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「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            「修身」(道徳)の教科化に反対

2013-03-21 07:09:22 | Weblog
安倍晋三内閣の教育再生実行会議で「道徳」の教科化が提唱され実現への動きが出ている。安倍総理は「道徳教育への充実」に意欲的ということだが、産経新聞の「言のついでに」というコラムで論説委員氏が”修身(道徳)教科書復活への期待は大きく膨らむ”とわざわざ修身(道徳)と修身を強調して書いていたので、戦中小、中学校で9年間、修身を学んだ者として一言。

修身の授業は週に1時間ぐらいあっただろうか。国定の教科書にそって先生が国語の授業と同じように生徒に読ませた。内容については、ほとんど忘れてしまったが、"狼少年”とか”蟻とキリギリス”といった西欧の寓話や藩政時代の上杉鷹山の倹約の話や二宮金次郎の薪を背負いながら読書した勤勉の話があったようだが確かではない。

戦前の教育は「教育勅語」によるものだった。”朕(ちん)惟うに皇祖皇宗で始まる”この勅語の暗誦は、言葉が理解出来ない子供たちにとっては歴代の天皇の名前の棒読み暗記ととにあまり良い思い出ではない。学校によって違うのだろうが、僕が学んだ小学校では修身の授業は当時の時代を反映した極端な皇室崇拝の話が多かった。僕にとって修身は好きな課目ではなかったが、評価は甲であり、操行(行儀)も優であった。

「道徳教育」の教科化は、日本の教育の現状をみると反対ではない。世界に共通するモラルさえ日本では守られていない。道徳教育は昭和33年から任意課目として学校で行われているそうだが、成果は上がっていない。そのため道徳を教科化して子供たちに学ばさせることも一方便であろう。しかし、これを戦前の修身に戻すというのには、僕らの世代には抵抗があり反対である。