喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『現代川柳』12号(通巻95号)2025年冬号

2025-01-25 09:48:20 | 文芸

先日「フォト川柳」が素晴らしかった、と書きました。

その後、他のページもだいたい読ませていただきました。

前号には、

走り梅雨 初めて俺と言いし子に    林かずき

シンバルの音だけを待つ演奏会     根垣万里子

という素晴らしい川柳が載っていて大喜びしました。

 

さて今号は?

以下、気になったものを記します。門外漢の私見です。

   「月の抄」より。

骸骨になって向日葵立っている     こはらとしこ

氷カタン 君のグラスに居ない君    こはらとしこ

傘立てに紛れてずっと待っている    城水めぐみ

秋うらら縁を切りたい人ばかり     徳道かづみ

またひとつ路線バス消え風の道     石川街子

淋しいの言葉に替わる咳が出る     石川街子

何が欲しいか恥が欲しいかそらやるぞ  一橋悠実

本堂にずらり南無南無パイプ椅子    大海幸生

保護色や昼寝の母に蹴つまづく     小川敦子

石橋を叩き割る妻通せんぼ       片山浩葉

住所録つぎつぎ消してすきま風     岸本きよの

体温のこもった蔵書捨てられず     久保奈央

昭和百年わたし八十九歳に       上藤多織

石段をソロソロ降りて踏み外す     高橋兎さ子

病棟のやたら目に付く非常口      千足 千

そっと覗けば妻と私の眠る壺      中野文擴

同窓会休むと死んだことになる     吉田利秋

いにしえの男となってバス停に     小林康浩

そして集合場所には私しかいない    中川千都子

     

    「星の抄」より。

花嫁のそれほどでもと目が笑う     金子喜代

乱歩読む背なに何かの居る気配     黒川佳津子

励ましてくれる自転車の錆びた声    難波靖子

オバケだぞ脅してくれた人消えた    渡辺かおる

太陽の影がどこにも見あたらぬ     涼閑

たそがれて窓辺の猫は詩人かな     丹原伸枝

思いよ届け切手の図柄選って貼る    太田牧子

集合の笛をやたらに吹きたがる     中原一揆

枯れた花切り落とさなきゃならぬ性   山口ちい子

この世での宿題終えた戻ろうか     平里彩

結論をあえて言わずに長話       のやまきのこ

ほっとする蟻も二割が怠け者      西村良子

詐欺予防常時留守電哀しい世      谷口ミサヲ

 

    「新春の一句」より。

氏神の石段拝み初詣          小田寸思

黒豆をつまんで孫は箸覚え       大和ゆか

 

もう一句。「追悼・米澤久男」より。

職のない靴だが明日へ向けておく    米澤久男

米澤さんは、昨年10月22日に104歳で逝去とのこと。

 

 

今号も大いに楽しませていただきました。

 

 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 

宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

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日本一短い手紙コンクールの大賞。

2025-01-24 09:21:28 | 文芸
従姉です。
 
 
日本一短い手紙コンクールの大賞。
 
 
「私は『オイッ』じゃ無いから。耳が遠くなったから近くで『あけみ』と呼んでね。」
 
四万通近くの中から‼️
 
これは凄い‼️
 
おめでとう‼️
 
これの審査には、昔、時実新子さんが深くかかわっておられたのではなかったかな?
 
「サンダーバードに乗って行く」というようなことを言っておられた記憶がありますが。
 
 

 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 

今なら本屋さんで買えます。宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

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『現代川柳』第12号「フォト川柳」

2025-01-22 14:48:58 | 文芸

『現代川柳』第12号。

楽しませてもらってますが、今号は「フォト川柳」のページが凄いです。

喫茶店を長くやっていたせいかもしれませんが、いいのがいっぱい。

カウンター席に置かれた「シュガーポット」という題材がいいんですね。何かを思わせます。

みんないいんですけど、特にわたしに響いたものを。

 

テーブルの傷は常連たちの過去     山口ちい子

蟻を見る孤独夕日につつまれる     田村ひろ子

シュガーポット男の愚痴を聞いてやる  木戸利枝

いつ来てもおんなじ場所を占めている  野上藪蔵

自慢聞くコーヒー冷めていくばかり   こはらとしこ

耳澄ます内緒話のカウンター      黒川佳津子

ややこしい話紐解く銀の匙       鈴木厚子
 
あの会話シュガーポットは聞いていた  清川和音
 
最後まで聞けば引き返せなくなる    金子喜代

カウンターでわたしはみんな見てました 清水洋子

ドアベルの音に振り向く砂糖壺     宇野弘子

コーヒーの魔法にポロリ本音吐く    久保奈央

隠し事誰にも知れず溶けてゆく     雪岡信子

カウンター傷の数だけ愚痴を聞く    林操

聞かぬふりするのも慣れた半世紀    平里彩

 

いやあ、いいですねえ!

