熱海は、昔からの温泉保養地であったが特に風光明媚というわけではない。だが急傾斜地の多い土地でありアップダウンが続き、静かな屋敷と民家が連なり、そこへマンショが建ち並び、少し面白い人工的なタウンスケープをつくりだしている。
それに熱海は洪積層なので地盤が固いというのが地元の見解だ。それであのような急傾斜地に民家が建てられるわけだ。因みに東京は軟弱な沖積層だから中高層以上の建築物は、地下30mに及ぶ建築杭が必須だ。だから東京を遠目に見ると、無数の爪楊枝の上に建築が建てられていることになる。
熱海に話題を戻すと、今時流行らなそうな夜の街などもあり、結構狭いところに興味深い被写体が数多く埋もれている。下宿屋風や、川の一角のアパートなんか年中川の流れる音がするし、変形の二間続きの部屋だけど、どんな人たちが暮らしているんだろう。この頃早咲きのあたみ桜が散り始めていた。
歩き回ると、東京の近くに、こんなに面白い撮影スポットがあったのか。
温泉街の輻湊した迷路のような道の奥の狭い民家の一間に、ひっそりと棲むというのも面白いかもしれない。そんな民家のうち懐に分け入って、坂道を遠目にみつつ、ここの日常の暮らしを撮ってみたいと思うけど、熱海には恋人がいない(笑)。
さてこの街を徘徊した後は、当然のごとく駅近くの共同浴場で温泉につかり、新幹線のひかり号が常に満席なので、空いているこだま号でトロトロと京都へ帰った。
静岡県熱海市(2013年3月3日)
OLYMPUS E-PM2,M.ZUIKO DG12mm/F2.0、OLYMPUS E-M1,Leica DG Macro-Elmarit Asph 45mm/F2.8
1)ISO640,焦点距離12mm,露出補正-0.3,f/11,1/80
2)ISO400,焦点距離12mm,露出補正-0.3,f/11,1/100
3)ISO200,焦点距離45mm,露出補正-0.7,f/3.2,1/125
4)ISO800,焦点距離12mm,露出補正-0.3,f/11,1/60
5)ISO400,焦点距離12mm,露出補正-0.3,f/11,1/60
6)ISO200,焦点距離45mm,露出補正-0.3,f/4,1/200