☆わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年 イギリス、フランス、ベルギー 100分)
原題 I, Daniel Blake
監督 ケン・ローチ
出演 デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ
☆日本の社会保障はどうなんだろう?
医者は病気を抱えた労働者に働くなといい、政府は働こうとしない者には福祉の手を差し伸べないという。
ケン・ローチが、こうした矛盾だらけの社会保障制度に怒っているのは実によくわかる。貧しい人々に対して真摯な態度で接し助けようとしている役人なんかいないと。
けどこれは単にイギリスだけの話じゃないだろう。
映画はとにかくリアルで、大工のダニエルは心臓発作で呆気なく死を迎え、親身になっていた母子家庭の母親はこの先も娼婦を続けざるをえず、靴が貧乏臭いというだけでいじめられていたふたりの子供たちももいつなんどき暮らしを支えているお金の元がばれてふたたびいじめられることになるかもしれない。この移民家族の苦しい生活はたぶん続いていく。
社会の何が間違っているのだろうと見た者が話し合ってくれるのがケン・ローチの希望なんだろうけど、諸国の政府の要人でどれだけの人間がこうした映画に興味を持つんだろね。