今朝の神戸新聞、文化欄に野元正さんの新刊が紹介されていました。
『こうべ文学逍遥 花と川をめぐる風景』(野元正著・神戸新聞総合出版センター・1980円)です。
野元さんは今、短歌誌「六甲」に「花を巡る文学逍遥」というのを連載されてます。
そのことこの前このブログでちょっと触れました。
9月末発売が待たれます。
『こうべ文学逍遥 花と川をめぐる風景』(野元正著・神戸新聞総合出版センター・1980円)です。
野元さんは今、短歌誌「六甲」に「花を巡る文学逍遥」というのを連載されてます。
そのことこの前このブログでちょっと触れました。
9月末発売が待たれます。
山口県の瀬戸みゆうさんからお贈りいただきました個人誌『半月 すおうおおしま』10+3号です。
44ページの中に短編小説が4編。
瀬戸さんの著書は以前に『周防大島の青い海』(編集工房ノア刊)という小説集を読ませていただいたことがあり、感動を受けたのでした。
だからその実力のほどは知っております。
昨日須磨へ行くのに電車の中で読もうと携えて行きました。
車中往復一時間ほどですので、全部は読めませんでしたが、もう少しで乗り越しそうになりました。
帰ってから残りを読ませていただきました。
面白かったです。期待通りでした。
最初の「金恵淑さんのJスルーカード」のラスト二行《金さんからもらったJスルーカードは誰○○○○○ことがない。今も○○○○○してある。》
次の「鷲田先生の白いスーツ」のラスト一行。《何も知らない人は○○○だ。》
三作目「刺す」のラスト三行。《わたしたちは電話を切った。すでに真夜中の三時を回っていた。律子は今夜もきっと頭の中で彼を○○○のだ。今夜こそ、きっちりと○○○○。》
○○の部分はご想像ください。
みなそれぞれに趣の違ったスリルを味わわせていただきました。
そして最後の「片上の上の山のこと」は最も長い作品。
作者が今住んでおられる周防大島の中の小さな範囲の、昔からの風習因習などが、幼友達の口を通して事細かに語られる。
部外者には少し冗長な場面もありますが、この地の歴史の記録として貴重なものになる作品だと思いました。
瀬戸さん、貴重な一冊有難うございました。
44ページの中に短編小説が4編。
瀬戸さんの著書は以前に『周防大島の青い海』(編集工房ノア刊)という小説集を読ませていただいたことがあり、感動を受けたのでした。
だからその実力のほどは知っております。
昨日須磨へ行くのに電車の中で読もうと携えて行きました。
車中往復一時間ほどですので、全部は読めませんでしたが、もう少しで乗り越しそうになりました。
帰ってから残りを読ませていただきました。
面白かったです。期待通りでした。
最初の「金恵淑さんのJスルーカード」のラスト二行《金さんからもらったJスルーカードは誰○○○○○ことがない。今も○○○○○してある。》
次の「鷲田先生の白いスーツ」のラスト一行。《何も知らない人は○○○だ。》
三作目「刺す」のラスト三行。《わたしたちは電話を切った。すでに真夜中の三時を回っていた。律子は今夜もきっと頭の中で彼を○○○のだ。今夜こそ、きっちりと○○○○。》
○○の部分はご想像ください。
みなそれぞれに趣の違ったスリルを味わわせていただきました。
そして最後の「片上の上の山のこと」は最も長い作品。
作者が今住んでおられる周防大島の中の小さな範囲の、昔からの風習因習などが、幼友達の口を通して事細かに語られる。
部外者には少し冗長な場面もありますが、この地の歴史の記録として貴重なものになる作品だと思いました。
瀬戸さん、貴重な一冊有難うございました。
もう随分前に読んだはずの本、『百貌百言』(出久根達郎著・文春新書・2001年刊)を読んでいる。
困ったもんです。みんな忘れています。
こんな面白い話も。
「井伏鱒二」の項。
《太宰治の「富嶽百景」に、井伏と一緒に三ツ峠にのぼるシーンが出て来る。「井伏氏は、濃い霧の底、岩に腰をおろし、ゆっくり煙草を吸ひながら、放屁をなされた。いかにも、つまらなさうであった」
君、嘘を書いてはいかん、と井伏は太宰を咎めた。放屁なぞしない、と言うと、太宰は笑って、いや、なさいました。一つではなく、二つ、なさいました、と弁明した。》
