恥ずかしながらわたし、初めて(だった気がする)山本周五郎の作品を読んでいます。
「その木戸を通って」にすっかり魅了されました。
調べると過去に映画化もされてたようですね。
新居さんが武庫川の古書店「街の草」さんからことずかって来て下さった。
わずか20ページほどの小さな冊子である。
けどおしゃれに作られている。
これに「街の草」の加納成治さんが小文を載せておられる。これは冒頭の2ページ分。
このあと文は続いて計9ページの随想である。
これがなかなかいい。
わたしは密かに加納さんのことを「てつがくのらいおん」とニックネームをつけているのだが、それはお店をわたしが訪れた時の印象である。今回のこの文章からはとてもライオンなどとはイメージがかけ離れている。加納さんは間違いなく草食系である。
読ませて頂いて、しんと心の底に沁み入る。
急きも慌てもしない、ゆったりとした書きぶりで、心の中のことをおもむろに紡ぎだす。
これは品のいい追悼文といっていいのだろうか。
神戸の中村信司さんから贈って頂きました。
てのひら詩集、39号『ほんまバカ』。手作り詩集です。
4篇の詩と書が掲載されている。中村さん86歳は、老後を詩と書に生きがいを見つけておられる。
こんなのいいですねえ。すべて手作り。
一篇、ご紹介します。表題詩「ほんまバカ」です。
週に一回は
温泉を楽しんでいる
汗を流してさっぱりし
家に帰ってきた
ところが入れ歯がない
オレは風呂に入るとき
入れ歯を外す癖がある
ハンカチにつつんで
脱衣箱に入れた
取り出すのを忘れたに違いない
104番で電話番号を調べて
「まことに恥ずかしいのですが」
と入れ歯を忘れたことを話した
「あればどうしますか」という
「とんでいきます」
と答えた
バスの便がなければ
タクシーででも
飛んでいくつもりだ
ところがである
普通入れ歯がなければ
フぬけた声が出るはずだ
ちゃんと声が出とる
また電話した
まさか口の中に入っていましたとは
言えんではないか
「ポケットにはいってました」
電話の向こうで
笑い声がした
ほんま
バカ
とぼけた味のある作品だ。
ほかのも味のある詩です。
「あとがき」をどうぞ。
足のけがをした。骨は折れていないのに内出血がひどくてはれあがった。痛かった。はれが引いて、普通に歩けるようになるのに、ふた月はかかった。
もう歳なのだと、思い知らされた。
これからは、あまり動くのはやめて、家でやれることをやることにする。
詩を作り、「書」を書く。これは動きにくくなった俺には最適だ。
延原句沙弥さんの句集(昭和39年発行)を読んでいて、ある句にハタと目が留まった。
この景色、どっかで見たことがあると。
「自転車で行くガラス屋が反射させ」
情景がパッと見えますねえ。
気になってしかたありません。
やがて思い出しました。たしか、杉山平一さんの詩にこんなのがあったと。
で、探しました。ありました。
帯に、昭和18年の名詩集とあります。しかしこれは、2008年の再々復刻版です。手のひらに乗るかわいい袖珍本。まるで言葉の宝石箱のような詩集です。
その中の「町にて」
どうでしょうか?いいですねえ。やはり、句よりも詩のほうが情感が胸に迫ってきます。
この『夜学生』が出た時、杉山さんは29歳。そして今、96歳。まだまだ詩を書き、随想も書いておられる。いつまでもお元気でいてほしいです。
〇
歯医者さんに行きました。
歯が悪いからではありません。自ら申し出ての健診です。
二年ぶりでしたので、レントゲンを撮られました。重たい防護チョッキを着せてもらって撮りました。こんなん、昔はなかったですよね。
歯槽膿漏の検査も受けました。
で、医師の診断は、「異常なし」でした。
他にも特に悪いところはなく、歯石取りだけです。
で、お支払いは、1250円。わたし、色々事情があって、一割負担なのです。だから、もし保険がなければ、12500円というわけですね。約40分の検査、治療でした。
〇
明日15日(水)、「輪」は臨時休業させて頂きます。
よろしくお願いいたします。