愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

中韓の靖国参拝批判は想定どおり、日米軍事同盟深化派のネライは、国民の扇動と憲法改悪への地ならし!

2013-04-23 | 靖国神社

不道徳の極みというべきでしょう。国際社会に対する恥さらしというべきことです。昨日の記事にも書きましたが、「ご英霊」を冒涜するものです。奢れる国会議員たちは、事の本質を全く判っていません。判っていることは、徒党を組んで、一気呵成に、後先のことも考えず、被害者への思いやりも想像できず、単に選挙のためのパーフォーマンスから、国民の中にある政治不信を外に逸らし、ナショナリズムを煽り、中韓の内政干渉問題にスリカエ、憲法の改悪、日米軍事同盟深化に突き進んでいこうとするものでしかありません。

 今やるべきことは、何でしょうか?フクシマの汚染水が垂れ流され、ジワジワと日本列島を蝕んでいる時に、何をやっているか!と言わねばなりません!さらに言えば、国民にとっては何らの利益ももたらさないアベノミクス!その成長戦略の目玉である「特区」策、地下鉄24時間営業など、電力のムダ遣いの極みですが、そのような声は聞こえてきません。「セツデンセツデン」の掛け声はどこ吹く風か!です。

クローズアップ現代  あふれる汚染水 福島第一原発で何が 2013年4月23日(火)放送http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/153395.html

銀座・北新地…0時に解けるアベノマジック  夜の街角100人調査 景気「良い」15%http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF22087_T20C13A4000000/?dg=1

毎日新聞 求人倍率:14年大卒、小幅改善  2013年04月23日 20時01分http://mainichi.jp/select/news/20130424k0000m020050000c.html

さて、以下の記事を一覧しておきます。これらを一体的に捉えるならば、安部政権のネライが見えてきます。

産経 【靖国参拝】超党派議連169人が参拝 平成17年秋以来の規模2013.4.23 08:58 [超党派 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130423/stt13042309000001-n1.htm

…自民党からは高市早苗政調会長が参加したほか、多数の新人議員が含まれる。日本維新や民主党の議員も参拝。首相の供物奉納や閣僚参拝を受け韓国政府は、今月末で調整していた尹炳世外相の訪日を中止。中国外務省は記者会見で「厳正に(抗議を)申し入れた」と述べている。(引用ここまで

産経 【靖国参拝】安倍政権、我慢比べ 歴史認識で譲れぬ一線 2013.4.23 08:46 安倍内閣http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130423/plc13042308470011-n1.htm

…外務省幹部は「閣僚の靖国参拝という国内問題にあれこれ言われたくない」と批判した。別の幹部は、中国の華春瑩報道官が日本への抗議を表明したとしていることに対し「正式な抗議があったかは知らない」と述べ、不快感を表明。日中韓の「我慢比べ」が当面続きそうだ。菅義偉官房長官は22日午後の記者会見で、首相による参拝の可能性を問われ「安倍政権は行くとも行かないとも言わない。個人の参拝は信教の自由に関する問題であり、政府が立ち入るべきではない」と表明した。また、閣僚の参拝が中韓との関係に与える影響に関しては「全く出ないと思う」と言い切った。…中韓両国の抗議に「国際法上、悪いことをしていない」(外務省幹部)と反論する一方で、北朝鮮のミサイル発射問題で各国の連携を強化することを通じ、事態の好転を待つ構えだ。…日韓外交筋は朴氏らが正式に日本に抗議してきていないことを「北朝鮮のミサイル発射問題があるため自制している」と楽観視してもいるが、今回の反応を見る限り、中韓両国が歴史認識問題を棚上げして連携強化に進む可能性は低そうだ。

安倍首相は22日の参院予算委員会で「ソウルで日中韓の首脳会談が行われるかは中国が出席するかどうかによるが、韓国の朴槿恵大統領との首脳会談を行いたい」と。(引用ここまで

産経 「外交影響あまりない」 靖国参拝で麻生副総理 2013.4.23 10:18 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130423/plc13042310180012-n1.htm

…中国や韓国の反発に関して「海外で反応が出ているが、それによって外交に影響が出ることはあまりないと思う」「(靖国参拝には)毎年2、3回、伺っている。いまさら言われるような話ではない」と説明。記者から「韓国や中国に与える影響から(靖国参拝に)行かないという考えはなかったのか」と問われると「ありませんでした」と答えた。(引用ここまで

 産経 「歴史認識の違い前提に」麻生氏発言に反発か 2013.4.23 13:20 [日韓関係http://sankei.jp.msn.com/world/news/130423/kor13042313260002-n1.htm

麻生氏は2月25日にソウルで行われた朴大統領の就任式に出席、朴氏と会談した際、朴氏が「真の友好関係を構築するには歴史を直視し過去の傷が癒やされるよう努力しなければならない」と述べたのに対し、米国の南北戦争の呼称が北部と南部で異なるとの持論を語り、日韓の歴史認識も異なることを前提に議論すべきだと力説したという。 政府当局者は「麻生氏は就任祝いではなく、歴史観の違いを認めるよう戒めに来たようだった」とし、韓国外交筋は「麻生氏が靖国神社を参拝したことで、韓国外務省は我慢の限界を超えた」と述べた。(共同)(引用ここまで

 中央日報 朴大統領の就任日に麻生副総理が詭弁、第一歩からこじれた韓日関係(1)(2) 2013年04月23日08時53分 [ⓒ /中央日報日本語版] http://japanese.joins.com/article/789/170789.html?servcode=A00§code=A10

。「米国を見てほしい。米国は南と北が分かれて激しく戦った。しかし南北戦争をめぐり北部の学校では相変わらず“市民戦争”と表現するところがある一方、南部では“北部の侵略”と教える。このように同じ国、民族でも歴史認識は一致しないものだ。異なる国の間ではなおさらそうだ。日韓関係も同じだ。それを前提に歴史認識を論じるべきではないだろうか」。奴隷制廃止をめぐり繰り広げた内戦と植民地支配のための侵略行為を同一視する詭弁だった。その瞬間、朴大統領の表情は険しくなったという。朴大統領は「特に両国の指導者が慎重な言葉と行動を通じて信頼を構築することが重要だ」と短く応酬した。にもかかわらず、麻生副総理は朴大統領よりはるかに多くの時間を使って自身の挑発的発言を続けた。  政府当局者は「麻生副総理は就任祝賀使節ではなく、あたかも『日本の歴史観は韓国とは違うということを韓国が先に認めてこそ、対話も可能だ』と訓戒しに来たようだ」と伝えた。   朴大統領の怒りは4日後に表面化した。朴大統領は三一節(独立運動記念日)の演説で、「加害者と被害者という歴史的な立場は千年の歴史が流れても変わらない」と異例にも強いトーンで日本を非難した。…外交消息筋は「就任式で欠礼を見せた麻生副総理がまた靖国参拝という“事故”を起こし、韓国外交部では忍耐の限界を超えたと判断したようだ」と述べた。(引用ここまで

読売 自民の高市政調会長らが靖国参拝…韓国批判も(2013年4月23日10時44分  読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130423-OYT1T00366.htm

内訳は自民党132人、民主党5人、日本維新の会25人などで、同会によると一斉参拝の人数としては統計がある1989年以降、最多。山口俊一財務副大臣ら副大臣6人、政務官5人…高市政調会長は参拝後、記者団に対し、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外交相が麻生副総理らの靖国参拝を理由に訪日を中止したことについて「日本の国策に殉じて尊い命をささげた方を、どのように慰霊するかは日本国内の問題だ。外交問題になる方がおかしい」と述べた。(引用ここまで)

どうでしょうか?中韓の思いなど、全く意に介していないこと、デタラメと詭弁、ウソとペテンが判ります。そればかりか、「日本国内の問題だ。外交問題になる方がおかしい」と居直っているのです。国際的に通用する問題ではありません。悪いことをしたのに、反省もしない、こうした政権を、世界の人々は危ない!と思うことでしょう!そう言えば、大量破壊兵器がなかったことが明らかになったブッシュ大統領のイラク戦争を支持したにもかかわらず、その検証も反省もしていない自公政権です。

こうした居直りは、「万が一」「仮の話」としながら、尖閣と北朝鮮の「脅威」を煽ることで、中韓の内政干渉と結び付けることで、安倍政権への支持を取り付け正当化し、さらに、憲法改悪の手続き=規制さえも「緩和」させ、改憲への地ならしを一気呵成に固めていこうとしているのです。

読売 「中国漁民、尖閣上陸すれば強制排除」安倍首相 (2013年4月23日11時30分  読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130423-OYT1T00463.htm?from=popin

安倍首相は23日午前の参院予算委員会で、尖閣諸島の周辺海域で中国海洋監視船などによる領海侵犯が相次いでいることに関し、「領海に入って上陸するといういかなる試みにも、断固たる対処をすると当局に指示している」と述べ、中国側に上陸などの動きがあれば、海上保安庁などが阻止するとの考えを示した。 「万が一、上陸するとなれば、強制排除するのは当然のことだ」とも述べた。 首相は、中国漁船が避難を装って上陸して居座る可能性があると指摘。「強制的な排除はしないかもしれないという姿勢は、結果として(中国の)上陸を招いてしまい、両国間の紛争はエスカレートしていく。絶対に上陸させない強い決意で物理的に対応していくことが正しい」と強調した。(引用ここまで

読売「過半数に緩和を」首相、96条改正改めて意欲(2013年4月22日13時56分)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130422-OYT1T00730.htm?from=popin

…首相は、衆参各院の3分の2以上の賛成が必要とする憲法改正発議要件を定めた憲法96条について、過半数に緩和する考えを改めて示した。「6、7割の国民が憲法を変えたいと思っていても、3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば、国民が一切、指一本触れることができないのはおかしい」と指摘した。(引用ここまで

読売 96条改正、参院選で堂々と掲げて戦う…首相 (2013年4月23日17時50分)http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130423-OYT1T00689.htm

安倍首相は23日午前の参院予算委員会で、憲法改正の発議要件を過半数に緩和する憲法96条の改正について、「7月の参院選でも、堂々と掲げて戦うべきだと自民党総裁として考えている」と述べ、参院選の党公約に明記し、争点とする考えを示した。「憲法制定以来、六十数年にわたり、全く(改正に)手をつけていない。96条の改正は、国民の手に憲法を取り戻すことにつながっていく」とも述べ、要件緩和で社会の変化に柔軟に対応する改正が可能になるとの利点を強調した。一方、過去の植民地支配と侵略について謝罪した1995年の村山首相談話について、「『侵略』という定義は、学界的にも国際的にも定まっていないと言ってもいい」と指摘。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り」などとした談話の記述に関しても、「あいまいな点と言ってもいい。この談話はそういう問題が指摘されている」と述べた。(引用ここまで

毎日 安倍首相:「歴史認識、学者同士で議論を」 2013年04月23日 15時50分(最終更新 04月23日 20時04分) http://mainichi.jp/select/news/20130423k0000e010263000c.html

安倍晋三首相は23日午前の参院予算委員会で、1995年に当時の村山富市首相が日本による過去の植民地支配や侵略を謝罪した「村山談話」について「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかにおいて違う」との認識を示した。自民党の丸山和也氏の質問に答えた。

 首相は談話の見直しについて「政治の場で論じると直ちに外交問題に波及する。アカデミックな議論を学者同士が学識をかけて議論すべきだ」と提案した。(引用ここまで

アジア太平洋戦争は「侵略戦争」ではなく、大東亜戦争としてABCD包囲網に対する「自存自衛」だっとする思想です。しかも、東京裁判史観として、戦犯を免罪しているのです。しかし、これはサンフランシスコ条約11条で確定しています。安倍首相は、このサ条約で「主権を回復した」として「お祝い」しながら、一方では、戦争犯罪人を認めようとしない。この戦犯が、こっそり合祀された靖国神社に参拝したくて、したくてしょうがない!のです。

 そもそも、「東京裁判」において、「憲法を押し付けた」アメリカは天皇の戦争責任を曖昧にしたことは、安倍首相にとっては全く不問、関係ないのです。この大いなる矛盾に気づいていないのでしょうか?それとも、確信犯でしょうか?どちらにしても、一国の首相として、いや人としての資質が問われます。

アカデミックな議論を学者同士が学識をかけて議論すべき」などと述べていますが、「侵略戦争であったかどうか、後世の歴史化に委ねる」などと、政権としての歴史認識と、その判断をサボるような人物です。やる気のないことは明らかです。フランスとドイツの相互理解の努力の爪の垢でも飲め!と言いたいものです。

さて、こうした意図的な靖国神社参拝ですが、朝日毎日の社説は、甘いと言わざるを得ません。

 朝日 靖国問題―なぜ火種をまくのか 2013年 4月 23 日(火)付http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1

近隣諸国との関係改善が必要なときに、安倍政権はいったい何をしているのか。…これに反発して、韓国は今週末に予定していた尹炳世(ユンビョンセ)外相の訪日を取りやめた。中国外務省も日本に「厳正な申し立て」をしたと発表した。…靖国参拝は歴史認識に関わる問題であり、両国の反発は当然、予想されたはずである。日本外交にとって、いま最も優先すべき課題のひとつは、核・ミサイル問題で挑発を強める北朝鮮に日中韓が結束して当たることだろう。韓国外相の来日もその調整の一環だった。たしかに、日本と中韓両国とは尖閣や竹島問題をめぐって緊張が続いている。中国の監視船が尖閣周辺の日本領海を侵犯するなどの行為に対して、抗議するのは当然だ。同時に、首相自身が「大局的な観点から関係を進める」と語ったように、粘り強く関係修復をはかる。そうした微妙な時期である。それを、靖国問題でことを荒立てるのでは、方向が逆ではないか。これによって関係改善が遠のくようなことになれば、国益を損なうだけだ。首相はもともと靖国参拝が持論だ。…自身が参拝しなければ乗り切れると思っていたとすれば、甘すぎると言わざるを得ない。首相は再登板後も、歴史問題をあまり前面に出さず、経済再生を優先してきた。しかし、このところ気になる言動が目立ち始めている。  高い支持率で、緊張感が薄れているのではないか。閣僚の言動も含め、自制を求めたい。(引用ここまで)

東京社説:靖国の例大祭 閣僚参拝は無神経だ 毎日新聞 2013年04月23日http://mainichi.jp/select/news/20130423ddm005070030000c.html

韓国外務省は今回の事態を受けて、今月中に予定していた尹炳世(ユンビョンセ)外相の訪日を中止した。 北朝鮮が弾道ミサイル発射の構えを崩さず、日米中韓が連携して北朝鮮の暴発を食い止めるべき時だ。靖国参拝をすぐに外交問題に発展させる韓国側の対応は冷静さを欠いている。だが、緊迫した状況下で「安倍内閣ナンバー2」の麻生副総理ら閣僚が靖国参拝に踏み切り、首相もこれを容認したことは、北朝鮮問題での中韓との連携を難しくし、結局は日本の国益を損ないかねない。無神経な行動と言わざるを得ず、極めて残念だ。…安倍政権を支持する保守層は、終戦記念日よりも、靖国の秋季例大祭での首相参拝を重視し、実現を狙っているようだ。今回の首相の真榊奉納と麻生副総理の参拝が、夏の参院選対策や、在任中の首相参拝への布石だとしたら、受け入れられるものではない。靖国参拝の是非について国論が割れてきたのは、(1)憲法20条の政教分離原則に抵触する疑いがある(2)極東国際軍事裁判(東京裁判)のA級戦犯が合祀(ごうし)された靖国への参拝は中国などから侵略戦争の肯定と受け止められる−−という主に二つの観点からだ。首相は、日本が東京裁判を受諾した歴史的事実は受け入れる立場を示しているが、東京裁判については「連合国側の勝者の判断によって断罪がなされた」と疑問を投げかけている。(引用ここまで)

 朝日毎日も、「日本の国益を損なう」から問題あり!との立場です。被害者の立場は見えてきません。この問題を国内問題として捉えているという点では、安倍政権と同罪です。批判しているようで、実は、上手くやれ!とケシカケているのです。戦争責任問題や戦後責任問題を被害国と被害者の立場から検証も反省もしていないのです。

 どうして、このようなことになるのでしょうか?新聞も侵略戦争に加担したからです。口では、反省しても、天皇の戦争責任を曖昧にしてきたことを思えば、必然的です。

 このことは、以下の沖縄タイムスの社説にも言えることです。

 沖縄タイムス [韓国外相訪日中止]歴史問題を直視しよう 2013年4月23日 09時50分http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-04-23_48413

日中韓3カ国の協調と連携が求められるこの時期に、外交日程の取り消しや先送りが表面化したことは、安倍外交にとって大きな痛手だ政権発足時から危ぶまれていたことが表面化したとみることもできる。…中韓両国に過度に配慮すれば、安倍政権を支持する保守層の離反を招き、逆に、保守層の主張を過度に取り入れると、中韓が反発する。歴史問題は安倍政権のアキレスけんである。…靖国参拝問題といい、尖閣、竹島の領有権問題といい、いずれもサンフランシスコ講和条約と密接にかかわる。 極東国際軍事裁判(東京裁判)のA級戦犯について安倍首相は、国会答弁で「連合国の勝者の判断によって断罪」された、との見解を明らかにした。…評価は歴史家の間でもさまざまであるが、日本は、講和条約第11条に基づいて、国と国との関係においては、東京裁判の結果を「受諾」している。それが政府の公式見解だ。 戦前の日本は植民地帝国だった。1895年から台湾を統治し、1910年からは朝鮮半島を統治した。南洋諸島を委任統治したほか中国の関東州を租借地とし、満州国を間接統治した。 講和条約によって日本は、これらの領域に対するすべての権利を放棄したが、尖閣諸島や竹島、南沙・西沙諸島などの帰属先は条約には明記されていない。…日中、日韓の間に横たわる歴史問題は、いわばサンフランシスコ講和条約で処理することのできなかった「未解決の問題」といってもいい。政府は、条約が発効した4月28日を「主権回復の日」と位置づけ記念式典を開く予定だが、同条約によって沖縄が切り離されたことや、「アジア不在」の講和だったことなど、条約の別の側面を忘れるわけにはいかない。(引用ここまで)

 片面講和であるサ条約の曖昧さは、アメリカの極東政策の結果であったこと、そのために天皇の責任を曖昧にしたこと、とりわけ沖縄に対する天皇のメッセージは、その象徴でした。それが、現在まで継続しているのです。日米軍事同盟によって。しかし、こうした事実に対して、沖縄からの告発と問題提起は、極めて弱いと言えます。このことが、沖縄の苦悩・苦渋を温存しているのです。

では、中韓はどのように日本を捉えているのでしょうか?以下の資料をご覧ください。

中央日報社説 安倍内閣の靖国参拝は外交的挑発 2013年04月23日11時24分http://japanese.joins.com/article/807/170807.html?servcode=100§code=110&cloc=jp|article|ranking_news

…日本の各種侵略戦争の過程で亡くなった人たちを追悼するために建てられた靖国神社には、太平洋戦争のA級戦犯14人も合祀されている。一部の日本人には戦犯が「国のために命を捧げた英霊」に見えるかもしれないが、私たちには周辺国と国際社会に莫大な被害を与えた加害者にすぎない。被害者にわずかでも配慮する謙虚な心を持っていれば、彼らを称える刺激的な行動はしていないはずだ。傷口に塩を塗るような外交的挑発だ。…安倍内閣と関係増進を目指すこと自体が無理なのかもしれない。…朴槿恵政権の発足を契機に韓日関係改善に対する期待が出ていたが、領土と過去の歴史をめぐる日本の相次ぐ外交的挑発で水の泡となる雰囲気だ。その責任は全面的に安倍内閣にある。…安倍内閣は北朝鮮の脅威を軍事力増強の口実として利用する傾向も見せている。7月の参院選で自民党が勝利する場合、日本の右傾化が加速するという懸念もある。日本がドイツのように過去の過ちを徹底的に反省しない限り、韓日の真の友好と協力は期待するのが難しい。(引用ここまで

アジア太平洋の平和に挑戦する安倍氏の強硬な動き 更新時間:13:10 Jan 14 2013http://j.people.com.cn/94474/8091116.html

安倍首相に願う、熟慮した上での行動を 更新時間:12:57 Jan 06 2013 http://j.people.com.cn/94474/8080028.html

石原慎太郎の釣魚島紛争挑発の背後にある巨大な陰謀 更新時間:17:46 Jan 25 2013http://j.people.com.cn/94474/8107839.html

 最後に、安倍政権がやっていることは、北朝鮮と同じように「挑発的な言動」に終始し、中韓を煽り、そのことで、安倍政権を支持する「保守層」の支持を繋ぎとめようとする戦略が透けて見えてきます。

 こうして、中国・北朝鮮への脅威と、竹島に居座り、従軍慰安婦や靖国神社の、日本国内の問題にいつまでもこだわる韓国は許せないという国民の気分を煽ること、そうして安倍政権への支持をつなげながら、偽りの議席のあるうちに、改憲への地ならしを固めておこうというものです。その際にやっておくことは、マスコミとの「絆」です。小泉政権の時のようにマスコミ対策、いくつかのパフォーマンスに観るように力を入れているのです。

 北朝鮮報道、尖閣報道のキーワードは、安倍政権の手法を同じ!日本と北朝鮮は、戦前も今日も、相似形と言えます。


安倍政権閣僚の靖国参拝と真榊奉納は英霊と神道、そして憲法を冒涜!こんな不道徳は断じて許されない!

2013-04-22 | 日記

昨日から今日にかけて安倍政権の閣僚と安倍首相自身が、靖国神社に参拝しました。安倍首相は、参拝ではありませんが、ただ行かなかっただけでの話です。このニュースについても、マスコミをとおして、事実上の既成事実化を狙ったものであることが、菅官房長官の記者会見で、明らかになりました。「計画通り」ということです。国民の反応を窺うということでしょうか?

