△雪之丞変化(1963年 日本)
英題/Revenge of a Kabuki Actor
原作/三上於菟吉『雪之丞変化』
監督/市川崑 脚色/伊藤大輔、衣笠貞之助、和田夏十
撮影/小林節雄 美術/西岡善信 音楽/芥川也寸志、八木正生
出演/長谷川一夫 山本富士子 若尾文子 中村鴈治郎 市川雷蔵 勝新太郎
△追悼市川崑その18
もうなんか怨念の映画みたいな感じで、1935~36年にかけて、衣笠貞之助は『雪之丞変化』の三部作をつくった。
これが『雪之丞変化』の映画における皮切りなんだけど、脚本を書いたのは、伊藤大輔と衣笠貞之助だ。もちろん、主役は若き日の長谷川一夫こと林長二郎。びっくりすることには、長谷川一夫は闇太郎ばかりか母親の役までこなしてる。
まあ、そういう背景からして、この作品を戦後に撮り直したいって気持ちは、3人とも持ってたんだろう。
で、ついに結実したわけだけど、本作、衣笠版の俯瞰の冒頭の秀逸さはないんだよね。
しかも、告白場面で流れる音楽は八つ墓村!
八木正生を起用してジャズにしたのは、やっぱり市川崑だからだろう。昆さん、ほんとにジャズが好きだね。
っていうより、衣笠、伊藤、長谷川の3人のライフワークに挑むには、自分なりの色を出したかったから、ジャズにしたんじゃないかっておもうけど、う~ん、音楽面はまあそういうことにしても、絵づくりは凝っているようでいて、まだまだ市川崑らしさは中途半端な感じなんだよな~。