原発ゼロか、脱・卒原発か、再稼動か、具体的な議論を起こしていく時ですが、実際にはそのような国民的議論を具体化するマスコミはありません。原発問題のみで、各党の政策をたたかわせることをとおして、日本経済や政治、外交の在り様が見えてくるはずですが、突っ込んだ討論の場は保障されていません。各党の政策らしきものが一覧されていますが、討論が噛み合うように演出されてはいません。
したがって、マスコミも言うように、「各党は具体的に示してほしい」式の上から目線の社説が書かれて、それでオワリ。その結果として、政治不信を醸成するだけで、事実上安倍自公政権温存ということに誘導していくのです。
以下の記事が、このことを証明しているかも知れません。
http://threechords.blog134.fc2.com/blog-entry-1676.html
次に、以下の朝日と毎日の社説をご覧ください。どこの政党の政策を検討しているか、これを見れば、共産党の提言を具体的に討論しない、姑息な立ち居地が見えてきます。
朝日 原発論戦/大阪発の知恵を材料に 2013/7/11 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2?原発論戦/大阪発の知恵を材料に
参院選で、自民党は公約から「脱原発依存」という言葉を消し去り、原発の再稼働に意欲を示している。 これに対し、多くの野党は「原発ゼロ」を掲げる。だが、ゼロか否かの主張ばかりでは、必要な判断材料が有権者に示されているとは言い難い。 選挙戦を前にした朝日新聞社の世論調査では、停止中の原発の運転再開に53%が「反対」と答えている。 一方で、電気料金の値上げが生活や経済に与える影響を心配する国民も多い。自民党が再稼働に前のめりなのも、そんな空気を読んでのことだろう。 新しい社会に向けて、どんな道をたどれば生活や経済への打撃を抑えつつ、原発を減らせるのか。野党はゼロへの手立てを具体的に論じ、有権者の声にこたえる必要がある。 ぜひ、活用してほしいのが、2030年原発ゼロへの道筋をまとめた「大阪府市エネルギー戦略会議」(会長・植田和弘京都大学教授)の提言だ。 大阪は、電力の半分を原発に依存してきた関西電力の大消費地である。大事故が起きて、水がめの琵琶湖が汚染されれば、「被害地元」ともなりうる。 そこで橋下徹・大阪市長が脱原発への現実的な政策を示すよう10人の専門家に要請し、1年以上かけて提言をまとめた。ネットでも公開されている。 ところが、橋下氏が共同代表をつとめる日本維新の会は国政進出後、脱原発の姿勢があいまいになり、公約に提言を反映しきれていない。 戦略会議は府市の税金でまかなわれた。維新のために活動したわけではない。維新は提言をどう生かすのかを明らかにすべきだが、他の党も公約肉付けの参考にしない手はない。 提言は、厳格な安全審査で廃炉をすすめる一方、2年以内に発送電分離と電力小売りの完全自由化を実現するよう、国に求める。多様な電源による競争で価格低下を促し、電気料金値上げに歯止めをかける。 市場原理の重視も提案した。事故時の賠償への備えや廃棄物の処理費などのコストを電力会社に負担させ、普通のビジネスとして成立しなければ原発から撤退するという考え方だ。 改革に伴う痛みへの手当てでは、立地自治体が原発依存から脱却する自立支援への交付金づくりを進言する。 安全性や経済性にどう配慮しながら原発を閉じていくか。自民党が答えを示せないこの問題を野党が争点とし、論戦を深めるべきだ。(引用ここまで)
愛国者の邪論
共産党の提言は無視ししても、橋下市長を持ち上げることは忘れない!これが朝日の姑息です。しかも「ゼロか否かの主張ばかりでは、必要な判断材料が有権者に示されているとは言い難い」「戦略会議は府市の税金でまかなわれた。維新のために活動したわけではない。維新は提言をどう生かすのかを明らかにすべきだが、他の党も公約肉付けの参考にしない手はない」「自民党が答えを示せないこの問題を野党が争点とし、論戦を深めるべき」などと、上から目線で指示するのです。呆れませんか?