 安倍首相:靖国神社に真榊奉納 毎日新聞 2013年04月21日 19時55分

http://mainichi.jp/select/news/20130422k0000m010019000c.html

麻生副総理ら、靖国参拝…首相は真榊料奉納(2013年4月21日20時24分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130421-OYT1T00525.htm

麻生氏ら2閣僚、靖国参拝=安倍首相は真榊奉納 (2013/04/21-20:28)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2013042100228

麻生副総理ら閣僚3人 靖国神社に参拝 4月21日 20時52分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130421/k10014077091000.html

…古屋国家公安委員長は記者団に対し、「国務大臣、古屋圭司として参拝した。玉串料は自費で出した。国のために命を捧げた英霊に対して哀悼の誠を捧げるのは、私の国会議員という立場からして当然のことだ」と述べ…(引用ここまで

麻生、古屋氏が靖国参拝 閣僚計3人、首相は供物 2013年4月21日 20時55分

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013042101001349.html

首相、靖国神社に供え物奉納 参拝は見送る方針 2013/4/22 0:56

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2100R_R20C13A4PE8000/

靖国神社:麻生副総理が参拝 毎日新聞 2013年04月21日 21時15分(最終更新 04月21日 21時25分)

http://mainichi.jp/select/news/20130422k0000m010036000c.html

 

各マスコミの報道の仕方は、ワンパターンです。こうした報道の仕方がl繰り返されることで、国民にどのような印象を与えていくか、そこが問題です。

 閣僚の参拝と安倍首相の事実上の参拝は、事前に、以下のように報道されていました。しかし、こうした動きに対して、マスコミは、憲法の問題から、諸外国との関係から、何も追及すらしていませんでした。こうした状況を踏まえて、今回の参拝となったのは明らかです。

 安倍首相、靖国例大祭に真榊奉納へ 第1次内閣を踏襲 2013年3月29日17時26分

http://www.asahi.com/politics/update/0329/TKY201303290092.html

 4月21~23日に行われる靖国神社の春季例大祭で安倍晋三首相が、神前にささげる供え物「真榊(まさかき)」を奉納することがわかった。菅義偉官房長官が29日の記者会見で「(奉納の意向を神社側に伝えたとする毎日新聞の)報道の通りではないか」と認めた。

 首相は2007年の第1次安倍内閣でも、参拝を見送る一方で「内閣総理大臣」の肩書で真榊を奉納。国内向けに自らの信条を表した。政府高官は29日、奉納について「第1次内閣でもやっている」と述べ、当時の形を踏襲する可能性を示唆した。

 前回の首相就任時に奉納した真榊は、サカキの鉢植え1基。高さ2メートル近くあり、本殿に上がる木製階段の両脇にほかの真榊とともに並べられた。費用は5万円だったという。

 最近では麻生太郎元首相も、首相在任時に「内閣総理大臣」の肩書で秋と春の例大祭に真榊を奉納した。(引用ここまで

 首相、靖国春季例大祭に真榊奉納へ 2013.3.29 22:16

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130329/plc13032922170021-n1.htm

…参拝に関しては「首相は『(先の)自分の内閣の時に参拝できなかったことは痛恨の極み』と言っている。さまざまな状況を見て適切に判断するだろう」と述べるにとどめた。 真榊は、神事の際に祭壇の左右に立てられる祭具。第1次安倍内閣の下で、首相は平成19年4月の春季例大祭に「内閣総理大臣」名で真榊を奉納し、参拝は見送った。菅氏は閣僚や副大臣らに参拝自粛を求めない考えも示した。(引用ここまで

 安部首相の言い分や、「東京裁判史観」発言、今日の国会における村山談話見直し発言、憲法改悪に向けた手続きなど、一連の動きを一体のものとして捉えるのであれば、一つひとつの動きが、それなりに計算されながら行われていることは明らかです。早速、以下のような反応がありました。

 韓国外相、訪日当面見送り 安倍首相の靖国供物奉納に反発 2013/4/22 10:53

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2202E_S3A420C1EB1000/?dg=1

…韓国外務省は同日、安倍首相の供え物奉納や閣僚の参拝を非難する論評を発表。「歴史を忘却した時代錯誤的な行為だ」と指摘、「正しい歴史認識を基に責任ある行動を取るよう強く求める」と強調…(引用ここまで

 韓国外相、訪日中止 首相の靖国奉納に抗議か 2013年4月22日 11時22分

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013042201001480.html

…靖国神社に供物を奉納したことなどに対する抗議だと報じた。同ニュースによると、外務省当局者は「このような雰囲気の中で会談しても生産的な議論は難しい」と述べた。 日韓の新政権発足後、外相会談は一度も開かれておらず、歴史問題を理由にした今回の会談中止で、日韓関係は当面冷却期間が続くことが確実になった。…(引用ここまで

靖国神社副総理参拝:韓国外相が訪日取りやめ 毎日新聞 2013年04月22日 10時52分(最終更新 04月22日 12時22分)http://mainichi.jp/select/news/20130422k0000e010124000c.html

…当局者は「内閣のナンバー2である麻生副総理まで参拝したのは無責任だ。日韓関係を改善させようという考えがあるなら、相手国に対する配慮がもう少しあってもいいのではないか」と語った。 韓国は当初、5月の日中韓首脳会談に合わせて今月末に3カ国の外相会談を開くことで調整していた。しかし、中国が日程に難色を示して首脳会談が先送りになったため、尹外相が個別に日中両国を訪問することを計画していた。尹外相は当初の予定通り24日に訪中する。

 尹外相が訪日すれば、日韓両国で新政権が発足して以降、初の外相会談となるはずだった。両国は、緊迫する北朝鮮情勢への対応を協議するとともに、昨年8月の李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領(当時)による島根県・竹島(韓国名・独島)への上陸を機に悪化した関係改善の糸口を探ろうとしていた。(引用ここまで

 しかし、こうした反応を見越した政権の対応がなされました。以下の記者会見です。全くスリカエです!相変わらず答えになっていません。しかも、マスコミの突っ込みもありません。どうなっているのでしょうか?

 官房長官 外交に影響及ぼすべきでない 4月22日 12時13分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130422/k10014088571000.htm

…菅官房長官は午前の記者会見で「私人として参拝されたものと理解している。閣僚が私人の立場で参拝することは閣僚個人の私的な行動に関する事柄であり、政府として答えることは差し控えたい」と述べ…ユン・ビョンセ外相の日本訪問を取りやめたことを明らかにしたことに関連し、「それぞれの国にはそれぞれの立場があり、そうしたことの影響をあまりそれぞれの外交に及ぼすべきではない」と述べ…「真榊(まさかき)」と呼ばれる鉢植えの供え物を奉納したことについて、「私人としての行動だと思うので、政府見解を申し上げるべき事柄ではない。政府として春の例大祭に真榊を奉納することを決定したことはなく、公費で支出したとは承知していない。総理大臣の肩書きをつけるのはその地位にある個人を示すものであって、公人として真榊を納めたということではない」と述べ(引用ここまで

 

さて一連の動きを一覧してみました。そこで、以下のことを気づきました。そのポイントです。

 1.「私人」「私費」とは言え、「公人」としての「役職」を書いて、参拝しているのです。安倍首相の場合は直接参拝はしていませんが、誰が、どのように「私費」を届けたか、どのようなルートで靖国神社に打診したのか、経過に、「公人」ぶりは、全くなかったのか?明らかにすべきです。しかも、彼らの「私費」は、「一般人」のそれとは、性格が大きく異なるものです。消費税増税の際の政党助成金、国会議員「歳費」問題が、そのことを示しています。ご都合主義も甚だしい限りです。

 2.次は、神道の儀式である「春季例大祭」にあたっての行動であることです。これは、「役職」を書いているということは、憲法20条第3項 「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と矛盾していることです。本当に「私人」を強調するのであれば、単純に「個人名」を書くべきです。しかし、そのようなことはしていません。

 春季例大祭http://www.yasukuni.or.jp/schedule/shunki.html

真榊http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E6%A6%8A

神饌http://www.jinjahoncho.or.jp/iroha/matsuri/index7.html

御幣http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E5%B9%A3

玉串http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E4%B8%B2

 しかも、「春季例大祭」には、「天皇陛下のお遣いである勅使が参向になり、天皇陛下よりの供え物(御幣物)が献じられ、御祭文が奏上されます」とあるように、これは天皇の国事行為か、公的行為か、天皇家の祭祀の一つか、何一つ明らかにしていません。マスコミも追及すらしていません。

 こうして、既成事実化しながら、印象操作によって、問題ないかのようなムードを醸成しているのです。それに反して、中韓の抗議!国内問題に干渉するな!となることは明らかです。以下の反応が、このことを示しています。

 朝日将軍の執務室http://asahisyougun.iza.ne.jp/blog/entry/3055874/

事実上の敵国である中共や韓国との外交関係を考慮する必要は無い。国のために命を捧げた英霊哀悼の誠を捧げるのは国会議員、内閣閣僚、内閣総理大臣としては当然である。


3.さて、こうした行動と反応を見て、思うことは、安倍首相の小笠原訪問、日の丸君が代口パク問題の時にも記事を書きましたが、大東亜戦争肯定論者=靖国信奉者たちの身勝手さについてです。極めて不道徳ぶりには怒り・呆れます!

 

以下、ポイントのみを述べてみます。

(1)かれらの行為は、本来の神道論から、大きくかけ離れて、神道を、自分たちの専売特許であるかのようにゴマカシテいることです。

神道とは 日本文化における神道の役割(過去・現在・未来)

http://www.shinto.org/wordjp/?page_id=2

(2)神道はもともと、「天下泰平、五穀豊穣」「命の大切」などを祈ってきたのではないのか?

(3)「国のために命を捧げる」論は、神道の考え方と根本的に異なるのではないか?しかも、他国・他民族を抑圧し、命や財産を奪うことは、神道の考え方と相容れないのではないのか?

(4)しかも「国のために命を捧げ」ない人たちに対しては「哀悼の誠」を捧げないのは、不平等であり、神道の考え方とは異なるのではないのか?

(5)「英才英断英雄育英俊英」という言葉に象徴されるように、「英霊」とは、「すぐれている。すぐれた」「霊」ということですが、死者の「霊」を差別化するというのは、神道の考え方でしょうか?「死者(屍)に鞭を撃つ」行為ではないのでしょうか?

靖国神社というのは、今 大河ドラマ「八重の桜」に登場している会津の侍たち、あの白虎隊の若者たちは「英霊」なのでしょうか?

ところで、あの「大東亜戦争」に反対し、獄中で、或いは警察で「非業な死」を遂げた「愛国者」たちは、「英霊」とは、言わないのでしょうか?勿論彼らは断ると思いますが、また抜け出したくても抜けられない「植民地の兵士、朝鮮人兵士」の「英霊」も、いるようです。身勝手なものです。あ、そう言えば、あの戦犯で処刑された人たちも、こっそり「英霊」になっていたようです。呆れます!

(6)「靖国神社」は、元々は「東京招魂社」でした。さらに、「招魂」の起源は、直近で言えば、1862年、福羽美静らが京都霊山において、安政の大獄以来の弾圧に斃れた志士たちの霊を祭ったことが起源と言います。(大江志乃夫『靖国神社』岩波新書84年3月刊)

(7)こうした「魂を招いて、霊を慰める、霊を鎮める」必要があったのは、菅原道真に代表されるように非業の死を遂げた人間の霊(怨霊)が暴れまわることを防ぐと言う意味もあったはずです。

(8)しかも、神道には「タマフリ・フリタマ(振魂)・タマシヅメ(鎮魂)などの観念はあるものの、「招魂」と言う言葉は、用いられなかったようだ」(村上重良『慰霊と招魂 靖国の思想』岩波新書74年9月刊)という見解もあります。

(9)ということは、「国のために命を捧げた英霊の怨霊を鎮める」必要性、すなわち、教育勅語によって死に追いやったという感情の裏返し、「後ろめたさ」、「怨霊」に対する「畏れ」が、ここにあるということです。それこそが、「靖国神社の本質」と言えます。

(10)それを、「英霊」とゴマカシ、次なる「英霊」づくりに利用する、という、神道の本来の考え方とは相容れない思想が、ここに浮き彫りになってきます。

(11)しかも、こうした神道捻じ曲げ論は、他民族の信仰すら否定しているのですから、八百万の神々と矛盾するものです。そもそも天皇自身が、靖国神社の「英霊=神々」に「供え物(御幣物)」をするという行為そのものが、神々の対等平等性を示していないでしょうか?ゴマカシがあるように思います。

 

以上、大まかにまとめてみました。どうでしょうか?今後さらに検討を加えていきたいと思います。

 結論は、安倍政権をはじめとした日米軍事同盟深化派=靖国神社信奉者たちの、ゴマカシは、人間の信仰心すら捻じ曲げ、ウソをつき、政治的に利用しようとする邪悪なこころであり、不道徳の極地と言えます。

 因みに、愛国者の邪論は、無神論です。しかし、信仰心を持っている方々を尊敬しておりますし、神社の祭礼には、参加もします。それは人々の共同体があるからです。中世の「一味同心」は、ムラの鎮守で行われたものです。こうした民衆の信仰心と生活の知恵、これこそが日本の伝統文化と歴史を創造してきたと言えます。

 そうした視点にたったとき、安倍政権の思想は断じて認めることはできません。


沖縄の屈辱無視、天皇の戦争・戦後責任の曖昧化、日米安保化で国体の延命を謀った裕仁とマスコミに喝!

2013-04-22 | 日記

昨日は、菅官房長官のデタラメ発言の問題点を記事にしました。今日は、この発言を追及していないマスコミの問題点を、さらに記事にしておきます。

 まず、国会で瀬長亀次郎議員が追及した内容をふまえ、瀬長氏自身がまとめた文書を紹介しておきます。非常に的確です。しかし、こうした視点で、「屈辱の日」を捉えているマスコミは、どうでしょうか?あるでしょうか?ここに、戦後自民党政権を支えてきたマスコミが果たしてきた役割があります。

 そしてまた、今日においても、日米軍事同盟を「日米同盟」とゴマカシ、さらには「絆」を深めるなどと、ウソを付きながら、偽りの大量議席があるうちに憲法を変えてしまおうという日米軍事同盟深化派の目論見を断罪することなく、追認しながら、事実上の応援団と化している姿が日々浮き彫りになってきています。

このことについて、何としても暴いていかなければならないと思い、すでにご承知のこととは、存じますが、敢えて、この資料を掲載することにしました。

 瀬長亀次郎「天皇の戦争責任、戦後責任」(『文化評論』1987年11月号 「特集 沖縄と天皇」より)

 二つは、一九四七年九月、宮内庁御用掛寺崎英成氏によってアメリカ側につたえられた「天皇メッセージ」(資料参照)と米占領軍との関係についてである。

 このメッセージは「米国が沖縄その他の琉球諸島の軍事占領を継続するよう日本の天皇が希望している」と明記され、それがアメリカの対日支配の政策に大きく影響をおよぼし、その後のサンフランシスコ「平和」条約、安保条約で沖縄の軍事的監獄的支配を決定づけるものとなった。この「天皇メッセージ」は、『世界』誌七九年四月号で筑波大助教授(当時)の進藤栄一氏によってその存在が公表され、日本共産党が外務省にその文書の提出をもとめ、その全容があきらかにされた。

 「天皇メッセージ」が出された当時の政治的背景を知るうえで、アメリカ国民の天皇にたいする評価の問題がある。終戦直後四五年秋におこなったギャラップの世論調査によれば、天皇にたいする米国民の意見--天皇の処刑(死刑)を要求するものが三三㌫、戦犯として裁判にかける一八㌫、終身禁固を要求するもの一一%、日本からの追放を支持するもの九㌫、これをあわせて七一㌫いう圧倒的多数が、なんらかのかたちでの天皇の戦争責任の追及をせまっている。

 また、連合国の多数は天皇の戦争責任はまぬがれないであろうとみていた。極東国際軍事裁判(東京裁判)の裁判長オーストラリアのウェッブ氏も、ソ連も、天皇の戦争責任を追及した。このような政治的状況のなかで出されたのが、この「天皇メッセージ」である。

 私は一九七九年四月二十七日の衆院沖縄及び北方問題に関する特別委員会でこの「天皇メッセージ」の事実について、とりわけ対日「平和」条約第三条にもとづく沖縄の無期限占領が「天皇メッセージ」によっておこなわれたものであるということ、憲法公布後四ヵ月もたってからの天皇の政治行為であり、憲法にも違反しているものであること、と当時の三原総務庁長官を追及したが、三原長官は一貫して「事実がつまびらかでないので、大臣として責任ある答弁はさしひかえたい」ということに終始した。

 そのすぐ後の五月三十日、衆院内閣委で園田外務大臣に同じ視点から問うと、マッカーサーに会った時に聞いた話とことわりながら、「天皇は財産目録を持ってきて、自分の財産は没収されてもいいが、国民が飢えないように援助をたのむ。戦争犯罪人は私一人で結構である、といわれた。青白い貧弱な男とおもっていたが、その途端に本当の君主の姿、自分の生命と運命を国民と民族にかえて死のうとするその姿をみて、天皇に対する考えが変わったとマッカーサーは話していた。そういう天皇が、自分の生命と引き換えに沖縄を米軍占領支配にせよとの事実は考えられない」と答弁した。昨年の三月、共産党の正森議員が中曽根首相に「天皇在位六十年記念行事」が、いかに憲法の主権在民の原則に違反するかを追及したが、その時の中曽根首相の「天皇陛下はあくまで平和主義の方であらせられ、戦争を回避するために全面的に努力された」という答弁と本質的に同じである。しかし、園田外相白身も「天皇メッセージ」そのものを打ち消すことはできなかった。

 天皇は憲法発効前後にマッカーサーに三回ほど吉田茂外相(当時)の仲介で会っている。天皇がなにを語ったか知るよしもないが、天皇がマッカーサーに取り入るような文言をつかったのではないかとの疑問をうち消すことは困難であろう。

 この「天皇メッセージ」を取り次いだアメリカの政治顧問W・J・シーボルトがアメリカ国務長官あての書簡のなかで、「疑いもなく私利に大きくもとづいている希望が注目されましょう」といっているように、自分自身の私利私欲-英文ではself‐interest、辞書によると私利、私欲、身勝手-のために、天皇の自らの生命、地位と引き換えに沖縄の占領を進言した。その結果、当時の対日政策を立案担当していたジョージ・F・ケナンらに影響をおよぼし、サンフランシスコ条約によって沖縄を本土から切りはなし、沖縄県民をアメリ力の軍事監獄的支配下におくことを許したのであった。

 私は、国会において「四分の一世紀以上にわたる沖縄の軍事占領支配、これが、復帰したとはいえ基本的にはまだ全然変わっていない。アメリカの軍事占領支配による沖縄県民の民族的屈辱、その中での想像に絶する苦しみの原因、こういったものの根源をなしておるのが天皇のアメリカGHQに対する申し出にある」と追及したが、天皇が戦前も大元帥の名で戦争を指導した戦争犯罪人だけでなく、戦後も沖縄をアメリカの全面的占領支配に追いやったこの罪を許すことはできない。引用ここまで

  

もう一つあります。「天皇メッセージ」を取り次いだ寺崎英成の評価です。

 これについては、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BA%E5%B4%8E%E8%8B%B1%E6%88%90

に以下のように書かれています。東京の「特報」の解明が、極めて不十分だったこともあり、ここに資料を掲載することにしました。

 太平洋戦争開戦後は抑留され、1942年8月に、妻グエン、娘マリ子と共に日米交換船で帰国。戦争中は外務省の政務局第7課や第6課の課長を務めたが、病気のため1944年12月からは休職し、そのまま終戦をむかえた。1947年2月、宮内省御用掛(通訳)に任命され、昭和天皇とマッカーサー元帥との会見の通訳を数回務めると共に、GHQ側と戦犯関係を含む情報を交換提供した。1951年に、50歳の若さで死去。柳田邦男『マリコ』の主人公のモデルであり、この作品は、1981年にNHKでドラマとして放送された(主演滝田栄)。娘のマリコの家族が寺崎の遺品(保管していた文書類)から、昭和天皇が側近・侍従などを相手に、帝国日本の事情や開戦に至るまで経緯などが、率直に語られた記録(昭和天皇独白録)[1]が、1990年に『文藝春秋』で発表され話題を呼んだ。(引用ここまで

 

藤原彰・粟屋憲太郎・吉田裕・山田朗『徹底検証 昭和天皇「独白録」』(大月書店91年3月)より

 報告Ⅲ  吉田裕「『独白録』と『五人の会』」より

寺崎英成と松平康昌の役割

 まず、寺崎英成のほうからみていきます。彼については、柳田邦申心の『マリコ』があるイメージをつくっているのですが、柳田さんの著作をつうじて浮かび上がってくる寺崎のイメージというのは、アメリカ人を妻にもって、日米の平和のかけ橋になろうとした知米派の外交官、あるいは日米の開戦に反対した自由主義者、そういうイメージです。ところが、寺崎と同じ時期に駐米大使館に勤務していた藤山楢一―彼は戦後、外務省の高官になります―の回想が『側近日誌』の解説の中に収められているのですが、それによりますと、藤山さんは寺崎について次のように言っているのです。

    寺崎さんは太っ腹で親分肌のところがありました。頭山満を中心とした右翼団体、玄洋社の影響を受けており、大変な尊皇家でした。

  ということになると、さきほどの柳田氏の本から受けるイメージとは、ちょっと違うわけですね。

 さらに寺崎の別の顔を明らかにしたのは、『朝日ジャーナル』に連載された粟屋さんの「東京裁判への道」ですけれど、これによると、寺崎はGHQとのあいだに密接な連絡があり、IPS(国際検察局)の「極秘の情報提供者」という密命をおびていたことがわかります。

 さらに、彼はIPSのロイ・モーガン捜査課長と旧知の間柄であって、妻のグェンがマッカーサーの軍事秘書ボナー・フェラーズの遠縁にあたるという人脈もあって、GHQとのあいだに非常に太いパイプをもった人物であるということがわかるわけです。

 ちなみにぼくの調べたところによりますと、一九四六年五月に外務次官となる兄の寺崎太郎もIPSの「極秘の情報提供者」なのです。彼はIPSの尋問に応じて、とくに松岡洋右にかんする情報をIPSに提供していますが、その中では、松岡洋右を「拡張主義者」であるというように名ざしで非難しています。(引用ここまで

 

 粟屋憲太郎「報告Ⅳ 東京裁判と天皇『独白録』」より

寺崎英成の実像 

兄の太郎は、当時、外務省アメリカ局長で、英成は日本との暗号電報のキーワードに、一人娘の名、「マリコ」を用いた。(このあたりを軸にして『マリコ』という作品が書かれるわけであります。)日米間戦後、寺崎はいったん抑留されて、日米交換船で帰ってくるわけですけれど、身体を悪くし、一時期は静養している。そして戦後、一九四六年二月下旬、宮内省御用掛(通訳)に任命され、同年五月末の第二回天皇・マッカーサー会談をかわきりに、計五回、両者の会談の通訳にあたっています。宮内省は、外務省きっての知米派の寺崎を登用して、天皇問題に対処しようとしたわけです。寺崎は天皇の側近から、天皇の退位についてマッカーサーの真意をさぐってほしいとの特命を受けたと言われています。

 興味ぶかいのは、この寺崎にアメリカ側も早くから注目していたことです。機会主義者、宿命論者と言われているが、「彼は西洋の生活に通じているので、日本が敗北し占領されている現在、米国にとって有益な人材であると考えられる」とあります。海軍がまず目をつけた。

 しかし、それ以上に重要なのは、国際検察局の二代目の捜査課長で一九四六年一月末に来日したロイ・モーガンと寺崎の関係です。このモーガンと寺崎は既知の間柄だったはずです。モーガンは一九三四年から一九四四年までFBIに勤務し、太平洋戦争開始時に米国政府を代表して日独の外交官や在留民間人の拘禁と本国送還にあたっていますから、このとき、モーガンは寺崎に当然、接触して尋問しているはずであります。ちなみに太平洋戦争開戦直前の一九四一年十一月十八日付のFBIの報告全文は、こう記しているわけです。

   寺崎英成-日本大使館書記官たる同人は、米国内における日本の諜報作戦に関する調整、指導に責任をもっている。さらに寺崎は以前から必要なときに随時北米および中南米の日本人官公吏を訪れ、情報収集のため、彼らに接触するよう指示されており、その命令遂行のために十分の金員をあたえられている。同人は、メキシコ、中米、ペルー、エクアドル、その他の南米諸国を二万マイル以上にわたって旅行したことが判明している。同人の米国内の旅行は、彼がアメリカにおける日本のスパイの責任者の地位にあることを証明している。

  すなわち、FBIが、寺崎は要するにスパイであるという報告文をつくっているわけでありまして、当然モーガンは、このことを知っていますし、寺崎の弱みを握っているということであります。モーガンは、このようないきさつから寺崎に情報提供を依頼したのでしょう。

 一九四六年二月二十五日、寺崎の名が国際検察当局の文書に出てきます。モーガンがキーナンにあてた捜査課の活動報告においてです。この報告の冒頭で、モーガンは寺崎に触れています。すなわち、ここで次のように書かれています。 

   先週、日本外務省の有能な一員である寺崎英成(極秘の情報提供者)から、彼が日本の要人から個別に得た情搬を提供されたが、その内容は、主要被告に予定されている人物の多数にかかわるものであり、彼らへの尋問に十分活用できるものである。

この寺崎の情報の具体的内容は、二月十八日にモーガンが作成した「寺崎英成の陳述」としてまとめられています。これは、前に書いたことがありますが、一九三〇年のロンドン海軍軍縮条約をめぐるいきさつから始まり、その後の陸海軍の動向だとか、外務省ではだれが責任があるか、新官僚ではだれが責任があるかなどに触れ、その中で、いろいろな人物の名があげられております。…

そして、同じ三月七日にモーガンは、「松岡」と題して次のような情報を作成しております。

 寺崎英成は最近、天皇の御用掛に任命されたが、彼は私に二月二十八日ごろに宮中で天皇の昼食に陪席した際のことを報告した。この席で寺崎は天皇に、世上言われているように松岡外相が日ソ中立条約締結後のほぼ二か月後に対ソ開戦を主張したのは真実か、と尋ねた。寺崎によれば、天皇はこれを肯定したという。すなわち条約締結の二か月後、松岡が天皇のところへきてソ連への宣戦を要請したが、天皇は松岡に、この件について近衛首相と協議したかと問うと、松岡はしていないと答えた。このため天皇は松岡の願いを認めなかった。

 こういう情報が入っているわけです。ですからこの段階で、はじめて天皇の言動か寺崎をつうじてロイ・モーガン、そしてIPS(国際検察局)に伝わるようになる。これは、当然寺崎の個人プレーとはとても考えられないわけでありまして、吉田さんが言ったように、松平康昌宗秩寮総裁あたりの天皇側近の意向を受けたものでしょう。天皇問題についての占領軍側の確度の高い情報を日本側が入手するには、逆に日本側からの情報提供が必要だった。ですから国際検察局は、天皇への直接の尋問は避けたものの、間接的にでも天皇の「証言」はぜひとも入手したかった。この意味で寺崎は、両者の橋渡しをするにかっこうの人物だった。わるい言葉で言えば、ある意味では、寺崎は「ダブルースパイ」であった、「二重スパイ」であった、といっても過言ではないとぼくは思うわけです。

 さらにびっくりすることには、被告選定にあたっていた検察局の執行委員会の議事録をみると、三月十八日の項に、広田弘毅の被告選定が記されたあと、突然、「有末―天皇が、この男はなぜ逮捕されていないか、と尋ねたと言われている」との記事が出てくるわけであります。これは当然のことながら寺崎情報で、それは検察局の執行委員会の議論にまで出てきたのです。この「独白録」でもみられるように、天皇が有本をきらっていたことは歴然としておりまして、その意向が執行委員会に届けられたということです。有末は、かつては親独派であり、いまやGⅡのウイロビーとくっついているということで、天皇は、変わり身の早い有末に怒ったのかもしれません。

 寺崎は、この他にも情報活動をしたと思われるのですが、いまのところ不明です。とにかくこうした彼の非常に機微に満ちた行動は大きな収穫をもたらしたわけです。三月二十日、寺崎は妻グエンと娘マリコとともに、マッカーサーの軍事秘書ボナー・フェラーズ大佐から夕食に招かれた。フェラーズはグエンと遠縁にあたり、この席で、例の一月二十五日付のマッカーサーから米国陸軍参謀総長アイゼンハワーあての、天皇を戦犯にすべきでないとする電報の内容を寺崎に教えたわけです。こうして宮中関係者は、寺崎をつうじてマッカーサーの真意を知り、まずは胸をなでおろすこととなったのです。

 こののちも寺崎は、天皇の通訳をつとめるかたわら、総司令部に天皇の意向を間接的に伝えていたようであります。

 さっき話に出た天皇の「沖縄メッセージ」も、寺崎、総司令部政治顧問シーボルトをつうじて、米国に伝えられたわけであります。

要するに、この「独白録」が寺崎のところから出てきた、という意味はそこにあるわけでして、私の推定では、こういう積み重ねがあって、もし必要となるならば、証人には立たないけれども、裏から寺崎が情報を検察局に提供しようと思っていて作成した文書で、英語に翻訳するために手を入れたものではないか、というのが私の推測するところです。私がワシントンヘ行って調べた段階では、この「独白録」はIPSの文書の中になかったところから推定すれば、これは検察局には渡されなかったのではないか、という判断を、いまのところしています。引用ここまで


二重三重の憲法違反をやらかす4.29屈辱の日の天皇参加を正当化する安倍政権と追及しないマスコミに大喝!

