喫茶 輪

コーヒーカップの耳

読み納め

2020-12-31 14:48:52 | 本・雑誌
今年最後に読んでいる本はこれです。



『書物』(森銑三・柴田宵曲著 岩波文庫・1997年刊)。
初めの方にこんな言葉があります。
「良書とは何ぞや」の項。

《文は人なりという。然らば書もまた人なりといってよい。書物は著者の分身に外ならぬ。いやしくも人たる以上は、その品性の高下を問わず、これを待つに人格者を以てすべきである。書物もまた私等は、これを著者の生命の宿れるものとして対したい。ここにおいてまた書物尊重論を蒸返すこととなるが、私等はいかようなる凡書にも、書物としての敬意を払いたい。
 いかなる凡書にも、何かしら得るところがあるといった。手にする者の心構え一つで、いかなる書物からも、何らかの養分を摂取することが出来るはずである。しかしながら人生には限りがある。短い人生において、殆ど無数に近い書物を片端から読破することは、もとより不可能事に属する。ここにおいていかなる書を読むべきかの問題が起こる。》


そこから読み進んで、今、半分近くを読んだ所。
今年はこの本が読み納めになりそう。
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『首都感染』を一日で

2020-12-30 16:12:35 | 
中三の孫kohから手紙が届く。
読んで吃驚。
《いただいた高嶋さんの『首都感染』。あれも、とても面白かったです。物語の展開に引き込まれて、結局一日で読み終えてしまいました。前から話を聞いて、読みたいと思っていたので感謝しています。》



知人に貸していたのだが、なかなか返してもらえなくて、先日やっと帰ってきたのだった。
え?あの本を一日で読破!わたしには考えられない。
わたしが読んだ時の「ブログ」です。600ページ近くある長編小説。それをわずか一日で。
いくら本が好きだと言っても、と思ってしまうが、kohの読書好きにはわたしも太刀打ちできません。
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「木想」11号

2020-12-30 11:42:51 | 
高橋冨美子さんから、さっき詩誌「木想」11号が届いた。 
表紙写真は高橋さんのご子息、高橋俊仁氏によるもの。



メッセージに「また将棋の詩を書き始めました。囲碁は詩になりません」とある。
たしかに囲碁は詩になりにくいだろうが、将棋は面白い。
昔、棋士のだれかが言っていた。
「囲碁は数学的、将棋は文学的」と。
早速、高橋さんの将棋の詩を読んでみる。
するとこれがいいのだ。
彼女は以前にも『駒袋』という将棋をモチーフにした詩集を出しており、たしか「将棋ペンクラブ賞」を受けたのではなかったか?
あれは現代詩になじまなくても、将棋ファンなら解るような詩集だった。
しかし今回書いておられる詩は、ある程度詩に触れている人でなくては解らないような気もする。
読者が限定されるような。
詩もわかって、将棋のことも知っていなければ十分には理解されないだろうな。
けど、わたしには魅力的な詩だ。
以前のよりよほど深みがある。
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『書物』という書物

2020-12-30 10:37:43 | 本・雑誌
林さんがブログ「daily-sumus2」に書いておられた『書物』という書物。
《『書物』は再読。今月、神戸へ通っている電車の中で読了。じつに面白い。本に関するさまざまなテーマがすでに語り尽くされている。多少の時代は感じるものの本質的には何ら変わっていない。本好きのこだわりは永遠である。》
これは読みたくなります。
で、入手しました。



『書物』(森銑三・柴田宵曲 著・岩波文庫)。
そして読み始めました。
まだ最初の方だけど、なるほど面白い。
我が意を得たりの言葉が続く。

これは「書物」たりうるか。『完本コーヒーカップの耳』
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小春日和?

2020-12-29 15:46:14 | 日記
明日から寒波襲来とのこと。
今日午後、家内と森具の丘にあるお墓の掃除に行ってきました。
思ったより暖かく、まるで小春日和。良かった。
写真は、丘の裾を走るJRです。



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『青をあおぐ』

2020-12-29 10:54:07 | 
詩集『青をあおぐ』(渋谷魚彦著・澪標)を読んだ。



きれいな表紙は森本良成さんの装丁。
渋谷さんの詩は非常に個性的。いわゆる現代詩だが、それほど難しいものではない。
どちらかと言えば読みやすい。
でも、しっかりと内容を捕まえるには少々難儀な面もある。
表現が独特なのである。
一つ例を挙げよう。

