◎哭声 コクソン(2016年 韓国 156分)
原題 곡성(哭聲)、The Wailing
監督・脚本 ナ・ホンジン
出演 國村隼、クァク・ドウォン、チョン・ウヒ、ファン・ジョンミン
◎異常なシャーマニズム
それにしても國村隼、よく演ったなあ。
で、冒頭に語られる『新約聖書、ルカによる福音書第24章第39節』の「わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ」ということから察するに、國村隼はイエス・キリストみたいなものだということになる。
いったいなにをしに朝鮮半島の山奥にひとり住んでいるのかわからないんだけれども、迷信深い山里の面々からすれば気持ち悪いことこの上ないわけで、そこへもって異常な殺人事件が起きれば因習に包まれたこの郷で疑われるのは國村隼のほかにいるはずもなく、さらにシャーマンが呼ばれ、異様な呪術が始まればもう精神は爆裂寸前まで高まっていくわけで、こういう心の暴走を「混沌、混乱、疑惑」という主題のままに映像化したら、こんなものすごい血と肉と叫びの世界になってしまったということなわけね?
いや、ほんと、異常な精神の昂揚に堪え切れず血圧が急激に高まったわ。