「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            認可保育所と認証保育所との間

2013-03-03 07:22:46 | Weblog
東京杉並区で今年4月に入園する認可保育所の第一次選考をしたところ、1135人の募集に対し2.6 倍にあたる2980人が押し寄せ希望者の約三分の二が入所できなかった。これに対し入所できなかった母親50人が区役所に行き、田中良区長に異議を唱え、全員入所させろと申し入れた。お母さんたちは、赤ん坊を抱いたり、幼児の手を引いたりして抗議していたが前代未聞の光景である。

杉並区の田中良区長は民主党の東京都議を5期つとめ党の幹事長から都議会議長までしたベテラン地方政治家である。2010年、前区長の山田宏氏が辞任した後を受けて区長に選ばれた。都議時代には石原都政に対して”何でも反対”し、現状ではすぐには実現不可能な認可保育所の増設を唱えてきた人物だ。母親たちの抗議を受けて、猪瀬直樹都知事に会い陳情していたが、都知事は認証保育所や小規模個人保育所で対応してくれと回答していた。

東京の場合は土地の取得難もあって、国の保育園の設立基準をみたす認可保育園が少ない。そこで都では基準を緩和した都が認証した保育園を数年前から許可している。国の基準では園児たちの遊ぶ園庭が必要だが、敷地が狭いから、近くに公園があれば、それで代行してもよいといったように基準がゆるい。しかし、認可保育園の月の費用が平均2万―4万円に比べて認証保育園は7万-8万円と割高である。

民主党政権時代、保育園と幼稚園を一つにしようと国会で論議されていたが、結局どうなってしまったのだろうか。しかし、杉並区のお母さんたちが問題にしているのは、そんな問題ではない。現実の問題として働く女性が年々増えているにもかかわらず、都会では認可保育園が少ないのである。東京都では認証保育園があるではないかというが、費用の面だけでなく設備の面でも認可と認証では格差がありすぎる。僕の家近くの区立保育園では園児たちが元気に園庭で遊んでいるが、認証保育園の園児たちは寒空の下、保母さんに連れられて鉄道の陸橋の上から電車を眺めている。