【政界地獄耳】:国民には分かりやすく記者をけむに巻く
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:国民には分かりやすく記者をけむに巻く
★政界で今、25日の自民党役員会後の党幹事長・二階俊博の会見が話題になっている。冒頭、朝日の記者が大阪ダブル選の手応えと共に大阪維新は憲法改正に向け、官邸としては協力を得たい立場ではないかと問うた。二階は「官邸は自由民主党で成り立っていますから。そんなぼやぼやした考えがあるわけない。そんなことは自民党として承認しません」と応じた。
★この答えには幾つもの問題が隠されている。<1>官邸の都合や思惑など本来はない。自民党という政権政党に二枚舌はないと答えたもの。<2>党は今、一丸となって選挙を戦っている。ほかの議論が入る余地がない。<3>憲法改正をするために協力を得たい政党があろうともこれは選挙だ-などが二階の短い発言の行間から読み取れる。ただここでは首相や官房長官は大阪で推薦している候補の応援に入るのか、またはその要請をしているかと問えば、また別の答えが導けたかも知れない。
★そのあとの時事の記者の質問のやりとりも興味深い。「幹事長は総裁の4選は十分ありうるとしていたが、総理は連続3期までというのが党の明確なルールとの認識を示したが」との問いに「それは総理としてのお考えを述べられたものであって、総理の述べられた発言に幹事長が意見を述べるというのはあってはならんこと。我々はそれを受け止めなくてはならないが、総理とそのことについては十分に話し合いたい」とした。
★首相の発言を幹事長が否定するわけにはいかないが、それはそれで話し合うと前段と後段では結論が変わっている。この行間を読むのが政治記者の仕事だが、口ぶりは4選問題は首相が否定したから解決とはいかないようだ。最近は記者と政治家との禅問答のようなやりとりは少なくなった。答えを〇か×か。良いか悪いかで聞こうとし、答えようとする。政治はそんな単純なものではない。国民には分かりやすく、記者をけむに巻くのが言論の府の駆け引きだった。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2019年03月27日 08:32:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。