選挙がオワリ、マスコミの報道の内容を反映した世論調査が発表されました。
まず、今日付けの朝日の4面に、大見出しで「ねじれ解消『よかった』53%」「政策、期待と不安二分」「自民が大勝したわけは―『野党に魅力なかった』66%」が掲載された。これも朝日の意図が浮き彫りになったと思います。
今テレビ・新聞をみていると、「ねじれ解消」論にもとづく政治の安定を煽っていたのに、それが実現すると、「暴走」を危惧する「心配」心を強調しています。そんなに心配であるならば、最初から「ねじれ」解消論が席巻しないようにすれば良かったと思います。この「ねじれ」解消論は、安倍自公政権の側が、民主党政権を批判することを通して自分の政権を正当化することに使われた、仕掛けてきたトリックでした。
民主党政権が誕生したのは、自民党政権の体たらく、国民生活破壊に、その根源的理由がありました。それは民主党のスローガンに象徴的でした。しかし、実際政権につくと、一枚岩でない民主党のボロとホコロビが浮き彫りになり、結局のところ、新自由主義的政策と日米軍事同盟容認派に先祖がえりしてしまったのです。
政権奪還が至上命題である自民党にしてみれば、政策的には「シテヤッタリ」でした。しかし、政権奪還のためには、民主党を徹底的に叩く必要があります。そこで利用したのが、普天間の公約違反と消費税のウソ公約、ゲンパツ事故の防止策と被災地の復旧の際の不祥事商事発言や不手際でした。こうした民主党「不祥事」は、どれもこれも、自民党時代の負の遺産でした。民主党に言わせれば、「あんたに言われたくないよね」でした。
しかし、言葉尻を捉えてネチネチ追及するあの国会質疑に、嫌気がさした国民は多かったように思います。同時に民主党の回答不能状況を見て、政権担当能力の欠如を感じた国民も多かったのではないかと思います。民主党にしてみれば、能力不足を補うために、藁をも掴む思いで、すがったのが、霞ヶ関の官僚と政策の自民党化でした。官僚は「シテヤッタリ!」でした。その際たる事例が、消費税増税とTPP・ゲンパツ再稼動でした。
防衛大臣に森本敏氏を起用したことも、自民党への先祖帰りというものでした。これではもはや自民党と同じでした。国民がシラケたのは当然です。
しかし、自民党は、政策的には一致していた、自民党化した民主党を政策論争は抜きに徹底して批判しました。「ウソツキ」論でした。追い詰められた野田首相は、党首討論の場で一か八かの解散総選挙に打って出たのですが、時機が遅すぎました!日本国中に不信感が席巻してしまっていたからです。しかし、自民党に期待が集まったかというと、一連托生でした。その間隙を第三極が躍り出たのです。
しかし、本来の第三極は、共産党がなるべきでした。何故か!政権交代可能な二大政党政治の破綻が、自民と民主によって演じられたからです。しかし、日米軍事同盟容認・深化派、多国籍企業・財界擁護派は、維新とみんなを第三極に仕立て上げ、共産党に衆目が集まるのを防ごうと必死になって、マスコミ・マスメディアを使って大量宣伝を行ったのです。「こっちの水があ~まいよ」と。
そうしてできたのが、安倍自公政権でした。民主党政権ができた時のような熱狂的な国民的支持を得ていない安倍自公政権を誕生させたのです。この政権が狙ったのは、自らの負の遺産を民主党の責任に転嫁して、正当化するスローガンを徹底してばら撒くことで期待を集めようとしたのです。何故ならば政策的には民主党と同じだからです。
そこに落とし穴がありました。普天間とフクシマ・ゲンパツの二枚舌政策でした。オキナワとフクシマの地元では「オールオキナワ」「オールフクシマ」が出来上がっていたからです。これこそが国民の要求でした。TPPについても「農村部」では「TPPウソつかない。TPP断固反対。ブレない。 日本を耕す自民党」のポスターがはられました。ここに最大の「ねじれ」がありました。