←クリック。

「薄暮」という詩。
彼独特の世界観でありながら、言われてみると、みなが感じ取れるものでもあるような。
もっといえば共感できてしまう。とんでもないような気がするが、じっくりと読めば、「そういえばそんな気にもなるなあ」と。
スッキリとはしないが、「わけわからん」というものでもなく。

常識的にはとんでもないことを書いているようにも思えるが、なにか共感できるところがあり、「自分がある」ということの不思議を思わせられてしまう。
普通につきつめてゆけばそれは哲学、あるいは宗教になるのかもしれないが、彼はそうならない。
その手前で、不思議そうな顔をして、いつまでも空の青を眺めているような。
もう一篇。巻末の詩。

「途上者」です。

  この街を行く理由を帯びない私が
  見知らぬ顔の散らばる街路を歩いている

  どの地点で立ち止まっても
  そんな私を歓迎する風も声もない

  この広がりの広がる果てに
  私は安堵の居場所をねがいながら

  私は生まれた時からの途上者 
  いつまで経っても一人の


もう長く会わないが、また一度渋谷君に会いたいな。

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年間賞・2020年

2020-12-28 08:28:54 | 新聞記事
神戸新聞「読者文芸」年間賞の発表。



7部門あります。
俳句(水田むつみ選)・俳句(わたなべじゅんこ選)・詩(時里二郎選)・短歌(尾崎まゆみ選)・川柳(八上桐子選)・エッセー・小説(三浦暁子選)・ショートエッセー(三浦暁子選)。
詩の部は嶋田隆之さんの「いつもどおりの朝」という詩。時里さんの選評には「嶋田さんの詩のよさは、その細部の描写が詩を語っていることです。それが最もよく出ているのが最終連の、シャツを「パンッ」と広げて干すところでしょう。」とあります。なんとなく覚えてますが、わたしは忘れっぽい。よくは覚えてません。昔は年間賞発表時に詩も再掲されたのですが、今は部門が増えたので短詩系だけの再掲となってます。
その再掲された短詩系の中で、わたしの目を引いたのが川柳の部。
  鈴つきの糸切り鋏母が逝く (長川伸介)
これはいいですねえ。一行で見事な詩になってます。

今年も一年間、楽しませていただきました。
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「カフェと文士たち」

2020-12-27 16:25:50 | 本・雑誌
昨日文芸評論家の森本穫さんからお送りいただいた『函』を読んでいて驚いた。
まあよくある偶然といえばそれまでだが、それにしてもと思う。



森本さんが『函』に書かれている評論「カフェと文士たち ―荷風のプランタンから康成のエランまで―」が、
最近読んだ林哲夫さんの『喫茶店の時代』の「カフェ列伝」と多く重なるのだ。
多分同じ文献を当たっておられるのでしょうね。
もちろんお二人の書きぶりは違います。
でもどちらも、その時代の空気感が出ていて、興味ぶかいものでした。
もう今の文学界では、そのような人たちはおられないでしょうね。
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ル・マンボ

2020-12-26 17:20:01 | 完本 コーヒーカップの耳
術後の静養中ということもあり、少々運動不足になっている。
ウォーキング程度はいいとのことなので、今日は少し歩いてきた。
といってもたったの3500歩ほど。
その途中に『完本コーヒーカップの耳』に登場する牛山さんの会社の事務所がある。
ビルの名前は「ル・マンボ西宮」。
ビルは牛山さんの持ち物。
で、牛山さんの会社の名前は「本丸工業」である。
わたしはよく、ほんまるではなく、うそまるやろとからかうのだが。
ということで、彼が名付けた「ル・マンボ」だが、濁音を取って逆に読むと意味が通じる。
その事務所、二階にあるのだが、窓を観察すると静かそうである。電気もついてない。
前に彼の車も止まってない。
ちょっと前に聞いた情報では、わたしが入院してる間に体調を崩したという話がある。
前から会社を閉じたがっていたが、いよいよ現実化してきたのだろうか?
しかし心配。
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書籍三冊

2020-12-26 16:41:18 | 本・雑誌
今日は同時に三冊の書籍が贈られてきました。



一冊は渋谷魚彦さんの詩集『青をあおぐ』(2020年12月25日・澪標刊)です。
奥付を見ると1950年生まれとある。
え?70歳!もうそんな年?
かつては「渋谷君」と呼んでいたのだったが。
彼はユニークな詩を書く人。
50ページに満たない詩集だが、さぞ中身が濃いのでしょう。

