山奥にいました
林業のおっちゃんたちが
「まさかここまで自転車で来るたあ思わんかった」
と笑ってくれた
そして
「この先ぁ自転車じゃ無理ぜよ」
と忠告してくれたのだが
そう言われると行きたくなるもので(笑)
だが道は砂利道ですらなくなり
とてもバイクに乗れない状況となり
※勾配20%あります
そして道は山へ消えた
「自転車じゃ行けない」どころか
歩いてすら行けない道だった(笑)
ようやく辿り着いたヤマザキショップは光り輝いて見えた
店内で何を買おうか迷っていると
50代ぐらいだろうか ひとりの女性客が
他のお客に愛想笑いをし
レジの順番を次々と譲っていた
この人は何がしたいのだろうか?
私はその女性の異様さに警戒した
「どうぞお先に! 寒くなってきたわね〜。いいのよどうぞ」
店内をぶらぶらしている割には 手に持つ商品が増えていかない
ただ店内に居座るためだけに レジの順番を譲っているらしかった
私以外の客がすべて店外に出ると
その女性はようやくレジに並んだ
そしてレジの店員に こう耳打ちをした
「ごめんね、これツケちょって。いつもごめんねぇ」
そうか
地元の知り合いに これを聞かれたくなかったのだ
そして 店員(おそらく店長)は最初からこうなることを察していたようだった
「明日払いに来るけんね」
店員は黙ってうなずき
女性は酒のつまみ900円分ほどを手に持って
エンジン音のうるさい軽自動車で帰っていった
あの女性は 本当に明日支払いに来るだろうか?
おそらく明日来なくても この店からは何も言われない気がした
ヤマザキショップは この地域にとって
なくてはならない店なのだった
数時間ぶりに手に入れた補給食は
心に沁みた