みんな読ませていただきました。
昨日、柳人の中野文擴さんがお持ちくださった川柳句集『最新・ピンチはチャンス』（吉田利秋著・兵庫文化クラブ・2022年刊）。
全部で283句、だと思う。政治的で重い句もありますが、ほぼすべてユーモアが漂っています。
そして川柳の命「穿ち」（というのでしょうか）が息づいていて。
特に私の目に留まったものをできるだけ多く紹介します。
〇交番がいつも無人でいいんかい
〇「しっかりね」「私しっかりしています」
〇困ります かけ放題を友が買う
〇母さんが僕の日記の誤字直す
〇ギャンブルはもうやめました賭けましょか
〇もう一人わたしがいたらやかましい
〇許そうとしたら許すと言ってきた
〇豆ごはん食べると母の声がする
〇長男は一生の運使い切る
〇孫が来ておカネくれへんなんて言う
〇じいちゃんは遊びすぎだと孫が言う
〇りしゅうさんはいつ死ぬのかと孫が聞く
〇かぶってる帽子探して悪いんか
〇イヤイヤと夏のホースが首を振る
〇代診は女医さんだった春の風
〇正義は勝つ敵も私もそう思う
〇人生を顔に刻めと無茶を言う
〇口数の少ない人と長電話
〇廃線を歩いていたら汽車が来た
〇にんげんってたいへんですね屋根の猫
〇好きな人嫌いな人と仲が良い
〇完全に直して残るネジふたつ
〇五百冊の将棋の本を売った夏
〇苦あれば楽あり絶対ですかいつですか
〇天国で姉が読んでる『有夫恋』
〇新しいサイフを買っているサイフ
〇ありがとうそんな顔して蚊が飛んだ
〇授業中友のイビキで目が覚める
〇反戦歌 夜明けは近いはずだった
〇質問と言っていっぱい自慢する
〇言ったのは酔う前ですか後ですか
〇引き金を引いて本物だと気づく
〇試食して買わない勇気ありません
〇りしゅうさんはおじいちゃんかと孫が聞く
〇エレベーター サンバガールに囲まれる
〇病院の長い廊下と長い影
〇お元気ですか新子先生まどかさん
じっくり読めばもっといいのがあるのでしょうが、取りあえず。
『コーヒーカップの耳』ここにも「穿ち」充満。
