田さん 「暑くなって来たねえ」
山 「あんたぐらいの年になって来たら、あついのに慣れとかなあかんで」
田 「なんでやのん?」
山 「そのうち、入らんならんやろ。熱いとこへ」
田 「どこよ!?」
山 「みんなが、手を合わせて送ってくれはるとこや」
久しぶりに、K君のお父様来店。
K君は、昔、彼が小学生のころ、将棋を少し教えた。
彼は筋が良くて、あっという間にわたしより強くなり、その後プロへの道を進んだ。
それで思い出した。未だに腹の虫の納まらないことを。
K君は、選んだ師匠が悪かった。
日本将棋連盟棋士、N6段(当時5段)である。
K君はプロの養成機関である奨励会に合格し(これは大変なことである)、その後順調に昇
級、名人戦の記録係をするまでになっていた。
ところが、昇段目前の7連勝中のある時、いきなり奨励会を退会して、プロ棋士への道を自ら
閉ざした。
わたしは驚いた。
聞けば、師匠と彼の親との500万円もの金銭トラブルである。
彼はそのことに気づき、スッパリとプロへの夢をあきらめた。
わたしはこの話を聞いて、そのプロ棋士の手紙のコピーなどの証拠も入手し、そのコピーを
添えて、日本将棋連盟会長に手紙を出した。N5段の処分を要求したのである。
かわいい教え子が、非情に夢を断たれたのである。許せなかった。
ところが、連盟は、顧問弁護士を通じて「棋士は個人事業主であるから、連盟としては処分で
きない」との返事。
当時の連盟会長は中原誠十六世名人であった。
会長自身が、その時、脛に傷を持つ身だったのが、このような決着になったのかもしれない。
N6段は今も現役プロ棋士として、子どもへの指導などもしている様子である。
彼の生活権を奪おうとは思わないが、少なくとも、子どもの指導をする資格はないと思う。
日本将棋連盟さん、N6段に子どもへの指導をさせないでください。
少なくとも、連盟主催のものは。
K君はその後、研鑽を重ね、新たな人生を切り開き、コンピューター関連の仕事に就き、
明るい好青年になっている。元々頭脳明晰な子だから、きっと幸せになってくれる。
月刊『KOBECCO』7月号が出ました。
連載エッセー「コーヒーカップの耳」は今回「備忘メモ」と題して書いてます。
106ページです。「KOBECCO」のホームページから立ち読みして頂ければ幸いです。
明日1日(木)の「輪」の日替わり定食は、
「若ドリからあげ」の予定です。
よろしくお願いいたします。