2013-04-21 | 日記

かつて「4.29沖縄反戦デー」と言われていたサンフランシスコ条約発効日に、憲法改悪・普天間基地の辺野古への移設をごり押ししようとする自民党安倍政権は、いつわりの議席に宙を舞ったのでしょう。「公約実現」として「主権回復の日」としてお祝いする。

 これについては、各紙に掲載されるようになってきました。今日は、19日の菅官房長官の記者会見が出されましたので、そのことにかかわって、記事を書くことにしました。

 政治利用に当たらず=菅官房長官(2013/04/19-19:32)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2013041900928

「両陛下のご臨席を賜ることはある意味で自然なことだ。政治利用ということは全く当たらない…奄美、小笠原、沖縄がサンフランシスコ講和条約発効後もわが国の施政権の外に置かれていた歴史を忘れることができない。それを含め、未来を切り開く決意を新たにする趣旨だ」

 主権回復の日 菅官房長官、皇室の政治利用批判に反論 2013.4.19 22:12 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130419/plc13041922130020-n1.htm

「まったく批判は当たらない。ご臨席を賜るのは、ある意味で自然なことだ」

 

この記者会見のポイントは、以下のとおりです。

1.全く「反論」にもなっていません。憲法の国事行為との関係で問題になっていない理由が具体的に述べられていません。

2.しかも、この「政治利用」問題について、マスコミから何も質問も行われてもいないことは、大問題です。小沢問題の時はどうだったでしょうか?今回、小沢氏はどうするのでしょうか?

天皇の政治利用

http://www.jicl.jp/urabe/backnumber/20091224.html

3.マスコミが官房長官に質問すらしない、「政治利用」についての政権の発言を引き出すという発想すらないこと、即ち安倍政権擁護・応援団化のマスコミという構図が透けてみえてきます。

 

4.さて、今回の屈辱の日については、すでに、昨年記事に書きました。

4.28沖縄デーに「植民地的従属」を「独立」と称し安住するマスコミは愛国的か?を検証する!

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/3a50d4f2aa89b34478ee59432d4b6796

4.29昭和の日に天皇裕仁の歴史的・政治的・道義的責任を問いつつ、象徴天皇制を考える 

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/ee20273b5fd13e05b46c25eb6e684db7

この問題は、一つには、天皇の戦争責任を曖昧にしたまま、二つ目は、新憲法下における天皇の憲法違反が問題であること、三つ目は、沖縄を生け贄にしていること、などが、問われなければならない問題でした。しかも、この問題は、すでに「第087回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会」(79年4月27日)で共産党の瀬長亀次郎議員が追及したにもかかわらず、事の真相解明と責任を曖昧にしてきたこと、四つ目には、そうした中で、今回の「お祝い」が、しかも天皇を出席させて、「イケイケ」式でやって行ってしまおうという自民党安倍政権の「ノータリン」思想が、その本質にあります。

 そうした視点で、いわば歴史を遡って、質問すらしない、マスコミの知的退廃を示した生きた教材と言えます。この「お祝い」問題は、本来であるならば、安倍政権の命取りになる問題だからです。以下の議事録と自民党内の心配ぶりが、判ります。であるからこそ、マスコミが質問しないことの犯罪的役割が見えてきます。しかも、この国会質疑をどのように報道したか、検証すべきです。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/087/0710/08704270710004a.html

 「主権回復の日」で議員懇談会 自民沖縄議員から配慮要請相次ぐ 2013.3.25 22:11 自民党 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130325/stt13032522120001-n1.htm

 
さて、以下の東京の記事が検索されました。この問題を取り上げたことそのものは、アッパレ!です。しかし、この記事も大いに問題あり、です。以下みてみます。

 天皇陛下、苦難の沖縄に強い思い 「主権回復の日」に心中は (東京新聞)(東京新聞「こちら特報部」4月5日)

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8456.html

…「思はざる 病となりぬ 沖縄を たづねて果さむ つとめありしを」 昭和天皇が一九八八年正月に詠んだ歌だ。…

…この天皇メッセージによって「サンフランシスコ講和条約で沖縄が見捨てられた」と感じている人が沖縄では少なくない。だが、覚書はあくまで米国側がまとめたもので、昭和天皇の真意は不明だ。米国立公文書館から覚書のコピーを収集した沖縄県公文書館はホームページで、「本土の国体護持のために沖縄を切り捨てたとする議論や、長期租借の形式で潜在的主権を確保する意図だったなど論争がある」と紹介している。
 元琉球大教授の政治学者、沖縄対外問題研究会顧問の宮里政玄氏は「米軍部は当時、日本から沖縄を切り離そうと動いていた。日本の外務省も情報をつかみ、昭和天皇に伝えていたのではないか。少なくとも沖縄の主権だけは残してほしいという趣旨だったと思う」と推測する。…唯一の地上戦が展開され、多大な犠牲者が出た上、戦後も長らく米国の施政権下に置かれた沖縄に、昭和天皇が格別の深い思いを持っていたことは間違いない。
 七五年の初訪米の際には周囲に、「先に沖縄県に行くことはできないか」と漏らすほど訪問を望んでいたが、八九年一月に崩御した。…

<デスクメモ> 天皇メッセージには、さまざまな議論がある。昭和天皇はそのことを十分にご存じだっただろう。訪問がかなわなかった昭和天皇の思いを、今の天皇陛下が引き継いでいるようでもある。沖縄の人たちの多くも、今では陛下のそうした心中に心を寄せている。安倍政権にそういう思いやりは見えない。 (国)(引用ここまで

ポイントは、以下のとおりです。
1.沖縄の「苦難」「苦渋」「屈辱」の歴史を考えれば、天皇の感情問題、感傷的な問題にスルカエてはならない!ということです。

2.「覚書はあくまで米国側がまとめたもので、昭和天皇の真意は不明だ」というのは問題です。一つには、天皇は、自らのメッセージが憲法違反であることを知っていたことは、自らが御名御璽をしていることからも明らかです。

二つ目は、この問題で、マッカーサーに自ら対面を希望し、対面していたこともあります。

国会質疑の答弁

瀬長 吉田茂その当時の外務大臣のあっせんで三回マッカーサーに会っていますね。そうなりますと、これは、しかもいまここで申し上げましたのは、憲法が施行されてからの話なんです。ですから天皇の責任は、後で申し上げますが、これは宮内庁、来ておられますか。それから外務省と関係があるのですね。宮内庁にはそういったあれがありますか。簡潔に答えてください、あるのならある、ないのならないと。

勝山(宮内庁長官官房審議官)説明員 お答え申し上げます。
ただいまの御質問で、憲法施行後に天皇が吉田茂の仲介で三回会ったという御質問だったと思いますが、それにつきまして事実関係でございますが、昭和二十二年の五月三日が憲法のたしか施行だったと思いますか、それでその二十二年の五月六日に会っておりますが……(瀬長委員「その前に二回会っておる」と呼ぶ)はい。二十一年の五月三十一日と二十一年の十月十六日と、三回会っております。(引用ここまで)

3.さらに、言えば、いろいろ問題のある文芸春秋『昭和天皇独白録 寺崎英成・御用掛日記』(91年3月)には、以下のように、昭和22(1947)年9月19日が記録されています。問題の本質が何か、明瞭です。

 拝謁  沖縄島

      皇后陛下の服            大努力大成功の日

 大金と話す、くつやる、芦田に会はんとせるもその暇なし

 西野に会ふ、一八一、体重十八貫強

 グリーンに会ふ、バーナーより本来れり

 シーボルトニに会ふ 沖縄の話 元帥に今日話すべしと云ふ 余の意見を聞けり 平和条約にいれず 日米間の条約にすべし

 ラッシニ電話(主権ソバレヌニイの問題)と答ふ(引用ここまで

 

〈注〉二十二年九月、芦田均外相は特別協定を結んで、日本の安全保障をアメリカに依存するかわりに、米軍へ日本本土のどこかに基地を提供し、日本も警察力を増強するという案を、一時帰国する第八軍司令官アイケルバーガー中将に託した。マッカーサーがこれを受けつけてくれる気配がないので、反ソ・反共の中将をとおしてワシントンヘの直訴を試みたのである。

 ところがこの日、寺崎は重要な天皇の意見をシーボルトに伝えている。それは九月二十二日付のマーシャル国務長官あての手紙として残されている。

 「天皇は、アメリカが沖縄をふくむ琉球列島を軍事占領しつづけることを希望している。天皇の意見によると、その占領はアメリカの利益になるし、日本を守ることになる」

 つまり、具体的な軍事占領の形態として天皇が考えているのは、日本に主権を残す形で、沖縄の利用をやむなく許す、ということである。

 「この方式は、アメリカが琉球列鳥に恒久的な占領意図をもたないことで、日本国民を納得させることができよう」

 これが寺崎日記の内容であると思われる。軍事基地提供という点では同じとしても、芦田の日本全土を想定しているのにたいして、天皇は対象を沖縄に限定する。結果論的になるが、アメリカは沖縄限定案のほうに動いた。天皇の卓抜な政略観にびっくりさせられる。(引用ここまで

「注」は半藤一利氏です。

 

以上、官房長官の記者会見から、問題の本質と思うところをみてみました。こうした問題を多方面から追及もしないマスコミ、政権の反論になっていない見解・言葉を垂れ流す退廃ぶり、ここにこそ、自民党政権、日米軍事同盟容認派が続いてきた、何よりの証と言えます。

 さらに言えば、この天皇を免罪する問題は、実は日米両政府の、阿吽の呼吸によるものだったことも付け加えておかなければならないと思います。この沖縄メッセージと砂川違憲判決の合憲化、核密約、TPP参加、中国と北朝鮮の脅威を煽りながら憲法を改悪し、日米同盟の絆を強める=集団的自衛権の行使=米軍の肩代わり=多国籍企業の利権擁護!など、一体的に捉え、国民的に解決していく作業をこそ、新しい政権の枠組みへの展望につながると確信するものです。

 今後も、これらの一つひとつについて記事を書いていきたいと思います。


高校生憲法意識・ナマの声こそ、日米軍事同盟深化派政治の弱点、憲法活かす派の展望浮き彫りに!

2013-04-21 | 子どもの権利条約

以下の高校生のナマの声を読むと、日米軍事同盟深化派の軍事抑止力・新自由主義イデオロギーと憲法を活かす派・日米軍事同盟廃棄派の非暴力・非軍事抑止力イデオロギーが激しくぶつかり合っていることが判ります。

 

来る日も来る日もメディアをジャックして、ウソとペテンを垂れ流している日本ですが、それでも、貫徹できていないのは、国民の側の運動があるからでしょう。ここから教訓を引き出すとすれば、どちらが、どれだけの量と質の情報を国民に届けることができるか!そこにかかっているように思います。

 

愛国者の邪論は、こうした局面に参加し、少しでも憲法を活かし、日米軍事同盟を廃棄、日米平和友好条約の締結、東アジア平和共同体づくりに貢献できれば、と思います。

 

<高校生たちの声> 特徴的な意見を紹介します。

「戦争、平和、紛争、争い、核戦争」など、平和に関するもの。2,408

○戦争の無い平和な世界になればいいと思う。国は力の誇示を止め、武力を捨て去り、話し合いによる決め方をてっていすればいい。(北海道・女子)

○世界中の戦争をやめて、今現在使われている、これから使われる予定である軍事費をすべて、貧しくて学校・病院に行けない人たちがいる国、児童労働をしている国などいろいろな面で貧しかったりお金を必要としている国に与えるべきだと思います。今から10 年の間に、全部が実現したり、すべての戦争・紛争が無くなることは可能性が低いと思いますが、もし先に述べたことがすべて実現したら、世界は平和になり、豊かになると思います。なるべく、一刻も早くそんな世界、社会が訪れてほしいです。(愛知・女子)

○自衛隊に関して、反対する人も多くいるようですが、廃止すべきではないと思います。今の自衛隊の保持する戦力が違憲であると批難する方もいますが、日本の周辺国家を見た時本当にそうでしょうか。日本は世界の多数の国家と違って軍隊ではなく、あくまで自衛隊としての戦力のみ保有しています。これ以上の戦力の低下があれば、周辺国家からの軍事的な挑発行為が多発するかもしれません。米との同盟関係はありますが、他国の防衛に全面的に尽力してくれるかは怪しいです。自国を守る為の力は十分に必要だと思います。(兵庫・女子)

○今みたいな平和な国にしたい。他の国の小さな戦争がなくなる世界にしたい。お金がある人とない人の差別などを減らしたい。憲法全体を変えないでほしい。(秋田・女子)

○日本は、今仕事に就きたくてもできない人がたくさんいます。だからみんな働いていて、貧困な人がいなくて、みんなそれぞれ帰る場所があって、貧富の差も少なくなっていてほしい。世界は、戦争につながるような、武器の開発をただちにやめ、今あちこちで紛争もあるけど、言論でどうにかできないのかと..世界が安全でないと、いくら日本が安全でも、危険なので、地球上すべてが平和になってほしい。すぐに戦争にはしってしまう人に命の尊さを知ってほしい。(茨城・女子)

○私は、とにかく自衛隊が軍隊にならないことを願っています。誰もが思っていることだと思いますが戦争を起して欲しくありません。今、日本をとりまく世界情勢はかならずしも友好的であるとは限りません。中国と韓国、ロシアとの領土問題、北朝鮮のミサイル問題など。ここで、日本国憲法第9条と自衛隊法を変え、武力増強をすると、失敗すると戦争だって起きかねません。また、政治家がもっといい政治をすることを期待しています。大臣を辞めさせることに論点をおかないで、予算審議など、国民が求めていることに論点をおいて欲しいです。(群馬・女子)

○日本はまず軍事を拡大したほうがいいと思う。もし他国にせめられたときアメリカが100%守ってくれるとはかぎらないからである。そしたら日本は自衛隊だけで戦わなければならなくなり、実戦不足、少ない人数、古い兵器の自衛隊は負ける。また、戦闘機もファントムなど第三世代ではなく最新のものたくさん配備した方がいい。そうすれば他国からのあつ力に負けない日本ができると思う。(神奈川・男子)

○戦争は避けるべきです。これは当然です。戦争が起これば双方に死傷者が出るのは確実です。亡くなった方、その家族、友人、恋人etc…戦争が終われば戦勝国と敗戦国が決まりますが、戦勝国でも全く死者を出さずに勝つということはほとんどありません(例外あり)。でもよく考えてください。人の命をぎせいにしてまで戦勝国が手に入れたものは何ですか?それは人の命より尊いモノでしょうか?そもそも人の命以上に尊いモノがあるか?自衛隊がなぜ必要か?それは他国からの侵略に際して、失われる人命を少しでも減らすためです。「人の命を守る」これが人の命を奪う唯一の理由であり、これ以外はありえません。(京都・男子)

○日本国憲法は、前文、または、9 条に代表されるように世界に誇るべき憲法である。世界で唯一の被爆国であり、明治以後の多くの戦争で、多大の犠牲を払ってきた日本は、この世界に類をみない平和憲法を保持し、守るべきである。核兵器廃絶、地域紛争の解決など多くの課題がある国際社会の中で、この平和憲法を持つ日本の役割は大きい。常に地球平和を追求していく考え方を国際社会にしめすべきである。しかし、この憲法は、戦後から一度も改正されていないというのは問題である。67 年前とはちがい、今の日本社会は、多様になっている。そのような中で生まれた新たな人権を守っていく憲法を作っていくべきである。(愛媛・男子)

○日米保安条約を解消して、近隣諸国との平和な関係を築けるようにしたい。(島根・男子)

○現在、憲法第9 条について改正などが提案されていますが、改正の必要はないと思っています。改正すれば自衛隊が戦力として認められるようになる訳ですが、それは間違っていると思います。9 条は世界の誇るすばらしい憲法です。そしてその改正、戦力として認める事は、日本の右傾化につながると思います。戦力として認めるよりも日本政府は他にやる事があるはずです。もちろん改正されれば、日本の脅威となる国のいいエサです。一斉に非難されるでしょう。また、関係性の深い国からも冷たい目で見る国も出てくるでしょうし、日本が平和の国というイメージが崩れてしまいます。防衛費もばかになりません。それよりも国民の社会保障や、国内の問題に目を向けて憲法改正について考えてほしいです。(長崎・男子)

○10 年後は、戦争を経験した人たちがもっと減っていると思います。そのため、戦争につながるようなことを考える人がもっと増えている気がします。この憲法は、二度と同じ失敗をくり返さないためのものであって、いつまでも争いのない日本でいるためのものです。だから、10 年後にも残っていてほしいです。それから、もっと命を大切にできる社会になってほしいです。(大阪・女子)

「学校生活、高校無償化、いじめ・体罰問題」など、教育に関するもの。325

○教育にかかるお金は現在以上に国が補償すべきだと思う。特に、高校卒業後の進学にかかるお金は莫大であり、やむを得ず進学をあきらめる人もいる。しかし、社会は学歴重視であるのは不公平だと思う。(青森女子)

○子供がのびのび育つ社会。教師の生徒へのいじめや、親の子への虐待、をもっと厳しく取り締まるべき。公園で「大声禁止」「ボール遊び禁止」の決まりもおかしい。少子化の時代だからこそ、もっと大事にすることを意識するべき。高齢者のことは科学でどうにかなるが、弱い子供は科学ではどうにもならない。生身人間が子供に対してもっと目を向けるべき。(茨城・女子)

○現実では憲法とは違うことばかりだから、憲法を改正すべきだと思う。そして、日本は教育面で他の国のように無償化したりした方がいいと思う。日本は他の国と違って、礼儀正しいのはいいが、色々と練りすぎな気がする。個性豊かでいいとか、皆違っていていいとは言うものの、実際には周りを気にしていて、表現力とかが、他の国と比べると劣っていると思う。就職するにしても、募集している時は、“型破りな人募集”とか言っているけれど、実際には練りつけられて、全く想像とは違っている。だから日本は昔の考え方や、かたよっている考え方をやめない限り、変わることはできないと思う。(福島・女子)

○大学の授業料は高いなあと思います。私立だとしかたないのだろうけど、日本の今後を支える若者の為に、もう少し国が何とかしてくれたらなあと思います。高いお金を払って大学を出ても、なかなか就職できないようなので、日本の景気が良くなってほしいと思っています。このまま悪くなるばかりなのではないかと、私の将来も不安です。(兵庫・女子)

○若い人達の力で、世界各国の先頭に立てるような技術を持っているような社会になったらいいと思う。現在の子ども達に、情報リテラシーの事を教えて欲しい。世界の国々の事、日本の現在の事、マスコミで流されない情報、見えにくい差別問題、色々な事を知り、自分で考え、相手の事を理解し、今自分が何をするべきかを、しっかりと考える事ができる子ども達が多く育って欲しいと思う。例えば今起こっている中国・韓国との問題。領土問題と在日外国人への差別問題を学校などの場で教えて欲しい。日本人は個人と世間を別にして考えている。このような問題は身近にあるものであり、自分達と関わっているものであるということを、今の若い人達に考える機会を与えて欲しい。こうする事で投票率も上がるだろうし、これからの日本の事にもなると思う。私はただの高校生ですが、日本を愛する日本国民です。読んで考えて下さると嬉しいです。乱文失礼しました(群馬・女子)

「内政、外交、選挙制度」など、政治に関するもの。1,617

○官りょうにいる人が年をとった人ばかりで思考が古くバカバカしいものが、今は特に多いので、選挙を18歳以上にしたり、政治をになう人をもっと若い層の人に入れ替え、昔の発想を捨て、若い意見もとり入れていく。税金の使い道がおかしいし、金をたくさん持っているはずの人が金を出さず、頑張って暮らしている国民に金を要求するのか意味がわからないので、低賃金の人を助成する制度や一定以上持っている人が多く出す制度を作る。(北海道・男子)

○国のトップが、大人が、いちいちビビって動いているようでは、何も変らない。こんなにコロコロ首相が変わるのもおかしい。解散とかすれば良いってものでもない。詳しく深く知っているわけではないが、今の日本も世界もおかしい。ちょっと考えればわかることなのに。国のトップの人たちは頑張ってるのかもしれないけど、大人なのに子供だと思う。子供の単純な、率直な意見の方がよっぽど大人です。どうせできもしないことをやりますと言って失敗をくり返すくらいなら、もっと当たり前に簡単にできることから進めてほしい。国のトップが曖昧にしてはいけないと思う。国民の反応とか、外国の反応とか大事かもしれないけど、それを恐れずにはっきりとできる覚悟とか意志をしっかりと持つことが大切だと思います。(北海道・女子)

○アメリカとか権力の強い国などにもしっかりと意見が言えて、いいなりにばっかりにはならない国になっていてほしいと思いました。(宮城・女子)

○まず、国家を操る立場である、政治家や政党、官僚の腐敗を正す必要がある。今の日本を動かしている大人は、自分の社会的地位や利害を守るために必死で、”日本のため”ではなく”私欲のため”に名声欲なども含まれる。ただ、一部それに合わせざるを得ないが、情熱を持っているというような人もいると思う。しかし、そうでない前者のような人々が国務を行っていること自体が、国民の不利益であり違憲である。目先の利害にとらわれた政治ではなく、比較的長い目で見て、日本を良い国にする政治、例えば若者の意欲を上げたり、少子化をくい止めたり、国家の多額の負債の早急な返済も急務だ。憲法改正は、そのような時代の変化に伴うニーズと共にに改正を加えればよいと思う。それが国民の意思であれば。(山口・女子)

○日本の政治家の人達がただ会議に出るだけでねていたりしてもお金がもらえたり、異常に高い交通費の支給はおかしいと思う。消費税や保険料金の値上げをするぐらいならば、政治家や内閣の人は、一般人からしたら正直なにしてるのかわからない。そういう人達の給料を減らして、その分を国のお金の問題にまわして、国民にお金のふたんをさせないでほしい。ただでさえ不景気で金がないのにそんなことされたら生活していけなくなってしまう。年間兆単位の給料なんて必要ない。サラリーマンなどと同じ、生活出来るレベルの給料でいいと思う。日本の政治家や中心人物たちはおかしい。お前らがゆとりだ。もっと平等な給金をしてください。(埼玉・男子)

○国民は選挙に参加し、政治家たちはその国民の期待に応えるべき。今、増税問題が挙げられているけど、私たち国民も増税に協力するのだから政治家たちの給料も安くするべき。公務員の給料を減らしたり、国民ばかりに負担させるのはおかしい。給料が下げれないなら人員を減らすべきだ。(愛知・女子)

