◇どら平太(2000年 日本 111分)
監督/市川崑 音楽/谷川賢作
出演/役所広司 浅野ゆう子 菅原文太 宇崎竜童 大滝秀治 岸田今日子 江戸家猫八
◇山本周五郎『町奉行日記』より
椿三十郎お奉行版。
とかいってしまったら、身も蓋もなくなるんだろうけど、原作を脚色した四騎の会(黒澤明 木下惠介 市川崑 小林正樹)はやっぱり黒澤主導なんだなとつくづく想っちゃう。
それにしても名手が雁首そろえて、もうすこし別な企画はなかったのかとちょっぴり悲しくなる。
ただまあそこはさすがに市川崑で、円熟された職人芸が随所に見られ、冒頭から映像と語り口は余人の追随を許さないんだけど、でもな~という若干の口惜しさがないでもない。
だって、山本周五郎の原作の中でも、なんで『町奉行日記』だったのかなと。
というのも、この原作はすでに映画化されてるからだ。脚本が書かれたのは1969年だそうだけど、その10年前に、大映で三隅研次が勝新太郎の主演で製作してるんだよね。
四騎の会の人達が知らないはずはないっておもうんだけど、どう考えてもこの物語は黒澤好みだし、三船敏郎を主役にもってきて製作したかったのかしら?
となれば、黒澤明監督作品ってことになったんだろうけど、そしたら、まあ、椿三十郎的な大立ち回りが見られたかもしれないね。
その方が良かったかな。