◇細雪(1959年 日本 105分)
英題/The Makioka Sisters
原作/谷崎潤一郎『細雪』
監督/島耕二 脚色/八住利雄
撮影/小原譲治 美術/柴田篤二 音楽/大森盛太郎
出演/轟夕起子 京マチ子 山本富士子 叶順子 三宅邦子 川崎敬三 菅原謙二
◇阪神大水害
昭和13年7月3日から5日にかけて、神戸市および阪神地区に降り続いた豪雨によって、死者616名を数える大水害がおこった。
原作でもこの大水害は描かれてて、島耕二はそれをカットすることなく、作中に描いた。
まあ、それは原作どおりでいいんだけど、谷崎という巨人に終始おされっぱなしの印象はある。
原作に引き摺られちゃうと、どうしても物語が長いだけに、話だけを追ってる感じになっちゃう。市川崑はそういうのをよくわかっていたんだろう、この大水害には触れてないんだけど、はたして、この四姉妹の物語にどこまで劇的な演出が必要なのかといえば、なんともいいがたい。
ところで、叶順子なんだけど、若尾文子が病気で降板した事で大役を手にしたそうだ。叶順子に比べると、轟夕起子の扱いが、たしかにこれもまた原作どおりとはいえ、なんだか物悲しくて、ぼくとしては辛かったかな~。