これまで朝日の姑息を系統的に記事にしてきましたが、23日からはじまった1面の「安定政権への条件」シリーズを読み、記事を書かねば!と思いました。まず第一回目の星野浩特別編集委員の「痛みを伴う 胆力あるか」と題する文書です。長くなるのを避けるため、分割してみます。
ポイントは以下のとおりです。
1.キーワードは、いわゆる「新自由主義」との決別か、容認か、です。では、朝日の編集委員が、どちらの立場にたってものを言っているか、次を参照していただければと思います、新自由主義 とは - コトバンク
2.新自由主義の立場に立つ安部自公政権の経済政策の誤りは、小泉政権を見れば明瞭です。しかし、小泉政権を「ヨイショ」したマスコミは、その検証すら行っていません!そこが最大のポイントでしょう。小泉政権の検証を行えば、安倍自公政権の経済政策=アベノミクスのマチガイは明瞭だからです。そうなれば「国民の期待感」などは、少数撃破されたでしょう。
3.しかし、菅官房長官が選挙後の課題が「経済、経済、経済」と語ったことに見られるように、また安倍首相の22日の会見の内容から見るように、彼らは、自分の都合の良いように、「経済問題」を捉えていることが判ります。
4.また「デフレ脱却のための経済対策を最優先に取り組む考えを示した」安倍首相が、「その方針(アベノミクスの成長戦略を、実のあるものにする方針)を貫けるかどうか。大きなポイント」と紹介する星氏の思惑をみると、「新自由主義」推進の立場に経っていることが見えてきます。
5.理由は、「デフレ脱却」のためのアベノミクス成長戦略は、デフレを招いた最大の要因である労働者の賃金削減とワーキングプアの増大と多国籍企業・大企業・富裕層の大儲け増大を黙視・黙殺しているからです。
6.「人」の問題は重要ですが、「人材は細り、政策立案の力は衰えている」自民党の人材一般の問題にスリカエてはいけません。問題は、自民党自身の路線の問題を追及する「人材」がいるかどうか、です。星氏は、「細る」「人材」、「衰えている」「政策立案能力」、「一層、難しくなっている」「政策課題」を解決するためには、結論としては、小泉構造改革を継承する安倍首相の「決断」に求め、安倍首相を励ましているのです。
7.それは、「痛みを伴う改革に批判が出ても、国民を粘り強く説得する。そんな「胆力」を備えているかどうか。首相が試されるのは、まさにその点だ」という言葉に象徴されています。ここが朝日の本質と言えます。この思想で、朝日の記事を読み解くと、選挙政策紹介記事も、その一貫性ぶりが、実によく見えてきます。
8.非正規労働者の増大によるワーキングプアの実態、生活保護者の増加、認知症患者の実態、そして何より、東日本大震災の被災者、とりわけ、ゲンパツ被害の矢面に立たされてしまったフクシマの被災者の苦悩は眼中にありません!「経済」は強調するくせに、「国民生活」については、全く言及しない、いわるゆ経済効率優先主義しかありません。国民は、「粘り強く」「説得」される対象でしかないのです。
9.更に言えば、支持率の高下の「悪いケース」「良いケース」論に象徴的に、その立場が見えてきます。「福祉のため」を最大の口実に設置され増税された消費税が、国民生活と日本の国家財政に、株価の「高水準」が、国民生活に、どのような影響を与えてきたか、その歴史の検証すらしていません。できないのです。現在の日本の経済や国民生活、国家財政などが、自公政権によってつくられてきたことは、素直な目でみれば、これまでの政策の継続であるアベノミクスでは破綻は明らかなのです。
10.以上のように、アベノミクス成長戦略の破綻は明らかなのに、「妥当な改革の方向を打ち出し、忍耐を求めた時」と応援するのです。しかし、一見すると、公平さを強調しているかのように「国民、メディアはどう反応するか。それもまた問われる場面が来る」などと、逃げ道を用意しているのです。しかし、朝日など、マスコミの用意する世論調査は、自らの流す情報の枠内に「世論」を推す込むものであることは、この間のマスコミの情報操作・印象操作と世論調査の質問項目と回答の内容をみれば、明らかです。
11.政界再編に誘導しようとする朝日の姑息さを象徴する「1強」「多弱」論と「野党」論に、登場してくる政党が民主と維新しかない、というところに、しかも「地域の人々との対話を重ねた政策づくりに生かせ」「自民党と連携や再編を妄想するのではなく、得意としてきた自治体の行財政改革などで成果をあげるべき」と民主も維新も励まし、国民の眼を朝日の姑息の枠内に押し込めようとする意図が透けて見えてきます。
12.この選挙で「政党の日頃の活動を見抜いていた」というのであれば、公明党や自民党の国民的支持がどうなっているか、共産党た生活の党、社民党など、他党はどうか、みんなの党や維新の日常活動はどうなっていいるか、そこまで語らねばならないでしょう。ウソがバレバレです。
13.以上のように、星氏は、いわゆる新自由主義路線、強者の大儲け主義路線の更なる推進を煽っているのです。呆れませんか?再度強調します!ここには、2千万人もの非正規雇用労働者生活と苦悩、非正規雇用でワーキングプアとなり、更には生活保護を需給せざるを得なくなった国民の苦悩は全く眼中にありません。
