Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編394. 講義抄録・地域空間構成論第6講 シンボル論

2019年01月24日 | Nagoya city

図1.日本のシンボル・富士山と新幹線

 

 家の床の間がその家族の格式の象徴であり、客をもてなす客間がある。都市にもその格式の象徴であるつまりシンボルとしての設えがあり、客間に該当する空間もあるだろう。

 そんな風に考えると講義では、「イメージとして捉える」、「客をもてなす事と捉える」、「空間として捉える」、「格式として捉える」の4つの概念とその広がりについてレクチャーをした。このブログでは、その中の1つである「イメージとして捉える」を紹介しよう。

 例えば一口に都市景観といっても、眼前の風景の場合もあるし、風景をみている人間の意識の場合もある。そう考えれば眼前の景観と、意識間の中で組み立てられた景観とが存在する。後者を認知とよぶ。そうなるとシンボルというのも眼前のオブジェクトとしてのシンボルと、人々の意識の中にあるシンボルとがある。そこで後者の都市のイメージを扱ったケビン・リンチを尋ねた。

 彼はボストンをはじめとするアメリカの都市で、あなたが理解している街の地図を書いてくださいという認知マップという手法で調査を行った。そうした認知マップの解析結果から、都市の構造を5つの要素で明らかにした。パス、エッジ、ノード、ディストリクト、ランドマークだ。このランドマークが都市のシンボルだ。そ

 そんなリンチが捉えた都市の5つのイメージ要素をボストンの街で探してみた。そのなかにシンボルがあるだろう。

 

図1.バス 主に道路のことである

 

図2. 街のつながりを遮るもの。河川や高速道路も街を分断させるだろう

 

図4.ノード 複数の活動が1つに集まるところ。都市でいえば交差点

 

図5. ディストリクト 均質な性格で1つのまとまりをもった空間。ボストンではメインの繁華街やイタリア地区といった具合に、いろんなディストリクトが存在する。

 

図6. ランドマーク おそらくボストンでは誰でもが知っている一番認知度の高いランドマークである。これがボストンのシンボルマークといってよいだろう。教会の横には、ボストンコモンという広場があるのだ。

 

 

図7. ワールドトレードセンターの展望台   もちろんある時期まではニューヨークのシンボルだった。

 

図7. ワールドトレードセンターからの都市景観   二度と見ることができないシンボルもある。左側の建物はノースタワー。シンボルだからこそ、時には世界の誰かから狙われることもある。もちろん私はワールドトレードセンター全体の写真を撮るために、エンパイヤーステートビル最上階の壁面にカメラを押しつけて(下はニーヨークの道路が見えるスリリングな撮影だ)ミノルタCLEで撮った。後でフィルムがはいってなかったことに気がついた。

 

 図8. オーストリア航空の比較広告   面白いプロモーションをみつけた。日本のシンボルは叔父さんのカラオケ!、ウィーンのシンボルはポーイソプラノのウィーン青年合唱団というわけだ。叔父さんと少年合唱団の比較広告は面白いと思ったし、これは日本に対するアイロニーがこめられていて大いに笑えた。

 

Minoltα3,Rokkor20mm、100-300mm/F3.5-5.6、MinoltaCLE,Rokkor40mm/F2.0、エクタクローム

参考文献:三井不動産S&E研究所/北山創造研究所編:まちづくりの知恵と作法,日本経新聞社,1994,p61-78.

 

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