こうした「ねじれ」を不問に付しながら、ということは、「国民とのねじれ」は無視して、多国籍企業・財界に対しては「法人減税」、国民には「増税と社会保障削減」を課したアベノミクス成長戦略政策を打ち出したのです。この思想は、高市氏の、「ゲンパツでは死亡者は出なかったから再稼動を」という発言に、そして石破氏の「軍法会議で死刑になるかもしれないが、どっちを選ぶか」と自衛隊員に迫ると言う発言に象徴的に示されていました。この自衛隊員は、国防軍人ですが、志願兵である彼らに求めということは国民にも迫るわけなのですが、これは石破氏をはじめとした自民党のホンネが吐露されたのです。
これは石破氏の憲法「改正」は自民党の「党是」だから、議論を巻き起こしていくのは、当然という思惑からでもありました。更に安倍首相は日本の優秀なゲンパツを海外に売り込む外遊に打って出たのです。財界の首脳を引き連れて、でした。しかし、復興のため、景気回復・経済成長のためには「ゲンパツエネルギー」は必要不可欠、これが「大義名分」でした。
そのために、まず為替と株価で利益を誘導する作戦です。一部の海外投資家や機関投資家・政治家の利益は丸々保障されましたが、個人投資家や労働者・市民は、「そのうち」論でゴマカシたのです。そこに「期待」感を抱かせる戦法でした。まるで「蛇の生殺し」状態に陥ったのですが、それでも国民はじっと待っていたのです。
何故か?それはトルコやエジプト・ブラジルの国民の運動は「混乱」として報道され、特にトルコはオリンピック招致にマイナスと報道したため、猪瀬都知事の「不祥事」発言を払拭させ、オリンピック招致にプラスになるように仕組んでいたこっと無関係ではないと思います。同時に日本国内の「デモ」「集会」を「政治的混乱」に導かないという「ムードを醸成化させるために、大きな意味を持ちました。
こうしてひたすら、「政治の安定」とそのうち「150万円の所得増があるぞ」という漠然とした「期待感」を沈澱させていったのです。
「アベノミクス」とかけて何とトク!安倍総理の「アベノハラノムシ」とトキます。そのこころは、政局次第で痛さがやってくる。
今、国民の「懐」「お腹」と「こころ」は、アベノミクスへの「期待」と「不安」の真ん中で振り子のように右に揺れ、左に揺れているのです。
安倍首相が経済以外はほとんど語らなかったことは、それ自体は問題ですが、また、ここに突っ込みを入れなかったマスコミは大いに問題ですが、国民の目のウツロサを察知していたからでしょう。安倍首相の声の大きさと身振り手振りのパフォーマンスを見れば見るほど、そのうちハラのアベノミクスムシが大騒ぎする時がくるだろうと思ったのです。でも、その時では遅すぎると思います。悲惨な事件が起こり、被害が国民に及ぶからです。
その前兆的事件が、今、テレビが連日報道している事件、安倍氏の地元と言っても性格には高村氏の地元だと思いますが、山口県で起こった事件です。この事件は、日本のこれまで、と、今後を象徴している事件です。しかし、「限界集落」をつくってきたのは、何という政権であったか、このことをマスコミは一言も追及していません!安倍・高村・林・河村・岸氏など、戦々恐々としているのではないでしょうか?地元ですから!マスコミが、自分たちのところに、あのテレビのように殺到してこないように、ひたすら手を合わせているのではないでしょうか?
もし、彼らが、ホネのある政治家であったなら、 中国の首脳部やアメリカやフランスの首脳のように、事件の発生した場所に、乗り込んで、国民を励ますでしょう!しかし、彼らは、どうでしょうか?