日本の食糧をアメリカの多国籍企業に売り渡し、知的財産権ばかりか、国家主権も売り渡し、食糧安保すら破壊する農業、憲法違反・労働基準法という「規制」を緩和する「限定社員」構想、憲法25条違反の社会保障費削減という「歳出削減」路線の推進など、難しい政策の断行を認めて、もっと苦しめと言っているようなものです。その苦しみの峠を越えてこそ、明るき生活があると、幻想を振りまいているのです。株価が上がれば国民生活が良くなるなどいう「期待」感が「幻想」であることは、明白な事実です。
14.この強者の大儲け主義路線がどうだったか、歴史的に検証すれば、その答えは明白です。しかし、そのような国民やメディアの批判など、知ったことではない!「胆力」を持って断行しろ、と安倍自公政権を応援するのです。これが「安定政権の条件」だと力説するのですから、ホントに呆れます!いや怒りが湧いてきます。
15、ところで、このような朝日の手法の特徴は、こうです。それは安倍政権を「批判」しながら、或いは批判的装いをつくりながら、悪政を推進させる、いわば、あの二·二六事件のクーデターと同じ手法が透けて見えてくるのです。皇道派が「決起」軍として軍事力で政権を打倒する、その「決起」軍を反政府軍・天皇に対する「反乱」軍として鎮圧し、統制派が、より強固な軍国主義政権を打ち立てるというものです。今回の橋下維新の会代表の慰安婦発言と自民党の対応は、そっくりでした。
16.以上のように、朝日に国民生活を改善するための視点と「胆力」の欠如ぶりが、また更に言えば、憲法改悪論を掲げている安倍自民党政権に対して、徹底して批判するのではなく、憲法改悪路線を追及するのではなく、「経済」重視しを貫け、さもなければ、長期安定政権は保障されないぞ、と脅しをかけながら、実は安倍自公政権を応援しているのです。
巧妙なトリックです。
もう一つは、このまま安倍自公政権が3年も続くなどと言う馬鹿げた言葉を無批判的に掲載していることにみるように、また気づいたら憲法改悪にニッチモサッチモできない状況が作り出される可能性をも無視・黙殺した立ち居地が、警鐘乱打もしない立ち居地が、いっそう浮き彫りになったと思います。
そういう意味で、朝日の姑息を浮き彫りにしたシリーズの始まりを飾るに十分な内容でした。
では、その文書を掲載しておきます。ご検討をお願いします。4回のシリーズですが、以後検討してきます。
安定政権への条件1 痛み求める胆力あるか 特別編集委員 星 浩
「選挙運動は詩で、統治は散文でやる」。英国のフレア元首相が、回想録でこんな名言を紹介している。参院選で圧勝し、念願の衆参ねじれ解消を果たした安倍首相にとっても、未来を語る「詩」の日々は終わった。予算や法律を与党と調整してまとめて成立させる。地道な作業を「散文でやる」統治の難しさを痛感する毎日が始まる。
安倍政権が成果を出し、安定軌道に乗れるか。キーワードは優先順位とV字回復だろう。
1997年に首相に就いたブレア氏は「最優先課題は三つ。教育、教育、教育だ」と述べ、重点政策を明確にしていた。政権は10年間続いた。菅義偉官房長官はフレア発言をまねて、参院週後の課題は「経済、経済、経済だ」と話す。
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アベノミクスの成長戦略を実のあるものにする。構造改革と財政再建を進めて経済を復活させる。政権のパワーを集中的に経済問題に注入する。首相は22日の会見で、デフレ脱却のための経済対策を最優先に取り組む考えを示したが、その方針を貫けるかどうか。大きなポイントである。
一方で首相は、持論の憲法改正の旗を降ろすことはないだろう。経済も憲法もなのか。憲法は中長期の課題とするのか。
一昔前に比べ、自民党の人材は細り、政策立案の力は衰えているように私には見える。半面、政策課題は一層、難しくなっている。限りある政権のエネルギーを、どの課題にどれだけ振り向けるか。首相の決断が日本の針路を左右する。
V字回復に関連して、首相周辺からこんな発言を聞いた。「衆院を解散しなければ、今後3年間は国政選挙がない。2年で厳しいことをやって支持率が下がっても、3年目に回復すればよい。大局観が必要だ」
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支持率には悪い低下と良い低下がある。悪いのは、思い切った政策が打てず、ズルズルと人気が落ちるケース。良いのはこうだ。農業や雇用など難しい改革を進める。歳出削減も断行。反発が相次ぐが、株価は高水準を維持する。財政の余裕ができたら独自政策に予算をつける。やがて支持率はV字回復する。
政権の目標を経済再生に絞り、消費税率の引き上げや痛みを伴う改革に批判が出ても、国民を粘り強く説得する。そんな「胆力」を備えているかどうか。首相が試されるのは、まさにその点だ。首相が妥当な改革の方向を打ち出し、忍耐を求めた時、国民、メディアはどう反応するか。それもまた問われる場面が来る。
「1強」に対し「多弱」となった野党に言っておきたい。惨敗した民主党は、ひ弱さをさらけ出した。政権を担っていた3年余、永田町の政争にかまけて足元で地力をつける作業を怠っていた。地域の人々と対話を重ねて政策づくりに生かす。基本から出直さなけれ
ぱならない。
日本維新の会には風が吹かなかった。自民党との連携や再編を妄想するのではなく、得意としてきた自治体の行財政改革などで成果をあげるべきだ。この参院選で有権者は、政党の日頃の活動を見抜いていた。(引用ここまで)