◎セブン・イヤーズ・イン・チベット(1996年 アメリカ 139分)
原題/Seven Years in Tibet
原作/ハインリヒ・ハラー『チベットの七年 ダライ・ラマの宮廷に仕えて』
監督/ジャン・ジャック・アノー 脚本/ベッキー・ジョンストン
製作/ジャン・ジャック・アノー、ジョン・エイチ・ウィリアムズ、イエン・スミス
撮影/ロベール・フレス 美術/アト・ホアン 演奏/ヨー・ヨー・マ
衣装デザイン/エンリコ・サバッティーニ 音楽/ジョン・ウィリアムス
出演/ブラッド・ピット デイヴィッド・シューリス ダニー・デンゾンパ B・D・ウォン
◎1950年10月、チベット侵攻
動乱のチベットが描かれてるにもかかわらず、なんてまあ、静かさが特徴的な映画なんだろう。
静謐な雰囲気で情緒的にラサやポタラ宮が語られるんだけど、理詰めかつ感情の起伏の激しさのある映画に慣れていると、ほんのちょっと物足りなさを感じるかもしれない。でもさ、映画鑑賞ってのは、場面を眺めて想像してゆく事なんだな~と、あらためて感じさせられもする。
それよりも、制作者側の勇気を買いたい。
そもそも、原作者のハインリヒ・ハラーはヒトラーとも親交のあった登山家で、親衛隊にも入っていたらしい。けど、かれらは「ハラーの経歴と体験の映像化とはちがう」という信念を持ってる。それだけじゃない。この映画を作ったせいで、ジャン・ジャック・アノーは、また出演したせいで、ブラッド・ピットとデヴィッド・シューリスは、無期限に中国への入国は禁止されてるらしい。
やっぱり、かれらにとってこの映画は、つくらないといけないものだったんだろう。だから、ダライ・ラマの母親役は、現実のダライ・ラマの妹ジェツン・ペマが演じてるし、ジャン・ジャック・アノーは、アルゼンチンをロケ地に選んだにもかかわらず、結局、チベットとネパールでも撮影している。
肝が据わってるわ。