毎日 原発政策/「脱」か「依存」か明確に2013/6/30 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20130630k0000m070112000c.html
原発に頼らない社会を目指すのか、原発依存に回帰するのか。今度の参院選は、国民がその意思を示す大切な機会になるはずだ。 福島の事故は、なお収束しない。その中で、政府がなし崩しに依存を強めることがあってはならない。各党・各候補は、有権者がしっかり選択できるよう、自らの原発政策を明確に示すべきだ。 安倍晋三首相は、原発輸出の「トップセールス」にまい進し、政権の成長戦略には原発再稼働に積極的な姿勢を盛り込んだ。自民党の公約は現政権の姿勢を後追いする内容だ。原発を含むインフラ輸出を進め、原発の再稼働を巡っては、地元自治体の理解を得るよう「国が責任を持って最大限の努力」をするという。 一方で、昨年の衆院選の公約に掲げていた「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」という目標は消えた。衆院選で自民に投票した有権者の中には、「依存しなくてもよい」政策の支持者もいただろう。原発依存にかじを切ったのであれば、はっきり示すべきだ。 連立政権を組む公明党は公約に、「原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」と明記した。自公の政策は矛盾しないのか。国民が支持不支持を判断できるように、両党はきちんと説明する必要がある。 一方、民主党は「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」という衆院選の公約を変えていない。脱原発路線を堅持したことは評価できる。 しかし、実現のための戦略や道筋が分からない。推進をうたうインフラ輸出に原発が含まれるかどうかも明らかにしない。主張に筋を通さなければ、与党に対抗して有権者の理解を得るのは難しいだろう。 いずれにしても当面、安全を確認できた原発の再稼働はあり得るだろう。今の制度では、電力会社だけが事故の賠償責任を負う。再稼働させるのであれば、原発を推進してきた国の責任分担の是非もはっきりさせる必要がある。国の責任とは、税金による給付を意味する。賠償負担が大きく膨らんだ東京電力への支援の見直しは、その試金石といえる。 国民負担を伴うだけに、各党は選挙戦でそれぞれの考えを示してほしい。幕引きを急ぐべき核燃料サイクルや使用済み核燃料の処分などについても考えを聞きたい。 原発の是非は2年前の原発事故以来、国論を二分してきた難しい問題だ。しかし、それを避けて国の将来は描けない。各党・各候補は原発政策をはっきりと争点に掲げ、論議を戦わせるべきだ。(引用ここまで)
愛国者の邪論
この社説に登場する政党はどこでしょうか?しかし、「国民負担を伴うだけに、各党は選挙戦でそれぞれの考えを示してほしい。幕引きを急ぐべき核燃料サイクルや使用済み核燃料の処分などについても考えを聞きたい…各党・各候補は原発政策をはっきりと争点に掲げ、論議を戦わせるべきだ」と、相変わらず、上から目線の記事なのです。共産党の政策を読んでいるのか、不思議です。これでは有権者に責任を持った社説とは言えないでしょう。その点で、以下の日経の社説は、原発再稼動の困難性を逆の意味で証明していて興味深いと言えます。しかし、最大の問題点は原発利益共同体の責任を不問に付して、国の責任に転嫁していることです。ということは、ここでも「税金の投入をしろ」という、理不尽な視点が浮き彫りになっているのです。
原発稼動による税金投入でシコタマ儲けた原発会社と原発建設に参入した東芝や三菱、ゼネコンなどの責任はいっさい不問なのです。これらの会社は高笑いでしょう。自分たちの方に、何本もの矢が降り注いで、放たれない状況を日本のマスコミが作ってくれているのです。マスコミも、これらの巨大会社の広告費で賄われているのですかr、一連托生、共同責任もんです。
こうした視点でマスコミが報道していたら、とっくの昔に解決していることでしょう。こうした視点で政策をつくっている共産党ですから、無視をされるのです。国民も、そろそろ眼を醒ましてほしいものです。ホントの利益を得ていくためには、共産党が伸びることだということを!
