「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         夏の終わり 人との出会い

2008-08-24 05:09:02 | Weblog
夏の終わり。東京の公立校でも明日から学校が始まる。季節も一挙に秋めいてきた。
夏休み中、孫たちに何もしてやらなかった罪ほろぼしに二人を近くの鰻屋へ連れて
いった。店の主人は、僕が学生のころアルバイトした仲間(故人)の弟である。それだ
けでも奇縁なのに、この日店で同席した高齢の女性は、72年前のベルリン五輪に出
場した僕でも名前を知っている方(故人)の奥さんだった。

人と人との出会いは不思議だ。1億を越す日本人の中でも食事を同席するのは、まさ
に一期一会である。昭和11年のベルリン五輪の時はまだ幼稚園児だったが、不思議
と当時の日本人選手の活躍を覚えている。ベルリン五輪では金6、銀4、銅8計18個
のメダルを獲得している。競技種目の少なかった当時としては大活躍だ。

鰻屋であった方のご主人は4位入賞だったが,この種目では未だに日本五輪記録史
上最高位である。僕が彼の名前を覚えているのもそのためかも知れない。ご夫人は
89歳の高齢である。鰻屋には彼女が描いた幻想的な夜来香(イエライシャン)の花の
絵が飾られていた。帰宅しててネットで調べてみたら、生まれ故郷の台湾を中心にアジ
ア各国で個展を開き、友好親善に努めておられる著名な画伯だ。

「夜来香」は李香蘭の歌で、ある意味であの時代を象徴している花だ。北京五輪ととも
に夏は去ってゆく。夏の終わりは人に想いをはせる時季でもある。画伯との出会いは「夜
来香」の絵を媒体に”こしかた”にお会した人々を想い起こさせてくれた。