この、なんともいえない間。味わい。太宰治、見事なものです。
妻に読んでやりました。一瞬の間をおいて、大笑い。
困ったもんです。みんな忘れています。
こんな面白い話も。
「井伏鱒二」の項。
《太宰治の「富嶽百景」に、井伏と一緒に三ツ峠にのぼるシーンが出て来る。「井伏氏は、濃い霧の底、岩に腰をおろし、ゆっくり煙草を吸ひながら、放屁をなされた。いかにも、つまらなさうであった」
君、嘘を書いてはいかん、と井伏は太宰を咎めた。放屁なぞしない、と言うと、太宰は笑って、いや、なさいました。一つではなく、二つ、なさいました、と弁明した。》
この、なんともいえない間。味わい。太宰治、見事なものです。
妻に読んでやりました。一瞬の間をおいて、大笑い。
池田市の中尾務さんからお送りいただきました。
「大和通信」第123号。
今号は、文学に疎いわたしでも読みやすい(読んで楽しい)文章が載ってました。
特に巻頭の、フォークシンガー世田谷ピンポンズさんの「黄昏時に黄色紙を破る」は面白かった。
←クリック。
ピンポンズさん、拝借お許しください。
このように軽く仕上げた文章、好きです。
ほかにも、本千加子さん、「懐かしい日々」。当銘広子さん「寒波の日」なども楽しめました。
そして中尾勉さんの「小沢信男 1960年代前半のスランプ」に引用されている小沢の言葉が印象的。
《劣等感が優越感の裏がえしにすぎぬこと》
自戒しなければと思うが、「自戒する」という意識がすでに「優越感」なのかも。
「大和通信」第123号。
今号は、文学に疎いわたしでも読みやすい(読んで楽しい)文章が載ってました。
特に巻頭の、フォークシンガー世田谷ピンポンズさんの「黄昏時に黄色紙を破る」は面白かった。
←クリック。
ピンポンズさん、拝借お許しください。
このように軽く仕上げた文章、好きです。
ほかにも、本千加子さん、「懐かしい日々」。当銘広子さん「寒波の日」なども楽しめました。
そして中尾勉さんの「小沢信男 1960年代前半のスランプ」に引用されている小沢の言葉が印象的。
《劣等感が優越感の裏がえしにすぎぬこと》
自戒しなければと思うが、「自戒する」という意識がすでに「優越感」なのかも。
神戸新聞、今朝の訃報欄。
柏木薫さんがお亡くなりになったのだと。
お会いしたことはなかったが、電話をいただいたことがあり、丁寧なお便りもいただいたのだった。
その手紙、今もどこかにあるはずだが、すぐには見つからない。
「柏木薫さん」と題してブログにも書いたことがある。
ご冥福をお祈りいたします。
柏木薫さんがお亡くなりになったのだと。
お会いしたことはなかったが、電話をいただいたことがあり、丁寧なお便りもいただいたのだった。
その手紙、今もどこかにあるはずだが、すぐには見つからない。
「柏木薫さん」と題してブログにも書いたことがある。
ご冥福をお祈りいたします。
今朝の神戸新聞。
高島俊男さんを顕彰する石碑が建立されたと。
うれしく、慶賀なことです。機会があれば行ってみたい。
←クリック。
高島さんは、喫茶輪に二度ほどご来店いただきました。
一度は宮崎修二朗翁と鈴木漠さんもご一緒でした。
拙著『触媒のうた』にも登場いただいています。
←クリック。
日本文学史秘話の重要な件。
高島俊男さんを顕彰する石碑が建立されたと。
うれしく、慶賀なことです。機会があれば行ってみたい。
←クリック。
高島さんは、喫茶輪に二度ほどご来店いただきました。
一度は宮崎修二朗翁と鈴木漠さんもご一緒でした。
拙著『触媒のうた』にも登場いただいています。
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日本文学史秘話の重要な件。
『流れる雲を友に 園井恵子の生涯』の著者、千和和之さんが名古屋からご来訪でした。
この本のことブログに書いてます。「千和和之さんと千村克子さん」と題して。
千和さんは今、次の本に向けて執筆中ですが、きっと素晴らしい本が出来上がることと思っております。
楽しみです。
