ウンザリするほど、日本社会が思考停止に陥っています。連日、テレビは北朝鮮の「挑発」行為を「脅し」として繰り返し報道し、紛争解決のための具体的解決の方法について、国民的議論を封じています。しかも、コメンテーターとして、軍事専門家・情報通を登場させ日本の「危機」「対策」を煽っているのです。そういうなかで、火事場の泥棒的に憲法改悪の方向へ日本を引き連れていこうとする企みが具体化されようとしています。
そこで、いくつか、気づいたことがありましたので、記事にしてみました。
1.現在の朝鮮半島は、朝鮮戦争の「休戦状態」にあるということです。北朝鮮にしてみれば、1953年以後、準戦争状態が継続しているが故に、戦前の天皇制政府が強調していた「ABCD包囲網」と同じ状態で、「自存自衛」のたたかいと国民に宣伝しているのです。
3.日本政府とマスコミは米韓合同軍事演習以後の北朝鮮の「過剰反応」を「脅し」「挑発」として、喧伝し、「脅威」を煽っていることです。北朝鮮の「言い分」をよくよく見ておく必要があるように思います。
4.この北朝鮮の過剰・異常とも言える反応は、日本に置き換えてみればよく判ります。
例えば中国軍が、東シナ海で、米韓合同軍事演習規模の軍事演習をした場合、日本はどのように思うか、「脅威」と反応するのは当然です。尖閣への接近、領海侵入報道など踏まえると、北朝鮮の「脅威」のみを強調するのは、アンフェアーと言えます。
5.北朝鮮の「脅し」が、「核抑止力」論に立脚し、そのうえでアメリカを交渉の場に引き出し、北朝鮮を認知させること、そのことをとおして国内の体制強化に利用しているとの解釈がなされていますが、このことは、現在の日本においても言えることです。それは、
(1)日本においては、北朝鮮の「脅威」を煽ることで、日米軍事同盟を深化させ、自民党政権の維持強化を実現していこうとするネライがあることは周知の事実です。口にこそ出しませんが、北朝鮮が暴れてくれれればくれるほど、ラッキーを思っているのではないでしょうか?
(2)このことは金正恩氏にしてみても、日本が軍国主義的に強化されていけばいくほど、国内の危機を煽り、金政権の正当性は認知・継続されていくのです。
(3)同時に、この日米軍事同盟の深化と一体的なものとして、集団的自衛権の行使を認知させること、この行き先は憲法9条の改悪、このことによってアメリカ軍の支援部隊としての自衛隊、ゆくゆくは「国軍」として認知させようとしているのから、呆れます。
(4)日朝政府の思惑は、対立しているようでいて、実は驚くほどに、結果的には連帯しているかのように映るのです。日本と北朝鮮の手法は一蓮托生というか、鏡のようでもあります。
6.下記の一連の報道文をよく読むと、北朝鮮の主張は、アメリカや韓国、日本の主張に合わせて、「脅し」が行われてていることが判ります。それに対して、日本側の対応は、「冷静」さの強調です。
7.ところが、米韓合同軍事演習に出動している米軍が、日本の米軍基地から出動していることを系統的に報せているのは、ほとんど皆無です。一速即発・突発的武力紛争が起こったとき、集団的自衛権行使へと、一気に加速する可能性すら、透けて見えてきます。
8.北朝鮮の「脅し」を強調する映像として、ミサイルや兵器などがテレビで繰り返し放映されています。しかし、どれだけの破壊力・実践力があるか、です。
(1)特に金正恩がピストルを撃つ真似をするシーンが繰り返し出てきます。戦前B29に対して竹やりでたたかう臣民の姿を彷彿させます。大爆笑です。
(2)燃料など、半年しか持たないとしてマレー・真珠湾奇襲に突入した、かつての天皇制政府のような過ちを北朝鮮がするか、どうか、微妙ですが、軍事行動をする場合は、それなりの兵站がなければ、或いは日本本土への進軍がなされなければ、或いは、それなりの軍事的見通しがなければ、「抑止力」論に立つ米軍の軍事的対応によって、金政権そのものの崩壊を招くことは当然です。
(3)金政権の崩壊、これは金政権の「脅し」の評価そのものは無意味なものに、勝手な作り話ということになるでしょう。
(4)「北朝鮮は何をするか、判らない」論と「自暴自棄」論は成り立つでしょうか?
