北朝鮮報道の酷さを毎日毎日接していて、ウンザリしているとことですが、視点を変えて、考えてみました。ヒントは、テレビ朝日のスクランブルで集団的自衛権の行使を扇動する発言があったことと、共産党の志位委員長の発言でした。要約を掲載しておきます。
立憲主義を根底から覆す憲法96条改定を許すな志位委員長が表明 2013年4月12日(金)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-12/2013041201_02_1.html
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=NuroHJ4Ov-E
…日本共産党は、改憲勢力が憲法改定という問題を参院選の争点として押し出してくるならば、今度の参議院選挙の大争点とし、「憲法改悪反対」という声を国民多数の声にして、改憲勢力を包囲していく。そういうたたかいをおおいに取り組みたい。国民多数の声で彼らを包囲する選挙にしていくという決意でのぞみたいと思います。…憲法9条をはじめとする憲法の平和的・民主的条項の完全実施をはかるとともに、憲法の全条項を守り抜き、日本の政治に生かすという立場で、憲法問題に対応していきたいと考えています。 憲法問題が、いよいよ国政の大問題となってきており、わが党は重大な覚悟をもち、全力をあげてたたかう決意です。(引用ここまで)
ところが、この記者会見を報道した新聞・テレビはどれだけあったでしょうか?youtubeの再生回数にも、関心の低さが判ります。共産党は、こうした「世論」の動向をどのように評価し、どのようなたたかいを展開していくのでしょうか?この憲法96条問題が浮上してきたのは、北朝鮮と中国の脅威論の跋扈があることは明らかです。ここに噛み合った論戦が大切ですが、その問題は別項で記事にします。
今日は、「全力でたたかう」うえで、考えておかなければならない問題、世論の動向をどのように把握し、その世論にどのように噛み合っていくか、憲法擁護を圧倒的多数にしていくために何が必要か、という問題と視点です。
そうした問題意識に立ったとき、現在日々垂れ流されている北朝鮮の暴発=不測の事態=脅威が国民の中にどのように浸透しているか、そのことを利用して、改憲勢力がどのように動き出してきたか、そのことを抜きに、憲法擁護派を多数にすることは、大局的には可能性のあることかも知れませんが、短期的には非常に難しいのではないかと思います。
そもそも、イラク戦争時に小泉内閣の暴走を許してしまったのは、何故かという問題意識です。その最大の要因は、イラクのフセインの人権と民主主義冒涜政治、独裁政治と生物化学兵器や核兵器など、大量破壊兵器の保有が国際的国内的に喧伝され、これらが、「フセイン政権を武力で倒すのは仕方がない」「憲法9条は役に立たない」との国民意識が醸成されていったのではないか、そこに日米軍事同盟容認派が漬け込んだ結果、日米同盟基軸論に基づいて自衛隊の派兵が実現したのではないかという問題意識です。
しかし、前提そのものがウソとデマであったため、小泉内閣の選択の誤りはハッキリしました。しかし、このことによって、多くの民が殺害され、憲法9条の枠組みが大きく空洞化されたのです。しかし、小泉首相は、そのことについて、謝罪も反省もしていません。これでは犠牲になってしまった人たちは「後の祭り」です。自民党も同様です。とりわけ、安倍政権は、こうした事実を無視して、小泉内閣と同じ暴走の道を、いやそれ以上の暴走をしているのです。
こうした問題意識に立ったとき、現在の北朝鮮や中国の動きの中で形成されてきた憲法改悪の動き、すなわち集団的自衛権の行使の問題、憲法96条問題、「主権回復に日」問題、オスプレイ配備強行問題、普天間基地の「辺野古移設」問題、TPP参加問題を「憲法を生かす」という視点から、日米軍事同盟深化派とマスコミの振りまくイデオロギーとどう対峙しながら、どのように国民の共感を得ていくか、模索していかなければならないと思います。
そこで、イラク戦争を教訓とするために、イラク戦争10周年を前後した日に掲載された各紙の社説を一覧してみました。
ポイントは、以下のとおりです。
1.全国紙のうち、日経は、この問題について、社説はありません。地方紙は、11紙のみが、社説を掲載しました。しかし、圧倒的多数は、社説を書きませんでした。このことの意味は重大です。
2.地方紙は、テーマを見ると、ウソで固められていた前提が違っていたアメリカのイラク戦争を支持した小泉内閣の決定の検証・責任を問う社説、第一次安倍政権の付帯決議について、第二次安倍政権の態度の曖昧さ、昨年12月に発表された外務省の検証を批判するものが多いことです。
3.しかし、小泉内閣の決定にあたって、「この戦争を支持しない」と書いた朝日を含めて国民世論を形成していたマスメディアの報道のあり方の検証とその責任を問う社説は一つもありませんでした。このことは、現在の北朝鮮報道のあり方を思う時、曖昧にできないことは当然です。
4.小泉内閣の誤った決定を正当化し、今日の「脅威」を強調し、日米同盟の強化を主張しているのは、読売と産経です。その点では毎日も基本的には同じです。
5.誤ったイラク戦争を支持した日本国政府とその政府を支持したとされる日本国民、そして他国が検証しているにもかかわらず、日本において、検証が曖昧にされていることを許している国民世論、このことを検証すらしないマスコミ、それを許している国民世論、主権在民主義が鋭く問われているのですが、このことを問う社説はありませんでした。
6.イラク戦争支持の最大の問題点は、日本国憲法との関係です。名古屋高裁違憲判決を論じているのは、北海道、神戸、愛媛、高知だけ、憲法との関係を論じているのは、京都、朝日のみといのこと、しかも朝日の物言いは曖昧・微妙です。こうした社説の状況は、今日の憲法ないがしろの情勢を反映しているし、異常と言えます。この国の最高法規をものさしにして、判断していないからです。
7.逆に日米軍事同盟是認論が明確に展開されているのは、毎日、読売、産経、神奈川です。
8.イラク戦争支持の反省や検証を抜きに日米軍事同盟を前提とした安倍内閣の集団的自衛権行使論を批判しているのは、朝日、北海道、京都、神戸、高知、西日本、南日本、沖縄タイムスですが、憲法擁護の立場から、日米軍事同盟廃棄論には立っていません。