今回は池田文庫まで取材に来られた(昨夜大阪に一泊)のですが、我が家まで足を伸ばして下さいました。
お忙しい中、顔を見せて下さりありがたいことです。
お陰で久しぶりに多岐にわたって本談義が楽しめました。
わたしにも大いに刺激になりました。
この本のことブログに書いてます。「千和和之さんと千村克子さん」と題して。
千和さんは今、次の本に向けて執筆中ですが、きっと素晴らしい本が出来上がることと思っております。
楽しみです。
今回は池田文庫まで取材に来られた(昨夜大阪に一泊)のですが、我が家まで足を伸ばして下さいました。
お忙しい中、顔を見せて下さりありがたいことです。
お陰で久しぶりに多岐にわたって本談義が楽しめました。
わたしにも大いに刺激になりました。
今読んでいる本。
『漂砂のうたう』(木内昇著・集英社)。
読み始めたときは馴染まぬ言葉が多く、ストーリーも進まず、ちょっと読みづらかったが、読み進むにつれて興味が増してきた。
さすがに直木賞作です。
その時代(明治初期)のその場所(廓)とそこで蠢く人を描いて秀逸といえるのでしょう。
ぽつぽつと出て来る比喩がまた素晴らしい。
さりげなくいい比喩を使っておられる。
今日読んだところではこんなの。
《楼主の声はなお、手の中で碁石を揉むほどの音でしか伝わってこない。》
人の声を「碁石を揉む音」と比喩した例をわたしは知りません。
上手いものですねえ。独特のその場の雰囲気が伝わります。
『触媒のうた』多くの著名文人のここでしか読めない秘話が満載。
『漂砂のうたう』(木内昇著・集英社)。
読み始めたときは馴染まぬ言葉が多く、ストーリーも進まず、ちょっと読みづらかったが、読み進むにつれて興味が増してきた。
さすがに直木賞作です。
その時代(明治初期)のその場所(廓)とそこで蠢く人を描いて秀逸といえるのでしょう。
ぽつぽつと出て来る比喩がまた素晴らしい。
さりげなくいい比喩を使っておられる。
今日読んだところではこんなの。
《楼主の声はなお、手の中で碁石を揉むほどの音でしか伝わってこない。》
人の声を「碁石を揉む音」と比喩した例をわたしは知りません。
上手いものですねえ。独特のその場の雰囲気が伝わります。
『触媒のうた』多くの著名文人のここでしか読めない秘話が満載。
神戸新聞夕刊の小説を読んでいます。
木内昇さんの「かたばみ」です。
今日はもう285回。
毎日楽しみに読んでいます。
今日は興味深い話が載っていました。
すっかり忘れていた昔のことを思い出しました。
《庭の切り花を学校に持ってきて飾る習慣が、戦後間もなくしてできたのだが》
そうそうそんなことがあったと。小学生のころです。
うちの家では花を育てるということをしてなかったのですが、
クラスメートの中にはそんな家が何軒かあって、かわるがわる持ってくる子がありました。
主に女の子でしたが。
いつも教室を飾っていました。
今はどうなんでしょうね。
多分そんな習慣はないでしょうね。
木内昇さんの「かたばみ」です。
今日はもう285回。
毎日楽しみに読んでいます。
今日は興味深い話が載っていました。
すっかり忘れていた昔のことを思い出しました。
《庭の切り花を学校に持ってきて飾る習慣が、戦後間もなくしてできたのだが》
そうそうそんなことがあったと。小学生のころです。
うちの家では花を育てるということをしてなかったのですが、
クラスメートの中にはそんな家が何軒かあって、かわるがわる持ってくる子がありました。
主に女の子でしたが。
いつも教室を飾っていました。
今はどうなんでしょうね。
多分そんな習慣はないでしょうね。
今朝の神戸新聞「同人誌」欄です。拝借お許しを。
←クリック。
3篇の小説が紹介されていますが、この評を読むとどれも読んでみたくなります。
もし掲載誌を送ってきてくださるなら喜んで読んでみたいのですが。
冒頭に《小説は物語の結末を読者に委ねる。》とあります。
これは詩でも同じですね。同じと言うより、詩の方が重要かとも。
葉山ほずみさんが書いておられますが、毎回このような警句を冒頭に置いておられます。
いつも感心して読ませて頂いていますが、わたしはすぐに忘れてしまっています。情けないことです。