9.北朝鮮問題に登場するコメンテーターは、北朝鮮が暴れてくれれれば暴れてくれるほどテレビ出演など、マスコミに登場する回数が増え、収入増になる!ビジネス化している!新聞も週刊誌も北朝鮮報道で部数の維持か部数増が見込まれている!これは戦前の戦争によって新聞増が作られたことと同じ構造です。どうでしょうか?最近の風潮をみていて、このことを強調しない訳にはいきません!
もう一つは、戦争に必要な物資を供給する「死の商人」、それに群がる政治家です。いわゆる「戦争利益共同体」の存在です。
以上を踏まえると、何が必要か。最大の課題は、北朝鮮の口実を封じていくことです。平和憲法を持つ日本が、その先頭にたつことです。そのためには、
1.米韓合同軍事演習を止めること
2.朝鮮戦争休戦状態から平和条約締結へ踏み出すこと
3.「核抑止力」論を捨て、核兵器廃絶国際条約の調印に向けて一歩踏み出すこと
4.北朝鮮に国際社会の枠組みを尊重させるため、北朝鮮と国交を開いている国との意思疎通を蜜にすること
5.TACのような東アジア平和共同体を構築すること
6.戦争や先軍政治より平和的経済活動の方が国民的国家的利益が上がることを事実で示していくこと
7.日朝平壌宣言を発展させて国交を回復すること
8.日米軍事同盟を廃棄し、日米平和友好条約に切り替えていくこと
9.アメリカの枠組みではなく、日本独自の外交路線を多様に展開すること
10.悪口ではなく、道理ある批判を展開しながら、北朝鮮政府へのメッセージを工夫していくことで、朝鮮半島の平和的統一への日本国として責任を果たすこと
以上の枠組みを構築することなく、内容を改善することなく、互いに「脅威」を煽り、「抑止力」論に立脚していては、北朝鮮を国際社会の枠組みに復帰させることは不可能でしょう。いずれにしても、不幸な偶発的な武力衝突が起こることは、盧溝橋事件など、歴史を見れば、有り得ることも、また事実です。その際の最大の被害者は、子どもや女性、高齢者など、一般市民・庶民と若き兵士です。これは国境を越えて言えることです。
それでは、以下、マスコミ報道を一覧しておきます。注目すべきポイントは北朝鮮政府の主張と米韓・日本の対応とマスコミの伝え方です。どちらも、国民向けと相手国向けに注目です。
米韓演習通告に反発「悲惨な破滅」 北朝鮮軍幹部 2013.2.23 18:06 [韓国] http://sankei.jp.msn.com/world/news/130223/kor13022318070005-n1.htm
朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮人民軍板門店代表部の朴林銖代表は23日、米韓両軍が3~4月に定例の合同演習を実施することに反発し「悲惨な破滅の運命は、戦争の導火線に火を付けた者にある」と警告した。追加核実験には言及していない。 朴代表は、人工衛星打ち上げと称した長距離弾道ミサイル発射と3度目の核実験に対する米国などの反発を「言い掛かりだ」と主張した。北朝鮮側はこれらの内容を23日、米韓側に通知したという。 演習は「キー・リゾルブ」(3月11~21日)と「フォールイーグル」(3月1日~4月30日)。米韓側は21日、北朝鮮側に訓練時期を通告した。(共同)
米韓が機動訓練開始 北朝鮮反発で緊張 2013.3.1 20:48 [韓国] http://sankei.jp.msn.com/world/news/130301/amr13030120490007-n1.htm
米韓両軍は1日、春に定例で行っている野外機動訓練「フォールイーグル」を開始した。4月末までの予定で、韓国全土で展開される。聯合ニュースによると、米本土や日本から部隊が韓国へ向けて移動中で、来週から訓練が本格化する。 北朝鮮は「悲惨な破滅の運命は、戦争の導火線に火を付けた者にある」などと同訓練の実施を非難している。韓国国防省は、朝鮮人民軍が今月初めに大規模な軍事訓練を行うと分析。新政権発足直後の韓国に軍事挑発を仕掛ける可能性もあるとして、人民軍の動向を注視している。 聯合ニュースによると、今回の「フォールイーグル」には米原子力空母やF22ステルス戦闘機、B52戦略爆撃機が加わる可能性がある。韓国軍約20万人と米軍約1万人が参加する。(共同)
韓米合同キー・リゾルブ訓練開始「北の挑発時には実際対応」(1)2013年03月11日08時48分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/189/169189.html?servcode=A00§code=A20