9.最も特異で、曖昧な社説は、中日・東京です。「ブッシュ路線回帰を訴えた共和党候補を二度まで破り有権者の負託を得たオバマ大統領」への応援社説となっていることです、
以上、おおまかに、そのポイントをまとめてみましたが、具体的にどのような表現になっているか、それは、後日検討し、まとめてみたいと思います。いずれにしても、これが、現在の日本の日本国憲法と日米軍事同盟をめぐるイデオロギー状況であることは間違いありません。
日米同盟を優先、容認すれば、憲法がないがしろにされることは、この間の事実が示しています。逆に憲法を重視すれば、日米軍事同盟は廃棄されなければなりません。両者を並存させることは可能でしょうか?砂川判決をみれば、解答は明解です。
日本の戦争責任問題、戦後のアメリカが日本を出撃基地として展開してきた戦争に協力加担してきた責任問題、戦後の高度経済成長の繁栄論が日米軍事同盟によって支えてきたのという「神話」が、フクシマを経験し、高齢化社会に突入した今日、憲法と日米軍事同盟の関係は今後の日本のあり方を鋭く提起していると思います。
自民党の改憲案が提起され、その方向に向かって9条や国民主権主義が形骸化、ないがしろにされていくのか、国民福祉の充実をめざしながら、平和国家として、どのようにして国際社会に貢献し、国際社会で名誉ある地位を占めるか、そのことが国民に鋭く問われているように思います。
改憲派が狙っているのは、国家を規制し、国民の基本的人権を遵守し、命と暮らしを豊かなものにしていこうとする日本国憲法の「規制の緩和」です。国民はどちらを選択するか、正念場のような気がします。しかし、国民の立場に立つ限り、大義がどちらにあるか、明瞭です。
<全国紙>
朝日 イラク戦10年/政治は検証と反省を 2013/3/20 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1?
毎日 イラク開戦10年/強靭な日本外交を望む 2013/3/20 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20130320k0000m070077000c.html
毎日 イラク開戦10年/米は真の脅威を見つめよ 2013/3/20 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20130320k0000m070078000c.html
読売 イラク戦争10年/「北」の脅威対処に教訓生かせ 2013/3/19 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130318-OYT1T01363.htm
産經 イラク開戦10年/完全復興へ関与を続けよ 2013/3/20 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../politics/news/130320/plc13032003500006-n1.htm
中日・東京 イラク開戦10年/幻の「大義」が問うもの 2013/3/20 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013032002000123.html
<地方紙>
北海道 イラク戦10年 加担した日本の責任は(3月20日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/450669.html
神奈川 イラク開戦10年 外交見つめ直す契機に 2013年3月30日
http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1303300001/
京都 イラク戦争10年/検証すべき日本の関与 /2013/3/21 10:05
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20130321_4.html
神戸 イラク戦争10年/日本の「大義」は何なのか 2013/3/21 8:05
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201303/0005830757.shtml
四国 <一日一言>開戦10年 2013/03/25 09:55
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/20130325000141.htm
愛媛 イラク戦争10年/開戦への「加担」を水に流すな 2013/3/29 10:05
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201303297469.html
高知 イラク戦争10年/「大義なき戦争」の教訓を 2013/3/19 10:06
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=300232&nwIW=1&nwVt=knd
西日本 イラク戦争10年/外務省の検証は不十分だ 2013/3/20 12:00
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/353886
南日本 イラク開戦10年/支持した日本は検証を2013/3/21 8:05
http://373news.com/_column/./syasetu.php?ym=201303&storyid=47145
琉球新報 イラク戦争10年/政府は支持理由説明せよ 2013/3/20 10:06
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-204230-storytopic-11.html
沖縄タイムス イラク戦争検証/付帯決議を軽んじるな 2013/3/22 10:06
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-22_46846/