外は吹雪いているから街の灯りも霞んでいる。気温は零下だ。木賃アパートの部屋はストーブがついている。翆が布団を敷いている。
かわゆい枕じゃん。
翆「一寸遊郭風で遊んでみた、冷たい景色ばかりだから赤い色に憧れるのかな?・・・」
はよ!、お布団、ゆこうよ。
・・・
翆「初めて会った時の事って覚えてる?」
うん、たしかもう10年近く前に仕事で小樽に来て、ホテルの夜は退屈だというので、タクシーの運転手さんにつれていってもらった。そしたら、運転者さんは、キャバレーですか?、というから、ちゃうちゃう、静かにお酒が飲めるスナックでいいよ。それで房ちゃんの店にいったんだ。
翆「私そのときナースをやめたばかりで、暇があったから房チャンのお店でアルバイトしていたんだ。そこへさっそうとやってきた。あら、覚えているじゃん。」
あたりまえだよ。
翆「じゃ、私との初セックスは?」
お酒飲んでいたから記憶曖昧・・・
翆「お店が閉まってから、その足でご飯食べにいって、それから貴方のホテルでしょう!、でっ、いきなり私を裸にして、ベッドの上でうつぶせにして、腰をグイッと持ち上げて後ろから入ってきたでしょう。乱暴だったけど新鮮だったよね、」。
ああっ!、こんなのはじめて・・・、と聞いたのは覚えている。
翆「あたしそんなこといった?」
うん、その言葉だけ記憶にある。そのときのことを再現しようか?
翆「やだん!、布団の外にでると寒いから普通に重なってるやつでいいよ」。
冬バージョンってわけだ。
・・・
小樽の夜がジワッジワッとすぎてゆく。雪がやむ気配はない。こうした瞬間って幸せなんだろうと思っていた・・・。
OLYMPUS E-P5,LEICA DG Elmarit Asph 45mm/F2.8
ISO200,焦点距離45mm,露出補正0,f/4,1/100