『現代川柳』第12号。
楽しませてもらってますが、今号は「フォト川柳」のページが凄いです。
喫茶店を長くやっていたせいかもしれませんが、いいのがいっぱい。
カウンター席に置かれた「シュガーポット」という題材がいいんですね。何かを思わせます。
みんないいんですけど、特にわたしに響いたものを。
テーブルの傷は常連たちの過去 山口ちい子
蟻を見る孤独夕日につつまれる 田村ひろ子
シュガーポット男の愚痴を聞いてやる 木戸利枝
いつ来てもおんなじ場所を占めている 野上藪蔵
自慢聞くコーヒー冷めていくばかり こはらとしこ
耳澄ます内緒話のカウンター 黒川佳津子
カウンターでわたしはみんな見てました 清水洋子
ドアベルの音に振り向く砂糖壺 宇野弘子
コーヒーの魔法にポロリ本音吐く 久保奈央
隠し事誰にも知れず溶けてゆく 雪岡信子
カウンター傷の数だけ愚痴を聞く 林操
聞かぬふりするのも慣れた半世紀 平里彩
いやあ、いいですねえ!
ほろりとしたり、にやりとしたり。これぞ川柳でしょう。
わたし、芥川賞風の川柳にはどうも馴染めないのですが、こんなのは大好きです。
今村欣史の本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
今なら本屋さんで買えます。宮脇書店ダイエー西宮店(浜松原町)のノンフィクションのコーナーに有ります。