韓米合同訓練を口実に北朝鮮の軍事的威嚇が高まっている中、韓米両国軍指揮部は11日0時から「2013キー・リゾルブ演習」に突入した。北朝鮮は5日、「11日から休戦協定を白紙化する」という最高司令部報道官声明をはじめ、7日には核攻撃威嚇、8日には不可侵協定破棄と板門店(パンムンジョム)の活動中断などで緊張を高め、11日を挑発Dデーと宣言した。
朝鮮労働党機関紙の労働新聞も10日、「前線軍集団をはじめとする陸海空軍部隊と戦略ロケット部隊などは最後の突撃命令だけを待っている。多種化されたわれわれ式の精密核打撃手段も万端の戦闘動員態勢にある」と威嚇した。韓国軍関係者は、「キー・リゾルブ演習は韓米連合軍の作戦遂行能力向上と有事の際の米軍増援戦力の韓半島展開を演習するための防衛目的の例年的な訓練だ。21日まで計画通り進めるだろう」と話した。同関係者は、「訓練期間中に北朝鮮の挑発がある場合にはただちに訓練状況を実際の状況に切り替え北朝鮮の攻撃に対応するだろう」と付け加えた。
韓国軍1万人余りと米軍3500人余りが参加する今回のキー・リゾルブ演習はウォーゲームと実機動訓練を除いた指揮所中心の訓練が行われる。特に2015年12月の戦時作戦統制権移譲を控え、韓国の合同参謀本部が主管し米軍が支援する形式で進める。これと別に両国は今月初めに始まったフォール・イーグル演習を来月末まで進める。上陸訓練と地上機動、空中、海上、特殊作戦中心の実機動連合訓練だ。ここには韓国軍20万人余りと米軍1万人余りが参加しており、9日に東海(トンヘ)港に入港したイージス駆逐艦2隻を含めF-22ステルス戦闘機とB-52爆撃機、原子力潜水艦などが参加する予定だ。
国防部の金寛鎮(キム・グァンジン)長官と鄭承兆(チョン・スンジョ)合同参謀議長ら軍指揮部は休日の週末にも通常通りに出勤して北朝鮮軍の動向を観察し、韓国軍の警戒態勢と訓練準備状況を点検した。青瓦台(チョンワデ、大統領府)も金章洙(キム・ジャンス)国家安保室長を中心にした非公式の国家安全保障会議(NSC)を稼動した。青瓦台関係者は、「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領にも現在の状況がリアルタイムで報告されている」と話した。
韓米合同キー・リゾルブ訓練開始「北の挑発時には実際対応」(2)2013年03月11日08時49分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/190/169190.html?servcode=A00§code=A20
「滅亡の運命にあるのは日本だ」 北朝鮮、安倍氏発言に反発 2013.3.23 12:36 [安倍首相] http://sankei.jp.msn.com/world/news/130323/kor13032312370004-n1.htm
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は23日、安倍晋三首相が「このままでは北朝鮮は間違いなく滅亡への道へと進む」と発言したことを受け、「滅亡の運命にあるのは定見もなく米国に従う日本だ」と非難する記事を掲載した。 同紙は「日本はわが革命武力の標的になっている。日本が(北朝鮮)敵視を続ければ、到来するのは破滅だけだ」と主張し、植民地支配に関する「過去の清算」を重ねて求めた。拉致問題には触れていない。 安倍首相は15日のNHK番組で、北朝鮮の核・ミサイル開発を強く非難し「(北朝鮮は)政策転換し繁栄の道に進む決断をすべきだ」と述べた。(共同)
半島での核戦争はもはや仮説ではない」 米韓の新作戦計画に北が警告 2013.3.28 13:26 [韓国]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130328/kor13032813270003-n1.htm
報道陣に公開された米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」の連合戦闘模擬訓練センター=ソウルの在韓米軍竜山基地内(共同)
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は28日、米韓両軍が北朝鮮の局地的な挑発に反撃する新たな作戦計画を策定したことを「分別を欠いた愚かな行動。危険千万だ」と非難する記事を掲載した。 記事は計画について「核戦争の火種を何としても燃え上がらせるために(米韓が)共謀した」と主張。「朝鮮半島での核戦争は、もはや仮説ではない」と警告した。(共同)
北朝鮮 挑発の背景に何が 4月2日 20時50分
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_0402.html
