自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

きみが好きだ。

2017年11月15日 02時33分20秒 | おしごと日記



編集スタジオに詰めていたら、
遠くから「Dスケ!」と呼ばれた。
ビックリして落としたパンを拾って顔を上げると、
笑顔が近づいてきた。


自転車ふたり旅でお世話になったYさんだ。
当時、若気の至りで、この雲の上ぐらい偉い人に
だいぶ歯向かったのだけれど、
それ以来ずっと気にかけてくれて、
「また一緒に何かやろうな!」と声をかけてくれる。


「おい、いつ企画持って来るんだ。ったく、全然持ってこないんだから。
 募集期間中だっての知ってるよな?
 よし、待ってるぞ。
 あと今さ、Sと仕事してるんだよ。新番組で。
 知ってるだろ?
 君のことが大好きだって言ってたよ。
 (注:S氏はこの人と同じくらい偉いオジサン)
 すごい褒めてたよ、Dスケのこと。
 人気者だな。
 それじゃあな。企画待ってるぞ」


嵐のようにしゃべり倒し、風のように行ってしまった。
しかし、この一瞬は私の脳に濃く焼きついた。



S氏というのは、長いこと番組を一緒にやらせてもらった人なのだが、
ついぞ一度も褒めてもらえなかった「思い出の人」だった。
どんなに全力投球をしてもダメだったので、
何度も自分の限界を感じた。
そしてS氏を心から喜ばせられずに離れてしまったことを悔やんでいた。

なんとそのS氏が、褒めていたという。
しかも大好きなのだという。
これはすごいことだ。
きっとこの言葉ひとつのおかげで、
これから1年ぐらいは全力疾走できるくらい、私は
エネルギーをもらった。



Yさんは演出家だから、
これは演出かもしれないし、何気なく伝えただけかもしれない。
しかし確かなのは、私が莫大な幸せとエネルギーをもらった
果報者であるということか……。