さて、吹雪いている小樽の翆のカフェでの会話の続き。
つまりマサヒロ君の育児を全部親任せにしたんだ。それって不案はなかった?
翆「当時、それしか選択肢がなかったから。でも親は経験者だし、時間が経つと親たちも孫だ!、といって楽しんでいたよ。今のサラリーマン世帯だったら、子育ては夫婦で試行錯誤して猛烈に神経質になっていると聞くけど、あれはもう異常な感じだよね。そんな話をきくと、うちはそんなこと全然なかった。」
でっ、教育は?
翆「なにもしてない、その頃私は花の独身時代だったから、私もほったらかし。だっておむつなんかとっかえるぐらいならディスコいっちゃうよ・・・。乳児の時は母親が面倒をみてた。でっ、父親が高校のズボラな美術の先生だったの。教育といっても、息子に72色の絵具と画用紙をあたえて、好き勝手に絵を描かせていた、それだけ。ただ父親のしょうもない絵が家に転がっていたから、なんか刺激になったのかな?。」
子供って身の回りの物から世界を広げてゆくから、そりゃ刺激になったと思うけど・・・。
翆「小学校にはいったら手間がかからなくなったし、それに絵がダントツにうまいと先生からいわれたよ。あとはほっといても中学、高校と進学してくれて、印刷会社に就職しただけ。」
美大にゆかなかったの?
翆「本人の希望なのよ、実は高校時代から彼女がいて最近孕ませたって聞いたよ。親のDNAだねー。こんどはひ孫かよー、とリタイアメントした親も叫んでいた。でね、まかせろ、まかせろ、3回目の経験者だって親がいうわけよ!。
我々の世代の親って子育てを苦労とは思ってないのよ。あれ不思議。使えるものは、親でも使え!、という言葉もあるしさ。
翆「実は、息子は高校時代に県の展覧会などで、いくつも特賞にはいったのよ!」
なんだ才能があるんだ、じゃ美大にゆく必要がないじゃないか。美大ってさあ、うますぎる人は教える必要がないから自分でやってちょ!、でとらないのよ。それに教授より絵が旨かったらまずいじゃん。
多分才能の育て方があると思う。今の親だったら子供が野球に熱心だと思ったら、さっさとクラブに入れたりして将来を期待するけど、それ間違い教育。というのも教えてもらえば上達するという受け身意識の子供になっちゃうでしょう。私も経験があるけど、大学院の授業に出たらノート広げて、さあ一杯教えて!、という女子学生がいたの。だから私は大学院は自分で研究するところで、大学のように教えるところではありません!、といってやった。こんなのもいた、私の同級生で自分の子供に早期教育でデッサンを教えたら、大きくなって床屋になっちゃったと嘆いていたよ(笑)。
本来は、自分で勉強しないとなんにもわからないのだというアクティブ意識の子供にしておかないとね。受け身意識と、アクティブな意識の違いは大きいと思うけどな。自分の意図した方へ誘導したければ、仕掛けだけしておいて、あとはなにも教えないことだね。
さて、もう夜だ、吹雪も納まり気味かな!、夕飯、花街銀座の宝すしへゆこうよ、それから大正湯にいってから、翆の木賃アパートだな。
翆の布団に入ると鼻水が出そうなほど顔は冷たいけど、身体は翆の体温でホカホカさ。その落差が寒い国の感覚だ。
しようよ・・。
「うん・・・」
東海道新幹線 米原-岐阜羽島
OLYMPUS E-P5,LEICA DG Elmarit Asph 45mm/F2.8
ISO200,焦点距離45mm,露出補正-0.3,f/3.2,1/4000