北朝鮮は、1日、最高人民会議を開き、核兵器や事実上の長距離弾道ミサイルの開発を強化する法律を採択しました。これにあわせて、経済の立て直しを主導する首相のポストに、経済通の元首相を復帰させ、経済の立て直しに向けた体制を整えました。たび重なる挑発的な言動で朝鮮半島の緊張を高めるなかで打ち出した核開発と経済発展の「両立」。何を狙っているのでしょうか?国際部の長砂貴英記者が解説します。
核と経済の「両立」とは
北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記は、先月31日に開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会や、1日に開かれた最高人民会議を通じて、次の2つの路線を並行して進めることを打ち出しました。
1つは、核開発の強化。もう1つは、経済の立て直しです。このうち、核開発について、最高人民会議では、「核保有国」の地位のさらなる強化に関する法律が全会一致で採択されました。法律には、「わが国の核兵器は、アメリカの敵視政策と核の脅威に対する正当な防衛手段だ」と規定され、核兵器を、質・量ともに強化するほか、軍の最高司令官だけが核兵器の使用を命じることができるなどと定められています。また、経済の立て直しについては、6年前に1度更迭された、経済通の元首相が再び首相に指名されたほか、化学工業相や農業相など経済関連の閣僚を交代させました。
軍備強化と経済発展の「両立」の政策。実は、キム第1書記の祖父に当たるキム・イルソン主席が1960年代に掲げていたものでした。今回、この路線を改めて示したのは、体制の維持のため、「軍事優先」の強硬路線をとり続けるには、ひっ迫した経済に不満を持つ国民の声に向き合わざるをえないと判断したためではないかと思われます。国外向けには核開発強化という強硬姿勢。国内向けには国民に配慮した姿勢。日本をはじめ周辺国は、強硬姿勢の方に懸念を抱かざるをえません。
強硬姿勢続ける北朝鮮
その強硬姿勢。北朝鮮は、アメリカと韓国が定例の合同軍事演習を始めた先月から、あの手この手で、挑発的な言動をエスカレートさせてきました。先月6日、アメリカへの核ミサイルによる攻撃に言及したのに始まり、先月11日には「朝鮮戦争の休戦協定が完全に白紙になった」という一方的な宣言を行ったほか、その翌日には、3年前に砲撃した韓国の島とは別の島に局地的な砲撃を行うことを示唆し、威嚇しました。また、軍の部隊が「1号戦闘勤務態勢」に入ると、これまで国営メディアでは出たことのない軍事態勢のことばを使い、今にも戦争が始まるのではないかという緊迫した雰囲気を作り上げました。揺さぶりの相手には日本も含まれています。先月31日付けの朝鮮労働党の機関誌の論評に、横須賀、三沢、沖縄のアメリカ軍基地の名前も出して、「われわれの射撃圏内にある」と威嚇しました。さらに、2日には、6か国協議の合意に基づいて使えなくする措置がとられた原子力発電所を整備し直して、再稼働させる考えを明らかにしました。原子炉の再稼働で、核兵器の原料となるプルトニウムの抽出を再開する構えを見せており、アメリカなどへの揺さぶりを強めています。
挑発の先に狙うものは
北朝鮮がここまで露骨な挑発と強硬姿勢をとり続けるのはなぜでしょうか?1つは、アメリカから体制の保証を得るためとみられます。北朝鮮は、長年、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換し、アメリカに体制を認めさせることを目標にしてきました。朝鮮戦争休戦から60年という節目のことし、北朝鮮は、「核保有国」という立場でアメリカを交渉の場に引き出すため、過激な言動を続けていると思われます。もう1つは、緊張を高めることによって体制の引き締めを図り、キム第1書記の求心力を高めるという狙いもあるとみられます。
アメリカ・韓国の対応
こうした北朝鮮の動きに、アメリカと韓国もけん制を強めています。アメリカ軍は韓国軍との合同軍事演習に、核兵器も搭載できるB52戦略爆撃機を投入したほか、レーダーにとらえられにくいステルス性能を備えたB2爆撃機、さらにはF22戦闘機を参加させたことを公表しました。演習に投入する主な戦力を1つ1つ公表することは、これまでほとんどなかったことです。また、韓国軍も、3年前の北朝鮮からの砲撃のような、局地的な攻撃に備えた新たな行動計画書をアメリカ軍との間で合意したほか、北朝鮮が核兵器やミサイルで攻撃してくる兆候が明白になった場合、巡航ミサイルなどで先制攻撃を加える方針を打ち出しました。韓国のパク・クネ大統領は、1日、「北朝鮮のどんな挑発にも政治的な考慮はいっさいせず、最初から強力に対応しなければならない」と、これまでにない強いことばで北朝鮮に厳しく臨む姿勢を明らかにしました。
