「こんにちわッ、テディちゃでス!
まだかなァ?まだかなッ?」
「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!銀の次は金!)
こんにちは、ネーさです。
銀木犀が咲いたら、次は金木犀の番ですね。
まだ花は咲かないのかな?と
我が家のキンモクセイを眺めながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、↓こちらの文庫作品を、どうぞ~♫
―― 時の娘 ――
著者はジョセフィン・テイさん、
原著は1951年に、
画像の日本語版は1977年に発行されました。
英語原題は『THE DAUGHTER OF TIME』、
ず~っと以前にご紹介したことのある作品ですが……
「さいとうじょうゥにはァ~」
「ぐるるがるるる!」(←訳:ワケがあります!)
9月8日に逝去したエリザベスⅡ英女王――
若き日の女王さまの映像が
幾度となく放送されたこの週末、
ご冥福をお祈りしつつ、
本棚を総点検してみました。
私ネーさの無秩序な蔵書の中に、
英王室に関したものって、あったかしらん?
「あッ! あッたでス!」
「がるぐる!」(←訳:これこれ!)
はい、そうなんです。
これだわ!と棚から引っ張り出したのが、
J・テイさん著『時の娘』でした。
この作品が英国で刊行されたのは1951年、
翌1952年がエリザベス女王即位の年でした。
つまり、
ジョージ6世国王が在位していた頃のこと――
或る警察官さんが、
ドジを踏んでしまったのです。
「おッこちィちゃッたッ!」
「ぐるるーるる!」(←訳:マンホールに!)
ロンドン警視庁のアラン・グラント警部は、
逃走する犯人を追跡中、
マンホールに墜落して足の骨を折り、
入院生活を送る羽目になりました。
命に別状なかったのはよしとして、
ああ、それにしても動けないってのは退屈だと
苛立ち嘆くグラント警部に、
友人から贈られたのは……
数枚の版画。
「わほゥ、これはァ~」
「がるるぐるぅ!」(←訳:肖像画だねぇ!)
ルクレツィア・ボルジア。
ルイ十六世。
レスター侯爵ロバート・ダドリー。
そして……うん? これは?
何者だろう……?
「ふふふッ! ゆうめいィじんッなのでス!」
「ぐるる~…」(←訳:答えは~…)
リチャードⅢ。
肖像版画の裏側にその名を見つけ、
グラント警部は驚きます。
これが、あのリチャード三世なのか?
シェイクスピアの劇作中で
悪の権化として描かれている、
あの王さまが……こんな風貌をしていたと?
「うゥ~むゥ?」
「がるぐるるる~…」(←訳:納得できない~…)
何も知らぬ時点での第一印象と、
知ってしまった後の印象。
その間の、小さな違和感が
グラント警部の退屈病を押しのけ、
膨らんでゆきます。
この人物は、
本当に悪漢なのか。
劇聖が描写したように、
疑惑に満ちた悪王であったのか。
「それならァ~ここでッ!」
「ぐるるがるるぅる!」(←訳:調べてみましょう!)
王家の血筋、
政争の背景、
はからずも王冠を戴くこととなった
ひとりの王子の物語の、
虚構と真実とは。
この長編作品を読了したなら、
リチャード三世を見る眼も変わるに違いない
歴史ミステリの傑作です。
グラント警部と一緒に
最高の時間旅行を、
皆さま、ぜひ♪
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