《社説①・12.16》:認知症の基本計画 理念実現の道筋示さねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.16》:認知症の基本計画 理念実現の道筋示さねば
認知症になっても安心して自分らしく暮らせる。そうした社会の実現に向けた一歩にしたい。
政府が「認知症施策推進基本計画」を閣議決定した。今後5年間に取り組む施策の指針となるもので、1月に施行された認知症基本法に基づいて策定された。
特筆されるのは、計画が「新しい認知症観」の考え方を打ち出したことだ。認知症の人も「希望を持って暮らし続けることができる」というメッセージである。
「痴呆」から呼び名が変わって20年たつものの、「認知症になったら何もできなくなる」といった固定観念は根強い。
このため、当事者が受診を避けて発見が遅れたり、知られたくないとの思いから社会的に孤立したりしているとの指摘もある。
国の推計によると、認知症と、その前段階である軽度認知障害の人は、2040年には65歳以上の人の3人に1人を占める。誰でも当事者になる可能性がある。
今回の計画は、施策を進める上で、認知症の人や家族が参画することを明確にした。
これまでも当事者の意見は聞いていたが、今後は具体策の企画・立案から、その効果の評価まで、プロセス全体に主体的に関わることになる。
自治体は施策を進めるための推進計画を策定する。だが、地域によって人員や財政規模は異なる。対策にも格差が生じかねない。国には自治体任せにせず、支援することが求められる。
医療や介護の体制もかぎを握る。認知症の人の介護が重荷になって、家族が介護離職を迫られるケースは少なくない。当事者と家族の暮らしを守るためには、認知症ケアの知見を持った人材の育成と適切な配置が欠かせない。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月16日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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