次の一冊も詩集。
鈴木賀恵さんの『ムーブメント ―花―』(2017年4月29日・編集工房ノア刊)。
あれ、3年前の発行だ。なぜ今頃?添えられたメッセージもちょっと?
まあ、読んでみましょう。
鈴木さんはもうベテランの詩人。たしか杉山平一先生がお元気なころは家がお近く(宝塚市中山寺)で、親しくなさっていたとのことでした。

三冊目が広島の文芸同人誌『函』第72号。
お贈りくださった方は姫路の森本穫さん。
阿部知二を研究なさっておられる人。

それぞれお正月に楽しませていただこう。
ありがとうございます。
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今年読んだ本

2020-12-25 17:11:16 | 本・雑誌
今年強く印象に残った本。
もちろん第一位は、
『完本コーヒーカップの耳』(朝日新聞出版)です。
「面白うて、やがて悲しき…」と評する人もあった。また、民俗史としても残るものとも。

出版記念イベントは中止になってしまったけれど。 

〇『流れる雲を友に 園井恵子の生涯』(千和裕之著)。悲運のタカラジェンヌ、園井恵子の評伝です。
映画「無法松の一生」での坂東妻三郎との共演はあまりにも有名。木津川計さんの一人語りの舞台でわたしは感動したのですが。
そして、わたしが10年ほど前に興味を持ったタカラジェンヌ、千村克子さんと同期。そんなことでこの本に興味を持ちました。
実に詳細に園井のことを調べて書いておられる。その根気に敬服。
著者の千和さんは氏のブログ「小さな哲学の部屋」で、拙著を高評価してくださる方でもあります。

〇『首都感染』(高嶋哲夫著)を読んだのはまだ2月の初めだった。それからあっという間に新型コロナウイルスの感染が拡がって、本に書かれている通りになって行って、高嶋さんの先見性に驚いたのだった。ちなみに高嶋さんとは昨年夏にあるテーブルでご一緒している。

〇『紅い砂』これも高嶋哲夫さんの小説。アメリカの移民問題に題材をとったもの。スケールの大きさに驚いたのだった。高嶋さんはハリウッドへの進出を考えておられるが成功してほしいものです。

〇『蛍草』(葉室麟著)は、NHKのドラマを見て読みたくなった小説。これが葉室さんを読んだ最初の本だった。そこから葉室さんにハマっていった。

〇『蜩ノ記』(葉室麟著)は葉室さんの代表作で直木賞受賞作。さすがに良かった。しみじみとしかし大きな感動を受けた。映画化されており、後にDVDを見たが、これも良かった。

〇『流人道中記』上下(浅田次郎著)。これは大感動した時代小説。さすが浅田次郎さんでした。涙なしには読み終えることができない。

〇『もう一つの夏 もうひとつの夢』(服部誕著・非売品)。著者の服部さんはもともと詩人。詩人が書いた小説だが、これが良かった。自分の少年時代を思い起こして切なくなるような小説だった。

〇『孤高の人』上下(新田次郎著)。古い小説だが、新温泉町の図書館「加藤文太郎記念図書館」の縁で読んだ。「孤高の人」は加藤文太郎が主人公になっている小説。そしてその兵庫県の山奥の図書館はなぜか拙著『完本コーヒーカップの耳』を借り出す人が多いということで。
骨太の読みごたえがある小説だった。

〇『喫茶店の時代』(林哲夫著)。この本を読まないわけにはいかない。著者の林さんはわたしが書くものを氏のブログ「daily-sumus2」で高く評価してくださる人。しかも『喫茶店の…』というわけである。以下、拙ブログからの転載。
《後半の「喫茶店の時代」の章以降が良かったです。
というのも、私の知る人の名前がいっぱい登場しますので。拙著『触媒のうた』に登場する人も、小野十三郎ほか沢山。しかし著者の林哲夫さんは、どれだけ本を読んでおられるのでしょうか!参考文献の数に圧倒されます。よくもこれだけ文献を渉猟されるもんだと驚きのほかありません。まるで喫茶店曼荼羅。巻末の人名索引、店名索引も凄いです。残念ながら「喫茶・輪」は登場しませんけど。》