日経 新基準を第一歩に原発の安全を競え 2013/6/25 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56597260V20C13A6EA1000/
原子力規制委員会が原子力発電所の新規制基準を決定した。7月8日に施行される。 東京電力福島第1原発の事故を受けて、核燃料が溶けるといった過酷な事故への対策などを電力会社に義務づけた。原発の寿命を原則40年と定めた。 新基準は原発の再稼働に道を開く。同時に基準適合が難しい原発をふるいにかける役割を担う。新基準を満たすための多額の安全投資が引き合わない原発は 廃炉の判断を迫られることになるだろう。 この新基準を電力会社には安全確保への必要最低限の要求と心得てもらいたい。 日本原子力産業協会の服部拓也理事長はスロバキアの原発を訪れて驚いたという。過酷事故対策を完了、事故時に50人が5日間たてこもって対処する第2制御室も備えていた。日本ではこれからだ。 日本の原発の安全確保は世界水準から周回遅れだ。電力会社も規制当局も「安全神話」に慢心し必要な努力を怠った。加えて日本は地震など自然災害のリスクが欧米より大きい。電力各社には規制基準を満たしたうえで、さらに高い水準を目指し互いに安全を競い合う前向きな姿勢が求められる。 規制委は発足9カ月で4千ページに達する新基準をつくった。しかし完璧な基準というものはない。総合的な観点から不足は補い、不要な事項は省くなど、常に基準を見直し最善を心がける必要がある。 基準づくりの過程では、規制委と電力会社や立地自治体との間で十分な対話を欠いていた。よい基準をつくり、厳しい審査をすることだけが規制委の仕事ではない。原子力規制への信頼回復こそ最も大事な使命のはずだ。コミュニケーション不足ではその達成はおぼつかない。改めてもらいたい。 安全を守る最後の砦(とりで)は人間だ。東日本大震災の時、福島第2原発では増田尚宏所長(当時)が所員らに「帰宅しないでくれ」と呼びかけた。福島第1も第2も東電や協力企業の従業員の懸命の働きで、さらに深刻な事態に陥るのを回避した。自衛隊や消防、警察の支援も大きかった。 再び同様の事故に直面した際、社員や隊員を現場に飛び込ませることができるか。この備えと覚悟なくして世界最高水準の安全はありえないだろう。新基準の要求を超えることかもしれないが、電力会社や政府には真剣に対応を考えてもらいたい。(引用ここまで)
日経 国は東電支援の抜本的な見直しを /2013/6/23 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56531010T20C13A6PE8000/
福島第1原子力発電所の事故処理に関して、東京電力への公的支援の枠組みを維持することが極めて難しくなってきた。被害者への損害賠償の費用などが想定より膨らむ一方、東電の収支改善が大幅に遅れているからだ。 現在は東電が事故処理に全責任を持ち、国が後ろから支えるというのが支援の基本的な考え方だ。東電と国の責任分担を見直し、分野によっては国が前面に出ることを検討すべきである。
●収支改善の前提揺らぐ
東電は昨年4月に収支改善策を盛った「総合特別事業計画」を作り、国に支援を仰いだ。支援の主な中身は、国が資本を注入したうえで、賠償資金を5兆円の範囲内で交付するというものだ。 しかし、こうした枠組みはいくつかの点で破綻しつつある。 まず、東電の収支改善の前提が大きく揺らいでいる。 4月の再稼働を予定していた柏崎刈羽原発は活断層の問題を抱えており、再稼働の審査がいつになるのか不透明だ。想定外の円安が進んだこともあって火力発電に必要な輸入燃料費が大幅に上昇した。この結果「2014年3月期の黒字化」という目標が達成できるかどうか微妙になってきた。