「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       「おそ松くん」の死と「ときわ荘」の時代

2008-08-04 05:42:04 | Weblog
漫画にうとい僕でも名前を知っている「おそ松くん」の作者、赤塚不二夫さんが
亡くなった。まだ72歳の若さである。彼の作品に影響を与えたという手塚治虫
さんは、もっと若く61歳でこの世を去っている。調べてみると、僕と一緒に酒を
飲んだことがある「かっぱ天国」の清水昆(山冠に昆)さんも62歳、テレビで一
緒に仕事をしたおおば比呂司さんも66歳、みんな若くしてなくなっている。それ
だけ漫画家という仕事は厳しいのだろう。

赤塚不二夫さんは若い時、豊島区椎名町(当時)のアパートに住んでいた。昭和
28年に出来た木造二階建てで四畳半一間の家賃が3千円だったという。赤塚さん
は、このアパートで仲間の若い漫画家たちと梁山泊のような生活をしていた。師
の手塚治虫さんもここに住んでいた。その時代、僕の友人の家にも関西出身の漫
画集団の若い漫画家が居候同然の生活をしていた。僕は彼らが溜まりにしていた
渋谷の屋台でよく安酒を飲んだ。今モアイ像がある南口広場で、当時飲み屋の屋
台が夜通し店を出していた。

そんな関係でなんとなく無名だった赤塚不二夫さんの「ときわ荘」時代の生活がわか
るような気がする。テレビのアニメが人気になる前は漫画家の生活は苦しかった。
地方の新聞に漫画を連載していた、飲み仲間のKさんは中央で目が出ず、深酒に溺
れて身をくずしてしまった。

今でもわが家の近くには「ときわ荘」時代の木賃アパートが残っている。昔は作家や
若い俳優が住んでいた文化的なアパートだったが、今は出稼ぎにきた外国人が集団
で住んでいる。時代の移りを感じる。