さて、長々と書いてきましたが、今日の「大勝」は「予測しやすい選挙だった。自民党が勝つに決まっていたからだ」と、今日付けの朝日「時事小言 参院選大勝 強権自民 期待より危惧」(藤原帰一氏)は、以下の世論調査と同じレベルの話として、非常に判りやすかった記事でした。
このことは、同時に「オピニオン」「大きいことはいいことか」のなかで、「自然界では1強はあり得ません」と、朝日の論調の枠内で、すでに議論しているのですが、そういう自然界のことを研究しているエキスパートでさえも、「このところの政治の混乱を見ていて、やっぱり大きな与党が、政治を安定させるべきだと思います。1党が独裁的に行うのは論外ですが、多数派が安定的に動かす政治が望ましいのではないか、と。だから、多様性が環境の安定を担保する自然界を、政治に当てはめるつもりはありませんし、単純に当てはまらないと思います」(竹内久美子氏 エッセイスト・動物行動研究科)という話を読んで、まさに、トリックに気づかない知識人の実情を見る思いがしました。大変勉強になりました!
以上の経過を考えながら、自民党の政権奪還から、今回の選挙に向けたトリックに対して、さらなる検証と真っ向からの批判、そして正々堂々とした政党間の政策論争を具体化したかどうか、そこにマスコミ自身の検証が求められていると思います。あまりに一方的な「理論」というか、屁理屈というか、竹内氏のような井戸端会議的談義で、政治が移っていくことに対して、断固とした論争を挑んでいくことが、今最も必要ではないかと思う今日この頃でした。
次の朝日の世論調査を掲載しておきます。新聞やテレビなど、マスメディアの作り出していく世論の実態と、国民目線の、歴史を前進させる芽が、光っているように思います。それについては、後日記事にします。
では、これにて、オワリにしておきます。つづきます。
(数字は%、小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。丸カッコ内の数字は13、14日の調査結果)
調査方法 22日夕から23日夜にかけて、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は2127件、有効回答は1114人。回答率は52%
◆安倍内閣を支持しますか。支持しま せんか。
支持する 54(53) 支持しない 26(25)
◆今、どの政党を支持していますか。
自民39(35)▽民主7(4)▽維新3 (2)▽公明4(6)▽みんな4(2)▽共産4(3)▽生活O(O)▽社民0 (1)▽みどりの風O(O)▽新党大地 O(O)▽新党改革O(O)▽その他の政党O(1)▽支持政党なし31(38)▽答えない・分からない8(8)
◆今回の参院選で投票しましたか。投票しませんでしたか。投票した場合は、比例区では、どの政党または、どの政党の候補者に入れましたか。
自民31▽民主10▽維新6▽公明7▽みんな6▽共産8▽生活O▽社民1 ▽みどりの風1▽新党大地O▽その他の政党1▽投票していない21▽答えない・分からない8
◆参院選の結果、衆院と参院でともに、自民党と公明党を合わせた与党が過半数を占め、「ねじれ」がなくなりました。この結果はよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
よかった 53 よくなかった 24
◆今後、自民党が進める政策について、期待の方が大きいですか、不安の方が大きいですか。
期待の方が大きい 41 不安の方が大きい 39
◆参院選で自民党が勝ったのは、自民党が評価されたからだと思いますか。野党に魅力がなかったからだと思いますか。
自民党が評価されたから 17 野党に魅力がなかったから 66
◆自民党に対抗できる政党は必要だと思いますか。必要ないと思いますか。
必要だ 83 必要ない 8
◆安倍首相に一番力を入れてほしい政策は何ですか。(選択肢から一つ選ぶ)
景気・雇用 35
社会保障 25
原発・エネルギー 11
教育 9
外交・安全保障 9
憲法改正 4
◆安倍首相の経済政策が、賃金や雇用が増えることに結びつくと思いますか。そうは思いませんか。
結びつく 35(33) そうは思わない 41(48)
◆自民党は、原子力発電所の運転再開に積極的な姿勢です。こうした自民党の姿勢に賛成ですか。反対ですか。
賛成 33 反対 52
◆消費税を来年4月に8%に、再来年10月に10%に引き上げることに、賛成ですか。反対ですか。
替成 30 反対 58
以上