「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        仰々しい(大震災)の報道特集への違和感”

2013-03-15 07:30:05 | Weblog
産経新聞のコラム「透明な歳月の光」で作家の曾野綾子さんが”仰々しい報道特集への違和感”というエッセーの中で、東日本大震災から二度目の記念日に当たってのマスコミの報道が仰々しいのではないかと批判していた。僕は学年にすれば1年上で、ほぼ同世代だが、大津波でも奇跡的に残った一本松の復元工事の報道ぶりなどを見ると同感である。

曾野さんは直接触れてはおられないが、言外には昭和20年3月10日の東京大空襲があるのではないかと僕には思われる。ご自身の戦争中の体験、例えば勤労動員されて”女工”として働いたこと、飛来した米軍のグラマン戦闘機から搭乗員の顔が見える至近距離から機銃射撃を受けた体験などをあげ、戦争は地震や津波より比較にならないほど過酷な体験だと書いている。

東京大空襲では10万人の人が亡くなっている。昭和19年11月から始まったB-29爆撃機による日本本土爆撃では全国で200都市が破壊され、33万人が犠牲になっている。東京大空襲はその象徴的なものだが、年々風化してきた。東京では「東京平和の日」として、関係者が集まって記念行事が行われているが、マスコミはほとんど関心を示さない。大阪、名古屋、横浜でも東京と同じように空襲によって大被害を受けている。

沖縄での組織的な戦闘が終わった6月23日は、戦闘で亡くなった方々を祈って慰霊の日が行われている。原爆被害にあった広島、長崎でもそれぞれ原爆が投下された8月6日と8月9日に慰霊祭が行われている。国民の祝日の中には、あまり意味もない祝日もある。戦争を体験した僕らの世代にとっては、空襲も風化させず後世に残してもらいたいものだ。