東京都品川區大井一丁目、JR線「大井町驛」西口の外れを通る、幅の狭い、長い踏切。
「品川道踏切」と名付けられてゐるそれは、旧池上通りの一部であり、名殘りである。
(─旧池上通り ─品川道踏切)
戰後の再開發事業で、JR線を陸橋で跨ぐ現在の池上通りが昭和四十七年(1972年)に新設されたのちも、古以来の道筋はそのまま踏切とその前後に殘り、そのまま平面で通行できる踏切は現在も重要な路(みち)として機能してゐることは、その通行量からも充分に窺へる。
踏切の傍にはもちろん跨線橋(歩道橋)もあるが、階段昇降と云ふ面倒をおかしても急ぎたい人か、私のやうな電車と見ればすぐ冩真に収めたくなる人種くらゐにしか、需要はないらしい。
現代にも様々な姿で遺されてゐる古へ道、かうした鐵道と云ふ近代文明と交差してゐる箇所を目にすることに、私は歴史が移り變はることの臨場感を樂しむ。