○政府が本当に大切なものだけを見てほしい。政権がどうだとか、誰が偉いかなんて国民にとってはどうでもいいこと。そんなことを話し合うくらいなら、被災地の支援原発問題、沖縄のアメリカ軍基地など国民が長くかかえている問題を解決してほしい。もっと国民の意見を聞いて私たちの問題を解決してほしい。どこか人ごとでない政府になってほしい。(富山・女子)

○ここ10 年程、日本のトップに立って政治を進めていく人達の交代があまりにも早すぎることに不満。国会での野次??がうるさい。人の意見を静かに聞くことは小学生でもできるのに、国の政治を進めていく人達が、人の話きけないなんて見てて本当に幼稚だといつも思うし、そう思わせてはならない立場だということをもっともっと自覚しておいてもらいたい。私が書いていることも届いているのか分からないけれど、このままだとどんどんダメになってしまう。今、実際に議員と一般国民との間にある”壁”をとり除いていってほしいので期待しています。(長野・女子)

○内閣総理大臣がころころ替わりすぎだと思います!小泉さんのときみたいに安定させてアメリカのオバマさんみたいに信用のある社会になっていたらいいです!女の大統領も全然賛成です!勤めて働いた仕事に見合った給料を配り、景気も回復させて、できればホームレスさんなどの人を減らしましょう。体が不自由でないのならバイトでもパートでもみなさん働きましょう!韓国人や中国人、またはハーフの人など差別されていますが、同じ人間なのだから人種はなにであれ、絶対にダメだと思います!頭が良いからと言ってなんでも許されるわけではないですね。給料は働いた分平等に!男だから。女だから。と差別するのもダメです。私は女なので、男ができることができなかったり、その逆もあると思います。10 年後はなくなっていますよ―に。憲法を変えるまえに内閣を安定させてください!もっと国民の意見などに耳をかたむけるべきです。小泉さんみたく支持されるひとが現れて、いまよりももっと生活のしやすい日本、世界になることを願っています。(愛知・女子)

「雇用、就職、働く、ワーキングプア、景気」など、仕事、経済に関するもの。1,181

○日本は現在、不安定な時期にあると思います。私がまず将来に求めるものは「安定」です。試行錯誤する中で、しっかりとした基盤を10 年、20 年を目度に作れると良いのではないかと考えます。また、テレビ等でのインタビューを聞くと高校・大学生の意見に納得することもあります。そのような点で、若い人にも選挙権を与えても良いのではないかと思います。(北海道・女子)

○いわゆる不景気によるリストラで職を失ってしまう人がいるので、そういう人たちが出ない社会になっていくと良いと思う。また、小、中学校で色々な職を体験させ、はやい内に社会に触れさせた教育にしていった方が、将来、自分の夢やしたい仕事などができやすいと思うので改善できると思う。(静岡・男子)

○今、消費税を上げることになっているけれど、消費税を上げたら、人は最低限のもの以外、買わなくなってしまうと思います。そのため今よりもさらにお金がまわらなくなり景気が悪くなると思います。また非正規雇用の人を増やす企業がでてきているけれど、このおかげで、企業側はいいけれど、非正規で不安定な収入しかない人達は、また、物を買わなくなり、これもお金のまわりが悪化してしまうと思います。消費税を上げる前に国会の議員をへらしたり、もっと無駄な所についやしているお金をはぶくべきだと思います。そうすれば将来、もっと景気がよくなっているのではないかなと思います。(茨城・女子)

○これからの日本、世界は、貧富の差などのいじめや差別、大人の場合だと、パートやアルバイトなどの非正規雇用またはニートなど、このような人を減らせていけたらいいと思う。このようなことで、死にいたったりした人もいるので、そういう人は1人でも減らせる社会を作っていきたいと思った。そういう人は何か特別な雇用などを作り、普通の人と同じように生活できればいいな、と感じた。(新潟・女子)

○とても景気が悪くて、若い人たちが就職できなかったり、辞めさせられているのは良くないと思う。今の日本は頑張っている人がたくさんいるのに、政治家の一部の人間だけがムダ使いをしているので、とても許せない。だから、どんな人もほぼ平等の収入が得られるような社会にしていきたい。医療や福祉、新しい技術の開発研究などにもっとお金を使って日本をもっと世界と対等の力を持てる国にしたい。アメリカや中国などに対して、いつも日本は弱腰でとても情けないから、どんな事でも良いので誇りを持って世界一だと言える事を見つけてもっと堂々と外交できる国になりたい。そのためには、もっときちんとした強いリーダーが日本のトップに立つべきだと思う。(岐阜・男子)

○働きたくても働けない、仕事が無い。という人が1人もいない社会にしたい。これからも最低限度の生活を営める社会が良い。(愛知・男子)

○私はきちんと働いて日本の社会に貢献したいです。私は日本が好きなので、日本の社会に役立てるような人間になりたいです。しかし、景気の低迷などで、やる気はあるのに働けない人がいるのもまた事実です。10 年後に私はちゃんと職につけているのか、また、リストラなどされていないかなどが不安でたまりません。なので、ちゃんとみんなが働ける社会になっていればいいと思います。また、ワーキングプアという言葉がありますが、私はこのような人がうまれてくるのは間違っていると思います。一生懸命働いているのに賃金が安すぎるっておかしいと思います。これは現状の制度を変えるべきではないでしょうか。10 年後には労働者がみんなやりがいを持って働いていることを願います。(山口・女子)

「少子化、高齢化、医療、介護、年金、差別撤廃」など、平等、社会福祉に関するもの。1,021

○税金を少しでも減らして高校とかの入学金を払えなくて勉強できない人のために、無償にするべきだと思う。第25 条に最低限度の生活を営む権利を有するとか書いているけど、日本にはホームレスとか、生活できない人が実際まだまだいるので、もうちょっと考えるべきだと思います。(秋田・女子)

○差別がない社会にしたいです。差別があると楽しく明るくすごせていけないからです。今は、人種差別や国籍差別があります。すんでいる所が違うだけで、顔の色がちがうだけで差別されるのは、とてもいやなことです。だから、私は、学校のクラスの人と誰とでも仲よくしています。学校の他にも家の近くの人にもあいさつをしたり、会話をすることで、はげまされたりします。これからも、続けていきたいです。(茨城・女子)

○福祉に対する制度をもっと充実させるべき。現在は少子高齢化もあるし、障害者に対する世間の認識もまだ甘いところがある。障害者だからしかたない、ではなく「基本的人権」をもっとしっかりさせるべきである。また、最近は第9条の憲法が揺らぎつつある。これは絶対に変えるべきではなく、このまましっかりと守っていく必要があると考える。(北海道・女子)

○個人が自己の能力を存分に発暉することができ、能力が低い人にも見切りをつけず、意欲がある人には雇用を与えて成長に期待する社会。外国人などにも通訳などや外国語の分かる人をつけて、能力を活かせる社会。高齢者にも苦痛のない安心して長生きできる社会。職場で一部に大きな負担がかからないような社会など。(宮城・男子)

○とても景気が悪くて、若い人たちが就職できなかったり、辞めさせられているのは良くないと思う。今の日本は頑張っている人がたくさんいるのに、政治家の一部の人間だけがムダ使いをしているので、とても許せない。だから、どんな人もほぼ平等の収入が得られるような社会にしていきたい。医療や福祉、新しい技術の開発研究などにもっとお金を使って、日本をもっと世界と対等の力を持てる国にしたい。アメリカや中国などに対して、いつも日本は弱腰でとても情けないから、どんな事でも良いので誇りを持って世界一だと言える事を見つけて、もっと堂々と外交できる国になりたい。そのためには、もっときちんとした強いリーダーが日本のトップに立つべきだと思う。(岐阜・女子)

○これからの日本を憲法の下、社会福祉を充実させ、特に公平な医療体制の整っている社会にしていきたいと思います。なぜならば、今日の日本社会は死因不明社会とも言われるほどであり、また過疎地域の医療体制の空洞化が進んでいるからです。特に、産婦人科等、特に生命に関する医療の空洞化がひどいと聞いています、皆が公平に医療を受けることができる社会は憲法14 条の下、保障されるべきであると思います。私の市でも、医療の空洞化が徐々に進んでおり、危ぐするべき状態であると思います。(愛知・男子)

○福祉国家になるべき。(ex.スウェーデン)高齢化社会や賃金格差により、一部の人の生活保護に影響が出る。またその子供に十分な教育を与えることができないのが一番最悪。どんな親を持つ子どもも平等な教育を受けることが出来るようになっていてほしい。大学まで無償が理想。女性の労働問題も改善されるべき。外国人労働者がだめとは言わないが、その前にやる気のある国民に職を与えるのがより大切だと思う。(京都・女子)

○差別がなくどこの国籍の人でも、自由に行きたい所に行ける世界。また日本国内も重要だけど世界での貧富の差を少なくし、景気が回復した世の中にしたい。もう少し人口も減らして世界中で温暖化防止など環境のことを考えて犯罪や事件、自殺が全然ない世界中でアットホームな世の中。(滋賀・女子)

○貧しい国が少しでも減って、多くの人々が幸せだと思えるような社会になってほしい。日本だけが豊かではいけないと思う。(佐賀・女子)

「地球、環境、温暖化」など、環境に関するもの。360

○環境の良い国にしていき、みんなが楽しく生活できるようにしたい。原発をなくして、電気をあまり使わない生活をすればいいと思う。Ex朝日とともに起きて、夕日になって暗くなったら寝る。(宮城・男子)

○今、原発を無くすかどうか議論されていますが、私は無くなってほしいです。ですから、10 年後には、原子力というものが全くない世の中になったらよいと考えます。非核三原則もあるように、核は持つべきではないからです。3.11 でそれを改めて痛感しました。また、原子力に代わるエネルギーは、石油などではなく、太陽光など、クリーンエネルギーがよいと思います。太陽光発電が、もっと普及するように、政府から補助金を出すなど工夫してほしいです。10 年後の世の中は、環境が少しでも回復し、みなが心のゆとりをもって過ごせる、おもいやりのある世の中になってたらいいと思います。(山梨・女子)

○まず、エネルギー問題を解決し、国と国との間の関係が深まり互いに助け合い。また、すべての国の国民が幸福な生活を送れるような社会になってほしい。動物と植物がやさしい環境で暮せる条件のもとで、人類が平和でかつ豊かな生活を送れるように力を尽くしたい。世界に驚かせるように偉業を残せるような一生を過ごしたい(笑)。(富山・男子)

○今の現代世界には、世界を巻き込むような大きな紛争はないが、地球温暖化、そして大気汚染などが世界規模で起きている。また、人口増加も、何十年か過ぎた頃には、深こくな問題になっていると思う。人口が増加することによって、その人たちが消費する作物を作る土地を確保しなければならなくなるため、大きな紛争が起きるかもしれない。そのうち、大きな戦争が起きてしまうかもしれない。十分な対策が必要であると私は考える。(愛知・男子)

○まずは原発をなくすことを考えてほしいと思います。次に政治家は国民たちの悩みや意見を聞いて解決できるようになってほしいです。(大阪・女子)

○科学の向上や生活の向上ばかりでなく、自然保護など、もっと昔の日本を思わせることにも力を入れてほしい。心が豊かな国になってほしいと私は思う。(もう充分に生活面では豊かであるため)(岡山・女子)

○人それぞれが違う思想をもっている中でしっかりと話し合い、どんなささいな意見であっても尊重していけるような社会になっており、エネルギーの問題なども新しい技術が開発されて解決しており、またまだ見ぬ知らない事もたくさんわかっていて、その中で人間だけではなく、あらゆる自然の生き物や植物などとしっかり共存していける社会にしていきたい。(大阪・男子)

その他244

○自分は「日本人」だと胸を張っていえる国。(長崎・男子)

○自分が今何をしたって社会に異変は起きない。そう考えて立ち止まっていては何もしないで終わってしまいます。何からしようという気持ちで取り組んでみた方が、たとえ結果が悪かったり出なかったりしても、自分の中で変化がでると思います。今の社会に適合していくと考えるのが無難ともとらえられますが、もう1つ人より背伸びをすることで、社会を違った見方ができるのではないかと思います。おかしいと思ったことはしっかりとおかしいと言える人間、それに気づいて直そうとする人間がたくさんいることが、これからの社会に必要な事なのではないかと僕は思っています。(新潟・男子)

 以上、マスコミが報道しない、高校生のナマの声を掲載してみました。お読みいただきありがとうございます。またこうした声を集め、掲載した日本高等学校教職員組合に敬意を表したいと思います。


日高教の高校生憲法意識調査にみる朝日の位置と高校生の声に耳を傾けないマスコミ報道と反応に大喝!

2013-04-20 | 子どもの権利条約

日本高等学校教職員組合の高校生の憲法意識調査結果が報道されました。今日の段階ですが、この報道の仕方をみると、以下のことが判りました。

 1.朝日共同赤旗では、捉え方が違っていることです。皮肉なことには朝日の立ち居地。すなわちが日米軍事同盟を容認しているが故の問題意識が如実に出たものでした。

2.調査結果に対する反応をみると、今後調査結果が一人歩きしていきそうな気がしないでもありません。その意味で、数字は印象操作という手口を含んだものではないかということです。

3.新聞報道が、高校生のナマの声や日高教の見解を参考にして書かれているかどうか、大いに疑問を持ちました。世論調査の持つ結果主義の弊害と問題点があるように思います。

4.世論調査の奥にある国民意識の背景に何があるかを見ておく必要があると思います。さもなければ、世論調査の名を借りた世論誘導の枠内でものを考えていくことになるでしょう。同時に、世論誘導の枠外からモノを考えていくことと、そのための手立てを講じていくこと、このことが非常に重要になってきていると思います。

(1)どのような事実があるか、

(2)政府の意図的な情報操作があるか、

(3)マスコミの印象操作が如何に潜んでいるか、

以上の視点で世論調査結果と記事を見ていく必要があるように思います。

 

それでは、現時点において検索できる報道について、一覧してみます。

 共同 9条改正、高校生の63%が反対 日高教の憲法意識調査 2013/04/19 19:30

 http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013041901002125.html

 戦争放棄をうたった憲法9条を変えない方が良いと考える高校生は63%に上ることが19日、日本高等学校教職員組合(日高教)の意識調査で分かった。2008年の前回調査より2ポイント上昇した。

 昨年11月に調査し、日高教の加盟組織がある道府県の高校生1万2480人が答えた。

 変えない方が良い理由は「9条を変えると戦争への道を開く恐れがあるから」が76%、「9条は世界に誇るものだから」は15%だった。

 変える方が良いと考える生徒は14%で、「今の9条では対応できない新たな国際的問題が生じているため」や「中国・北朝鮮などの脅威に対抗するため」などが主な理由だった。

 東京 9条改正 高校生6割が反対 日高教調査 2013年4月20日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013042002000116.html

 高校生の六割が、戦争放棄をうたった憲法九条の改正に反対していることが、日本高等学校教職員組合(日高教)の憲法意識調査で分かった。四割の高校生が「自衛隊は憲法に違反しない」と回答。一割強の「違反する」を上回った。

 調査は昨年十一月に実施。二十八道府県四政令市の百四十四校、一万二千四百八十人の高校生が回答した。

 憲法九条を「変えない方がよい」と答えた高校生は63%。二〇〇八年の前回調査と比べて2・1ポイント増えた。「変える方がよい」は14・4%だった。

 変えない方がよい理由は「戦争への道を開くおそれがある」が75・9%を占めた。変える方がよい理由は「今の憲法九条では対応できない国際的問題が生じている」(32・2%)、「中国・北朝鮮などの脅威に対抗するため」(30・9%)。

 「憲法を変えることをどう思うか」との質問では、賛成が23・2%で反対の20%を上回った。賛成の理由は「環境権、プライバシー権など新たな権利を加えるため」が最多の51・3%。反対理由は「憲法の三大原則は世界に誇れるすばらしいもの」(47・6%)などだった。

 「自衛隊が憲法に違反しない」と答えた高校生は45・1%に上り、前回より20ポイント超増えた。理由は「防衛のための組織で戦力にはあたらない」が59・2%。東日本大震災での救援活動を受けて「災害などで救援組織としての規定が自衛隊法にある」が40・2%に上った。逆に「違反する」は12・4%で、前回より6・9ポイント減った。

 琉球新報 9条改正、高校生の63%が反対 日高教の憲法意識調査 2013年4月19日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-205547-storytopic-1.html

 戦争放棄をうたった憲法9条を変えない方が良いと考える高校生は63%に上ることが19日、日本高等学校教職員組合(日高教)の意識調査で分かった。2008年の前回調査より2ポイント上昇した。
 昨年11月に調査し、日高教の加盟組織がある道府県の高校生1万2480人が答えた。
 変えない方が良い理由は「9条を変えると戦争への道を開く恐れがあるから」が76%、「9条は世界に誇るものだから」は15%だった。
 変える方が良いと考える生徒は14%で、「今の9条では対応できない新たな国際的問題が生じているため」や「中国・北朝鮮などの脅威に対抗するため」などが主な理由だった。(共同通信)

朝日37面 (2013年4月20日)

高校生45%「自衛隊、違憲ではない」 被災地活動影響か 日高教調査 

 「自衛隊は憲法違反ではない」と考える高校生が急増-。日本高等学校教職員組合(日高教)が19日に発表した高校生意識調査で、そんな結果が出た。調査は、日高教の組合員がいる高校を中心に数年おきに実施。今回は、全国の高校生1万2480人が昨年11月に回答した。

 自衛隊は「憲法に違反していない」と答えた生徒は45・1%で、前回調査(2008年)の24・8%を大きく上回った。「違反している」と答えた生徒は12・4%。前々回調査から2回続けて減少した。

 「違反していない」と答えた理由(複数回答)は「自衛隊は防衛のための組織であり、戦力にはあたらない」が最も多く59・2%。次いで「災害などで救援組織としての規定が自衛隊法にあるから」が40・2%。日高教は「東日本大震災の被災地で活躍する姿が報道されたことが影響しているのでは」とみている。

 赤旗 「9条変えない」高校生6割日高教が1万人憲法意識調査徴兵制に反対73% 2013年4月20日(土)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-20/2013042001_06_1.html

 日本高等学校教職員組合(日高教)が19日に発表した2012年度高校生1万人憲法意識調査結果で、「憲法9条についてあなたはどう考えますか」との問いに、63%が「変えない方がよい」と答えたことがわかりました(グラフ参照)。「9条は戦後の日本の平和のために役立ったと思いますか」では、「はい」が68・2%にのぼりました。

 「戦後日本が平和であり続けた理由は何だと思いますか」(複数回答)では、「日本国憲法があるから」が42・6%で最多に。「世界の国々と平和・信頼の関係が築かれているから」(34・2%)、「平和を求める運動があるから」(31・1%)、「日米安全保障条約があるから」(28・9%)などの順でした。

 「徴兵制についてどう思いますか」は「反対」が72・5%、「非核三原則を堅持すべきだと思いますか」は「思う」が82・9%でした。

 同調査は1977年度から4、5年おきに実施され、今回で9回目。28道府県4政令市の144校、計1万2480人の高校生と障害児学校高等部生から寄せられました。

 藤田新一書記長は「教育実践上の課題が浮き彫りになるとともに、高校生の意識の健全さに改めて励まされた。これから1年間、子どもたちと憲法について語り合っていく出発点にしたい」と話しています。

 kojitakenの日記

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20130420/1366428786

安倍晋三石原慎太郎や橋下(笑)が「偏向教育」がどうのと言い出しそうな記事だが、この件に関しては下記の「はてブコメント」*1に尽きるだろう。

 id:shigeto2006

戦争に行かされる恐れが最も高い人たちに聞けばそうなるよな。戦争に行く可能性のない中高年のタカ派的な言説など、耳を傾ける必要はまったくなく、即ゴミ箱行きにしてやればよい。 2013/04/19

 そりゃ誰しも死にたくはない。ましてや彼らは「戦争適齢期」を目前にしている。安倍晋三石原慎太郎や橋下(笑)が真っ先に死にに行くなら誰も止めはしないが、現実は間違ってもそうではない。

 コメント一覧

suterakuso 2013/04/20 14:15 高校生が平和主義者だというのは否定しませんが…。
日高教というのは、全教系の組合であり、全教というのは全労連系の組合です。そうした組合に加盟している人たちがおこなった調査だということが押さえておかなければならないことの一つです。それから、この手の調査って、今時、実際の教育現場で、組合員だからといって、誰でもするものですかね?否、と推測しますが、推測が正しければ、なおさら特別な環境で特別な人たちによる調査ということになります。つまり、バイアスがかかっていますよ、ということを一応、付け加えるべきだと思います。

 このコメントに世論調査の本質が、ある意味出ています。日高教は全労連系、ま、共産党が出てきていませんが、そういうことでしょう。でもこのことは、読売、朝日、産経、共同などなど、どこがやっても同じということです。いわゆる「この手」調査です。

 それにしても「組合」が「実際の教育現場」で高校生の憲法意識調査をすることがどうしていけないのでしょうか?本来は政府がやるべきことではないでしょうか?勿論憲法擁護の立場で、ね。理由は憲法第99条の憲法尊重擁護の義務があるからです。

 問題は、どのような「問いかけ」をしているかどうか、そこが問題です。質問の仕方で回答も変わるからです。このコメントの方は、日高教の具体的な質問項目を見たのでしょうか?圧倒的多数の方は、そういうことはしないと思います。多くの世論調査も、そのような質問の仕方を分析して結果報告はなされていません。だから、数字を出した方が「勝ち!」ということになります。

 そこで、日高教のHPをみてみました。ありました!以下検索していただければと思います。主な点について、日高教が、高校生の憲法意識について、見解を発表していました。この部分について、ほとんど報道されていませんので掲載しておきます。

 ここに、記事を書くマスコミの問題意識立ち居地が見えてくるように思います。

 2012年度高校生1万人憲法意識調査」のまとめを発表

http://www.nikkokyo.org/

 設問の沿って、高校生の意識の特徴が、以下のように書かれています。

1高校生の約97%が,憲法を学んでいる(基本設問B・C)

2 高校生は,9条を生かした平和な社会を求めている(Q1~3)

3高校生は,自衛隊をどのようにとらえているか?(Q4)

4高校生は,一貫して「徴兵制」「核兵器」にNO!(Q5・6)

5高校生の約半数は,基本的人権が「尊重されていない」と感じている(Q7~10)

6 6 割近くの高校生が,教育を無償にすべきだと考えている(Q11~13)

7高校生は,働く権利が保障されていないと感じている(Q14・15)

8高校生は,労働組合を知識としては知っている(Q16・17)

9高校生は,政治参加については模索中(Q18~20)

10高校生は,平和主義の憲法を変えない方がよいと考えている(Q21)

11高校生は,平和で安心できる社会にしたいと考えている(Q22)

 

Q22 では「21 世紀の日本・世界をどのような社会にしたいと思いますか。10 年後くらいを想像し、思うことを回答欄に自由に書いてください」と記述での回答を求めました。何らかの記述回答があったのは、7,156人でした。キーワード群によって意見を大別し、その結果は以下の通りです。

 ①「戦争、平和、紛争、争い、核戦争」など、平和に関するもの。2,408 人(33.7%)

②「学校生活、高校無償化、いじめ・体罰問題」など、教育に関するもの。325 人(4.5%)

③「内政、外交、選挙制度」など、政治に関するもの。1,617 人(22.6%)

④「雇用、就職、働く、ワーキングプア、景気」など、仕事、経済に関するもの。1,181 人(16.5%)

⑤「少子化、高齢化、医療、介護、年金」など、平等、社会福祉に関するもの。1,021 人(14.3%)

⑥「地球、環境、温暖化」など、環境に関するもの。360 人(5.0%)

⑦その他。244 人(3.4%)

 今回も、前回と同様、「平和」に関するものが最も多い結果となりました。多くの高校生は、平和で安心できる社会にしたいと考えている一方で、他国からの干渉や武力攻撃に備えて軍備を整えるべきという意見も見られました。また、「雇用」や「平等」に関するものが多かったのも今回の調査の特徴です。

 高校生のナマの声は別途に掲載します。 

愛国者の邪論

ここに書かれていた高校生のナマの声、大変貴重なものです。高校生と言えども、やはり大人と同じ社会に生きているのです。大人と、それほど、変わらない意識を持っていることが判ります。

 マスコミが、「これでもか、これでもか」と垂れ流す情報の中にあって、影響を受けている部分もあるかと、思えば、そうでもない部分もあります。そこです!日米軍事同盟深化派の弱点は。そこです!日本国憲法を暮らし活かす派の強みは!