朝鮮半島情勢の行方は
北朝鮮の挑発はいつまで続くのか。アメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習が終わる今月末までは、挑発的な言動は続くという見方が一般的です。ただ、緊張状態が長引くと、周辺国だけでなく北朝鮮にとっても、国民に大きな負担が生じ、指導部に対する求心力の低下という事態を招きかねません。このため、米韓合同軍事演習が終わるのに合わせて終息に向けた対応を探っているのではないかという見方もあります。アメリカ政府は、これまでのところ、「北朝鮮の軍には大規模な動員や部隊の動きは見られない」として、戦闘が起こるような具体的な兆候は確認されていないとしていますが、偶発的な要因によって局地的な戦闘が起きないともかぎりません。予測できない北朝鮮の挑発を抑えられるような一手を打ち出せるかどうか、周辺国にとって難しい対応が続いています。
【北朝鮮ミサイル】一両日中に破壊措置命令 政府、予告なし発射想定で初 2013.4.7 13:56 [核・ミサイル事情] http://sankei.jp.msn.com/world/news/130407/kor13040713580002-n1.htm
2010年10月、平壌で行われた北朝鮮の軍事パレードに登場した、中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル(共同)
政府は7日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合に備えてミサイル防衛(MD)の迎撃態勢に入るため、小野寺五典防衛相が一両日中にも自衛隊に「破壊措置命令」を発令する方針を固めた。破壊措置命令は過去3回発出しているが、今回は発射予告がないケースを想定した初めての例となる見通し。複数の政府関係者が明らかにした。
政府関係者は「ミサイルが日本に発射される可能性が非常に高いわけではないが、不測の事態に備える必要があると判断した」と説明。破壊措置命令そのものは、国民に不安を与えないよう公表しない方向で調整している。
命令が出た場合、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載した海上自衛隊のイージス艦を日本海に展開し、日本領域に着弾する可能性があれば撃ち落とす態勢を取る。
北朝鮮 制裁延長の日本を威嚇 4月8日 12時15分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130408/k10013752561000.html
K10037525611_1304081222_1304081226.mp4
政府が北朝鮮に対する日本独自の制裁措置を2年間延長すると決めたことについて、朝鮮労働党の機関紙は8日、強く反発し、「日本は在日アメリカ軍もわが軍の標的に入っていることを理解すべきだ」と威嚇しました。政府は北朝鮮が3回目の核実験を強行したことなどを踏まえ、今月5日、北朝鮮船舶の入港禁止など、日本独自の制裁措置を2年間延長することを閣議決定しました。これについて、北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は8日、論評を掲載し、「アメリカのわが国に対する敵視政策に便乗したものだ」と強く反発しました。そして、「日本の当局者は在日アメリカ軍もわが戦略ロケット軍部隊の標的に入っていることをはっきりと理解すべきだ」としたうえで、「日本に改めて警告する。アメリカに追従するならば高い代価を払うことになる」と威嚇しました。北朝鮮の東部では、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射に向けた準備とも受け取れる動きが確認されており、政府は7日、ミサイルの一部などが日本国内に落下してきた場合に迎撃できるよう、自衛隊に「破壊措置命令」を出しました。北朝鮮はこれまでも横須賀、三沢、沖縄と、アメリカ軍基地がある地名を具体的に挙げて、ミサイル攻撃も辞さないなどと日本に対しても挑発的な言動を繰り返しています。
日本の独自制裁延長を非難、「射程内」と重ねて威嚇 2013.4.8 12:48 [核・ミサイル事情] http://sankei.jp.msn.com/world/news/130408/kor13040812490002-n1.htm
