ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

心が壊れない能力

2016年08月09日 | こころ
患者さんに絵を描いてもらい心の内側を知る方法を
日本独自のスタイルで編み出した精神科医の中井久夫先生。

著書によると中井久夫先生は、入院患者さんが自殺したことにショックを受けて、
どのような基準をクリアすれば、
患者さんを退院させていいかという基準を作ったそうです。
その基準が「精神健康の基準について」

以下、精神健康をあやうくするようなことに対する耐性として定義

第一は、分裂(splitting)する能力、そして分裂にある程度耐えうる能力

第二は、両義性(多義性)に耐える能力

第三は、二重拘束への耐性を持つこと

第四が、可逆的に退行できる能力

第五は、問題を局地化できる能力

第六は、即座に解決を求めないでおれる能力、未解決のまま保持できる能力

第七は、一般にいやなことができる能力、不快にある程度耐える能力

第八は、一人でいられる能力、二人でいられる能力

第九は、秘密を話さないで持ちこたえる能力、嘘をつく能力も関連能力であろう。

第十は、いい加減でも手を打つ能力である。これは複合能力で、意地にならない能力とか、いろいろな角度からものを見る能力、欲求不満に耐える能力とも関係してくる

第十一は、しなければならないという気持ちに対抗できる能力

第十二は、現実対処の方法を複数持ち合わせていること

第十三は、徴候性へのある程度の感受性を持つ能力。これは、身体感覚、特に疲労感、余裕感、あせり感、季節感、その他の一般感覚の感受性を持つことと同じである。なお、すべての能力は人間においては対人関係化するので、対人関係を読む能力は徴候性を感受する能力と関係している。

第十四は、予感や余韻を感受する能力

第十五は、現実処理能力を使い切らない能力

以上の十五個が、精神健康の定義

追加
また、ある状況下では、独語する能力も精神健康上プラスの意味を持つ。

『「つながり」の精神病理』中井久夫(ちくま学芸文庫 2011)精神健康の基準について(p237-248)より引用

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