2015年9月に撮影した那覇市の農連市場。国際通りに接する通り沿いにある牧志市場が観光市場であれば、この農連市場は市民の台所として機能していた。那覇は暑いから農連市場は夜遅くから朝方にかけて営業するミッドナイトマーケットであった。
私が訪れた時は、農連市場の建て替えが決定した後だから既に市場内は閑散としていた。それでも僅かに営業している店舗を渡りあるき往事の気配を探ろうと努めていた。
この安普請の建築で戦後からの空気をいまに伝え、そして数多くの台風の直撃にも耐えてきた。建築には、そうした時間の流れが経過した痕跡が数多くあるだろう。
かっての農連市場は、少なくとも個人商店や農家のおばさん達にも販売の機会を与えてきたはずだし、そんな小さな世界と大きな物流とが混在していたところに農連市場があった。そこに活気ある市場固有の世界が存在していたと思われる。
だが今は農連市場という存在自体が希薄になってきた。それは郊外に進出してきた大型スーパーや市内のスーパーチェーンが存在し、若い人達はここへ買い物にゆくので、農連市場は物流の一端をになうぐらいの存在になってしまった。もはや市場不要の時代といえそうだ。
いま立て替えられた農連市場は物流倉庫のようでもあり、往事の活気はない。ならば、この土地につくらなくてもよかったのにと私は思う。
さらに牧志市場も建物の老朽化のため建て替えられた。こちらは昔から観光市場だったから今も存続している。
そんな都市機能の更新をつうじて次第に沖縄の風景が変わってきた。すくなくとも戦後の風景は、完璧なまでに根絶されたようだ。少し寂しい那覇の風景である。
改装された現在の農連市場とOLYMPUS EM-5
バッテリーグリップを付けたOLYMPUS EM-5はレンズを付け替え、この時代のあらゆる場面で活躍し、1日撮影していてもバッテリー切れを起こすことなく余裕で撮影できた。だからちいさなマイクロフォーサーズといっても引け目はなかった。むしろ小さく軽いというのが幸いした。
沖縄県那覇市
OLYMPUS E-M5,M.ZUIKO17mm/F1.8