〇『ホセ・ムヒカの言葉』これはわたしが入院中に仲良くなった隣のベッドの人から頂いた本。今こそ人類に必要な人、そして言葉だと思った。

〇『女帝』(石井妙子著)。小池百合子のことを書いた本だが、いや凄かった。しかし読後感は良くなかった。

他にもいっぱいいい本に出合ったが、今年は主に葉室麟さんの本を読んだので、もう少し葉室さんの本で特に感動したものを書いておきましょう。
『秋霜』『霖雨』『柚子は九年で』『冬姫』『河のほとりで』『恋しぐれ』『いのちなりけり』『古都再見』『秋月記』『辛夷の花』『雨と詩人と落花と』『峠しぐれ』など、ほかのもみな葉室作品は良かった。

今年読んだ単行本はざっと50冊。もっと多かった気がするが、ほかに同人誌など雑誌類も多く読んだのでそんな気がするのでしょう。
さて来年はどんな本に巡り会えるか。
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検査技師さん

2020-12-25 13:19:01 | 健康・病気
午前中、術後初めてのW病院での検査。
血液検査。胸部レントゲン。心臓エコー検査。ホルダー心電図装着。

エコー検査だが、これが時間かかった。
「2,30分かかります」と男性検査技師。
終わってみれば30分はかかったのでは?

ベッドの上で、体を横にして、技師は後ろから体を抱くようにして心臓の上をなんかの器具でぐりぐりと押しながらの検査。
その途中で、
「軽く息を吸って~、吐いて。ハイ、そこで止めてください。ハイ、楽にしてください」
と言いながら器械を操作してゆく。
たまに、
「息を吸って~、ハイ止めて」があったり、
油断していたら、いきなり「ハイ、そこで止めて」だったり。
でもほとんどは、
「軽く息を吸って~、吐いて。ハイ、そこで止めて~。ハイ、楽にしてください」だった。
その「楽にしてください」が連続するのだが、時に言葉が変わる。
「ハイ、大丈夫です」とか、
「ハイ、けっこうです」とかが混じる。
「楽にしてください」ばかりでは単調で、面白くないと思われるのだろうか?
そこを気にするということは、まるで詩人ではないか。
ねえ、田中技師さん。

どなたかの詩にあったと思う、
列車の車掌が、停車駅の到着時間を順にアナウンするのだが、「○○駅には○○時○○分に到着いたします」というのを時折言葉を変えてアナウンスするという詩。
あの詩人は誰だっただろうか?
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『秋月記』

2020-12-24 17:35:28 | 本・雑誌
先日読み終えた『あおなり道場始末』(葉室麟著)はまあ、面白かったが、
今日読み終えた『秋月記』の方が深みがあって良かった。

今の政治家に読ませたいもの。
だけど読みこなせないでしょうね。本能的に拒否するでしょう。
この主人公、間小四郎のような人物にこそ政治家になってほしいものですが。
今の世の中、そんな人は政治家(なんか)にはならないか。

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小磯良平・大野コレクション

2020-12-23 08:51:40 | アート・文化
今朝の神戸新聞にきれいなページがあった。



「至高の小磯良平  大野コレクションのすべて」というのが12月24日~3月21日神戸市立小磯記念美術館で催されると。
この記事を読んでいて、「おっ!」と思った。
《初めて広島市の大野石油店本社3階にある大野ギャラリーに足を踏み入れた時の衝撃は、強烈であった。小磯良平の名品が何室にもわたって掛けられ、まさに小磯美術館ともいえる感じだった。》(神戸市立小磯記念美術館長・岡泰正)。
大野石油会長のコレクションだという。これにピンときた。
わたしがこの10月に入院したW病院の313号特別室にかかっていた絵が、たしか大野石油店所蔵だったのでは?と。
これです。


貧乏性のわたしは「本物か?」と疑って額裏を調べてみた。写真撮ってます。
←クリック。
《作品紹介として、「西洋婦人」 1970年 パステル 所蔵 大野石油店 》
やはり!
なぜこの絵がW病院の病室に?
もしかしたら、大野石油の社長か会長がこの部屋に入院されたことがあるのかな?
その縁で、ここに貸しおかれているのか?
そんな立派な部屋に、わたし一週間入院してました。
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エール120「エール」

2020-12-22 23:07:03 | テレビ番組
これは良かった。

エール120「エール」
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