大学へ新幹線通勤していた頃、まれに関ヶ原が雪の時があった。それも岐阜へ降りてくるとカラッと空がすんでいる。ならば今日は岐阜羽島で下車し、名鉄羽島線で岐阜市を経由して大学へ行こうと考えた。講義も会議もない1日だし、本の原稿も校了したので急ぎの仕事はなかった。そんな朝の気分転換に出かけた頃だった。
岐阜羽島駅周辺は、岐阜市の副都心をつくろうという意気込みで整備された街。古い寺があり、比較的民家が新しい。この名鉄羽島線は、新幹線が開業して18年後に開通した。当時は田畑が続いていたことだろう。もちろん副都心なんか政治のはかりごとだから、できるわけもなく、僅かなオフィスとホテルが、なんとはなしの駅前の顔をかろうじてつくっている。
私が乗ってきたこだま号が眼前をゆき去る。いまは走ってない700系か。あいつに乗り続ければ7分で名古屋駅につくが、今日は大回りだ。
2両編成の名鉄電車の運転席の後ろにすわり、すんだ空でも撮りながら岐阜市内へゆこう。どうせ期待していない車窓なのでモノクロームでいいさ。その通り期待されない郊外の風景が続いていた。ただ、青い空だけが被写体になっていたし、高性能レンズが絵にしてくれた。
岐阜市内の柳ヶ瀬商店街は、規模も大きいが、朝だからシャター街だ。だが、昼もこの状態が続いているのでは、なかろうか。全国の中心商店街低落傾向が、ここにもあるだろう。朝からやっている喫茶店で暖をとったが、やるせない空気が漂っているのは、そうした現象の反映だろうと考えていた。
岐阜市民が新幹線に乗るのは、全ての列車が停まる名古屋駅からだ。その名古屋駅までJR快速で20分。東京ならば中野から東京駅へ行くようなものだ。だから岐阜羽島駅の存在は希薄だ。
岐阜市は、多分二度と訪れる機会のない街だと思いながら後にした。
さて、訪れる機会のある街があれば、訪れたいが訪れる機会がない街もある。ふと「小樽の翆」という文章を書いたときに、このブログも素材がない今年の冬の端境期は、ミニ小説の連載にしよう。私がイメージしている小樽の街の心象風景、いつまで続くかわからないが、ボチボチと・・・。
東海道新幹線 京都-米原、名鉄羽島線、岐阜市(2016年2月16日)
OLYMPUS E-M1,M.ZUIKO DG12mm/F2.0
1)ISO200,焦点距離12mm,露出補正-0.3,f/2.2,1/4000
2)ISO200,焦点距離12mm,露出補正0,f/5.6,1/2000
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