國立公文書館企画展『「普選」と「婦選」─選挙権の拡大とその歴史─』を觀る。
明治二十二年(1889年)二月十一日、大日本帝國憲法と共に公布された衆議院議員選挙法から始まった日本國の“せんきょ”が、高額納税者の特權から一般男性の權利へと裾野を擴げ、やがて女性にも權利が與へられるまでを、官から見る選挙權史。
(※展示室内フラッシュなしで撮影可)
女性の参政權を初めて官に訴へたのは大正十一年(1921年)の平塚らいてうにて、日本史の教科書にも名前が載ってゐた女史なるが、
近代日本文學の作品を僅かばかりかじったことのある私が女史の名前を拝すると、かつて森田艸平と云ふだらしのない男と心中騒ぎを起こしたヒトと云ふ印象がどうしても先に立ち、のちの近代女性解放運動に先駆けて、まず性について解放的だったと濁った人物像で映ってしまふ。
男女平等だの均等だのと云った事象の實態は、ただ男の社會に女が入り込んで来ただけのことであり、女の社會に男が進出することは、依然女側が拒絶反應を示してゐる。
男女の棲み分けがしっかりなされ、それぞれに領分を全うすることで浮世の均衡は図られると考へる私にはどうも納得いかない事象であり、そんな現代の端緒はこのあたりにもあるかと、
當時の輝かしき歴史の記録(あしあと)を眩しく見る。