字は中国伝来の漢字ではなく、日本で作られた国字(和製漢字)だ。時代や環境が変わろうとも働く喜びは持ち続けたい。
勤労感謝の日は、かつて「新嘗祭(にいなめさい)」の祭日だった。天皇がその年の新穀を神々に捧(ささ)げ、自らも食する儀式が執り行われた。国民の勤労の成果を、天皇が神々に奉告したのである。
新嘗祭は現在も宮中で最重要の儀式であり、全国の神社でも神事が催される。勤労をたっとび、感謝し合う日であることは今も昔も変わらない。
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