喫茶 輪

コーヒーカップの耳

姥ひや酒

2024-08-16 17:48:29 | 田辺聖子さん
ちょっと気になって手にしている本。
 
 
田辺聖子さんの『姥ときめき』の中の「姥ひや酒」の初めのところを読んでいて、わたしは吹き出しそうになった。
《七十七ともなれば、もう、生きるのも死ぬのも流れに任せよう、そう思い出したのだ。》
わたしの妻は三日前に七十七になったばかり。
で、ここを読み語ってやった。
妻はずっこけた。
そしてその後だ。
何行か後に、
《対手(あいて)の男性は八十一だという。》
あっちゃー!
わたしは今日八十一になったところだ。
もう笑い飛ばすしかありませんね。
 
『コーヒーカップの耳』田辺聖子さんのお奨め本。
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『古川柳おちぼひろい』

2024-03-31 09:34:48 | 田辺聖子さん
昨日行った芦屋の古書店「風文庫」さんで買った本。


『古川柳おちぼひろい』(田辺聖子著・講談社・昭和51年刊)。
表紙絵は山藤章二さん。

聖子さんは川柳がお好きだったので『道頓堀の雨に別れて以来なり』ほかたくさんの川柳関連の本がある。
でもこれは、わたしまだ読んでいなかった。

その第一ページ目。

「母の名は親仁(おやじ)の腕にしなびて居」
聖子さんは「座右に置いて、年をかさねるほどにおかしみがましてくる佳句、今も変らぬ人の世の風情。」と書いておられる。

この句、わたし最初読んだ時、すぐには解らなかった。
でもすぐに「あ、そうか!」と膝を打った。
人間の滋味が滲んでますよね。
わたしも川柳が好きなのです。
このような人間の味わいを楽しめるものが。
そういえば宮崎修二朗翁は「川柳をする人には好人物が多いです」とおっしゃっていた。

『コーヒーカップの耳』田辺聖子さんに関する秘話も載ってます。
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「とんぼりの謎」

2023-11-20 10:49:45 | 田辺聖子さん
西宮芸術文化協会編集・発行の文芸誌『表情』第32号です。



12月1日が発行日ですが、手元に届きました。

詩作品も載っているのですが、拙エッセイを紹介します。




これを書くことになったきっかけは、今年7月のこと。
「田辺文学を生んだ福島」という講演会が大阪の福島で開催され、孫のkoh(高三)と一緒に行きました。
そこで、講師の一人田辺聖子文学館館長の中周子さんとお話しして教示を受けたことを参考に書いたのでした。
貴重な話だと思います。
この件について田辺聖子さんはどこかに書いてはおられないでしょうか?
どなたかご存じの方がありましたらお教えください。

『触媒のうた』(神戸新聞総合出版センター刊)田辺聖子さんの秘話も載ってます。
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田辺聖子さんの手蹟

2023-11-06 09:03:20 | 田辺聖子さん
短歌誌「六甲」11月号の「昭和文人の手蹟」は「田辺聖子」さんです。



「昭和文人の手蹟」は今月号で14回目となりました。
これまでに紹介した文人を列記してみます。
堀内大学で始まり、三島由紀夫、竹中郁、永井龍男、吉井勇、江戸川乱歩、まど・みちお、椎名麟三、荻原井泉水、壷井栄、壷井繁治、石坂洋次郎、佐多稲子、そして今回の田辺聖子さん。
まだ100人ぐらいの文人書簡がわたしの手元にありますので、元気に書き続けたいと思います。

『触媒のうた』(今村欣史著・神戸新聞総合出版センター刊) 昭和文人の秘話満載の本。
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川野彰子さん

2023-09-03 08:24:50 | 田辺聖子さん
今朝の神戸新聞「正平調」です。

作家、川野彰子さんと島京子さんのことが書かれている。
この川野彰子さんは、たしか、田辺聖子さんのご主人だった川野純夫さんの最初の妻だった人では?
川野彰子さんと田辺聖子さんは文学仲間だった。

その辺りのこと、ここには書かれていませんが、この小さなコラムでは無理ですね。
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聖子さんの大阪弁表記

2023-07-24 08:50:30 | 田辺聖子さん
昨日いただいたレジュメに貴重なものがあった。
←クリック。


17歳の時の聖子さんの文章の中のこの部分。

「いづみィ。どこぞ行たんか」

講師の中周子さんも講演の中でおっしゃっていたが、
「17歳の少女がこういう表記をすでに使っておられた」と。

この小さな「イ」ですが、今はわたしも真似をさせて頂いている。
昔、同人誌「風媒花」に作品を載せていたのだが、その時はこのような表記をしていなかった。
ところがそれを見た杉山平一先生が「田辺聖子さんは、小さな「イ」などを上手く使ってますよ」とアドバイスしてくださったのだった。
中さんの説明を聞いて、そうだったのか田辺さんはすでに少女のころから会得しておられたのか、と感心したのだった。
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聖子さん第二の故郷での写真。

