Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE1589. 小説:小樽の翆9. にわかソロバンの話

2020年01月26日 | Sensual novel

 

 朝遅く眼が覚めた。夕べ激しいセックスをしたというのに、翆はお店の支度ででかけていた。まったく女の体はどうなっているんだろう。こちらは腰が抜けている。

 琥珀の館という意味ありげな名前の珈琲屋で調達したマメをひきながら雪のなかに沈んでる街に眼をやる、なにもみえない。今日は撮影もできない。どうせ積丹へ行くバスも動かないだろう。

 小樽の街並みも、雪が積もって道幅が狭くなり、そこへ車と人が混在し、混沌とした景色だ。もう少し空いた坂道を降りてゆけばよかったか。

 翆の店でランチにしよう。翆の珈琲屋は小樽では老舗だからつくりが古いし、なじみ客も多い。しかしマスターは高齢で動作もおぼつかないので、しばらく翆がやとわれマスターなんだ。

・・・

昨日言ってたスナックの房ちゃんて何者?

翆「元は先輩ナース、色々教えてくれて私をかわいがってくれた大先輩よ」

なんでスナックなんかしているの。

翆「だんなと結婚して暇だったんじゃない、子供いないし」

 ふぅーーん

 翆「あのねぇー、水商売の女のコツってしっている。お客さんに、この子口説けそうだなと思わせることがリピータを増やすこつね。そうした心理の隙間をついてどうやってお金を取るかって考えるわけ、でっ結局口説かれない、身持ちが超固いわけ、口説かれちゃったら商売おしまいだよ」。

口説けそうで、口説かれない商売・・・

翆「だから水商売の女って一人は恋人をつくってもいいんだけど、それ以上に絶対手をださないの、恋ではなくて仕事だもん、いちいち恋してたら身体が持たないよ(笑)、でもお客さんは恋人のつもりでいるから。それだったら主婦の浮気につきあってた方がいいよ、後腐れないから」。

 つまり京都の舞妓さんの身請け話と一緒だ。舞妓さんが二十歳で定年になると、中小企業のおっさんあたりの妾になってお店の開業資金をふんだくるという構図だな。水商売の女が新規事業をはじめたいといいだしたら、こちらは要警戒だよ。

翆「万事お金なのよ、あの世界は!!、そんなことを房ちゃんから聞いたよ」。

男の人の財布を開かせることしか関心がないから、もう少し事業性に頭を使えよなと、わては思うけどなぁー。

翆「下手なのよ水商売の女の人って、あなたのいう事業戦略が」。

つまり投資しても金銭上のリターンがない事業に、今時の男子はお金は出さないよ。そのリターンが身体じゃねぇー、100年の恋、いや、ちがうな!、恋させた気分というか、そんなのすぐに冷めちゃうよ。

水商売女のにわかソロバン!、そういっちゃあ彼女達に失礼か・・・。にわかソロバン!。落語のテーマだな(笑)。

さて午後は暇になったからクロッキー帳でも調達しなきゃ・・・

翆「あら、デッサンでもする気になった?」

夜、翆の裸を・か・く・の・

翆「寒いこと思いつくねぇー、でも一寸ならモデルしてあげるか(笑)」

寝ポーズでいいさ・・・

!?・・・ 

 

OLYMPUS E-P5,LEICA DG Elmarit Asph 45mm/F2.8

ISO200,焦点距離45mm,露出補正0,f/4.5,1/800

 

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