ほろりとしたり、にやりとしたり。これぞ川柳でしょう。

わたし、芥川賞風の川柳にはどうも馴染めないのですが、こんなのは大好きです。

 

今村欣史の本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 

今なら本屋さんで買えます。宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

 

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『六甲』1月号

2025-01-12 18:26:26 | 文芸

短歌誌『六甲』1月号(通巻第1057号)です。

新年号ですので表紙が変わりました。引き続き吉見敏治さんの絵です。

巻頭は「六甲」代表・選者の田岡弘子さんと、選者の牧野秀子さん。指導的なお二人です。

  花終えて葉も蔓も枯れし朝顔のどうにかしてよとフェンスに絡まる   田岡弘子

  在りし日の向田邦子に逢ひたくて「思い出トランプ」まためくるなり  牧野秀子

 

ほかの作品でわたしが気になったもの。巧拙はわたしには分りませんが。

中西浩さん。  我が釣針工場成型機八台並びて眠りおり不況いつまで続くのか

小西久代さん。 ルノアールの絵のような女乗ってきて華やぐ車内阪急神戸線

佐竹京子さん。 どんぐりを子どものように拾ってはその手触りを楽しんでおり

磯川典子さん。 池袋駅から五分のホテルまでやっと這い出た半時かかって

小田弥生さん。 予約する本書き出して日曜は本屋へ行こう加古川へ行こう

奥村幸子さん。 「そんなこと正之ちゃんにさせんかい」ゴミ出す吾に長老は言う

川端光世さん。 小学生か中学生が常連の楽しい短歌にふとほほ笑む

  ほかにもいっぱいありますけどこれぐらいで。

  

これは今村さんの「昭和文人の手蹟」28「土岐善麿」です。

殆ど出久根達郎さんの本からの引用ですが。

 

今村欣史の本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 

今なら本屋さんで買えます。宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

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今年初の文芸欄

2025-01-06 08:47:04 | 文芸

今朝の神戸新聞文芸欄。

「選者新春詠」欄があって時里さんの詩も。

 いいですねえ。時里さんの現代詩はレベルが高く、わたしには難しいのですが、これはわたしにも響きます。

そうですか、高校生のときに。昭和45年ならわたしは27歳。まだ独身で米屋を頑張っていた頃。あの頃の米屋は忙しかったですからね。詩どころではなかったです。といえば詩を軽く言ってるみたいですが、そのころのわたしの本心です。あっ、そうだ!後に井上靖の詩「人生」に出合ったのが米屋をしていた昭和58年頃だった。

特選詩の「心の栄養素」(槇本大将作)がいいですね。その視点が新鮮。一見理屈のようで理屈でない。感性の詩といえるでしょう。

川柳の部の特選に島村美津子さん。

今年わたしに来た島村さんの年賀状と共に。

島村さん、たしか93、4歳になられるはず。「どこからが余命だったか昼の月」なんて、島村さんだから素晴らしい。まったく嫌みがありません。作為が感じられません。

その島村美津子さんのこと「KOBECCO」に書かせていただいたことがあります。

そういえば、昨年秋に「さくらFM」のスタジオでお会いしたのでした。すこぶるお元気な高齢女性です。

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梅村さんの連句

2025-01-03 18:24:13 | 文芸
徳島の詩人、梅村光明さんから連句関連の冊子を三冊お贈りいただきました。
 
 
以前、詩人の鈴木漠さん(全国的に有名な連句の宗匠)に誘われ指導を受けながら何度か連句に参加させていただいたことはありましたが、浅学のわたしには少々難しい文芸です。
 
だがしかし、この梅村さんが送って下さった冊子に梅村さんが書かれている散文は非常に興味深く面白く読ませていただきました。
 
勉強になる、といってもわたしはすぐに忘れてしまいそうですが、覚えている今は確かに面白いです。蝦夷地での連句の歴史の話など特に。
 
因みにこの三冊、発行所がなんと、「ななかまど」は北海道、「櫻岳」は鹿児島、そして「ロータス」は徳島です。
 
梅村さんは、そのどれもに連句、散文を発表しておられます。
 
その方面の知識の豊富さにわたしは圧倒されます。
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2024-12-27 16:39:20 | 文芸