2023-07-24 08:39:16 | 田辺聖子さん
『田辺聖子の世界展』には、もう一枚、注目の写真があった。


聖子さんの第二の故郷とのこと。ご自身でそう言っておられたと。

この福知渓谷の文学碑の前ではわたしも写真を撮っている。
そのこと、『KBECCOO』2014年8月号にその写真を添えて書きました。面白い話です。

この話は『触媒のうた』にも載せてます。
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「田辺文学を生んだ<福島>」

2023-07-23 14:35:48 | 田辺聖子さん
これに行ってきました。



「田辺文学を生んだ<福島>」という催し。福島区歴史研究会主催。
大阪市福島区区役所6階会議室。
福島に住む娘からの情報で。
孫のkoh(高三)がジーチ一人では心配だというわけで付き合ってくれました。





定員100人でしたが、110人が参加でした。
レジュメは6ページもある親切なもの。

これだけでも勉強になります。
楽しく田辺さんの世界に浸って来ました。
終って、質問の時間に手を上げさせてもらいました。
疑問に思っていたことを田辺文学館館長で大阪樟蔭女子大学名誉教授の中周子さんにお尋ねしました。
「貴重なご質問を…」と喜んでいただきました。
終って、講師のお二人にご挨拶に伺いました。
田辺さんの姪御さんで、中央公論新社文芸部副部長の田辺美奈さんには拙著『完本コーヒーカップの耳』に聖子さんの帯文を使わせていただいたことへのお礼。
4年前に朝日新聞出版の岩田一平さんが東京でお許しをもらってくださったのでした。
よく覚えておられて「本屋さんで見かけます」とおっしゃいました。
中さんにもご挨拶。
名刺を差し出すと「今村さん…!」とおっしゃってびっくりでした。
聖子さんに縁のある拙著『触媒のうた』『完本コーヒーカップの耳』の2冊を文学館に置いていただけるようにお願いしました。
承知してくださって「喜んで読ませていただきます」と。
ありがたいことでした。

催しの最後に抽選がありました。本が戴けるというもの。
80冊用意してくださってたのですが、参加者が思いのほか多くて抽選に。
30人が外れるというわけです。



17年前の催しの図録で、90ページほどある立派なものです。

kohと二人だから、確率から言えば少なくとも一人は当たるだろうと思ってました。
ところがなかなかわたしたちの番号は呼ばれず、kohに「二人とも外れやったらどうしょう」と言ったものでした。
ところが二人とも最後の方に呼ばれてよかったです。
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100円の本

2023-06-30 11:28:47 | 田辺聖子さん
昨日も書きましたが、武庫川の古書店「街の草」さんで買ってきた本。
右側の初版単行本。



元々この評伝は、文庫本(写真左)では読んでいたんですけどね。
これには事情があって、やがてどこかに書きます。

『コーヒーカップの耳』田辺聖子さんに絶賛された本。
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芸術って何やねん。

2022-07-21 09:47:18 | 田辺聖子さん
『読書の森で寝転んで』の中の田辺聖子さんのことを書かれたものが興味深い。

葉室さんは田辺さんの『ひねくれ一茶』が好きだとおっしゃってる。わたしもその本は好きです。
葉室さんはこんなことを書いておられる。

《 われと来て遊べや親のない雀
  雀の子そこのけそこのけお馬が通る
  痩せ蛙負けるな一茶これにあり
 などの日常の言葉で子供にもわかりやすく、おおらかな慈愛のこもる一茶の句は誰にも愛されるが、一方で平俗であり、深遠な芸術性からは遠いと思われがちだ。しかし、だからこそ、
―—芸術って何やねん。
 という、「感傷旅行」で芥川賞を受賞しつつ、男女の恋愛の機微に触れる数多くのエンターテインメント作品を著した田辺さんの声が聞こえてきそうな気がする。》


やっぱり、その文学はわたしの肌に合います、葉室さんも田辺さんも。
但し、田辺さんの恋愛ものは、わたしあまり読みません。評伝ものが大好きなんです。

『触媒のうた』 田辺聖子さんに関する秘話も出てきます。
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六車明峰さんの書

2022-06-23 09:17:50 | 田辺聖子さん
もう長いお付き合いの、明石の書家、六車明峰さん。
六車さんの書は趣味ではありません。
プロの書家さんです。
その六車さんからこのほど「もらってください」と言って「書」を贈られました。