今期も赤字ならば、銀行が融資に慎重になることが予想される。 東電が経費の一層の削減など自助努力によって、今期の黒字化を目指すのは当然である。燃料調達の費用がさらに下げられないかなどの点検が必要だ。 そのうえで来期からの収支改善の努力も具体的に示し、融資継続の理解を求めるのが筋だ。原発再稼働に向け安全対策を講じるのは東電の責任だが、再稼働に必要な地元の賛同を得るうえで政府も自治体の説得に協力すべきだ。 事故処理の費用総額が膨らみ続けていることも、支援の先行きを不透明なものにしている。 事故処理は被害者への「損害賠償」、土地や建物から放射性物質を取り除く「除染」、事故を起こした原子炉を解体する「廃炉」の3つに大別できる。このうちの賠償だけで、支援上限の5兆円に達する勢いで支払いが続く。さらに除染に5兆~10兆円、廃炉にも数兆円を要する可能性が強いことも分かってきた。 膨らみ続ける負担によって再生の道筋が見えない東電は、組織としても衰えつつある。 12年度の依願退職者は若手や中堅を中心に700人超と、大震災前の10年度の5倍に増えた。かつて千人を超えていた新卒採用数も、昨年度と今年度はゼロだ。人材不足が賠償支払いの遅延だけでなく、電気事業の様々な場面での不測の事故につながるようなことがあってはならない。 除染や廃炉に関して、国の果たす役割や費用負担を明確にすることが必要だ。 汚染者負担の原則に立てば、除染費用は東電が負担するのが筋ではある。しかし福島第1原発に近い11市町村では避難した住民の帰還をにらみ、国が生活インフラの再建と除染を一体的に進めている。国主導で進める事業は政府と東電で費用を分担するといった案も考えられる。 政府が除染の最終目標として示した「被曝(ひばく)線量年1ミリシーベルト以下」も、目標が高すぎて逆に実施が遅れている地域がある。現実的で達成可能な計画に作り直せば作業を始めやすくなり、費用も抑えられる。
●責任の分担を明確に
廃炉も国が積極的にかかわる余地は大きい。事故で溶け落ちた核燃料を取り出す遠隔操作ロボットなどは、政府が技術開発を主導する方針を示した。開発の成果は他の原発の廃炉にも応用できるのだから、国が資金の面倒をみても不自然ではない。 廃炉を安全かつ着実に進めるためには、豊富な経験を持つ海外企業を中心に国内外の力を借りる必要もある。民間企業を結集させるための旗振りや資金負担は、国が前面に出ていい分野だ。 日本の原発事業は国が政策をつくり民間企業が実施してきた。東電支援が迷走している問題の根っこには、そうした「国策民営」のもとで官民の責任分担が曖昧なまま、原発の利用を広げてきたという実態がある。 自民党政権は成長戦略の一つとして、安全性の確認を前提とした原発の再稼働を挙げた。そうならば、国がエネルギー政策の中で原発をどのように位置づけ、原発の事業リスクをどこまで負うかという問題も避けて通れない。 東電を巡る厳しい現実は、まさにそれを問うている。(引用ここまで)
愛国者の邪論
日経の指摘する困難性をそのまま素直に読めば、原発の再稼動はすべきでないことが判ります。このまま再稼動すれば、カネがかかることを白状したようなものです。廃炉に向けて再生可能エネルギーの運用のための知恵を結集して、一刻も早く具体化することではないでしょうか?トイレなきマンションならぬ、トイレなきニッポンなのです。現在の経済大国ニッポンは!
だからこそ、マスコミは、共産党の提言を含めて、或いはたたき台にして、具体的な討論の場を国民の前につくることです。そのことこそが、参議院選挙の争点と言えます。意見の違いはあっても良いのです。最終的に国民が納得できる「合意」をどのようにつくりだしていくか、マスコミ自身の知恵が求められているのです。亡国ニッポンを救う救国マスコミが、今こそ求められているのです。現在、および未来のニッポンと世界のために!