先日、次のような日記を書きました。

《家から出て、少し歩いたら、ポツポツと。

陽は射してるし、すぐに上がるかと思いましたが、あちらの方の空に何やら怪しげな黒い雲が。

これは危ないと思って傘を取りに出直し。
 
しばらく傘を差して歩きましたが、やがて止んで畳みました。
 
また帰りに降るだろうと思ってましたが、降らず。
 
なんか損をした気持ち。傘、持たずに歩いている人、多かったので降って欲しかった。意地悪かな?》
 
今読んでる本に、落語家桂枝雀さんの川柳が紹介されていたのですが、驚きました。
 
《 「持って出たからにゃ降ってもらわにゃ」(席題「傘」)》
 
正にその通り!
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「六甲」12月号

2024-12-11 17:14:11 | 文芸

短歌誌『六甲』12月号。通巻1056号です。

今号のお気に入りのページ(わたしの独断で)です。

ユーモアが感じられて好きです。中でも小西久代さんの歌が楽しいです。

それから、もうお一人、粟飯原三保子さんの作品。

この中の

《「坪池さん」と呼ばれた神戸の小児科医院丸い赤い電灯が印象的な》という歌。

驚く偶然。『KOBECCO』12月号に書いたわたしのエッセイ「糸脈」に出てくる話と重なってます。

 

それから今号の「昭和文人の手蹟」は「杉本苑子」です。

お読み頂ければ幸いです。

 

今村欣史の本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 今なら本屋さんでも買えます。宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

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「六甲」1055号

2024-11-07 20:52:12 | 文芸

短歌誌「六甲」11月号(通巻1055号)。

兵庫県で最も古い短歌誌です。

その巻頭ページ。

代表・選者の田岡弘子さんと、選者の牧野秀子さんのページ。

指導者的立場のお二人です。

こちらは、門外漢のわたしが無責任に選ぶ「今月の人」高野由紀子さんの作品。

全部の作品を読ませていただいて思うのは、字余りの破調歌が多いなあということです。

どうしても素人は詠みにくいです。

なんだか散文の中の一行のように思える歌も数多くありました。素人の無責任な発言です。お許しください。

今の現代短歌の世界はこんな風になっているのでしょうか?

破調の効果があるというのも知ってはいるのですが、わたしはやはり、ちゃんと「5・7・5・7・7」の歌に馴染む者です。歌人の方、素人の戯言とお読み捨てください。

それからこれは「昭和文人の手蹟」の「舟橋聖一」の巻です。

 

『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 今なら本屋さんでも買えます。宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

 

 

 

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「神戸新聞文芸」2024年11月4日

2024-11-04 09:01:56 | 文芸

今朝の神戸新聞文芸欄。

今日は、お会いしたことのある人は無い。

詩の特選「母と話せば」のこの言葉に感動。記憶がテーマ。

《そうか/記憶って/大事な人を心に生かし続ける力なんだな》

終行の「朝が始まる」が詩として効果的。

作者の大窪純子さんはこの欄の常連。

 

川柳は「望む」がお題。

その入選作。《私より少し不幸でいてほしい》。中川千都子さんの作。

これは笑えます。しかし実際の想いではなく、創作でしょうね。それもあり。

中川さんは川柳誌『現代川柳』の主宰者。この人とはいつかお会いすることになるかも?

 

『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。

 

 

 

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凄い川柳展

2024-10-27 08:35:37 | 文芸

一昨日行った「茉莉亜まり展」ーことのはことたまーは、本当に凄かった。

何百点の作品が、いろんな表現法で展示されていて、それはそれはスケールの大きなものだった。

https://blog.goo.ne.jp/coffeecup0816/e/dd08118ff0edb47835dad792daae3b47

しかも静謐でありながら華やか。

でも恐い。そんな作品群。

中でも恐かったのはこれ。

薬瓶のような小さなガラス瓶の中に閉じ込められている句。

虫メガネが置かれている。それで「見よ」というわけだ。

わたしは覗きかけて止めた。危険を察知したのだ。

中にはきっと劇薬が入っているのだと思って。

なん十個も並んでいる。

これは恐ろしいでしょ。

以下は、ビンの中の句ではありません。色紙などに書かれているもの。

〇 闇ならば裂けよ雨なら降りしきれ

〇 銅鏡の獣引き連れわが戦

〇 果ての果てのあかるい水の流る果て

〇 月の道奈落の先の岬より

〇 旋律のしずかに続く星ひとつ

〇 さんざんは降ったこれより花の中

〇 蟲ピンをみずから抜いて揚羽去る  (わたしこれ好きでした。)

あの小さなガラス瓶の中にはどんな劇薬が入っていたのだろうか?あるいは爆薬?あの虫メガネで焦点を当てると爆発するに違いない。

展示は11月10日まで。

一見の価値ありです。

 

『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 今なら宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)でお買い求めできます。ノンフィクションのコーナーに有ります。
 
