Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

34.ヴァーチャルアイランドver2.

2009年04月28日 | Design&3DCG
 昨日のブログで掲載した、古典様式の建築の背後に高層ビルが建っているという風景は、いかにも最近の我が国の都市開発スタイルであり、そして建築屋好みだ。だが、私にとっては気に入らない風景である。
 そこでヴァーチャルアイランドver2では、植栽の配置にとりかかった。ここからがvueソフトの本番である。先ず最初に考えたのが本来のリゾート哲学に即して、建築を隠そうという発想である。
 古来から人間が生活している環境が、無防備にも丸見という風景は少ない。どうだこのデザインは!・・・などと建築を堂々と誇示しているのはマスメディア受け狙いの建築家達や、土地のない都市のような場合だけである。
 心賢い建築家達は良く知っている。ただでさえ著名な建築作品を、公然とひけらかすようなことは絶対にしない。先ずもって社会からはわからないように、風景の中に埋没するようにデザインをしてゆく。
 私がプロデュースという仕事で関わった著名な建築家達が、教えてくれたのは、樹木というライバルの存在である。建築のデザイン一つあげても、一本の樹木に勝てないことを彼らは、よく知っている。
 そう、現代建築は樹木1本にすら勝てないのである。それはよく考えれば当たり前の世界である。有機的な機能と造形美の塊のような1本の樹木に、無機的な建築が勝てる考えるのは、ビギナー建築家の発想であろう。つまり私達が、精々頑張ってもできうる仕事は、その程度なのである。
 だから、このヴァーチャルアイランドでは、樹木の中に建築群を隠すべく、大いに樹木を増やし、見え隠れする風景をつくろうと考えている。そして時には木陰のカフェテラスが風景の主役となるような、環境形成を目指している。これはヴァーチャル環境を使いながら、現実社会のデザイン・シミュレーションであろう。

制作:Vue5
コメント
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