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私は二歳

2008年12月21日 00時39分14秒 | 邦画1961~1970年

 ◇私は二歳(1962年 日本 87分)

 英題/Being Two Isn't Easy

 原作/松田道雄『私は二歳』 製作/永田秀雅 市川崑 監督/市川崑

 脚色/和田夏十 撮影/小林節雄 美術/千田隆 音楽/芥川也寸志

 出演/船越英二 山本富士子 京塚昌子 岸田今日子 浦辺粂子 渡辺美佐子 大辻伺郎

 

 ◇追悼市川崑その19

 なるほど、とおもったのは、森永乳業が協賛していることだ。

 この作品が製作されたのは、昭和37年。

 これって、どういう年かっていうと、森永乳業は昭和30年に森永ヒ素ミルク中毒事件をひきおこして、社会的な信用を失墜させるという大変な状況に追い込まれた。これを一所懸命に挽回して、ついに昭和36年、ロングセラーのクリープを販売して復活する。

 実にたいしたもので、いかに企業が努力したかってことだけど、信頼を回復しようとする企業がいちばんにしなくちゃいけないのは、生産と販売と宣伝っていう三位一体はもちろんだけど、その中でも最終的な宣伝がまずいとせっかくの努力が水の泡になる。

 この広告宣伝のひとつが、当時、大ヒットを飛ばした『私は二歳』の映画化に協賛するってことだったんだろね。

 なるほどな~と、映画とは別なところで感心したわ。

 で、山本富士子と京塚昌子が姉妹役ってのは愛嬌だけれども、赤ん坊(鈴木博雄)の目線にもかかわらず、役者がカメラを見つめていないのがやけに気になった。

 赤ん坊のナレーションが中村メイコというのも、いやまあ当時としてははまり役だったんだろうけど、ちょっと印象が強すぎるきらいがあるんじゃないかって気がするし、途中から嫁を中心にした家族物になってしまって、市川崑らしき冴えがなんだか見られなかったような気がするんだよなあ。

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