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宝物を見つける

2024-10-24 07:59:38 | 文芸

もう一度『現代川柳』から。

この100ページほどもある川柳誌に載っている何百の句から、「これっ!」と思える句を探すのが楽しみです。

今号からは先にも上げましたが、次の二句。

走り梅雨 初めて俺と言いし子に    林かずき 
 
シンバルの音だけを待つ演奏会     根垣万里子 
 
「走り梅雨」ですが、「俺」という言葉を幼稚園に通い出してしばらくして我が子が口にした時の驚き。まだまだ幼いと思っていたのにと。あのころのこと懐かしく思い出します。
 
「シンバルの」は、我が子の担当楽器がシンバルだったという図。しかし、もしかしたら父親がオーケストラの中でシンバル担当なのかも。その音が鳴るのを待つ子の思いかも。
 
いずれにしても、なんでもなさそうな、いい場面を捉えてお見事ですね。
多くの作品の中からこんな句に出合うと宝物を見つけたような気になります。
川柳誌を読む醍醐味です。
 
 
『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 今なら宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)でお買い求めできます。ノンフィクションのコーナーに有ります。
 
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電線が無くなる!

2024-10-24 07:50:33 | 文芸
『現代川柳』ですが、「フォト川柳」というページがあり、写真のお題がついてます。
 
 
今号の中で目に留まったのが、
「電線が無くなる噂どうします」 木戸利枝さんの作。
 
電線にとまっているツバメの写真への句です。
 
これ、とぼけた味がおかしいですねえ。
 
わたし、先日丁度経験したことがあります。
 
近くの県道でしょっちゅう、掘ったり埋めたりの道路工事をしているので、工事の人に尋ねました。
すると電線を地下埋設する工事だとのこと。
 
ツバメさん、どうするんでしょうね。
 
わたしも電柱のある風景が好きなので心配です。
 
 
 
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わたし受けの川柳

2024-10-23 14:46:27 | 文芸

先に『現代川柳』第11号の中からわたしの好きな川柳を上げましたが、

その中でも特に好きなのをもう一度、数を絞って。

スリッパもなんとなくある右左     小川敦子

はみだした煎餅の耳シャンとする    岡村ひろ子

ぐちぐちとタワシ相手に今日のこと   黒川佳津子

お変わりなくいつも通りの不整脈    近藤ゆかり

耳鳴りか三途の川の音だろか      上藤多織

朝昼晩死ぬほど薬飲んでいる      道家えい子

わいわいと父さんこぼし鍵をかけ    木戸利枝

走り梅雨 初めて俺といいし子に    林かずき

割るまではスイカ甘いかわからない   林富子

シンバルの音だけを待つ演奏会     根垣万里子

 

太字の句、秀逸です。わたしの独断ですが。何百と載っている中からこんなのを見つけるのが醍醐味です。

 

 
『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 今なら宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)でお買い求めできます。ノンフィクションのコーナーに有ります。

 

 

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続『現代川柳』第11号

2024-10-23 13:28:23 | 文芸

前ページよりの続き。 

 

二人っ子鍵っ子そして老い二人       中野文擴

猛暑日のヒマワリ笑うしかないか      宮あき子

体操選手のように手すりを掴む母      門前喜康

運命に成行きというルビをふる       若林よしえ

間違いはないさと思う そう たぶん    渡辺美輪

ときどきは相槌を打ち保湿する       小林康浩

この席へどうぞどうぞと遠ざかる      茉莉亜まり

はみだした煎餅の耳シャンとする      田村ひろ子

ぐちぐちとタワシ相手に今日のこと     黒川佳津子

お変わりなくいつも通りの不整脈      近藤ゆかり

淋しさが染み染みと湧く三次会       井上青柿

耳鳴りか三途の川の音だろか        上藤多織

全身に溜まる分別できぬもの        高橋兎さ子

カエル鳥ムシ騒音攻めに逢う田舎      こはらとしこ

お互いに安否確認垣根越し         岡本悠

父思う父似の足を洗うとき         中野文擴

投票に行くか 戦争に行くか        吉田利秋

朝昼晩死ぬほど薬飲んでいる        道家えい子

わいわいと父さんこぼし鍵をかけ      木戸利枝

ばばちゃんが過労死しそう夏休み      近藤浩之

走り梅雨 初めて俺と言いし子に      林かずき

割るまではスイカ甘いかわからない     林富子

アイスキャンデー売り待っていた遠い夏   定藤順子

シンバルの音だけを待つ演奏会       根垣万里子

私の知らない亡母を語る義姉        大塚ノラ

幸せな振りに疲れたクラス会        伊藤恵子

 

いや、面白いですね。ほかに「古川柳つまみぐい」(徳道かづみ)というページがあって、わたしは楽しみにしている。今号は「悋気」がテーマ。

 

 
『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。 今なら宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)でお買い求めできます。ノンフィクションのコーナーに有ります。
 
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