タテ15㎝、ヨコ10㎝のかわいいもの。
実はこれ、「KOBECCO」6月号のわたしのエッセイ「田辺聖子さんの異人館」につけられたカット書なのです。



因みに、「輪」の書斎に飾られている聖子さんの異人館の絵です。



色んな人の縁をいただきながら、ものを書かせていただいています。
ありがたいことです。

『コーヒーカップの耳』おもしろうて、やがて哀しき喫茶店。


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「誰にでもわかって誰にも作れぬものを」

2022-04-22 08:44:03 | 田辺聖子さん
必要があって田辺聖子さんの名作『道頓堀の雨に別れて以来なり』をパラパラと繙いていた。
初めて読んだのはもう18年前。
川柳作家、岸本水府の評伝。スゴイ本でした。



上中下の三部作。大著です。
今朝最後のページを読んだのですが(ここ読むのは初めてだったかも)、我が意を得たりのことが書かれています。
井上ひさしさんの「解説にかえて」です。
←クリック。
《水府は「誰にでもわかって誰にも作れぬ句を作れ」と言ったという。》
わたしの目指して(今さら?)いるところでもあります。
(誰にでもわかって誰にも作れぬ詩)。
と言ってもわたしは元々難しいものを作る能力がないのではありますが。

『触媒のうた』田辺聖子さんのエピソードも載ってます。
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田辺聖子さんの異人館

2022-02-21 10:24:59 | 田辺聖子さん
昨日、図書館に予約本を受け取りに行ったついでに、随筆の棚を見た。
そこからお借りした本。



『小川洋子対話集』(2007年・幻冬舎)。
今日読んでいたところにびっくり。これは発見。

田辺聖子さんとの対話の箇所。二段階クリックでお読みください。
この部分です。
《私、仕事場を別に持とうと思って探したの。そうしたら、知ってる人が、「山坂を登り降りするのはかなわんというので売りたがっている家がある」と勧めてくれて、見に行ったの。おっちゃんは、最初「あんな山坂上がり降りする所はかなわん」と怒っていたんですよ。》
ここに出て来る「知ってる人」というのは宮崎修二朗翁のことです。
そして、聖子さんが書かれたものに、あの異人館はおっちゃん(聖子さんのご主人のこと)が購入したようなことが書いてあって、宮崎翁にお尋ねしたことがありました。すると翁はこう言われた。
「そんなことはありません。僕が聖子さんに紹介しました。だって、そのころ、僕はまだ、カモカのおっちゃんとはそんなに親しくなってませんでしたから」と。
やっぱりそうだったんですね。このエピソード、『触媒のうた』(神戸新聞総合出版センター刊)に書きましたが、間違ってはいなかったんだ。
実はわたし、少しだけ心配していました。もしかしたら宮崎翁の記憶違いではないのかと。なので、良かった。
このこと、またどこかに改めて書いておこう。その覚えのためにここに記しておく。


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霊感小説?

2021-07-29 08:34:32 | 田辺聖子さん
田辺聖子さんの「十八歳の日の記録」より。


8月9日、終戦直前の日記。

《私の作品は何か一つ霊感が起きて作れるものであるから、起きないときには作れない。起きて来ない中は、まるで普通の凡人と違わず、その前に書いた自分自身の作品にへええこんなものを書いたかしらんと感心するほどである。
 その代わり書いている中に来たら神がかりになって別人のよう、人のいうことなど聞こえないし、話しもせず、何も見えず、奔流のように書く。》


18歳の時にこれだから、やはり凄い。

田辺さん推薦の本『コーヒーカップの耳』
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十八歳の聖子さん

2021-07-26 09:35:02 | 田辺聖子さん
『文芸春秋』7月号を読んでいる。
「田辺聖子「十八歳の日の記録」」。
整理していた伊丹の聖子さんの家の押し入れから見つかったという日記。



すでに十八歳の女の子が書けるような文章ではない。
上手いし、文学的教養がハンパではない。
足立巻一先生が文学学校時代の聖子さんを評しての「なんぼでも書いてきた」が納得させられる。
この日記を発見されたのは聖子さんの姪の田辺美奈さん。
この美奈さんには、『完本コーヒーカップの耳』でお世話になった。
編集の岩田一平さんを通じて、詩集『コーヒーカップの耳』に聖子さんが提供してくださった帯文の再使用を許可してくださったのだった。

今日読んだところに驚いた。
戦時中の日記ということで、だいたい内容は予想できていたのだが。
こんなことがあったのか!と思った。
空襲で福島のご自宅が焼けてしまった時のことである。
←二段階クリック。
「フン、焼け出されのくせに気の利いた服、着とる」
そんな差別があったなんて、思いもしなかった。
これも時代の貴重な証言。
《一億戦友とみんな標榜するけれどもそんな事はうわべだけだ》と18歳の聖子さんは喝破する。

聖子さんの帯文のある本。『コーヒーカップの耳』
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