2010年10月、平壌で行われた北朝鮮の軍事パレードに登場した、中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル。グアムを射程に収めている(共同)
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞(電子版)は8日の論評で、日本が北朝鮮に対する独自制裁の2年間延長を決めたことを「悪辣だ」と非難し、「日本当局は在日米軍などもわがミサイルの射程内にあることを知るべきだ」と重ねて威嚇した。 論評は、日本が「朝鮮半島情勢を悪化させた張本人が米国だと知りながら、それに追随しているのは卑劣だ」と主張。また、別の記事では、1952年にサンフランシスコ講和条約が発効した28日に日本政府が開く「主権回復の日」式典を「軍国主義の再生」を狙ったものだと非難した。(共同)
「核の傘」で日本や韓国守る 米国防副長官 2013.4.9 08:40 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130409/amr13040908410003-n1.htm
カーター米国防副長官(AP)
カーター米国防副長官は8日、弾道ミサイル発射準備の動きを見せる北朝鮮に対して直ちに挑発的行動をやめるよう要求した上で、日本や韓国を守るために「『核の傘』による抑止力を提供し続ける」と述べた。ワシントン市内での講演で語った。 米軍は、韓国で実施中の米韓合同軍事訓練に核搭載可能なB2ステルス戦略爆撃機やB52戦略爆撃機を派遣。カーター氏は、こうした措置が緊張激化を招く一因となったとの指摘を念頭に「米国と同盟国の防衛に主眼を置いたものだ」と強調。さらに「極端な(威嚇の)表現を使うのが北朝鮮の習性だからといって油断することはできない」と述べ、警戒感を表明。ミサイル防衛(MD)の強化策を打ち出し、イージス艦2隻を西太平洋に配置していると説明した。 米軍の展開に
自衛権発動要件の緩和を=森本前防衛相(2013/03/26-10:32)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013032600258&rel=j&g=pol
森本敏前防衛相は26日午前、自民党の勉強会で講演し、憲法9条に基づき自衛権発動の要件を厳格に制約した政府の憲法解釈について「相手から撃たれないと何もできない。原点に返って考え直す必要がある」と述べ、要件緩和を検討するよう求めた。 政府は、(1)わが国に対する急迫不正の侵害がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどめる-の三つを自衛権発動の必要条件としている。これについて森本氏は「本来、軍隊はそういうものではない。予防的措置であっても指揮官の判断で対応できなければ国民や領域は守れない」と指摘した。 森本氏はこのほか、集団的自衛権の行使を前提に自衛隊と米軍の連携を強化する「日米協力基本法」制定や、武器輸出を原則解禁する武器輸出三原則の抜本見直しを提起した。
集団的自衛権容認に期待=安倍政権を評価-米国防副長官(2013/04/09-08:10)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013040900102
【ワシントン時事】カーター米国防副長官は8日、ワシントン市内で講演し、安倍政権が検討を進めている集団的自衛権の行使容認について、「自身が持つ力量を認識し、何十年も前に自ら課した制限を緩和することは非常に前向きな姿勢だ」と期待感を表明した。
副長官は、紛争当事国やその恐れのある国への兵器売却を禁じた武器輸出三原則の見直しを含め、「好ましいことだ」と評価。安全保障面で日本が国際社会で必要とされる役割を果たすことにつながるとの認識を示した。
以上、長くなってしまいましたが、掲載したニュースをどのように系統的に読み取っていくか、そのことが大変重要になってきていると思います。一つひとつのニュースは、その時その時に流され、比較検討をする時間も余裕も奪ったまま、ただただ北朝鮮はとんでもない国で、日米軍事同盟容認・深化論だけが、デマやウソとして国民の胸の中に刻み込まれていってしまうのは、大変危険なことです。これは戦前の教訓です。
日米軍事同盟容認・深化派の思惑を打ち破っていく必要が、今ほど求められている時はありません。そのためにも、全国各地で、朝鮮半島の平和的解決のための集会などを開催し、韓国・朝鮮国民への平和的メッセージを送っていく必要があるように思います。そのことが、日米軍事同盟廃棄へと連動していくように思います。
この記事は、そのような問題意識に沿って書いてみました。