 どのような情報をどのような量と質をもって国民に伝えていくか、そこにかかっていると思います。この意識調査にみる高校生のナマの声が教えていることは、そういうことです!

以下、日高教が、課題を書いていましたので、掲載しておきます。ご覧ください。

 

 調査を通して、以下の三点が特徴的に表われ、様々な課題も浮かび上がりました。

 1.多くの高校生が憲法に信頼を寄せ、とりわけ憲法9 条を生かした平和な社会を求めている。

 

憲法9 条を「変えない方がよい」は、前々回の4 割台から前回6 割台に急増しましたが、今回の調査でも若干ですが増え続けています。自由記述の部分では、平和についての記述が3 割以上あり、高校生たちも日本以外の国々で起こっている紛争などにも関心を持ち、日本だけではなく全世界の平和を望む意見が多くみられました。このことについて、9 条が戦後の日本の平和のために役立っているとの回答が7 割近くを占め、高校生たちが、戦後日本が一度も紛争に巻き込まれなかった要因が9 条にあると考えていることが示されています。背景として、シリアでの内戦や領土問題をめぐる中国や韓国との緊張関係などについてメディアを通して知り、平和の問題を身近なものと感じるようになってきたことがあるでしょう。そして、「徴兵制」については、高校生たちは7 割以上が「反対」と答え、非核三原則についても8 割が「堅持すべきだと思う」と答えています。これらのことからも、多くの高校生は、核兵器のない平和な社会を強く願っていることがわかります。一方で、憲法第9 条を「変える方がよい」も前回よりも増えていることも、直視しなければならない結果です。今後も9 条が国際的に果たしてきた役割について、高校生たちにもっと伝えていく必要があります。

自衛隊については、憲法に「違反しない」と考える高校生が、「違反する」と考える生徒の割合を3 倍以上うわ回りました。しかしながら、「違反しない」と考える高校生も、自衛隊に軍事的な役割を期待している割合は低くなっています。防衛のための組織で、戦力にはあたらないとの回答が6 割近くあり、また一昨年に起こった東日本大震災での救援、復旧活動での様子が大きく影響を与えていることもうかがえる結果となっています。「どちらともいえない」と「わからない」をあわせると4 割を超えることにも、注目する必要があります。自衛隊が憲法に違反するかどうか、とりわけ第9 条との関係は、国論を二分する大きな問題です。

しかし、解釈改憲により自衛隊が海外に派遣され、紛争地で公然と活動する状況となった現代において、もはや判断をうやむやにはできません。日中戦争、太平洋戦争など、過去の戦禍で軍隊がどのような役割を果たしてきたのか、という歴史的事実に照らして、私たち教職員をはじめ大人自身がこの問題をしっかり直視し、高校生とともに考えていくことが求められています。

 

2.高校生は、憲法に規定されている基本的人権が十分保障されていないと感じている。

 

法の下の平等、勤労権などの諸権利が十分に尊重・保障されていると回答した高校生は、3 割未満にとどまっており、生存権については2 割未満となっています。今回の調査で初めてたずねた「幸福追求権」についても半数近くが尊重されていないと答えています。勤労権については、全体で6 割以上が保障されていないと考えています。重大な社会現象ともなっているワーキングプアに関しての、非正規雇用についても肯定的な考えは極めて少数です。

これらの諸権利について、高校生がさらに具体的に学習をすすめられるようにしていくことが大きな課題です。

また、働く機会が保障されていないと考える生徒のうち8 割以上が景気の問題があるととらえていることも注視すべきです。1990 年代以降、労働者派遣法の改悪が繰り返されるなど、雇用と働くルールが企業にとって都合のいい、逆に労働者にとっては不利な方向に改悪されてきました。「働く機会の保障」を「景気の問題」と自然現象的にとらえてしまうのではなく、憲法の規定にもとづいて、労働者の雇用と生存権を守るために国に制度を整えさせ、企業に社会的責任を果たすよう求めていく視点が重要です。一方で、労働組合や団体交渉については、認識している比率はともに6 割を超えていることから、従来行われている進路学習に加えて、働く権利やルールをきちんと学ぶ労働者教育のための実践が必要でしょう。

最も身近ともいうべき教育を受ける権利については、保障されていると答えた生徒が半数を超えています。「教育を無償にすべき」と答えた高校生も6 割近くいることから、教育を受ける権利を行使する主体としての認識は、2010 年度からの公立高校授業料無償化や私立高校の就学支援金制度の影響を受けての結果でしょう。学校も含め日常の生活実態を反映した結果であり、高校生たちが基本的人権を行使する場面を増やすような教育実践が求められています。

そして、多くの高校生が憲法にうたわれている諸権利の保障、とりわけ平等で安心してくらせる社会を求めていることが、自由記述の回答からみられました。高校生の自主性、主体性にもとづくクラスや集団づくり、そして地域や保護者とともに参加と共同の学校づくりをすすめ、教科・教科外を問わず、生徒を主人公にした教育活動を推進していくことが求められています。

 

37 割を超える高校生が今の社会には決して満足はしていないものの、どのように社会参加・政治参加していくべきなのか模索している。

 

このことは、18 歳選挙権に対して、18 歳で国民投票に参加することに対して、ともに「賛成」が約3 割という数字にあらわれています。しかし、前回の調査に比べると、ともに賛成の比率は上昇しています。教育の無償、高校統廃合や私学助成削減問題、原発問題、平和などをめぐって、多くの高校生が積極的に意見を表明し、行動に参加している状況も広がっています。また、東日本大震災の後、たくさんの高校生がボランティアに参加したり、被災地の高校生とつながり、励まそうと行動する姿も多くみられました。このような高校生たちの主体性を発揮できるよう、子どもの権利条約の観点からも、意見表明権を保障していくことが大切です。

日本国憲法は日本が民主主義国家であることの根底をなすものであり、主権者である国民の政治への参加を前提にしています。国民一人ひとりの政治参加の意識なしには憲法は意味をなさなくなります。すべての国民が、民主主義社会の形成者としての力を、社会に巣立つ前に身に付けることが求められています。

 

以上のことをふまえ、私たち教職員があらためて日本国憲法を学ぶとともに、高校生が、平和で民主的な社会を担う主権者として成長するための課題について、以下のことを提起します。

(1)あらゆる教育活動の中で、高校生が憲法を学び、いかす取り組みを積極的につくります。

(2)管理と競争の教育ではなく、生徒を主人公にしたクラスづくり、学校づくりなどを積極的に展開します。

(3)生徒会活動、部活動、サークル活動、学校行事などにおいて、高校生の自主・自治活動を重視します。

(4)三者(四者)協議会への生徒参加をすすめるなど、ひらかれた「参加と共同の学校づくり」をすすめます。

(5)長年にわたる平和教育の蓄積をいかし、沖縄・広島・長崎への修学旅行にとりくむなど、平和学習を積極的にすすめます。

(6)高校生のアルバイトの実態や就職活動にてらし合わせるなど、働く権利やルールを具体的に学ぶ労働者教育をすすめます。

 

この調査結果をもとに、日本国憲法について、そして私たちがつくっていくべき平和で民主的な社会について、大いに議論が展開されるとともに、全国各地で主権者教育が推進されることを願っています。

 

 愛国者の邪論

こういう高校目線と憲法目線をもった組合があるからこそ、戦後の教育が、それでも維持されてきたのではないでしょうか?!しかし、このよう組合の活動は、多くの国民が知っているかどうか、です。「この手」の報道の仕方で曖昧にしている日本の状況においては、組合と圧倒的多数の国民との共同は、大変難しい限りです。

 だからこそ、自民党政権は組合敵視政策を執拗に取ってきたのではないでしょうか?「不祥事」を利用して、組合と国民を分断するという手法で。この問題は、今後の課題としておきます。


日本の喫煙文化の自己検討もせず北朝鮮を揶揄しながら対立と分断を煽る産経の知的退廃に大喝!憲法をこそ!

2013-04-20 | 日記

昨日は日本のマスコミの印象操作について記事を書きました。日米軍事同盟深化派の悪質な思惑、憲法改悪のネライの典型として、産経の知的退廃を示す資料を掲載しておきます。

 産経は「儒教の教えが色濃く残る朝鮮民族にとってはもってのほかのはず」などと言っていますが、産経風に言えば、同じ儒教を日本の伝統文化としてもつ「日本民族」として「もってのほか」の事実をあげることにについては、枚挙に暇がありません。

その際たるものが、産経が復活を夢見ている教育勅語です。これについては、以下の記事をご覧ください。

 橋下「維新の会」のようなウソとペテンは昔からだったが、それを見抜くために、「教育勅語」を例に 2012-03-08 23:54:20

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/e72322c9d90deabb86ec68a98b36deb1

 

もう一つ、印象操作についても、以下の記事をご覧ください。

北朝鮮報道から日本を観て想う、いくつかをメモに 2011-12-26 09:24:07

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/b745934374ebb9f63c23250a3aa1f358

 

 それでは、産経が、ことさら強調した北朝鮮の「喫煙文化」の淵源が、軍事費捻出の玉手箱であった消費税徴収によるものであったことを示す資料を掲載しておきます。戦後も同じです。この「喫煙文化」の不道徳ぶりは、たばこのゴミと未成年の喫煙習慣として首都東京と全国の学校を覆っていました。

それを産経の忌み嫌う日本国憲法第25条(健康権)と第13条(幸福追求権)を基盤として、嫌煙権が主張され、さらに「人格権」にも発展させてきた結果、今日の日本における「喫煙文化」が構築されてきたのです。

 この考え方を、フクシマの放射能汚染に、ゲンパツ再稼動に適用すること、尖閣・竹島など領土問題の解決の視点として適用させること、想像力を逞しくすることで、日本国憲法こそが、国際紛争の最大の「抑止力」、紛争解決のための手段であることが判ります。人利の叡智を無視する産経にはとても理解できない思想です。

 

曽野綾子が登場します。この人、安倍首相の「オトモダチ」として、有識者として、ご活躍中です。以下ご覧ください。偶然ではなく、必然でしょうね。その結果も・・・。

教育再生実行会議委員に曽野綾子氏ら内定  2013.1.8 19:43

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130108/plc13010819450016-n1.htm 

 

それでは、長くなりますが、ゆとり・時間があれば、お読みください。

 

牧野賢治『タバコロジー 嫌煙・禁煙・あなたの健康』(毎日新聞社 1978年7月刊)

新宿駅では、一九七七年九月のある日、タバコの吸いがら調査を実施した。駅構内で発見されたタバコは二十三万本。うち九万本は吸いがら入れにあったが、残り十四万本は投げ捨てられたもの。十四万本の内訳は線路六万六千本、コンコース四万四千本、ホーム三万本。予想どおり線路が多く、とくに混雑の激しい山手線が最悪。線路のバラス(砕石)がタバコでかくれるほど。一日三トンのゴミの五十分の一がタバコである。駅構内には、吸いがら入れが三百四個ある。かなりな密度といえるだろう。ホームの柱にもちゃんとある。(引用ここまで

 

 仲野暢子『禁煙教育実践記 教師と生徒のタバコ戦争』(あいわ出版 1985年2月刊)

 それでもまだ、この程度の変化では、タバコ産業はひるまない。欧米諸国での人々のタバコ離れや、政府の喫煙場所規制、宣伝規制、健康教育などによって狭められた失地を回復するため、多国籍タバコ会社は、タバコ天国日本をねらって、輸入促進に圧力をかけてきた。八五年四月から、外国タバコが自由化されれば、ムードに弱く懐の暖いヤングや、女性向けの宣伝が、日本だけで許されているラジオ、テレビCMを含めて、洪水のように押し寄せるだろう。

 明治製菓が世界最大のタバコメーカー“BAT”の子会社と提携して、外国タバコを販売しようと計画したのも、その前ぶれを思わせた。

 製菓業最大手の明治製菓が、全国にもつ販売網を活用すれば、子どもたちが出入りするパン店、菓子店に、見た目も華やかな外国タバコとポスター、看板が並ぶことになる。テレビラジオのCMも、従来の菓子類、健康食品に加えて、タバコが入れば賑々かに茶の間を独占する。

 嫌煙団体などの強い抗議に会い、企業イメージを損うことを惧れて、明治製菓はこの計画をとりやめにしたけれど、その他いろいろの手段で、各種の外国タバコが、小さくて大きい市場(アメリカに次いで西側二位)日本列島を虎視耽耽とねらっている。

 当然一九八五年に発足する、民営の“日本たばこ株式会社”(政府出資三分の二)は、新製品の開発や国産グバコの宣伝に今以上力を注ぐだろう。世界の大資本同士の戦いが展開されて、日本列島は、タバコ、タバコの大合唱に包まれるかもしれない。

 これを規制する法律を、日本政府は作っていないし、当分作る気配もない。

 嫌煙団体の申し入れは、宣伝規制をはじめ、喫煙場所規制と環境浄化、健康教育を求めて、関係各省、地方自治体の他、国鉄、地下鉄等へとくり返されているけれども、行政の腰はまだ重い。

 世界最高といわれている、日本人男子の喫煙率もここ一七年間に一七%下って、六六・一%になった。外国タバコの大量流入を控えて、先行きが心細くなった国産タバコを、中国、東南アジア向けに輸出しようと、専売公社が九〇%出資の“日本たばこインターナショナル(株)が、一九八四年四月に発足した。

 「第三世界に害毒をもちこむな」と抗議にかけつけたのは、フィリピン消費者運動機構会長のアマルゴさん、国際消費者機構会長ファザール氏(マレーシア)は、「WHOの勧告を受けて、世界中の国が反喫煙運動にとりくんでいる時、日本政府と一体の専売公社が、新たに輸出を計画するのは、アジアの人々の生活や健康について、どう考えているのか」…「第三世界は食糧も十分ではないが、もうひとつ問題なのは、必ずしも必要でない食品の輸入が増え、はんらんしていることだ。粉ミルク、清涼飲料水、化学調味料……それからタバコ。先進国の企業は、貧しい人々が必死になって稼いだわずかな金を、そんなジヤンクーフード(ガラクタ食品)を買うのに使わせようと、派手な宣伝活動をしている。日本は経済、技術で成功し、世界一とたたえられるまでになったが、環境や人権への配慮が遅れている。先進国で有害視され、需要の落ちた商品が第三世界に押しつけられる傾向が強まっていることを考えてもらいたい。日本のタバコ輸出がいい例だ。日本政府はなぜ、第三世界に不健康を輸出するのだろうか。消費者は日本の政府や企業が第三世界で何をしているかに目を向け、監視してもらいたい」といっている。

 タバコの問題は、個人が財政政策やコマーシャリズムの犠牲にされているのと同時に、自分で手を下して、本人や家族の健康や環境を蝕むという二つの面をもっている。

 有害だと断定された物質を自分で吸ったり、他人に無理に吸わせるのは、嗜好のうちに入らないし、人権蹂躙りんにも等しい。しかし、明治以来、政府が無料で配ってまで奨励し、長い間の習性から、中毒に近くなってしまったスモーカーを、一片の法律で罰そうとしても、問題は解決しない。(引用ここまで

 

伊佐山芳郎『嫌煙権を考える』(岩波新書 1983年1月刊)

 軍備拡張とたばこ専売制の成立

 一八世紀後半、イギリスは中国から大量に輸入するお茶に対抗できる輸出品がないため、貿易収支にアンバランスをきたしていた。そこでイギリスは、東インド会社の専売品であったアヘンを中国に輸出し、その均衡を保ったことはよく知られている。つまりアヘンは、歴史的に、国の財政収入獲得の政治的商品として使われたのである。実はたばこも歴史的にこれと類似した性格をもっている。

 明治の初めの頃は、たばこは民営であり、税金もかからなかった。その流れを変えたのは、一八七五年(明治八年)一〇月四日の太政官布告第一五〇号の「煙草税則」である。これによって、わが国ではじめてたばこに消費税が賦課されることになった。具体的には、小売商人が消費者にたばこを売るときに印紙を貼るという方法をとった。しかしこのやり方は当時の小売の実態にそぐわず、税を逃れる者が多かったという。なぜかというと、当時のたばこの売買は、消費者が小売業者に需要量を申告し、これに対して小売業者がたばこを紙で包んだり、あるいは消費者が携帯しているたばこ入れに直接移すというやり方がほとんどだった。だから脱税するために意識的に印紙貼用をしないというよりも、売買の実態からして、印紙貼用になじまなかったらしい。そういうこともあって、この煙草税則はたびたび改正されている。

 一八九四年(明治二七年)八月、日清戦争が勃発した。翌一八九五年四月、わが国はこの戦争に勝つと、市場を国外に拡張していった。企業は大好況を迎えたものの、国内では物価がどんどん上がり、インフレは慢性化していた。全国各地で米騒動が起き、労働者のストライキが頻発した。政府は、労働運動や農民運動を抑えこむために、一九〇〇年(明治三三年)悪名高い治安警察法を制定して、労働者・農民を弾圧した。

 この法律は、集会・結社・言論を弾圧するための伝家の宝刀として猛威をふるった。たとえば、一九〇一年(明治三四年)にわが国ではじめて結成された社会主義政党「社会民主党」は、この治安警察法により、結社と同時に即日禁止されている。

 他方、政府は国家財政を立て直すために各種の新税創設とともに、たばこからの税収入増大をはかって、葉たばこの買上げだけを独占する「葉煙草専売法」を一八九六(明治二九年)三月に制定し、二年後の一八九八年ー月一日から施行した。このため、たばこ耕作者がつくる葉たばこは、いったん国が独占的にこれを買上げ、それをたばこ製造業者に売却するというシステムがとられたわけである。当時民間の強い反対があったけれども、政府は葉たばこ専売を断行した。その裏には次のような政治状況があった。日清戦争後、ロシアや西欧帝国主義諸国が東洋に進出する動きがあり、わが国はこれと対抗するために軍備拡張の道を歩んでいた。つまり葉たばこ専売は戦費調達のためにとられた手段であった。

 特筆すべきは、日清戦争中、政府は恤兵品として出征軍人に紙巻たばこや口付きたばこを贈り、復員後の兵士らに喫煙習慣をうえつけたことである。

 その後日露戦争が勃発した一九〇四年(明治三七年)、さらなる戦費調達のため、葉たばこの買上げだけでなく、たばこの製造に至るまでの全部を国が独占する完全専売制に移行すべく、「煙草専売法」を制定することになった。

 このようにして、たばこ消費税の大幅増徴の体制が整えられた。たばこだけではなく、日清戦争後日露戦争に至るまで、各種の税の新設、増徴が相次いだ。日露戦争が勃発した一九〇四年当時の、税収増額に占める消費税の割合は六五パーセントの高きに達している。ここに間接税中心の租税体系の原型ができ上がった。これは地祖以外に期待できる直接税の税源が乏しく、それにもかかわらず西欧帝国主義諸国との角逐の結果、莫大な軍事費を捻出せざるを得なかった当然の結果であった。

 かくして、たばこ専売制は政府による軍備拡張路線の落し子であったということができよう。その後、たばこ専売事業が順調に伸び、喫煙者が増加していった歴史的過程を考えれば、今日のわが国の、成人男子の異常な喫煙率の高さに合点がいくというものである。

 日本専売公社が発足したのは一九四九年(昭和二四年)六月である。この、年は下山事件、三鷹事件、松川事件と世の中を震憾させた大事件が立てつづけに起こった年である。前年の一九四八年(昭和二三年)七月に、マッカーサー書簡が発せられ、そのなかで専売事業の組織変更が指示されたのに伴い、日本専売公社が設立されたのである。

 専売公社は、一九六一年(昭和三六年)九月に「たばこ事業長期計画」、一九六八年一一月「これからのたばこ事業」(長期経営計画)、一九六九年六月「第一次中期経営計画」、一九七四年二月「第二次中期経営計画」というように、次々に経営の合理化・近代化をはかり、世界でも有数の販売実績を誇るほど成長を遂げてきた。…

 喫煙防止対策を考える

 それでは青少年の喫煙を防止するのにはどうしたらよいか。「未成年者喫煙禁止法」の制定過程から見てみょう。

 未成年者喫煙禁止法は、一九〇〇年(明治三三年)に制定されている。当時小学生の喫煙がかなりひどかったようで、一八九三年(明治二六年一二月、学習院が次のような禁煙令を出している。

近来世上に於て幼年者姻草を嗜好するの風大に流行し其の甚しきに至ては学校往返の途上恬然之を喫する者あるに至る

元来喫煙なるもの衛生に害あるとは医家衛生家の定説にして殊に弱年の者に在いては其の害多く且つ風儀を傷ふこと甚た大なりとす先に本院に於て中等学科三年級以下の学生の喫煙を禁止せしも畢竟之か為めなり

抑も喫煙は一の痼疾となるものにして幼時に於て一旦此癖習を生すれは成年に至て益其の度を進め容易に之を脱すること能はさるは世人の多くは喫煙の有害なるを知りても終に之を廃すること能はさるを以て知るへきなり是れ喫煙を幼年者に厳禁するもの最も肝要なる所以なり而るに当今本院幼年の学生中此の禁を犯し有害なる喫煙の為に懲戒処分を受くる者往々増加するの傾きあり依て爾来一層取締を厳重にせしむるは勿論なれとも各自に於て深く喫煙禁止の主旨を服贋し以て他の流行に誘はれ或は己の嗜好に任せて此の恐るへき害毒を蒙り且つ之か為め懲戒の処分を受けて身躰と名誉とを両ながら損傷することながらんことを期すへし

  右訓令す

    明治廿六年十二月            学習院院長子爵 田中光顕

 翌一八九四年八月二九日には、文部大臣井上毅の名前で、「小学校二於テ生徒ハ喫姻スルコト及姻器ヲ爽帯スルコトヲ禁スヘシ」という訓令が出ている。

 右の禁煙令や文部省の訓令を読むと、年端もゆかぬ小さな子どもがたばこをくわえながら街中を歩いている様が目に浮かんでくる。

 筆者にもこんな経験がある。一九八一年六月にオランダのパークで開かれた国際消費者機構の世界大会に出席の途上、アムステルダムの街を散策したとき、一〇歳前後の少年少女がたばこを吸いながら路上を歩いているのに出くわしてびっくり仰天した。オランダには、現在も未成年者の喫煙を禁ずる法律がないのである。わが国においても当時はその上うな法律がなく、子どもの喫煙が放任されていたのである。

 こうして子どもの喫煙防止をめぐって大きな社会問題になり、ついに根本正衆議院議員らの熱心な立法制定活動により、一九〇〇年(明治三三年)二月一九日、「未成年者喫煙禁止法」が貴族院で可決、四月一日から施行された。たった四条からなる短い法律なので、現行のものを紹介しておきたい。

  第一条 満二十年二至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス

  第二条 前条二違反シタル者アルトキ八行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為二所持スル煙草及器具ヲ没収ス

  第三条 未成年者二対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハー円以下ノ科料二処ス

   ②親権ヲ行フ者二代りテ未成年者ヲ監督スル者亦前項二依リテ処断ス

  第四条 満二十年二至ラサル者二其ノ自用二供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者八十円以下ノ罰金二処ス

 (注) 罰金等臨時措置法により、第三条一項の科料については「一円以下」を「二十円以上四千円未満」に、第四条の罰金については「十円以下」を「八千円以下」と改正。

 それでは、この法律は純粋に青少年の健全育成を目指したものであったかというと、決してそうではなかった。

 当時の社会状況・政治状況については、前に述べたように、わが国は日清戦争に勝ったあと、ロシアや西欧帝国主義諸国と対峙しており、戦費調達のために、たばこ専売制を確立しようとしていた。国内では治安警察法による民主勢力弾圧の嵐が吹き荒れていた。

 このような状況のなかで、未成年者の喫煙防止の問題が論じられていくのであり、当時の国家政策とは利害が対立していた。当然政府は、未成年者喫煙禁止法の制定には消極的であった。しかし、「幼年者が煙草を吸うため肺が悪くなり、徴兵に取られぬようになっては甚だ憂うべきこと」(貴族院での議員発言)という考え方が結局勝利をおさめたといういきさつがある。未成年者喫煙禁止法は、富国強兵策の落し子といえなくもない。

 このように、未成年者喫煙禁止法制定め意図には問題があったといわざるを得ないけれども、青少年をたばこの害から守るために、未成年者の喫煙を禁ずる法律を制定した意義は大きい。

 だが、この法律があるにもかかわらず、今日ふたたび未成年者の喫煙増加を見るとき、この法律の機能についてあらためて考えてみる必要がある。

 いうまでもなく、未成年者喫煙禁止法は、子どもの喫煙を禁じている。だから喫煙する子どもがこの法律に違反することは当然である。(引用ここまで

 