ところでこの葉山ほずみさんのこの欄のことは以前にも
「神戸新聞の同人誌評欄」と題して書いたことがありました。
葉山さん、野元正さんのあとを継いで続けておられるんですね。
今後も楽しみに読ませていただきます。
←クリック。
3篇の小説が紹介されていますが、この評を読むとどれも読んでみたくなります。
もし掲載誌を送ってきてくださるなら喜んで読んでみたいのですが。
冒頭に《小説は物語の結末を読者に委ねる。》とあります。
これは詩でも同じですね。同じと言うより、詩の方が重要かとも。
葉山ほずみさんが書いておられますが、毎回このような警句を冒頭に置いておられます。
いつも感心して読ませて頂いていますが、わたしはすぐに忘れてしまっています。情けないことです。
ところでこの葉山ほずみさんのこの欄のことは以前にも
「神戸新聞の同人誌評欄」と題して書いたことがありました。
葉山さん、野元正さんのあとを継いで続けておられるんですね。
今後も楽しみに読ませていただきます。
「じろはったん」のカセットテープを聴きたいが、うちのラジカセが故障しているという話を先日ここに載せました。
すると川柳作家の中野さんが今日、持参してきてくださいました。
申し訳なくありがたいことでした。
何十年ぶりかで、森はなさんの朗読の声に接することができました。記憶のなかにあった声よりお若く感じました。これは自分が歳行ったからでしょうか。
これでいいエッセイが書けそうです。
ほかに興味深いCDもお貸しくださいました。
そのうちの一枚を聴きました。
「文人本人の朗読集」というものです。
名前を見ると驚きます。
与謝野晶子、坪内逍遥、室生犀星、萩原朔太郎、佐藤春夫、堀口大学、斎藤茂吉、高浜虚子、西城八十、北原白秋。
凄いですね。
みな聴かせていただきました。
面白かったです。
ほかにも興味深いカセットテープをお借りしてます。
聴くのが楽しみです。
中野さん、ありがとうございます。
『触媒のうた』著名文人の秘話がいっぱい。
すると川柳作家の中野さんが今日、持参してきてくださいました。
申し訳なくありがたいことでした。
何十年ぶりかで、森はなさんの朗読の声に接することができました。記憶のなかにあった声よりお若く感じました。これは自分が歳行ったからでしょうか。
これでいいエッセイが書けそうです。
ほかに興味深いCDもお貸しくださいました。
そのうちの一枚を聴きました。
「文人本人の朗読集」というものです。
名前を見ると驚きます。
与謝野晶子、坪内逍遥、室生犀星、萩原朔太郎、佐藤春夫、堀口大学、斎藤茂吉、高浜虚子、西城八十、北原白秋。
凄いですね。
みな聴かせていただきました。
面白かったです。
ほかにも興味深いカセットテープをお借りしてます。
聴くのが楽しみです。
中野さん、ありがとうございます。
『触媒のうた』著名文人の秘話がいっぱい。
今朝の神戸新聞の「正平調」より冒頭部分。
《正岡子規が高浜虚子を訪ねた。1899(明治32)年夏のことで、当時はまだ貴重品だったアイスクリームをごちそうになっている。活力がわいたのか、そのとき子規が詠んだという句がある。< 一匕(さじ)のアイスクリムや蘇る > 》
子規のものはないが、虚子の直筆がうちにありますのでご披露しましょう。
これはハガキに書かれたもの。
虚子のフアンが往復はがきで署名を求め、その返信です。
こんなに小さな文字、虚子の心が見えませんか?
念のために申しておきますが、これはわたしへのものではありません。
《正岡子規が高浜虚子を訪ねた。1899(明治32)年夏のことで、当時はまだ貴重品だったアイスクリームをごちそうになっている。活力がわいたのか、そのとき子規が詠んだという句がある。< 一匕(さじ)のアイスクリムや蘇る > 》
子規のものはないが、虚子の直筆がうちにありますのでご披露しましょう。
これはハガキに書かれたもの。
虚子のフアンが往復はがきで署名を求め、その返信です。
こんなに小さな文字、虚子の心が見えませんか?
念のために申しておきますが、これはわたしへのものではありません。