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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 秋の名作再読・王に眠りを ~

2022-09-11 21:08:35 | ショコラ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まだかなァ?まだかなッ?」

「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!銀の次は金!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 銀木犀が咲いたら、次は金木犀の番ですね。

 まだ花は咲かないのかな?と

 我が家のキンモクセイを眺めながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、↓こちらの文庫作品を、どうぞ~♫

  

 

 

          ―― 時の娘 ――

 

 

 著者はジョセフィン・テイさん、

 原著は1951年に、

 画像の日本語版は1977年に発行されました。

 英語原題は『THE DAUGHTER OF TIME』、

 ず~っと以前にご紹介したことのある作品ですが……

 

「さいとうじょうゥにはァ~」

「ぐるるがるるる!」(←訳:ワケがあります!)

 

 9月8日に逝去したエリザベスⅡ英女王――

 若き日の女王さまの映像が

 幾度となく放送されたこの週末、

 ご冥福をお祈りしつつ、

 本棚を総点検してみました。

 

 私ネーさの無秩序な蔵書の中に、

 英王室に関したものって、あったかしらん?

 

「あッ! あッたでス!」

「がるぐる!」(←訳:これこれ!)

 

 はい、そうなんです。

 これだわ!と棚から引っ張り出したのが、

 J・テイさん著『時の娘』でした。

 

 この作品が英国で刊行されたのは1951年、

 翌1952年がエリザベス女王即位の年でした。

 

 つまり、

 ジョージ6世国王が在位していた頃のこと――

 

 或る警察官さんが、

 ドジを踏んでしまったのです。

 

「おッこちィちゃッたッ!」

「ぐるるーるる!」(←訳:マンホールに!)

 

 ロンドン警視庁のアラン・グラント警部は、

 逃走する犯人を追跡中、

 マンホールに墜落して足の骨を折り、

 入院生活を送る羽目になりました。

 

 命に別状なかったのはよしとして、

 ああ、それにしても動けないってのは退屈だと

 苛立ち嘆くグラント警部に、

 友人から贈られたのは……

 数枚の版画。

 

「わほゥ、これはァ~」

「がるるぐるぅ!」(←訳:肖像画だねぇ!)

 

 ルクレツィア・ボルジア。

 ルイ十六世。

 レスター侯爵ロバート・ダドリー。

 

 そして……うん? これは?

 何者だろう……?

 

「ふふふッ! ゆうめいィじんッなのでス!」

「ぐるる~…」(←訳:答えは~…)

 

 リチャードⅢ。

 

 肖像版画の裏側にその名を見つけ、

 グラント警部は驚きます。

 

 これが、あのリチャード三世なのか?

 シェイクスピアの劇作中で

 悪の権化として描かれている、

 あの王さまが……こんな風貌をしていたと?

 

「うゥ~むゥ?」

「がるぐるるる~…」(←訳:納得できない~…)

 

 何も知らぬ時点での第一印象と、

 知ってしまった後の印象。

 その間の、小さな違和感が

 グラント警部の退屈病を押しのけ、

 膨らんでゆきます。

 

 この人物は、

 本当に悪漢なのか。

 劇聖が描写したように、

 疑惑に満ちた悪王であったのか。

 

「それならァ~ここでッ!」

「ぐるるがるるぅる!」(←訳:調べてみましょう!)

 

 王家の血筋、

 政争の背景、

 はからずも王冠を戴くこととなった

 ひとりの王子の物語の、

 虚構と真実とは。

 

 この長編作品を読了したなら、

 リチャード三世を見る眼も変わるに違いない

 歴史ミステリの傑作です。

 グラント警部と一緒に

 最高の時間旅行を、

 皆さま、ぜひ♪

 

 

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