 牧野賢治『タバコロジー 嫌煙・禁煙・あなたの健康』(毎日新聞社 1978年7月刊)

未成年者喫煙禁止法

 世界でも例をみない日本の未成年者喫煙禁止法(資料参照)は、七十八年前の一九〇〇年(明治三十三年)三月七日に公布され、同年四月一日に施行された。同類の未成年者飲酒禁止法の制定が一九三六年(大正十一年)三月三十日だから、その二十二年も前のことだった。

 その母体となったのは、前年の一八九九年十二月七日の帝国議会衆議院に、根本正議員ほか四人が提出した「幼者喫煙禁止法案」。根本議員らは、その理由として「煙草は阿片の如くナコチック及びニコチンを含蓄するが故に少年にして之を喫するときは其体質害毒に感染し易さを似て神経を麻庫し知覚を遅鈍にし国民の元気を消耗するの患あり、独逸政府は十六歳以下のものは喫煙を禁ずるの法律を制定せり。これ喫煙は彼等の身体の発育を妨げこれをして軍人たるに不適当ならしむるにあるが故なり。米国の一報告によるに米西戦争に於て軍医の為に兵役より排斥せられたる青年の百分の九十は喫煙の悪結果に基くと云う。又現に在東京米国特命全権公使ハック氏の言にバージニア州及びアイオワ州の如く十八歳以下の者に対し煙草販売禁止法を施行せる各州の少年を他州に比するに徴兵検査の成績頗る好結果を呈せりと云う―」と説明している。

 法案審議の過程で、対象年齢は原案が十八歳未満とあったのを二十歳未満の未成年者と変えられるなどされたが、結局ほとんど満場一致で可決された。当時の社会的風潮は、タバコはまだ民営。一八九五年(明治二十八年)ごろから、両切の紙巻タバコが製造、販売されるようになり、各タバコメーカーは宣伝合戦をくり広げていた。

 そのため誇大宣伝や景品付販売が行われたが、あるメーカー一等は自転車がもらえるくじ付き販売を行ったところ、小学生に爆発的人気となり、タバコを買って吸い、中毒をおこす小学生が現われ、社会問題となったといわれる。

 それに加えて、政治的には、日清戦争が終わり、富国強兵策がさらに強まっていた。法案提案理由にも述べられているように、強い兵隊づくりのためには、諸外国での議論からみて、若い間はできるだけタバコを吸わせない方針が、当時の国岡づくりに必要だと判断されたのである。

 もっとも、貴族院での審議では反対意見も出され、「積極的に取り締まれないのではないか」「法律で決めるべきことではない」という声もあったという。また、一九〇〇年(明治三十三年)三月 一日付の東京日日新聞には、「禁煙法と教育者」という記事が載り、「本法の実行については単に行政官のみに依頼せず……未成年者教育の任に当れる学校教員の如きは自ら喫煙の風習を打破し実践の例を示さざるべからず」と警告している。七十八年前もいまも考えるることは同じなのだ。

 ところで、未成年者に対する外国での法的規制はどうか。一九七七年現在では、米国はほとんどの州で未成年者(十六~十八歳未満)に販売禁止、英国は児童法で十六歳未満に販売禁止、西ドイツは「公共の場所における児童の保護に関する法律」で十六歳未満の者は公共の場所において喫煙禁止、ただし既婚者は除外、オーストリアは州法で公衆の面前で喫煙できる最低年齢を規定(ウィーンは十八歳、その他は十六歳)、カナダは連邦法で十六歳未満に販売禁止、オーストラリアは州法で十六歳未満に販売禁止、イタリアは十八歳未満に販売禁にに、ノルウェーは十六歳未満に販売禁止、韓国は未成年者は喫煙禁止となっている。

 こうしてみると、年齢の高さなど、すべての点で、日本が一番厳しい法律を有しているといえるようだ。この種の法律の古さからいえば、ノルウェーのものが最古で、一八九九年に、いち早く十五歳以下の子供にタバコの販売を禁止した。この法律は、一九七三年に改正され、十六歳以下となった。

 このように、日本の未成年者喫煙禁止法は世界に誇りうるものだが、現実とのギャップもまた大きい。もちろん各国とも、喫煙者の低年齢化は法で定めた年齢をどんどん下まわって、それが大きな悩みになっているが、二十歳未満としている日本も例外でない。すでに述べてきたように、喫煙開始年齢は、十七、八歳から、場合によれば、十五、六歳まで下がっている。(引用ここまで

 

伊佐山芳郎『嫌煙権を考える』(岩波新書 1983年1月刊)

嫌煙権と喫煙権 嫌煙権の思想の原点

 嫌煙権の法律的根拠は、憲法第二五条の「健康権」であり、憲法第一三条の「幸福追求権」である。心身ともに健康であること、生命を大切にすること、これは人間の尊さの原点である。ここでいう健康というのは、病気でないということとイコールではない。

 WHOは、一九四六年の世界保健憲章のなかで、「健康とは単に疾病や虚弱ではないということではなく、肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることをいう。到達し得る限り最高度の健康水準を享受することはすべての人間の基本的権利の一つであり、人種、宗教、政治的信念または経済的もしくは社会的条件による差別があってはならない」と定めている。また一九七九年八月四日条約六号の「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約」第一二条一項は、フ」の規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める」といっている。私たちの憲法で認める「健康権」も、世界保健憲章でいうところの健康概念と同じでなければならない。…

 少数の非喫煙者が集まって、恐る恐る社会に向かって発言し、公共の場所での喫煙規制を訴えてきたのが嫌煙権運動である。このとき、「嫌煙権があるのなら喫煙権だってあるんだぞ」という主張が正当なものでありえようか。フランス人権宣言(第四条)にもあるように、「自由とは他の者を害しないすべてのことをなしうることをいう」のである。喫煙権の主張が嫌煙権に対する反論となり得ず、それは全くの誤解か方向違いの開き直りにすぎないことは明らかではなかろうか。

モラル論で解決できるか

 もう一つの反対論は、たばこの問題はモラルで解決すべきだという「モラル論」である。筆者がNHK教育テレビで、作家の曾野綾子さんと討論したとき、曾野さんは、嫌煙権などと権利を振りまわすのはよくない、お互いのマナー、モラルで解決すべきだと、この「モラル論」を主張した。

 しかし、今日のたばこ公害の現実を前にして、「モラル論」でいったい何が解決できるだろうか。たとえば、国鉄の特急列車を考えてみよう。…要するに「モラル論」は、日本の喫煙者のマナーの低さをあまりに知らなすぎるか、無視しているものといわざるを得ない。…ではどうするか。答えは一つである。喫煙のセクションと禁煙のセクションを分けるしかないのである。…要するに公共の場所、共有の生活空間のところは、原則的に禁煙にし、特定場所を喫煙所にするのが理にかなった制度である。

 このように嫌煙権は、個人的に喫煙者を敵視しないで、喫煙者と非喫煙者が共存できるよう制度化をめざした権利主張なのである。

 嫌煙権訴訟をめぐって 国鉄に対する責任追及の法的根拠

 公害は、人間の生存や生活を侵害する。人間の尊さを守るという視点から、「人格権」を根拠に、公害の防止・予防を求める考え方が定着しつつある。

 民法第七一〇条は、身体・自由・名誉という人格的利益を権利として保護している。今日では、プライバシーも人格的利益として保護の対象となっている。

 生命・健康・快適な生活も人格的利益として保護の対象とすべきことは当然である。いいかえれば、生命・健康・快適な生活の侵害を許しだのでは、人間の尊さは守れないのである。

 東京都立大学の下山瑛二教授は、『健康権と国の法的責任』(岩波書店)のなかで、次のように論じておられる。

 「従来の法律学は、とかく「財産権」中心に法体系が構築されたが、憲法の基本的人権の理念からいっても、また第二次大戦、ファシズムの人間性無視を媒介として再認識された人間の尊厳性を原点としたという基本的人権規定の歴史性からいっても、生命を中心として、健康・生活・環境と外延を拡げる「生存権」中心の法体系構築へと方向を転換させることがすぐれて現代法的課題となってきている」とし、「憲法体制の下における「健康権」を起点とする発想方法は、個々人の生活の場における「健康」保持のための包括的施策の要請となる」と、新しく「健康権」概念確立の必要性を論じている。

 さて、非喫煙者の受げる健康被害を考えるとき、これが非喫煙者の人格的利益を侵害することは明らかである。たばこの悪臭・剌激による快適な生活の利益を侵害することも、当然人格的利益の侵害になる。

 国鉄に対する禁煙車両設置要求の法的根拠は、「人格権」である。この「人格権」については、大阪高等裁判所が、大阪国際空港事件で明解にこれを認めているので、次にその核心のところを紹介してみょう。

 「およそ、個人の生命・身体の安全、精神的自由は、人間の存在に最も基本的なことがらであって、法律上絶対的に保護されるべきものであることは疑いがなく、また、人間として生存する以上、平穏、自由で人間たる尊厳にふさわしい生活を営むことも、最大限度尊重されるべきものであって、憲法一三条はその趣旨に立脚するものであり、同二五条も反面からこれを裏付けているものと解することができる。このような個人の生命、身体、精神および生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体を人格権ということができ、このような人格権は何人もみだりにこれを侵害することは許されず、その侵害に対してはこれを排除する権能が認められなければならない。」

 このように、大阪高等裁判所は、被告である国の強い反対をしりぞけ、人格権による差止めを明示的に認めたのである。(引用ここまで


北朝鮮の「挑発的言動」の「やらせ」にみる印象操作の本質とその弱点を国民との共同の力で打ち破る道を

2013-04-19 | 日記

昨日は、HNHニュースの意図的な印象操作について記事を書きました。そこで、今日は、このことを踏まえて、マスコミの印象操作の犯罪性について、さらに書いておくことにしました。

 それは、以下の記事を読んだからです。

 まずくて吸えない北朝鮮のタバコ… 非常識・正恩氏の姿に見る北の〝喫煙文化 2013.3.20 12:00

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130320/waf13032012000011-n1.htm

 この種の書き方は産経の常套手段です。この種の印象操作は、骨の髄まで沁み込んだ産経の思想によるものです。本来は、「鬼畜米英」と同じもので、生きている化石として博物館で見る程度のものですが、現在進行形であること、産経は自民党の政治家たちのプロパガンダに、また朝日産経化など、大東亜戦争正当化論と日米軍事同盟深化論に立つ産経の思想を解明しておく必要があるというのが、記事にする根拠のひとつでもあります。

 この記事のポイントは、以下のとおりです。

1.タバコを渡す文化は、北朝鮮ではなく、日本です!金日成よりもっと古い!!

恩賜のたばこ」です。戦争と密接に関連していることが判ります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%A9%E8%B3%9C%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93

http://www7a.biglobe.ne.jp/~rising-sun-ken1/onsi.html

 因みに、日本における「恩賜」の事例はたくさんあります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%A9%E8%B3%9C

 この事実をみると、産経は北朝鮮のことは言えません。或いは、もしかすると、北朝鮮の模範は、産経の思想的淵源である戦前の天皇制かも知れません。北朝鮮のやり方を見ていると、実に、戦前の日本を彷彿とさせるからです。

 2.さらに言えば、この記事から読み取れることは、戦前の「鬼畜米英」式の、「北朝鮮憎けりゃ、タバコまで憎い!」式の姑息な印操操作ということです。以下見てみます。

 (1)産経は、自らの思想的淵源である大日本帝国憲法と「恩賜のたばこ」「恩賜」の意味と事実を知らないはずはありません。

(2)そのような事実を承知したうえで、

「若い金第1書記が年長の軍幹部らの前で喫煙したり、病院のベッドに腰掛けて吸ったりと、その非常識ぶりをいぶかる声もあがっている

「タブーの年長者の前でも、病院内でも…どこでも吸う“民度”」

「いくら喫煙文化があるとはいえ、年長者の前でたばこを吸ったりするのは儒教の教えが色濃く残る朝鮮民族にとってはもってのほかのはず。しかも場所は病院…。それでも絶対的権力者には喫煙の場所は無関係というのだろうか

 と、書くのです。「声あがっている」とは、どこの「声も」か、第三者を装いながらウソを書くのです。

「儒教の教えが色濃く残る朝鮮民族」の「建国の父、金日成主席」はそのまま臣民に恩賜のタバコを配る天皇に結びつかない、いや結び付けない、或いは、「恩賜のたばこ」をありがたくいただき(下賜という)、名誉と思う臣民と、戦後の日本国民の「民度」は問題にしない産経の姑息が透けて見えてきます。

 (3)産経の姑息は、以下のとおりです。

「絶対権力者」である金日成、金正日、金正恩は、まともな「民度」からすれば「もってのほか」で、「儒教の教え」に反する。

 と、その独裁ぶり、独裁を許している「民度」のない、「民度」の低い北朝鮮の体制と言いたいのです。

 「建国の父、金日成主席は、農場などの現地指導の際、農民にたばこを渡す映像が多く、『慈愛深い人民の父』を演出したとされる。金主席のこうしたシーンがたばこを渡すといった文化を生んだという説もある」などと、戦前・戦後の「恩賜のたばこ」を配った歴史を黙殺して、平気でウソをつくのです。

 (4)産経には「嘘つきは泥棒の始まり」ということわざの意味が理解できない学力しかないのか、それとも、意図的に情報操作を行っている、としか言いようがありません。以下をご覧ください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%93%8D%E4%BD%9C

『ゲッベルスは「嘘も100回言えば本当になる」と言った』というのは嘘

http://techpr.cocolog-nifty.com/nakamura/2011/06/post-5fef.html

 3.それでは産経のウソを検証してみます。北朝鮮のことを言う前にやることあるだろう!日本を正せ!ということです。

(1)「恩賜のたばこ」は逆賊西郷隆盛を討つ西南戦争時が始まりと言われています。

ピークの1944(昭和19年)には2800万本強の特製たばこ(そのほとんどは「恩賜のたばこ」)が作られたのは、何故か。手柄を立てた臣民・天皇の赤子に対して「慈愛深い臣民の父」ということを意味するのです。

戦後も叙勲者や園遊会の出席者[13]、皇室の来賓、宮内庁奉仕団、皇室関連ボランティア活動、警視庁警備部警衛課(セキュリティポリス)や各道府県警察本部警備課などへのおみやげや謝礼品として使用され、近年まで皇室の恩賜及び宮内庁の贈品目として存在していたが、健康増進法の制定など、健康にとって有害なものを嫌う風潮の高まりを受け、06年(H18年)末で廃止されたのは、日本国の「民度」もありますが、それにしても、政府の判断であることは間違いありません。では、このことを産経はどのように考えるでしょうか?

(2)日本でタバコが普及したのは日清・日露戦争時です。戦費調達のためです。

日清戦争時も出兵兵士に政府が配ったということです。喫煙の習慣をつけさせ、税徴収効果をあげるためです。当然「恩賜のたばこ」も、です。こうして天皇制政府によってつくられた「喫煙文化」が、実は子どもに大きな影響を与えていくのです。あの学習院の訓令禁煙令(1893年12月)は、このことを物語っています。

(3)戦後も同じです。日本の専売公社制度は、産経に言わせれば憲法を押し付けたマッカーサーの指示によるものです。その後の改革で「世界でも有数の販売実績を誇るほど成長を遂げてきた」のです。

(4)その最大のねらいは、安定的税収の確保です。その最大の被害者は、子どもと学校教育です。未成年者喫煙禁止法ができたのは、1900年2月のことです。未成年者の喫煙が蔓延していったことが最大の理由です。しかし、日露戦争のためには、臣民にたばこを吸わせないと戦費調達ができません。シブシブ制定したものの、ザル法でした。それが戦後もずっと続いてきたことは周知の事実です。産経は、このような「喫煙文化」をどのように考えるのでしょうか?とても北朝鮮のことなど、言っていられない歴史と実態があること、子どもを食い物にする日本の「喫煙文化」を覆い隠すのは、恥ずべきことです。

(5)日本において、嫌煙権運動が始まったのは、1978年2月、東京四谷にある日本写真館文化会館で、嫌煙権の確立をめざす市民運動の発足会。全国から60人が参加。非喫煙者の権利擁護の市民運動は、1977年6月、「非喫煙者を守る会」(北海道)、77年8月「タバコの害を追放する女たちの会」(名古屋)があったと言います。

(6)「恩師のたばこ」廃止が2006年、実に29年もかかっているのです。昨今の「喫煙文化」については、触れませんが、こうした歴史を無視して、ことさら北朝鮮の「喫煙文化」を「独裁」と結びつけ、北朝鮮に対する印象操作を繰り返す産経や日本のマスコミの恥ずべき実態が明らかになるのではないでしょうか?

4.この間の北朝鮮報道の経過を見ると、産経をはじめとした日本のマスコミの印象操作は、日本国民の生活・政治に対する不安・不満・行き詰まりを外に向けさせることで、すなわち中国や北朝鮮に逸らし、日米軍事同盟深化派の政権維持と継続・強化をめざす役割を意図的に担っている!と言えます。

それでは、昨日から今日にかけて、印象操作がどのように行われたか、視てみたいと思います。 

(1)全国紙とNHKは北朝鮮の対話3条件をどのように報道したか

北朝鮮「関係改善、絶対にない」 対話提案の韓国揺さぶり 2013.4.18 13:46 [北朝鮮http://sankei.jp.msn.com/world/news/130418/kor13041813470001-n1.htm

北ミサイル 対話探る米韓 首相は強硬圧力重視 2013年4月19日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013041902000110.html

北の対話条件、当然受け入れられぬ米国務長官 (2013年4月19日11時05分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130419-OYT1T00456.htm

北朝鮮、米韓との対話に条件 制裁決議撤回・米韓演習を中止 2013年4月19日

http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201304180679.html

北朝鮮、対話へ譲歩迫る 3条件提示し5月以降に照準  2013/4/19 1:13

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1807R_Y3A410C1FF1000/

北朝鮮制裁決議撤回が対話の条件  4月18日 12時16

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130418/k10014004221000.html

 (2)北朝鮮の発言に対する反応をどのように報道したか

北朝鮮の対話条件応じず 日米高官「再開、非核化が前提」 2013/4/19 11:30

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1902B_Z10C13A4EB1000/

米韓両軍が北朝鮮けん制 共同声明を発表  2013/4/19 12:54

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM19034_Z10C13A4EB1000/

6カ国協議議長が訪米へ 北朝鮮情勢巡り協議  2013/4/19 20:03

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1905K_Z10C13A4FF1000/

首相が北朝鮮外交を熱弁 「私はずっと関わっている」 2013年4月18日21時21分

http://www.asahi.com/politics/update/0418/TKY201304180342.html

金正恩氏に「父にないカリスマ」 米情報機関が分析 2013年4月19日17時25分

http://www.asahi.com/international/update/0419/TKY201304190138.html

北朝鮮:挑発に断固とした対処確認 米韓両軍  2013年04月19日 20時25分(最終更新 04月19日 20時34分)

http://mainichi.jp/select/news/20130420k0000m030063000c.html

 (3)「挑発的言動を繰り返し」危機を煽っているのは、産経!北朝鮮と同じことを自ら証明!

平壌を米ステルス戦闘機が急襲 金正恩氏が震え上がる「秘密訓練」とは 2013.4.6 12:00

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130406/kor13040612010006-n1.htm

 上記の記事のポイントは以下のとおりです。

1.朝日は、北朝鮮の条件提示を12面、国際版に「ソウル=中野晃」レポートとして記事を書きました。ここに朝日の評価が浮き彫りになっています。

今日の朝日の社説は、「日中韓会談 成熟した3国関係を」と題して、「北朝鮮の挑発行為をやめさせるためには、3国の結束が欠かせない。(日中韓3国の首脳会談を日本との同席を渋った)中国の姿勢には首をかしげざるを得ない」「大国らしいふるまいとは言えまい」として「中国の大人の対応」を求める内容です。日頃中国の国内危機と尖閣や軍拡など、日本への脅威・対立を煽って、日米軍事同盟容認・深化論の記事を書いてきたことを脇においているのですから、呆れます。

2.その他の新聞も、北朝鮮の変化を見逃しています。アメリカ情報をそのまま是として報道しているのです。産経などは、共同の記事を配信しているだけです。

3.しかも産経は、北朝鮮なみの「脅しの言動」記事を書いているのですから、呆れます。

4.毎日が北朝鮮の主張を掲載しているのは、評価できますが、見解はありません。社説もありません。因みに今日の全国紙の社説で、北朝鮮問題をとりあげたのは、朝日だけです。

6.東京は、北朝鮮不信感を強調する安倍・菅両氏の言葉を紹介しながら、「米韓が北朝鮮の暴走を懸念し対話を優先すれば、日本が孤立気味になる可能性もある」との懸念を表明する程度です。

7.読売は、「(一連の挑発が)始まってから、初めて対話という言葉が出た。最初の一歩として見てみる用意はある」(ケリー長官)を紹介し「北朝鮮側の歩み寄りに期待感を示した」と評価しましたが、それだけです。

 8.そういう中で、注目すべき声が紹介されていました。今日付けの朝日の「」です。朝日に届けられる「」を反映していると思います。こうした世論が出てきていることに注目していかなければなりません。朝日は、こうした国民世論を踏まえた主張をどれだけで書けているか、検証すべきです。

 日本、核兵器廃絶の世論牽引を 無職 古賀牧人(東京都小平市83)

 北朝鮮がミサイル発射をたてに挑発や威嚇を繰り返すことは、絶対に許されるものではない。しかし、膨大な核兵器を保有している米国が「核兵器を持つな」と強要している姿もまた、納得しづらいものがある。 

国家は平等なはずである。他国に非核を求めるならば、自らがまず核兵器を廃絶してからでなければならない。これでは、大酒飲みの酔っぱらいが他人をつかまえて断酒の説教をしているようなものだ。 

問題の根源は、米口英仏中の核保有5ヵ国が核不拡散条約(NPT)をもとに、新たな核保有国の出現を防止することには積極的でも、自らの規制についてはあまり進展を見せていないことにある。 

核廃絶を前進させるには、核兵器にしがみついている勢力を世界の世論で包囲する以外にない。米国の核戦略を容認し続けている日本政府は、被爆国であることを自覚し、廃絶の牽引国となるべきである。(引用ここまで

9.因みに赤旗は2面に、「ソウル=時事」の配信記事として「北が対話の条件示す」と「北朝鮮の国防委員会政策局」の「声明」を紹介し、「対話自体を否定しない立場を示す一方、米韓が北朝鮮の挑発的言動の中止、非核化やミサイル発射中断の意志表明といった前提条件を付けていると批判しました。その上で、対話の条件=「核戦争手段を全面的に撤収させ、再投入を断念を下すべき」と要求したと掲載、それは「米韓合同軍事演習に参加した核搭載可能な戦略爆撃機などを指したものです」と解説しています。

当初、3月11日付けの赤旗では、「ソウル=時事」として、「きょうから米韓合同軍事演習」と題して

「米韓両軍は、11日から定例の合同軍事演習「キー・リゾルブ」を実施します。北朝鮮はこれに反発し、同日から朝鮮戦争の休戦協定を白紙化すると表明。大規模訓練で対抗する構えで、朝鮮半島の緊張が高まりそうです」と、第三者的に述べていました。

この記事の軽さと、その後の「大騒ぎ」と赤旗の対応をみると、「問題あり」と言わなければなりません。沖縄の米軍基地撤去の口実となっている「脅威」を取り除いていくために、共産党は北朝鮮問題や中国問題と、どのように向き合うか、国民の不安、マスコミが意図的に浸透させていることですが、それにしても、この操作を解明し、国民との間に楔を打ち込むたたかいをどのように発展させるか、原則的かつ柔軟に対応していくことが、求められているのではないでしょうか?

さもなければ、共産党の存在感は、ますます希薄になっていくと思います。その結果がどのような事実を産むか、自覚すべきでしょう。自覚はされているとは思いますが、それにしても、しかし、しかし、です。日米軍事同盟廃棄を掲げている唯一の政党としての役割は、ますます大きく高くなってきているということです。

 (4)最後に、日本のマスコミの情報操作、印象操作の本家本元がどうなっているか、掲載しておきます。

ブルース・カミングス『北朝鮮とアメリカ 確執の半世紀』(明石書店2004年7月刊)より

序文

 メディアでの報道をみる限り、北朝鮮はすべての米国人が「好んで嫌う」国であるようだ。その筆頭は、北朝鮮を「悪の枢軸」の一員に加え、「転覆させたい」との願いを口にしたジョージ・W・ブッシュ大統領だ。CNNでは北朝鮮関係のニュースが流れるたびに、ナチス式に足を高々と上げて平壌市街を行進する朝鮮人民軍兵士の映像が挿入される。北朝鮮を統率しているのは金正日である。著名な専門家のグレターヅアンーサステレン(Greta van Susteren)は、「正気を失っているのでなければ、よほどの極悪」と金正日を診断した。米国中央情報局(CIA)によると、北朝鮮は一ないし二基の核兵器を保有しており、そのほかにも生物兵器や化学兵器から構成される大量破壊兵器(WMD)や、米国西海岸まで到達可能で原子爆弾から天然痘ウイルスまであらゆる種類の弾頭を装着できる長距離ミサイルももっている。「われわれが知らないだけでさらに恐ろしい兵器を隠しているだろう」とも、まことしやかにささやかれている。他人の言葉を繰り返すしか能がない米国メディアは、北朝鮮に関するさまざまな論議を、一つの共通項でくくってしまう。すなわち、北朝鮮はならず者・テロリスト・共産主義・スターリン主義・全体主義国家であり、東洋の悪夢であり、米国が最も嫌悪し、恐れている「他者」だということにしてしまう。だが実際には、北朝鮮をめぐる本当の危機は、こうした見方に対する反論がまったく聞こえてこない、その静けさの中にこそ存在するのである。世界に唯一残存する、反ネオリベラリズム、反グローバリゼーションを貫徹した国家だとうそぶく北朝鮮を、米国人は皆嫌っている。進歩的な人々でさえ例外ではない。米国人は、金正日の一族独占型社会主義が、とにもかくにも、一刻も早く地球上から消滅することを願っている。…

…一般向けの定期刊行物にも、北朝鮮関連の記事が掲載されるようになった。…しかしごく少数の例外を除いては、ほとんどの記事にあまり価値はなく、不正確で、煽情的で、読者を啓蒙するというよりもあざむく役割しか果たしていない。自己模倣が大好きな米国メディアの特性からいって、同じ話が際限もなく循環することになるのだが、多くの場合、北朝鮮が米国の敵となった六〇年前に語られていたようなことが、現代風の衣をまとって再登場してきているにすぎない。いわく、北朝鮮は、明日にも韓国を攻撃しようとしており、指導者は頭がおかしく、国民は皆洗脳されて、政権は自滅するか、他国に戦争を仕掛けようとしている―つまり韓国の諜報機関は、北からの亡命者(中にはニセ者もいる)を見せびらかしたり、「平壌筋の情報」を活用したり、資料の揃った図書館で少し調べればすぐに分かるようなウッをばらまいたり、といったようなことで、文字通り半世紀にもわたり、一人、また一人と米国人記者を編してきたというわけだ。

 そうしたいかがわしい情報の中で私か一番気に入っているのが、金日成の脳腫瘍説だ。金日成の首筋によく目立つ腫瘤があったことから出た説だが、初めはゴルフボール大であったものが、後には野球のボールほどにも肥大して、北朝鮮が「国家の最高頭脳」と呼ぶ金日成の脳の灰白質をどんどん侵蝕しつつあるという話たった。三〇年前、韓国の遊園地には、等身大に描かれた全日成の絵に向かって野球のボールを投げ、当たると賞品がもらえるという遊びがあったが、最高点となるのはその腫瘤に命中したときだった。漫画では、しばしばその周囲にハエが飛んでいるように描かれていた。ある年にはブカレストで脳外科手術を受け、次の年にはブダペストで放射線治療を受ける、といった具合に噂されていたが、残念なことに、どのような治療法をもってしても、腫瘍が全日成の腐った精神をむしばんでいくのを止めることはできなかった。だが、これも俗説にすぎなかった。その腫瘤は韓国人が「ホク」と呼ぶカルシウムが沈着してできるもので、通常は幼少時の栄養不足が原因だといわれている。「偉大な指導者」にはあまり似つかわしくなかったので、北朝鮮のカメラマンは腫瘤が写らないように常に左側から全日成を撮影したが、他の共産主義諸国のカメラマンは右側に陣取って、なんとかそれをフィルムに収めようとした。全日成は八十二歳で、老衰により死亡した。…

 人権尊重を旗印に掲げる国々の間では、一つの方向だけをみて、とりあえず共産主義諸国を糾弾しておくというのが最も手軽な政策とされてきた。その一方で同盟国の非難すべき行為は看過されてきた。つまり、米国政府は、比較すれば金正日でさえ賢明な指導者にみえるような、性質の悪い独裁者(例えば、サウジアラビアの独裁者)を支持している最終的には米国の善意をはねつけ、何かあっても米国が望むような方向に進もうとしない国々からなる多様で複雑な世界を理解し、その一員となり、そうした国々と共存する術を身に付けることは非常に難しい。しかし、やらねばならないことなのである。引用ここまで

 アメリカの学者の書いた上記「序文」を読んで、最後に。

イラクのフセイン、アル・カーイダのウサーマ・ビン・ラーディンビン・ラディン、、アフガニスタンのタリバンを育成したのは誰か。そうした歴史を無視して憲法をないがしろにしてきた日米軍事同盟深化派は、今度は北朝鮮問題を最大限利用して、安倍政権に憲法改悪の突破口を切り開かせようとしている。だがしかし、大東亜戦争肯定・正当化論者の塊である安倍政権も、アメリカも枠内においてのみ、政権が維持されるという矛盾の中にいる。出過ぎれば、撃たれることは確実だろう。日米両政府とその支援者・多国籍企業の一致点と矛盾の中に、今がありますが、それもこれも、国民との要求が最大の矛盾点であることは、変革の歴史の経過を見れば明瞭です。

 ウソとデマは、必ず打ち破られるものです。「喫煙文化」を利用した産経のウソとデマは、別項に掲載します。

 因みに、そもそも、「愛国者の邪論」は、実は、産経の「正論」からヒントをいただいた名前であることを付しておきます。


ますます浮き彫りになってきた米の対北朝鮮挑発政策、その「やらせ」と対米従属脳に侵された日本の過ち!

2013-04-18 | 日記

今朝のNHKのニュースを見て、また書かなくてはならなくなりました。

 実は、教育委員会制度の改悪、一票の格差是正と選挙制度の抜本改革、フクシマの放射能垂れ流し、96条改悪、沖縄屈辱の日、増税の土台づくりに躍起になっているアベノミクス、TPP参加など、書かねばならないっことはたくさんありますが、これらの記事の奥深いところに日米軍事同盟があることを思うと、今、日米両政府が、北朝鮮の脅威を最大限利用して、自らの利益を貫徹するために、国民の支持を取り付けるためのイデオロギーを日々垂れ流しているデタラメさを記録しておかなければなりません。

 それもこれも、ウソとでデタラメのイラク戦争について、何ら反省も教訓も導きだそうとしない政府とマスコミを断罪すること。

 さらに言えば、トンキン湾事件を演出・捏造してベトナム戦争の拡大を図り、日米軍事同盟を変質させていったことの戦争責任問題を曖昧にしたまま、今日があること。

 さらに言えば、砂川判決を覆し、米軍と自衛隊の合憲化を図って、アメリカの世界戦略の枠内に日本を押し込め、それが、原子力の平和利用の名の下に、ゲンパツ政策を推進させ、今日の「繁栄」を創出してきたことの総括を曖昧にしていること。

 さらに言えば、沖縄を人身御供にすることを提案したヒロヒト天皇の戦争責任を曖昧にし、免罪する4.28屈辱の日にアキヒト天皇を参加させるという暴挙に国民的批判の渦が巻き起こらない日本のイデオロギー状況を思うと、

 その奥深いところに、発信源として日米軍事同盟深化論があります。従って、今、日米両政府は、この日米軍事同盟の強化と深化こそが、自らの体制を維持強化する唯一の道であることを自覚しているがゆえに、これを系統的に演出していると思われます。そうした思惑を踏まえて、対応しながら、日米軍事同盟を廃棄し、日米平和友好条約の調印に向けた国民世論形成に、少しでも参加できればと思います。

 では、記事から・・・。

米韓軍事演習にオスプレイ初投入へ 4月18日 4時12分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130418/k10013997041000.html

NHKは、「韓国で行われているアメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習に、沖縄県の普天間基地に配備されているアメリカ軍の新型輸送機『オスプレイ』が初めて投入されることになり、挑発的な言動を繰り返す北朝鮮への備えを強化するねらいもあるものとみられます…この訓練には、アメリカからは、沖縄に駐留する海兵隊員が参加しており、…北朝鮮は、米韓の合同軍事演習に反発して、日本海側に中距離弾道ミサイルの発射準備を整えるなど、挑発的な言動を繰り返しており、アメリカ軍は、今回の訓練に『オスプレイ』を投入することで、北朝鮮への備えを強化するねらいもあるものとみられます」と報道しました。

 地元も配備に反対している問題のあるオスプレイを「挑発的な言動を繰り返す北朝鮮への備えを強化するねらいもある」として正当化するのです。

 「沖縄県の普天間基地に配備されている新型輸送機『オスプレイ』も初めて投入されるということです。『オスプレイ』は、従来のヘリコプターに比べ、より速く、より遠くまで飛ぶことができ、高い輸送能力を持っています」と、問題のあることをいっさい語っていません。このネライは、NHKは沖縄県民と本土の各地の住民の不満を「北朝鮮への備え」から、文句を言うなという、アメリカ政府を代弁し、沖縄県民や各地の住民の声を無視する安倍政権の応援団と化しているのです。

 同時に、「韓国で行われているアメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習に…反発して、日本海側に中距離弾道ミサイルの発射準備を整えるなど、挑発的な言動を繰り返しており」として、挑発的言動の一つの源になっている合同軍事演習については、「備え」「強化」として免罪しているのです。

 こうした報道はNHKばかりではありません。日本のメディアはどうでしょうか?ここに、最大のゴマカシがあります。

 この間、愛国者の邪論が言っていることは、北朝鮮から見たら、「脅威」は日米韓の軍事力=核兵器の「抑止力」です。この問題を抜きに、語ることはできないことは「常識中の常識」です。このことは銃規制強化をまとめきれないアメリカの歴史と社会、銃業界の圧力に政治家が侵されているアメリカ政治の腐敗と行き詰まりの実態があります。

 非人道兵器である核兵器の保有を「抑止力」として保持している国が、やはり「抑止力」として、核兵器を保有しようとする国に、「持つな」ということを「正当だ」と認めるとしたら、子どもの「しつけ」と教育は成り立つでしょうか?ヒロシマ・ナガサキを体験した日本が、このことを曖昧にしていることが、最大の問題です。

 以下をご覧ください。http://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/about/

 核兵器の廃絶は、地球的な環境問題、貧困、財政危機などとともに国際社会が直面している重要な緊急課題の一つです。歴代の国連事務総長は等しくそのような危機意識を述べています。核兵器は文明を滅ぼし人類の生存を危うくする唯一の兵器であり、誰の手にあっても危険な兵器です。北朝鮮の核もアメリカの核も等しく違法化されなければなりません。誰かが核兵器を有用だとして保有するならば、必ず新しくそれを持とうとする者が現れるでしょう。(「長崎大学核兵器廃絶研究センターセンター長梅林 宏道氏のご挨拶」)より

http://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/category/c-ntpblog/

 

この視点で言えば、もう一つあります。

 森田俊男編『増補版 人類の良心 平和の思想』(平和文化刊94年12月)の第三章「平和と人道の法思想」の最初にある「セント・ペテルスブルク宣言」以来の人類の幾多の試練と叡智を、現時点において、さらに深化させていなければならないことは人類的責務と思います。日本国憲法の平和主義をこそ、北朝鮮問題に活かしていくべきです。

 こうした歴史を踏まえて、以下の二つの意見陳述を、今こそ深化させていかねばなりません。この二つの意見陳述については、機会を設けて別途記事にしてみたいと思います。

ヒロシマの記録1995 11月 ①(中国新聞 ヒロシマ平和メディアセンター)

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20100415144636174_ja

1995/11/1 核兵器の使用と威嚇を審理するオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)での口頭陳述に臨む平岡敬広島市長が、「核兵器の使用は国際法違反」と証言する考えを固める。「国際法違反とは言えない」とする外務省との食い違いが表面化へ
1995/11/2 国際司法裁判所で証言する長崎市の伊藤一長市長が、「核兵器の使用は国際法違反」との陳述原案を、外務省によって「削除、修正された」と述べる。野坂浩賢官房長官は記者会見で外務省に不快感を表明(引用ここまで

 人道に反する核兵器を「持つな」とする核兵器保有大国の思想と論理、核兵器転用可能なゲンパツを経済との秤にかけて惑う国民、核兵器実験の放射能汚染によって苦しむ南太平洋や旧ソ連国民、その他放射能汚染に苦しむ諸国民とフクシマの連帯などを視野に入れて論じていくことにもなります。

 その点、最近発刊された中原聖乃・竹峰誠一郎『核時代のマーシャル諸島 社会・文化・歴史、そしてヒバクシャ』(凱風社2013年1月刊)と山下正寿『核の海の証言 ビキニ事件は終わらない』(新日本出版12年9月刊)は示唆に富んでいます。ご参考までに。

 

さて、話をすすめます。このNHKなどの常套句を示す論理は、日本のメディア自身の報道する事実と、韓国やアメリカの報道とも、実は大きく異なるということを、声を大にして告発していかねばなりません。

 

アメリカのネライに対して、対米従属脳に侵された日本政府とマスコミの独自性の欠如が浮き彫りになってきます。以下お読みください。

 米国が韓半島で武力示威、北への警告と韓国なだめる狙い(1) 2013年04月03日08時46分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/037/170037.html?servcode=A00§code=A20

米国が韓半島上空に続き海上でも強力な武力示威を継続している。…米FOXニュースは1日、米国防総省関係者の話として、米海軍第7艦隊所属で横須賀を母港とする駆逐艦「マケイン」が北朝鮮のミサイル挑発の可能性に備え、日本に帰港する代わりに韓半島南西海上に移動中だと報道…核とミサイルなどを前面に出した北朝鮮の戦争威嚇に対応するため米軍が先端戦力を韓半島周辺に次から次へと送り、韓半島周辺は米軍の先端武器展示場を思わせる。

 米国が韓半島で武力示威、北への警告と韓国なだめる狙い(2) 2013年04月03日08時47分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/038/170038.html

軍関係者―「ハワイにあったSBX-1レーダーが西太平洋を越え東海(トンヘ、日本名日本海)周辺に来ているならばこれは咸鏡北道舞水端里(ハムギョンブクド・ムスダンリ)から発射される可能性のある弾道ミサイルに備えた次元とみることができる」と話し

ホワイトハウス―米国が韓半島上空と海上に戦略兵器を相次いで送っているのは、北朝鮮の威嚇阻止だけでなく…同盟を強化するということを再確信させ、北朝鮮に対するわれわれの意志を見せるためのものと説明。

カーニー報道官―「(北朝鮮の挑発威嚇に対抗し)独自行動を取れという韓国内部の圧迫を軽減させるのに重要な措置だった…その結果、この地域で起きかねない計算錯誤と挑発の可能性を減らしたと信じる…(北朝鮮に対する先制攻撃が必要なのではないかという問いには)真剣な質問とは思わない…われわれは北朝鮮の威嚇を深刻に受け止め、韓半島状況を着実に監視している…最近の険悪な言葉にもかかわらず、北朝鮮軍の大規模移動や配置のような動向変化は感知されていない。このような言行不一致は注目するべきもので、専門家の分析が必要だ」(引用ここまで

 「先端武器展示場」となっている「韓半島周辺」に対して北朝鮮が異常な反応―「挑発的な言動」をするのは、ある意味理解できるのではないでしょうか?それと対峙している当事国の一つである韓国のマスコミの冷静さと日本のマスコミの違いが浮き彫りになったのではないでしょうか?

 このようなアメリカの「脅威演出」は、この間のニュースでも明らかです。以下主なものを掲載しておきます。

 米 弾道ミサイル発射実験を延期 4月7日 13時19分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130407/k10013737611000.html

アメリカ国防総省の高官は6日「今回のミサイル発射実験は、北朝鮮を対象にしたものではなく、もともと以前から計画されていたものだが、実験を行えば北朝鮮を刺激し、挑発的な行動をエスカレートさせかねないことから、急きょ延期を決めた」と話しています。

北朝鮮は、中距離弾道ミサイルの発射に向けた準備ともみられる動きを北朝鮮東部で見せるなど、挑発的な言動を続けています。アメリカ国防総省はこれまで、先月から朝鮮半島周辺で行っている米韓合同軍事演習に高性能の爆撃機や戦闘機を投入したことを公表するなど、北朝鮮への圧力を強めてきましたが、朝鮮半島情勢が緊迫の度合いを増すなかで、これ以上、北朝鮮を刺激しないよう配慮したものとみられます。

 韓国 北朝鮮の核兵器小型化に否定的 4月12日 14時0分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130412/k10013868481000.html

アメリカ国防総省傘下の情報機関が、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な核兵器を保有している可能性が高いと分析していることについて、韓国国防省は否定的な見方を示しました。韓国国防省のキム・ミンソク報道官は、12日の記者会見で、「多くの専門家がさまざまな評価をしているが、私たちは、北朝鮮がまだ核兵器を小型化することができず、その途上にあるとみている」として、北朝鮮の技術は開発の段階にあり、弾道ミサイルに搭載可能な核兵器の保有には至っていないとの見方を示しました。

 米機関「弾道ミサイルに搭載可能な核兵器」 4月12日 11時10分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130412/k10013864781000.html

挑発的な言動を続ける北朝鮮について、アメリカ国防総省傘下の情報機関が「性能は低いものの、弾道ミサイルに搭載可能な核兵器を保有している可能性が高い」という分析を報告書にまとめていたことが明らかになりました。この報告書は、国防総省傘下の国防情報局がまとめたもので、11日に開かれたアメリカ議会下院の軍事委員会の公聴会で、共和党の議員がその一部を公表しました。この中で、共和党の議員は「報告書には、『北朝鮮が、性能は低いものの弾道ミサイルに搭載可能な核兵器を保有しているという一定の確信を持っている』と書かれている」などと述べ、国防総省に事実関係をただしました。公聴会のあと、国防総省は報告書に書かれた内容だと認めた一方で、「引用した部分だけをもって北朝鮮が実用可能な開発に成功したと解釈するのは不正確だ」として、核兵器を弾道ミサイルに搭載する北朝鮮の技術はあくまでも開発段階だと強調しました。ミサイルでアメリカを攻撃すると威嚇を続ける北朝鮮に対して、アメリカでは警戒感が広がっており、中でも弾道ミサイルに核兵器を搭載する技術がどこまで進んでいるかに関心が集まっています。

 米当局、ミサイル搭載可能と分析 北朝鮮核兵器  2013/04/12 11:02【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013041201001297.html

 2012年4月、平壌で行われた北朝鮮の軍事パレードに登場した、中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル(共同)

 【ワシントン共同】米国防総省傘下の国防情報局(DIA)が3月にまとめた報告書で、北朝鮮が完成度は低いものの、弾道ミサイルに搭載可能な小型化された核兵器を保有している可能性が高いと分析していることが11日分かった。共和党のランボーン議員が同日、下院軍事委員会公聴会で報告書の一部を明らかにした。 米情報機関によるこうした分析が公になるのは初めて。 オバマ米大統領は同日、日本や韓国の防衛に全力を挙げる決意を記者団に表明。新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」発射の動きを見せる北朝鮮に対し、発射しないよう要求した。

 「赤旗」 核搭載ミサイル一「配備能力ない」 米報道官 (2013年4月14日)

 【ワシントン=山崎伸治】米ホワイトハウスのカーニー報道官は12日の定例会見で、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な核兵器を保有している可能性があるとする米国防情報局(DIA)の分析に関し、「北朝鮮は核搭載ミサイルを配備する能力を見せてはいない」と強調しました。カーニー氏は「米国は引き続き北朝鮮の核開発計画を注意深く監視し、北朝鮮に対して(朝鮮半島非核化という)国際的な義務を尊重するよう呼び掛ける」と表明。「北朝鮮は核搭載ミサイルを配備する能力を見せてはいないというのがわれわれの分析だ」と繰り返しました。(引用ここまで

 12日の記事について、韓国・共同・NHK・赤旗の記事を読み比べれば、事実とそれを報道する側の意図が明確になります。一致しているのは、北朝鮮の実情について、疑心暗鬼、正確な情報を得ていないこと、そうしたなかで、危機を演出して、北朝鮮を挑発しているのです。北朝鮮も、北朝鮮です。その挑発に条件つきとは言え、「挑発的言動を繰り返す」との口実を与えているのです。

 さて、こうした日本の情報操作について、どうしても言っておかねばならないことがあります。

それは。昨日も記事の中に掲載した「北朝鮮第3回目核実験の歴史的背景 —『核抑止力』再考の必要性 —田中利幸(広島平和研究所)」の以下の部分です。

 2010年3月26日に起きた、韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没事件を、米韓両国は、ひじょうに疑惑の多い「証拠」で北朝鮮による軍事挑発と決めつけ、この「北の挑発」に警告するとして米韓合同軍事演習を日本海で行った。動員された兵員は8千人、航空機は最新鋭ステルス戦闘機F22を含む200機、そのうえ、米空母ジョージ・ワシントンやイージス艦など20隻という大規模なものであり、この米韓の動きこそ「軍事挑発」であり「平和に対する脅威」と呼ぶべき超圧的なものであった。これに対する北朝鮮の反応は、予期されたごとく、「核抑止力」を使っての対抗であり、オバマの核抑止力政策には核抑止力で応酬するという、悪循環をまたしても強めてしまった。ちなみに、最終的に、2012年8月27日、韓国地雷研究所は、沈没は、韓国海軍が1970年代に配置してそのまま放置しておいた機雷が爆発の原因である可能性が高いと発表したが、韓国のメディア以外、アメリカでも日本でもほとんどこの発表については報道しなかった。(引用ここまで

もう一つあります。それは以下の記事です。この事実は、ほとんどのメディアが無視をしたのではないでしょうか?

