【天風録】:老朽化の警鐘
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:老朽化の警鐘
橋の手前でスクールバスを下ろされた児童たちが歩いて渡る。築57年の橋だけに、乗ったままより安全だからだ。米東部ペンシルベニア州の朝のそんな1こまをタイム誌が写真で紹介している。橋や道路の老朽化に警鐘を鳴らす40年余り前の記事である
▲その州で先週、長さ140メートルの橋が崩落した。建設から半世紀たった橋は「劣悪」な状態だと政府に判定されていたという。雪景色の中、真っ赤なバスや車が橋の上に取り残された映像は、見るだけで背筋が凍りそう
▲同じように劣悪だとされた橋は、その州だけで3千あり、全米では4万5千に上るという。40年前の警鐘は、抜本的改善にはつなげられなかったのだろうか
▲もちろん米政府も手をこまねいていたわけではない。例えば115兆円規模のインフラ投資法を昨年秋に成立させた。それをアピールしようと、バイデン大統領が同州を訪れる数時間前に、橋が崩壊したそうだ。あまりのタイミングの良さにも驚く
▲米国より30年遅くインフラ整備を本格化させた日本。10年後には道路橋やトンネルの半数が、建設から50年以上になるそうだ。老朽化は対岸の火事ではない。「聞く耳」発揮は警鐘にこそ、だろう。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2022年01月31日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます