迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

てつみちがゆく──日光那須宇都宮の205系

2018-05-27 20:43:08 | 鐵路
国鉄の最末期に登場し、平成時代の初めに首都圏通勤電車の“顔”として活躍した205系も、現在では海外に売り飛ばされて“ハエ”になったり、またJR東日本管内の地方路線に異動したりと、それぞれが第二の人生を送ってゐる。

東北本線の宇都宮~黒磯間に、それまでの211系を置き換へる形で元•京葉線205系が登場したときには、中距離型車両の路線へ通勤型車両が進出したことに、時代の大きな変化を痛感したものだった(上の写真)。


そして宇都宮~日光を結ぶ日光線も、それまでの急行型の名車165系の部品を転用した107系が老朽化したのに伴ひ205系へと置き換へられたが、そのうちの一編成が観光客に対応した構造へと改造され、「いろは」と名付けられて今年四月より運行を開始した。

──といふわけで、いつもの如くお仲間の興奮がおさまった頃を見計らゐ、乗ってみばやと存じ候。



木目調で統一した内装に、大阪在住時代にお世話になった阪急電車をちょっと思ひ出す。



特徴といふか、おもろいと思ふのは、真ん中二カ所の出入り口を潰して、クロスシートを設置したことか。

その部分の外観は、いかにも跡に板を嵌め込んだやっつけ仕事然としたもので、



まう少し良い工夫はなかったのかと思ふ。

そして座席は背もたれが垂直のため、



座り心地はよろしからず。

宇都宮~日光間の約四十五分が限度、それ以上だと却って疲れるだらう。

つひでに乗り心地も、これまでの205系と全く変わらず、

「ああ、そのへんはやはり205系なんだな……」

と思ふ。

まぁ、通勤型車両205系の化け具合が楽しめれば、それで結構といったところか。



……などと宣ってゐるうち、この車両の狙ひどころである外国人観光客たちが、母国語も賑やかに乗り込んできた。

そして発車すると、物珍しげに窓の外を眺めてゐたが、



やがて皆、おなじ形で居眠りをはじめた。




旅は、いろいろなことがあるから、楽しいのだ。
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