 北朝鮮の核実験以降、放射性物質は検知されず=監視機関 2013年3月13日1時23分

http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201303120148.html

 [ウィーン 12日 ロイター] 放射性物質の監視などを行う包括的核実験禁止条約CTBT)機関は12日、北朝鮮による2月の核実験以降、放射性物質は検知されておらず、今後も検知される可能性は非常に低いとの見解を示した。これにより北朝鮮が利用した核物質の科学的な特定は困難とみられている。同機関のトゥンボルク報道官は「現時点において何かが検知される可能性は非常に低い」と語った。その他の詳細には触れていない。(引用ここまで

 「3度目の地下核実験に成功」 朝鮮中央通信が発表 2013年2月12日15時2分

http://www.asahi.com/international/update/0212/TKY201302120073.html?ref=reca

 

この二つの朝日の記事を比べると、どうでしょうか?確かに国際的合意に反して核実験を強行した北朝鮮の側に問題があるのは当然です。しかし、ニュースの扱い方としては、問題ありと言わねばなりません。

 愛国者の邪論が提起しているのは、北朝鮮のメッセージが変化しているのではないかということです。これまでの「挑発的言動」の際には、必ずと言っていいほど、「条件」が付されているのです。そのことは、以下の記事を見ても明らかです。しかし、こうしたメッセージを、無視するか、意図的に捻じ曲げて報道しているのが、日本政府とマスコミです。対話と平和に向けた絶好のチャンスを日米軍事同盟深化論が逃しているのです。

 北朝鮮、米国との対話条件として国連制裁決議の撤回を主張 2013年 04月 18日 14:40 JST

http://jp.reuters.com/article/JPNKorea/idJPTYE93H01V20130418

[ソウル 18日 ロイター] 北朝鮮は18日、米国および韓国との対話の条件として、国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁決議の撤回などを挙げた。数週間におよぶ朝鮮半島の緊張状態に打開の可能性が出てきた。国防委員会の声明を朝鮮中央通信社(KCNA)が報じた。北朝鮮の唯一の支援国である中国に配慮した動きとの見方もある。「対話と戦争は共存できない。米国とその手先である韓国がわが軍と人民の攻撃を回避したいと少しでも思うなら、そして対話と交渉を望むなら、断固たる決断を下さなければならない」としている。米国は核放棄を北朝鮮との対話の前提条件としているが、北朝鮮は核兵器を「宝刀」として放棄するつもりはないと強調している。韓国も対話を呼びかけているが、北朝鮮に応じる姿勢は見られない。北朝鮮は、2月に実施した核実験に対する国連安保理の制裁は「不当な理由ででっち上げられたもの」であり、撤回されるべきと主張。「朝鮮半島の非核化は、米国が持ち込んだ核戦争の道具を取り除くことから始まり、これが世界の核軍縮につながる」としている。さらに北朝鮮は、米韓の合同軍事演習も批判。緊張が増すだけで対話の道を閉ざすものとして中止を求めた。(引用ここまで

 北朝鮮「関係改善、絶対にない」 対話提案の韓国揺さぶり 2013.4.18 13:46 [北朝鮮http://sankei.jp.msn.com/world/news/130418/kor13041813470001-n1.htm

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会は18日、「(北朝鮮への)敵対行為と侵略策動が続く限り、北南対話や関係改善は絶対にない」との報道官談話を発表した。 北朝鮮は17日、稼働が中断した南北協力事業、開城工業団地への韓国側関係者の訪問申請を拒否したばかり。南北対話に簡単には応じないことを重ねて示し、対話を提案した韓国の朴槿恵政権を揺さぶる狙いがあるとみられる。 談話は核・ミサイル開発について「交渉で使う駆け引きの道具ではない。そうした問題を論ずる対話は永遠にない」とあらためて主張。「こうした原則的な立場は不変だ」と結論づけた。(共同

 北朝鮮は何言っているのか」=菅官房長官  (2013/04/18-17:37)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013041800742

 菅義偉官房長官は18日午後の記者会見で、北朝鮮が米韓両国との対話の条件として国連安全保障理事会決議の撤回などを求めたことについて「何を言っているのだろうという感じだ。国連(安保理)決議は極めて重い。挑発的な言動は慎むべきだ」と批判した。(引用ここまで

 こうした北朝鮮の対応は、以下の日本政府の対応にも関係していることを考慮していく必要があるでしょう。戦争は、情報戦でもあるのですから、どのような情報を流していくのか、その情報をどのように評価していくのか、そのことも非常に大切になっていると思います。まさに平和のための生きた教材と言えます。

 

事態長期化に懸念=対北朝鮮、厳戒続く-政府  (2013/04/16-18:28)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201304/2013041600794&rel=j&g=pol

 北朝鮮が弾道ミサイル発射の構えを崩さない中、政府は16日も厳戒態勢を継続した。破壊措置命令の発令から10日目を迎え、事態が長期化するとの見方も強まってきた。北朝鮮の意図が読み切れないこともあり、政権内からは焦燥感が出始めた。 「現状が変わらなければ、緊張感を持っての対応は続けていかなければならない」。菅義偉官房長官は16日の記者会見でこう述べ、厳戒態勢を維持する方針を強調した。 北朝鮮への対応では、杉田和博官房副長官が9日夜から首相官邸に泊まり込んでいる。北朝鮮が平壌に大使館を置く各国に「10日以降、紛争の際には安全を保証できない」と警告したためだ。 15日は故金日成主席の生誕記念日に当たることもあって緊張感が高まったが、異変はなく、発射時期は一段と不透明になってきた。北朝鮮の挑発行為の契機となった米韓両軍の合同訓練は月末まで続くことから、「大型連休中の発射が濃厚ではないか」(首相官邸筋)との見立てもあるが、臆測の域を出ないのが実態だ。 自衛隊は、ミサイル迎撃に備え24時間態勢で監視を継続。小野寺五典防衛相は16日の会見で「他の警戒監視に支障がないように部隊の配置その他に配慮している」と語ったが、防衛省幹部は「通常の訓練ができない」と指摘、しわ寄せが生じていることを認めた。 危機をあおる北朝鮮の狙いは、米国を交渉の場に引き出すこととされ、政府内には「北朝鮮ペース」に巻き込まれることへの警戒感も強い。ケリー米国務長官が15日の東京都内での講演で北朝鮮との対話の可能性をにじませたことについて、安倍晋三首相周辺は「北朝鮮には何度も裏切られてきた」と語り、強い懸念を示した。(引用ここまで

 以下の中国の「脅威」に晒されている日本と国民は、日米韓の「核兵器抑止力」論に怯えて、「核兵器核抑止力」の呪縛にはめられている北朝鮮の思いを理解する必要があるのではないでしょうか?そのことに理解を示し、日本自身が憲法の平和主義と非核三原則の具体化、「核兵器抑止力」論から脱却していくことをせずして、北朝鮮を批判・非難することはできないと思います。

 同時に、こうした状況を変えずして、朝鮮半島の平和的統一は難しいと思います。ということは、戦争責任を果たしたとはいえないということになります。このことは、歴史に対する極めて不道徳な国として国際社会から信頼を得ることはできないのではないでしょうか?

 中国軍艦2隻が宮古島沖通過=尖閣周辺航行を警戒-防衛省 (2013/04/17-12:51)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201304/2013041700443&rel=j&g=pol

16日午後、沖縄県の宮古島北東約110キロの公海上を航行した中国海軍のルーヤンII級ミサイル駆逐艦(防衛省統合幕僚監部提供)

 防衛省統合幕僚監部は17日、中国海軍艦艇2隻が16日午後、宮古島の北東約110キロの公海上を北西に進むのを確認したと発表した。2隻は太平洋から東シナ海に進んだとみられる。
 2隻はミサイル駆逐艦1隻とフリゲート艦1隻で、16日午後9時ごろ、海上自衛隊のP3C哨戒機と護衛艦「はるゆき」(第13護衛隊・長崎県佐世保市)が確認した。 中国国営新華社通信は、遠洋訓練編隊の2隻が16日夜に宮古海峡を通過し、尖閣周辺海域に入ったと伝えていた。(引用ここまで

 最後に北朝鮮に対して、です。北朝鮮が国際的合意を無視しているとされている最大の論拠は、ロイター伝の最後の以下の部分です。

朝鮮半島の非核化は、米国が持ち込んだ核戦争の道具を取り除くことから始まり、これが世界の核軍縮につながる」としている。さらに北朝鮮は、米韓の合同軍事演習も批判。緊張が増すだけで対話の道を閉ざすものとして中止を求めた。(引用ここまで

 この主張を国際社会に認めさせるためには、何が必要か、それは、あの「3.1独立宣言」の思想を、今こそ、その根拠にすることです。こうして世界の世論、歴史の大道を我が物にすることではないかと、思うのです。

 山辺健太郎『日本統治下の朝鮮』(岩波新書1971年2月刊)より抜粋します。

 朝鮮独立宣言書

 われらは、ここにわが朝鮮の独立と、朝鮮人民の自由民たることを宣言する。これを応って世界万邦につげ、人類平等の大義を明かにし、且つこれを子孫におしえ、民族独立を天賦の権利として水遠に保持させるるのである。われわれの背後にある五千年の歴史の権威によってこれを宣言し、二千万民衆の忠誠を介してこれを宣明し、恒久にかわることなき民族の白山な発展のためにこれを主張し人類良心の発露にもとづく、世界改造の一大機運に順応し、これとともにすすまんがためにこれをなすものである。これすなわち天の明命、時代の大勢、仝人類の共同共存同生の権利が、正当に発動したものであって、天下のなにものといえども、これを阻止し、抑圧することはできない。…

今日吾人の朝鮮独立は、朝鮮人をして正当なる生活の繁栄の追求をなさしむると同時に、日本をして、その邪道から脱出せしめ、東洋の支持者たる重責を全うせしめ、中国が夢寐にもわすれえない不安、恐怖からこれを脱出せしめ、東洋平和の、またその重要なる一部をなす世界の平和、人類の幸福に必要なる段階たらしめんとするぬのである。区々たる感情の問題ではない。

ああ新しい天地は眼前に展開せられた。威力の時代はさって道義の時代はきた。過去全世紀にわたり錬磨長養されきたった人道の精神は、まさに新しい文明の曙光を人類の歴史に投じはしめた。新しい春は世界にめぐりきたり、万物の蘇生を催進しつつある。…

 公約三章

一、今口われわれのおこなうこの事業は、正義、人道、生命尊厳のための民族的要求、すなから白山の精神を発揮するものであって、けっして排他的感情に逸走してはならない。

二、最後の一人まで、最後の一刻まで、民族の正当なる意志を欣然として発表せよ。

三、いっさいの行動は、もっとも秩序を尊重し、吾人の主張と態度とを、あくまで光明正大にせよ。

  朝鮮建国四二五二年三月一目

(引用ここまで) 


共産党は北朝鮮の脅しに影響されている「国民と溶け込み結びつく力」のために本腰で取り組んでいるか?

2013-04-17 | 日記

今日の「赤旗」の主張を読んで、また昼のテレビ朝日のスクランブルを視て、さらにはJチャンネルを視て、思ったことを書くことにしました。

 テレビは、北朝鮮の「脅し」に関する時間が大幅に減りました。愛知の「人質」事件やボストンマラソンの「テロ」事件に集中しているからです。また関西と三宅島、東北の地震のあります。ミサイルを撃たず、平壌市内の映像などが流され、流石にその平穏な風景をみれば、「やる気」は伝わってきません。確かに潮目が変わったように思います。

 昼のスクランブルでは、大阪の在日の街の様子と在日の人々の声が紹介され、一方、日本の小学校5年生の子どもの暴言や在日のこどもたちのいじめも紹介され、スタジオの驚きのムードが伝わってきました。この間、北朝鮮の脅威とミサイル発射をまくし立ててきたコメンテータ氏も、流石に慌てていました。山本晋也監督は、在日の人たちの「冷静さ」の一方、国内の大騒ぎを対比させていました。

 一方、夕方のJチャンネルは、「独自」として「挑発繰り返すも」「対話に以降か」「背景に苦しい食糧事情」があり、ミサイル発射はなく、5月には対話が始まると「予想」していました。その理由は、「5月には田植えが本格化 戦時体制を維持する人員は農作業に」「戦時体制が続けば、油などを大量に消費する」との、大爆笑もんの「言い訳」をしていたのです。

 この二つの番組は、以下のことを明らかにしました。

1.散々危機を煽ってきたが、少なくとも予想された日になってもミサイル発射がなかったことを、反映したものであることで、その誤りの訂正を余儀なくされたこと。

2.しかし、在日問題の歴史的本質については、いっさい不問にしていること。

3.大阪と全国の在日の人たちを脅しているナショナリストたちこそ、安倍政権を支える輩であり、そのナショナリストたちへのリップサービス的言動を繰り返している安倍首相の発言と不測の事態対策として政府の軍事的対応が、韓国のナショナリストたちと同じように、実は北朝鮮を刺激していること。さらには、

4.こうした動きが、日米軍事同盟深化論を、さらに進め、憲法改悪の方向へ扇動していること、これは今日の党首討論の石原質問を見れば明瞭です。

5.そうした事実を踏まえず、これまでの言動の反省もせず、軌道修正を行おうとしているマスコミの姿が、ますます浮き彫りになってきたということ。理由は、

(1)北朝鮮の「田植え」は、判っていたことで、「何を今さら」ということです。

(2)このことは、北朝鮮の「国力」を見れば判ることです。

(3)食糧生産と戦争の関係は、はるか戦国大名の富国強兵政策、日露戦争時の農業生産軽視、アジア太平洋戦争時の大量の徴兵を課したことの農業工業生産の落ち込みと、その穴埋めによる強制連行など、歴史的教訓です。

(4)こうした戦争のイロハを無視した戦争の危機扇動報道が、北朝鮮の国力、経済を無視したものであること、それはひとえに、日本国民を煽って憲法を改悪していこうとする企みであることが、、ここでも明らかになったのでした。

6.そもそも、軍事的考えれば、金正恩体制の強化のために脅しをしている北朝鮮が、負け戦をやるかどうか、ということです。戦争を仕掛けることそのものが、若い金正恩体制の崩壊になることぐらい、北朝鮮指導部もはっきりしているのに、ことさら危機を煽るのです。その結果、どのような諸事実が作り出されていったか、マスコミは反省すべきです。

7.こうしてつくりりだされた「危機」を平和的な方向で解決するためには、どのようなことが必要か、マスコミは政府のやり方を批判し、提案していくべきです。又そのようなコメンテーターを登場させるべきです。

 

しかし、目下のところ、そのようなことはしていません。又この間のコメンテーターもデタラメコメントの検証もしようとはしません。

 そういう時に、今日の以下の「赤旗」の「主張」が掲載されました。これだけ日本中が大騒ぎして、ある意味国民的関心事になっている「挑発を繰り返している」北朝鮮問題について、「赤旗」は、沈黙に近い状態でした。以下の北朝鮮問題・六カ国協議を参照していただければと思います。http://www.jcp.or.jp/akahata/web_keyword/key008/

 以下の主張は、概ね賛同できるものですが、しかし、しかし、です。

1.率直に言って政権を取り、担当して憲法を生かし、国民を守りっていくのだという当事者意識は極めて希薄です。

2.共産党の「野党外交」は、どう検証するのでしょうか?

3.6カ国協議開催のために、共産党は何をするのか、です。

4.北朝鮮に核抑止力論を放棄させるために、共産党は何をするのか、です。

5.北朝鮮の核抑止力論の口実となっている日米韓の核抑止力論をどのように放棄させるか、そのために共産党は何をやるか、です。

6.今、北朝鮮の脅しの中にある国民の関心事になっているこの問題をとおして「溶け込み結びつく力」をどのようにつけていくのか、です。

7.他党との違い、他のマスコミとの違いをどのようにアピールするか、独自性を発揮するのか、です。

 

主張 朝鮮半島の緊張 いまこそ平和の努力を強めて2013年4月17日(水)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-17/2013041701_05_1.html

 以下、HPに掲載されていない「赤旗」の記事について、ほぼひと月間の記事を掲載しておきます。全国紙やテレビと比べながら、その立ち居地を検証して見たいと思います。

1.再度強調します!政権を取るつもりがあるのか、です。

2.参議院選挙で勝つつもりか、どうかです。

3.党員の皆さんは、赤旗を読みながら、北朝鮮問題については、党中央委員会が同じことしか言っていないこと、ここに掲載された記事は、極めて小さい記事であり、注目度からすれば、軽視されているのではないか、と言わざるを得ないこと。また党員の皆さんは、見落としているのではないのか?という危惧があるのです。

4.山崎氏のレポートからも判るように、脅威を煽っているのはアメリカであるにもかかわらず、これに関する論評が、「主張」などには、見られないこと。

5.北朝鮮が「核抑止力」論を捨てない理由についての、解明は赤旗を読む限りは判らないということ。

6.どうやって、「対話と圧力(北朝鮮にしてみれば脅しとなる!)」と言いますが、この二つの6カ国協議を開催し、どうやって北朝鮮に核兵器の幻想を捨てさせるか、かつてのソ連との論争などのように、理論的解明はなされていないこと。

7.ゲンパツ、消費税、沖縄問題など、赤旗独自の立ち居地、世論をリードするという立ち居地は、この問題では弱いということ。

 その点で、以下の資料は示唆的でした。志位和夫委員長の会見録と比べてみると、その不十分さが、判ります。

田中利幸時評: 「戦争責任の欠落と広島」、「北朝鮮第3回核実験の歴史的背景-『核抑止力』再考の必要性」

http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/04/blog-post_16.html

 北朝鮮の核実験に国際社会はどう対応すべきか 志位委員長の会見から 2013年2月16日(土)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-16/2013021601_02_1.html

 

以上、愛国者の邪論なりに、ポイントを大まかですが、まとめてみました。ご検討いただければと思います。

 赤旗 北朝鮮「核先制攻撃 日本も対象」 2013年3月18日

 【ソウル~時事】北朝鮮の労働党機関紙・労働新聞(電子版)は17日、日本が北朝鮮に対する独自制裁を検討していることなどに反発し、日本も核先制攻撃の対象になると警告しました。同紙は、「(米国に)全領土を丸ごと委ね、再侵略を虎視耽々(たんだん)と狙つている日本も決して(核先制攻撃の)例外ではない。これは脅しではない」と主張しました。同紙は、日本の独自制裁の動きに関し、「今回の機会を軍事大国化と海外平定の野望実現に有利に利用しようとしている」と非難。また、[(朝鮮半島で戦火が起きたときに)自衛隊が介入する場合、日本が無事だと考えるのなら、それに勝る誤算はない」と警告し、「日本が海の向こうにいるからといって、わが軍隊の無慈悲な攻撃から逃れられると誤判してはいけない」と主張しました。また、「米国にむやみに協調して無分別に飛び回れば、朝鮮人民は世紀を継いで心に積もった恨みを必ず晴らすだろう」と強調しました。

 赤旗 米軍が共同演習中止「政府緊縮財政の影響」 (2013年3月29日) 2面

 在日米軍は28日、米太平洋空軍(司令部ハワイ)が4月に米アラスカ州で予定していた共同軍事演習「レッドフラッグーアラスカ」を中止することを明らかにしました。 空軍は中止理由を米政府の緊縮財政による、国防費強制削減の影響を考慮した結果としています。演習は太平洋地域の米空軍部隊とカナダなど同盟国が参加を予定していました。昨年は航空自衛隊もF15戦闘機など約300人規模で参加していました。米空軍はアラスカ州の空軍基地で4月25日~5月日の間、演習を計画していました。米太平洋軍報道官は、アラスカで8月に代替訓練を計画していることを明らかにしました。

 赤旗 東アジア情勢「緊迫」 (2013年3月29日) 2

 防衛省防衛研究所は29日付で、「東アジア戦略概観2013」を公表しました。12年は、北朝鮮によるミサイル発射や中国の急速な軍事力近代化など「東アジア情勢の緊迫度がこれまでになく高まった」との認識を示しました。 

沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返す中国について、「日本の有効な支配を突き崩そうとしている」と指摘。「中国は周辺国との摩擦を恐れない行動をとるようになってきている」と述べました。北朝鮮については、今後も「核保有国」としての立場を既成事実化するため、「核実験を継続するだろう」との見通しを示しました。

 安倍政権が進める民主党政権時代の防衛大綱「見直し」について、「予算的裏付けの確保と10年大綱で欠落していた要素の補完という点に力点が置かれるべきだ」と強調。民主党政権が打ち出した動的防衛力について、同政権以前の「防衛政策と多くの面で共通点を持つ」と述べています。

 赤旗 北朝鮮に細心の注意 (2013年3月29日) 2

 安倍音三首相は28日の衆院予算委員会で、北朝鮮軍最高司令部が「全ての野戦砲兵車集団は1号戦闘勤務態勢に入る」との声明を出したことについて、「今回初めて使われた表現で注目している。北朝鮮の動向に政府として細心の注意を払っている」と述べました。

民主党の原口一博氏への答弁。首相は「北朝鮮がこうした発言を繰り返しても、何のメリットもないとしっかり認識させていくことが重要だ」と強調。「大切なことは国際社会が北朝鮮の挑発的な発言に振り回されずに、国連決議で決めたことを実行していくことだ」と語りました。

 「赤旗」 核搭載ミサイル一「配備能力ない」 米報道官 (2013年4月14日)

 【ワシントン=山崎伸治】米ホワイトハウスのカーニー報道官は12日の定例会見で、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な核兵器を保有している可能性があるとする米国防情報局(DIA)の分析に関し、「北朝鮮は核搭載ミサイルを配備する能力を見せてはいない」と強調しました。カーニー氏は「米国は引き続き北朝鮮の核開発計画を注意深く監視し、北朝鮮に対して(朝鮮半島非核化という)国際的な義務を尊重するよう呼び掛ける」と表明。「北朝鮮は核搭載ミサイルを配備する能力を見せてはいないというのがわれわれの分析だ」と繰り返しました。

 “米、北と直接交渉を” 元米韓国大使が米紙に寄稿  (2013年4月3日) 7

 【ワシントン=山崎伸治】ドナルドーグレッグ元来韓国大使は1日付の米紙ロサンゼルスータイムズ(電子版)に寄稿し、米国に対する脅迫的言動を強める北朝鮮にオバマ米大統領が直接、外交的働きかけを行うよう求め、「永続的平和を交渉することだけが賢明な手段だ」と論じました。

 グレッグ氏は北朝鮮が「米国の攻撃から自分たちを守るのは核兵器だけだと確信」しており、米国が米韓合同軍事訓練に核兵器搭載可能なB2爆撃機を投入したのは、「(北朝鮮に)その確信を強めさせるだけだ」と批判。「(北朝鮮は)現時点で核兵器を放棄しないだろうし、米国がそれを対話の前提条件として求めれば緊張を高めるだけだ」として、「不快に思えるかもしれないが、北朝鮮と直接対話する必要がある」と論じました。韓国の朴槿恵(パク・クネ)新大統領は自身の対北朝鮮政策を「信頼外交」と呼び、米側との政策調整を望んでいることは間違いなく、中国の習近平国家主席も朴氏に対し南北朝鮮の緊張緩和を支援したいと申し出たと指摘。「外交に代わるものは紛争の激化であり、それは朝鮮半島では重大な誤りとなる。永続的平和を交渉することだけが賢明な手段だ」と強調しました。

 エスカレート回避苦慮 北朝鮮の挑発に米政府 軍事的対応の一方 2013年4月5日)

【ニューヨーク=山崎伸治】北朝鮮が核施設の再稼働表明など、挑発的な言動を繰り返していることについて、米政府は軍事的な対応も取る一方、事態をエスカレートさせないよう苦慮しています。

 米軍は3月に米韓軍事演習(フォールーイーグル)の一環として、B52戦略爆撃機、B2ステルス戦略爆撃機を韓国に派遣し、爆撃訓練を実施。4月1日にはF22戦闘機2機・を派遣しています。

 米国防総省のリトル報道官は同日の会見で、F22の派遣は「静かな展示」と表現しました。軍事シンクタンク「ランド研究所」のブルースーベネット氏は「わずか2機の派遣が示すのは″われわれは大規模戦争を始めるのではない″ということ」(1日付米紙USAトゥデー)と指摘。2日付の米紙ロサンゼルスータイムズ(電子版)も「たった2機の戦闘機派遣が反映しているのは微妙なバランスだ。すなわち米国が決意を示しながら、北朝鮮との対立をあおらないことだ」と指摘しました。

 国防総省は3日、北・朝鮮がミサイルの射程内と表明した米領グアムに最新鋭の迎撃ミサイルーシステムを配備すると発表しました。

 これは先月15日のアラスカヘの迎撃ミサイル追加配備に続くものですが、いずれも北朝鮮のミサイルが到達するかもしれないという従来なかった想定に基づいています。

 赤旗 北朝鮮の挑発問題  (2013年4月6日) 7

中国が解決に役割を 米紙社説 ケリー氏訪中前に

 【ニューヨーク=山崎伸治】4日付の米紙ニューヨークータイムズの社説は、北朝鮮が米国に対する挑発的な言動を繰り返していることについて、「軍事的エスカレーションは解決策ではない」として、来週に予定されるケリー米国務長官の訪中を機会に中国が問題解決に役割を果たすよう求めました。社説は、「北朝鮮は核兵器保有国として決して認められないが、同国が望むなら経済復興と安全保障への道はある」との一致したメッセージを、中国が米国とともに北朝鮮に伝えるよう求めました。

 またケリー氏が2日、朝鮮半島の非核化について交渉する用意があると表明したことは、北朝鮮との関係確立を模索する韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を後押しするものだと評価しています。

 米のけん制策 刺激した恐れ 米紙報道

 【ワシントン=時事】4日付の米紙ウォールーストリートージャーナル(WSJ)は、3月から始まった米韓合同軍事演習で実施する北朝鮮けん制策の手順や周知方法を定めた計画を、米政府が事前にまとめていたと伝えました。政府は、一連の措置が意図していた以上に北朝鮮を刺激した恐れもあるとみて、けん制を弱める方向に連軌道修正を図っているといいます。

 前米国務次官補 戦略的忍耐正しい対処

【ワシントン=時事】キャンベル前米務次官補(東アジア・太平洋担当)は4日、ワシントン市内で講演し、挑発行動を激化させる朝鮮の瀬戸際外交に関し、米政府と日本や韓国が北朝鮮の瀬戸際外交に一切応じない「慎重な戦略的忍耐」を貫くのが正しい対処の仕方だとの見解を示しました。

  中国の原油供給 09年核実験後4ヵ月の中断

 【ソウル=時事】韓国紙・朝鮮日報は4日、2009年5月に2回目の核実験を強行した北朝鮮に対し、中国が同年後半に4ヵ月間にわたり原油などの供給を全面的に中断していたと報じました。国連安保理決議の制裁とは別に独自制裁を加えたもようだといいます。同紙は、3回目の核実験を強行後も米韓などへの威嚇を続ける北朝鮮に対し、中国が同様に原油の提供を中断する可能性があると指摘しています。

 原油は両国国境に近い中国遼寧省丹東郊外の貯蔵場所からパイプラインで北朝鮮に送られ、軽油などは船舶で運ばれます。中国の税関当局の統計によると、中国から北朝鮮に、09年8月から11月までの4ヵ月間、原油、軽油、航空燃料が全く輸出されなかったといいます。(引用ここまで)